一般的に人が亡くなる際、最期を迎える場としては病院や自宅が多数を占めるのではないでしょうか。入院していた病院や自宅以外で亡くなった場合に行われるのが、「検視」という行為です。「検視官」という職業の人物が登場するテレビドラマや映画も少なくありません。そのため、存在は知っているものの、何を行うかはよくわからないという方もいるでしょう。
この記事では、検視とはどのような状況において行われるものなのか、一連の流れなどの疑問について解説します。家族や親族または自身が亡くなった際に、どういった段取りを踏めばよいのか参考にしてみてください。
<この記事の要点>
・「検視」は、病院や自宅以外で亡くなった場合に行われる
・検視による死因特定が難しい場合は、解剖をすることもある
・検視自体には料金はかかりませんが、死体検案書の作成には費用が発生する
こんな人におすすめ
検視とは何かを知りたい方
検視はどういう状況で行うのかを知りたい方
検視が終了した後の対応について知りたい方
検視は、亡くなった方の状態や場所などの死亡時の環境を踏まえた上で、犯罪性の有無の調査や判断をする刑事手続きのことです。「検死」という言葉と似ているため混同されることもあるのですが、検死という言葉は法律で定められた用語ではなく、内包されている業務を主に指している用語のひとつです。
持病を患い入院している状態で症状が悪化し最期を迎えた際には、担当医の判断によって「死亡診断書」が作成されます。これを遺族の方が受け取った後に、遺体を自宅へ引き取るための搬送や、葬儀を執り行うことができるようになります。この場合には、医学からの見解に基づいて判断されるため、死因や遺体の状況を、それ以上に詳しく調査することはありません。
では、検視が必要になるのはどういった場合なのでしょうか。それは、亡くなった場所が病院以外だったときです。
自宅で家族が亡くなった場合でも、まずは所轄の警察署へ連絡を入れることから始まります。亡くなった方の体や、その周囲のものなどへ手を触れたり、移動させたりしてはいけません。担当してくれる警察官が連絡を受け、到着後に故人の死亡状況を確認します。それまでの間は、基本的にそのままの状態や状況にしておきましょう。
このとき、状況を確認し終えた担当の方が「事件性が皆無である」または「死因が明確である」という判断をした場合は、そのまま「死体見分」へと移ります。死因や亡くなったときの服装、所持していたものなどの必要事項を担当者が確認した後「死体見分調書」を作成し、これを遺族の方が受け取ることで終了します。
一方で、担当者が死因の特定ができない、または事件性があると判断した場合には、警察へ遺体を引き渡すことになります。その後、医師立ち合いの元、管轄の検察庁で検視官による検視が行われます。
もしも、自宅で亡くなった家族が持病を患っており、かかりつけ医がいる場合には医師へ連絡しても構いません。医師によって持病による死亡等と判断された際には、死亡診断書が作られて完了となります。
しかし、持病以外の死因の所見が確認され、事件性があると判断されたケースでは、医師が確認後に警察へ連絡を入れ、検視という流れになるため覚えておきましょう。
検視官が、犯罪性や事件性がないと判断した場合には、立ち会った医師が「検案」を行い、「死体検案書」の作成へと取り掛かります。医師による検案の目的は、医療の知識をもつ専門家がしっかりとした医学的な見解を示すためです。
これによって、亡くなった方の死因をはっきりとさせ、死亡診断書の代わりとなる死体検案書を作成します。しかし、亡くなった方の外部面のみを検査するだけでは死因の特定作業は難しいというケースもあるため、そういった場合は解剖作業を行い、詳しく死因を特定します。
「犯罪性や事件性がない」と判断された遺体については、死因を特定するために行政解剖が行われます。この方法は、基本的に遺族側の承諾を得る必要がありません。しかし、行政解剖を行うことができるのは監察医のみとされており、監察医が配置されているのは東京や大阪などの大都市部のみに限られています。
配置されてない地方部では遺族の承諾を得る必要がありますが、法医学者などによって解剖することが可能です。しかし、新しく施行された法律により、現在では遺族の承諾を得ずとも警察署の署長が作業を行うよう指示できるようになっています。
事件性がある場合に、この措置が行われます。対象になるのは他殺体のみならず、自殺や事故死の場合も含まれます。しかし、全ての被害者がこれを絶対に受けなければならないわけではなく、検視官などが必要性などを判断します。つまり、遺族側の解剖の希望があっても警察側で必要がないと判断された場合には、解剖は行われません。
一方で、遺族側が解剖に反対している場合でも、裁判所が「鑑定処分許可状」を発行した場合には、遺族の許可を得ずとも解剖が可能になります。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
検視官とは、組織上での役職のことを指しており、実際にそのような名称の資格が存在しているわけではありません。しかし、この役職へ就くためには、10年以上の刑事としての実績と、警察大学校で法医学を修めた警部か警視以上の階級をもっている必要があります。誰でも就ける役職ではなく、長年の経験や知識に裏付けられた正確かつ的確な判断が求められる役職です。
主な業務内容としては、遺体の所見から事件性があるかどうかを判断することです。のちの解剖医へと回す業務であるため、非常に重要な仕事といえるでしょう。
結論から述べると、検視を拒否することはできません。警察へ連絡を入れた時点で、特別に令状や家族の承諾を得ることを必要としなくなり、住居へ自由に立ち入ることが可能になります。
とはいえ、判断に納得がいかない場合もあるでしょう。愛するご家族が亡くなった直後では思考もうまく働かず、辛い胸中もお察しいたします。しかし、できる限り冷静な対応が大切です。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
検視自体には料金は必要ありませんが、医師によって死体検案書を作成してもらうことに関しては費用が生じます。死体検案書は死亡診断書と同様の意味合いを持つため、絶対に必要となる書類です。
またこのほかに、遺体の搬送を行うための費用も発生してくるため、その全てを合計すると数十万円という高額になることもあります。各自治体によっては全額負担や一部負担を行うところもありますが、遺族が全額負担を行わなければならないところも少なくありません。事前の確認を行っておくと、もしもの際の対応がスムーズです。
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ご遺体搬送の流れと料金!スムーズに手続きするなら事前準備を行おう
ここでは、検視を行うケースの例について紹介します。自身の判断に困った際に参考にしてください。
・高齢であり、自宅で亡くなっていた、恐らくは老衰であると思われるが確定ではない
・持病を患っておらず、自宅で亡くなっていた
・持病を患っておらず、老人ホーム等で亡くなっていた
・自殺と思われ、場所を問わず発見された
・交通災害によって亡くなった
・スポーツ中の事故で亡くなった
・火事で亡くなった
・海やプール等で亡くなった
・業務中において亡くなった、労働災害によって亡くなった
・地震、落雷などの自然災害事故によって亡くなった
・他殺と思われる状態で亡くなっていた
これらに該当しない場合であっても検視が必要になることは考えられるため、不明な場合には自身のみで判断はせず、警察に相談しましょう。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
検視を終え、遺体が戻ってきたら、続いて葬儀を執り行います。亡くなってすぐに様々な対応に追われることになり、悲しみに暮れる間もないことでしょう。
さらには費用面や帰ってくる遺体の状態など、様々な不安要素があるとは思いますが、周りの方へ協力などをお願いして故人を快く送り出せるように段取りをしっかり組んでおくことが大事です。
検視の終了後から、葬儀の準備が始まります。死亡が確認されたら、葬儀社を見つけ決定しましょう。葬儀にはなにかと準備が必要です。悲しみに暮れる時間も大切ではありますが、親族に葬儀の知らせをするためにも冷静に準備を進めていきましょう。不安な際には葬儀社に相談することが大切です。
警察所から遺体引き取りの連絡があったら、故人の身分証明書・受け取る人の身分証明書・印鑑(シャチハタ不可)を持参して引き取りに行きましょう。諸費用のうち、自分たちで負担する金額分の現金も求められます。
遺体の引き取りのときには「死体検案書」が発行されます。これがなければ死亡届を役所に提出することが不可能になってしまいます。死亡届が発行されなければ火葬を行うこともできないため、滞りのないよう手続きを進めましょう。
また、遺体を引き取る際に葬儀社に搬送を頼む場合には、事前に葬儀社へ連絡をしておきましょう。
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検視について、具体的な内容を知らないために不安な気持ちになることもあります。いきなりそのときを迎えるよりも、事前にこの記事の内容を把握しておくことで、故人や遺族の方の不安な気持ちが多少でもやわらぐでしょう。
また、わかっていたとしても、いざ検視が必要になったときは落ち着いて対応できないこともあるでしょう。そのような場合は、ぜひ小さなお葬式にご相談ください。葬儀に関するお困りごとに関して、知識豊富なスタッフが24時間誠心誠意対応いたします。
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東京や一部の地域では7月、ほかの地域では8月にお盆を迎えることが多いようです。ホゥ。