お墓に関連する言葉にはさまざまなものがあります。その中でも、意味を間違いやすいものに「墓碑」「墓石」「墓標」があります。どれもお墓の種類を表していますが、詳しく理解している方は少ないでしょう。お墓をこれから建てようと考えているのであれば、基本的な知識を得ることから始めましょう。
<この記事の要点>
・墓標とは故人を埋葬したことを周知するための目印を指す
・墓石とは石材を使って建てたお墓のことを指す
・墓碑とは故人の名前や戒名、メッセージなどを刻んだ墓標のことを指す
こんな人におすすめ
墓碑と墓石と墓標の違いとはなにか知りたい方
墓碑の文字について知りたい方
墓石に名号や題目や経文を刻む方法や注意点を知りたい方
お墓を建てる機会は人生にそう多くはないので、お墓の種類や言葉を学ぶ機会もまた多くはないでしょう。ここでは、いずれもお墓の種類を表す3つの言葉、「墓標」「墓石」「墓碑」の違いを解説します。
墓標は、一般的な辞書によれば、下記のように定義されることがほとんどです。
1.「墓石の裏などに、故人の俗名や没年、その墓を建てた人について書いた文」
2.「埋葬する場に建てる、目印の石や木の柱のこと」
一般的には2番目の意味で使われることが多いでしょう。つまり墓標とは、石材などお墓の材質に関わらず、単に故人を埋葬したことを周知するための目印を指します。広い意味で考えると、墓石も故人を埋葬した目印になりえます。そのため、墓石も墓標の一種と考えることが可能です。
そのほかにも「木標」という、骨壺を埋めた土の上に戒名などを書いた木製のお墓を建てるものがあります。現在でも木標は使われていて、墓石を正式に建てるまでの仮のお墓の役割を果たすことを目的としています。
墓石とは、石材を使って建てたお墓のことです。現在では、ほぼすべてのお墓が石材を使っているので、お墓の意味で使われることが多々あります。また、その周辺の土台(石板)や、石塔・灯篭・柵などの石でできた構造物を含めたすべてをまとめて墓石と呼ぶのが通例です。
平安時代では、墓石は貴族階級のお墓にだけ使用されていました。しかし、江戸時代以降は庶民にも普及するようになりました。さらに明治時代以降に家制度が確立されたことで、各家単位で墓石を引き継いでいくようになりました。
墓石に使われる石材は、供給量が年々減っているため材料代が高騰しており、現在は輸入石材の使用率が増えてきています。
墓碑とは、故人の名前や戒名、経歴や思い入れのあるメッセージなどを刻んだ墓標のことです。そこで、私たちがイメージする墓碑とは、和型墓石のお墓の中心にある「○○家之墓」と彫られた石ではないでしょうか。そのため墓石と墓碑をほぼ同義の言葉だと考えている人が多くいます。
しかし、実際の墓碑の捉え方は若干異なります。たとえば、歴史上の偉人のお墓で墓碑の部分が非常に大きくなっている場合は、お墓そのものが墓碑にあたります。お寺などにある偉人のお墓では、お墓の真ん中にメッセージが大きく彫られている墓碑を見かけることがある方も多いでしょう。
墓碑の存在が歴史上に初めて登場するのは、書物「藤氏家伝」です。藤原鎌足のお墓に使われていたことが伺えます。そのほかにも、歴史上の偉人のお墓に墓碑が使われていることは多いでしょう。
墓誌とは、埋葬されている故人の氏名や、没年月日が刻まれたものです。墓誌はそのお墓の記録簿のような役割を果たしているものを指します。
墓碑を作るときには、基本的な知識が必須です。文字を刻む位置やフォント、彫り方などにそれぞれ種類があります。
墓碑に文字を刻む場所は、大きく分けて正面部分と側面部分の2種類です。正面部分によく刻まれているのは「家名」、右の側面部によく刻まれているのは「埋葬者の戒名」「没年月日」「享年」などです。
それ以外にも台石の左側の面には、「建立年月日」「建立者名」(竿石左側や裏に刻む場合もあり)を彫ります。
竿石の正面には主に「○○家之墓」という家名が刻まれることがほとんどですが、特にきまりがあるわけではありません。たとえば個人の墓や夫婦のお墓では、故人の戒名・俗名を刻むことが多々あります。仏教やキリスト教などの信者の方は、宗教ごとの名号や題目、経文などの言葉を刻むケースもあるようです。ほかにも、宗教にとらわれずに、好きな文章や言葉を自由に入れたユニークなお墓も増えています。
現在人気があるのは、名を彫った竿石です。家名の彫り方は「○○家之墓」とする場合が多いようですが、そのほかにもいくつか種類があります。下記はその一例です。
・「○○家先祖代々」
・「○○家先祖代々之墓」
・「○○家」
これ以外にも梵字といわれる仏を表す文字を入れる場合や、家紋を入れる場合もあります。梵字は同じ仏教でも宗派によって異なるので、どんな文字をどのように入れればよいか、お寺や専門家などに相談してみましょう。
個人や夫婦1組だけが使う墓石には、個人の戒名や俗名を墓碑に刻む場合もあります。戒名を刻む場合には、宗派ごとの梵字を戒名の上部にあわせて刻むことが一般的です。夫婦の名前を刻む場合は、右側に夫の名前、左側に妻の名前を彫ります。
仏教式のお墓の伝統的な形として、信仰する宗教の宗派の名号や、題目・経文などを刻むこともあります。たとえば以下のようなものです。
【宗教・宗派】 | 【題目・経文】 |
浄土宗、浄土真宗など | 南無阿弥陀仏 |
臨済宗、曹洞宗など | 南無釋迦牟尼佛 |
日蓮宗など | 南無妙法蓮華経 |
浄土宗、浄土真宗など | 俱会一処 |
どのような名号や題目・経文にするかは、お寺や専門家に相談をして、間違いがないように選択しましょう。名号や題目・経文を墓石の正面に刻む場合は、家名は上台石や水鉢の正面に刻みます。
墓石の形が和型・洋型・デザイン型などさまざまな種類が増えてきたように、墓石に彫る言葉もオリジナルな言葉が多く見られるようなりました。「やすらぎ」「ありがとう」「敬愛」「心」「愛」などの言葉が使われているようです。
ただし、故人をイメージさせる文字や言葉を刻むときには、注意したいことがあります。それは、お墓を代々継承していくときにあまりにもユニークな言葉を刻んでしまうと、後世に違和感を与えてしまう可能性があることです。
これから承継していく方や、お墓参りに来る親類などに違和感を与えないように、慎重に選んだ方がよいでしょう。また、寺院や墓地によっては、宗教的に制限される文字がある場合もあるので、はじめに確認が必要です。
和型のお墓では、故人の戒名・没年月日・俗名・享年を竿石の側面や裏面に刻みます。細かい場所や刻む順番は、地域や宗派によって違いがありますが、多くの場合は正面の右側面の右から順番に刻むことがほとんどです。
お墓のスペースが十分に広い場合は、墓誌を立てて刻むこともできます。ただし、俗名は生前に使用された名前だから煩悩に満ちているため刻まない、という考えも存在します。
個人や夫婦のお墓では、戒名を竿石の正面に刻んだ場合も、没年月日などほかの記載内容は竿石の側面や裏面に刻むことがほとんどです。そのほかにも、墓石には上台石の左側面に建立者名と建立年月日を刻むとよいとされています。場所が狭く困難な場合は、代わりに竿石の左側面を使用可能です。
建立年月日の刻み方は「○○年○月吉日」や、埋葬者の回忌、法要などの年月日を刻みます。和型のお墓では、年は西暦ではなく和暦を使用して、洋型のお墓では西暦が使用されるケースが通例です。
墓石に刻む文字のフォントには、特にきまりはありません。一般的によく使用されるのは、以下の3つのフォントです。
・楷書体
・行書体
・隷書体
そのほかにも、自分で書いた文字を使ったり、書道家に依頼して書いてもらった文字を刻んだりすることもできます。
墓碑の基礎知識について解説しましたが、次は具体的なお墓を建てる手順を解説します。
お墓を建てるには、まず場所を選択することからです。建てたきりでお墓参りに行けないところにあっては不便でしかありません。家族や親戚とよく相談をして、交通の便がよい場所を選びましょう。
墓地は大きく分けると以下の3タイプがあります。
・公営墓地
・民営墓地
・寺院墓地
墓地によって永代使用料や利用規約も異なるので、よく注意しましょう。
石材店は、墓石の販売や加工をするだけでなく、独自に墓地を開発・運営しているところもあります。墓地探しの前に、石材店からあたって墓地を紹介してもらうのもひとつの手段でしょう。墓石の材質や形などが決まれば、そのほかの付属品を一緒に注文します。その後、墓碑に刻む文字や内容を決めていきます。
区画の基礎工事や外柵工事、石材の加工などを依頼します。工期は通常1か月~2か月ほどです。
工事が完了したら、確認を行って工事費の支払いを行います。石材店に注文したときに工事費の一部を支払う場合もあるので、事前に確認しましょう。完成後に僧侶などの祭祀者を招いて、墓石に魂を迎え入れる儀式を行います。
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この記事では、お墓の専門用語として間違いやすい「墓碑」「墓石」「墓標」の違いや、基本知識を紹介しました。それぞれの違いを踏まえた上で、大切なお墓を作りましょう。刻む文字には個性を出すことができますが、お墓は後世に残るものであることを念頭に置いてデザインを決めることをおすすめします。
ここで紹介したこと以外でもお墓や葬儀に関して何か疑問や不安がある場合は、小さなお葬式にご相談ください。専門のスタッフが丁寧に対応します。
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