墓碑銘は、墓石(墓碑)に彫られた文字や短文のことです。お墓を購入するときに、「墓石にはどんな文字を入れましょうか」と急に聞かれたら、戸惑ってしまうことでしょう。墓石に刻む文字というと、しきたりや決まりがありそうですが、どのような文字を選んだらよいのでしょうか。
この記事では、墓碑銘の意味やよく使われる言葉、宗教による違い、費用の目安について詳しく解説します。
<この記事の要点>
・墓碑銘とは、墓石に刻まれた故人を表す文言のことを指す
・墓碑銘は宗派ごとに傾向があり、浄土真宗では「南無阿弥陀仏」「倶会一処」と入れる
・墓石に文字を入れる費用は2万円~5万円が目安
こんな人におすすめ
墓碑銘とは何かを知りたい方
宗派による墓碑銘に刻む文字の傾向を知りたい方
墓碑銘の文字入れにかかる費用を知りたい方
墓碑銘とは、「墓石に刻まれた故人を表す文言のこと」です。墓碑銘を見ることでお墓にどのような方が眠っているかがわかるため、お墓の顔のような重要な役割を持ちます。墓碑銘の文字の彫刻によって、お墓の第一印象が決まります。
まずは、墓碑銘の語源と種類を把握しておきましょう。
墓碑銘は英語で「Epitaph(エピタフ)」といいます。「墓の上に」という意味のギリシャ語「ἐπιτάφιος(エピタピオス)」が語源です。亡くなった人の生前の功績をたたえ、墓石に彫られた文字のことで、詩の形式をとっているのが特徴です。生前に自分のエピタフを詠んだ優れた詩人もいます。
墓碑銘のルーツは古代エジプト時代から始まり、古代ギリシャ時代から一般に広まっていったようです。
日本のお墓では、家族の墓であることを示す文字が一般的でした。しかし現代では、子どもがいても必ずしもお墓を継いでもらえないこともあるため、これらの文字は、使い勝手がよくないと認識されてきています。
1人用のお墓や夫婦墓は、継承墓ではないため、個人名や戒名を入れる例が多く見られます。夫婦墓の場合、向かって右側に夫の名前、左側に妻の名前を刻むのが一般的です。例えば夫が亡くなり、妻が生きているときには妻の名前に朱を入れます。
最近よく見られるのは「ありがとう」「感謝」「心」といった言葉を入れた墓碑です。お気に入りの文字を刻みたい方に人気があります。以下は墓碑銘で人気のある言葉です。
(例)和、心、絆、夢、感謝、歩、縁、慈愛、やすらかに、ありがとう、一期一会 など
「墓」という字が入っているお墓関連の似たような言葉は数多くあります。それぞれ少しずつ違いがあるので、ここでは各言葉の違いを理解しておきましょう。
墓碑と墓石は、ほぼ同じ意味ととらえて問題ないようです。厳密にいうと、墓碑は文字が刻まれた石で墓石の一番上に位置しています。「墓石」という言葉からも「△△家之墓」と書かれた石をイメージすると思いますので、墓碑も墓石もほとんど同じと考えてよいでしょう。
墓標には大きく3つの意味があるとされています。
①お墓の構造物
②木標
③故人の情報が刻まれた墓誌
たとえば、「②木標」の例で解説すると、お墓を建てるまでの目印になるものを指します。細長い角材を立て、そのスペースが購入済みの墓地であることを示します。角材には、故人の戒名と命日が記されていることが多いです。
墓碑・墓石・墓標という言葉には馴染みがあっても、墓誌という言葉は普段あまり聞くことがないかもしれません。墓誌とは、墓石の隣に設置される、故人の名前と亡くなられた日付を刻んだ石碑のことです。2人以上の方を祀る場合には、亡くなられた順に名前と没年月日を入れます。墓碑とは異なり、参拝の対象にはなりません。
基本的に「この字は必ず入れるべき」といった厳格なきまりやルールはありませんが、宗派による傾向はあります。ここでは宗派ごとの墓碑銘について確認しておきましょう。
「南無阿弥陀佛(なむあみだぶつ)」は、浄土真宗では一番大事な言葉です。「阿弥陀仏に帰依する」という意味があります。
「倶会一処(くえいっしょ)」とは、阿弥陀経に出てくる言葉ですが、「最後まで運命をともにする」という意味で、「一蓮托生」と同じ意味です。「亡くなった方はみなさん極楽浄土で会い、生まれる」という意味になります。
戒名ではなく法名を用いるため、法名碑とし、「菩提」「供養」「霊位」といった文字は入れません。
「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」は、「空海に帰依する」という意味のお題目です。このほかに、頭に大日如来を表す梵字「ア」を入れ、「○○家先祖代々」と刻むこともあります。梵字(ぼんじ)とは、仏教の経典に使われたサンスクリット文字のことです。
本尊の阿弥陀如来に帰依するという意味の「南無阿弥陀佛」と入れたり、真言宗と同じく梵字と「○○家先祖代々」と入れたりするのが一般的です。阿弥陀如来を表す「キリーク」という文字を入れることもあります。
日蓮宗では、「法華経に帰依する」という意味を表す「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」を入れます。ひげ文字という独特な書体を使うのが一般的です。日蓮宗では、法号を用いることと、女性は「妙」の字をつけるのが特徴です。
神道では、お墓に「○○家之奥都(津)城」と刻みます。神道のお墓は、「奥津城(おくつき)」という呼び方です。これは「神様の眠る場所」という意味を表しますが、墓石にも「奥津城」を入れる場合が多いでしょう。
神道では、戒名はなく、諡(おくりな)を使うのが特徴です。名前の後ろに、男性は大人命(うしのみこと)、女性は刀自命(とじのみこと)と入れます。
墓石に刻む文字の書体にきまりはなく、楷書・行書・草書・隷書(れいしょ)といったさまざまな書体が用いられます。一般的には楷書体がわかりやすいことから好まれているようです。実際に墓地にあるいろいろなお墓の彫刻や書体を参考にするとよいでしょう。
家紋は、冠婚葬祭を始めとする格式を重んじるシーンでは大切なしるしです。墓地には家紋が入っているお墓と入っていないお墓がありますが、宗教上の理由でお墓に家紋を彫っているわけではないため、家紋が彫っていないと故人に失礼ということはありません。家紋を彫るかどうかは、施主が自由に決めてよいとされています。
家紋には菱形や銀杏形といったさまざまな形があります。まずは自家の家紋の名称を知ることが必要です。
墓石への文字彫刻で気になるのが費用ではないでしょうか。ここではおおよその目安を紹介します。
墓石に文字を入れる費用は、地域や寺院、依頼する石材店、文字数や文字の大きさによっても違ってきますが、2万円~5万円程度が目安と考えておくとよいでしょう。
なお、この費用は人数ごとにかかる費用のため、2名分をまとめて依頼する場合は、約2倍の値段がかかります。また、文字だけでなく、絵などを入れる場合は、10万円近くまでかかる場合があるので注意しましょう。
文字入れは現地で行う場合と、業者が墓石を持ち帰って行う場合があります。持ち帰りの場合は、運搬費が追加で必要となるので、運搬費を加えた費用を念頭において考えましょう。
石材店の数が少ない地域では競争相手がいないことから、業者の言い値になることがあるので注意が必要です。トラブルを避けるためにも、依頼する際には事前に見積もりを出してもらうことをおすすめします。
墓石の文字入れはいつ頃までに依頼したらよいのでしょうか。一般的には、四十九日法要の納骨式までがふさわしいといわれています。お墓に刻む文字は、お墓の中に埋葬された遺骨がだれのものかを示すために用意するものだからです。
納骨する際には、埋葬許可証や供養のために立てる塔婆を用意しますが、これらの事前準備としてお墓に入れる文字を決めて申し込んでおきましょう。お墓への文字入れは通常1か月近くかかるので、余裕を持って依頼することをおすすめします。
なお、必ず納骨式までに依頼しなければならないというきまりはありません。納骨式に間に合わなくても、気持ちが落ち着いてからで問題ありません。葬儀のあとは、何かと対応に追われます。なにより大切な家族が亡くなった悲しみで辛い日々がつづき、気持ちが落ち着くまでには時間がかかるでしょう。
実際、納骨の日までに文字入れの手配をできなかったという人は少なくありません。中には遺骨をお墓の中に入れることに躊躇している方もいるでしょう。また、墓碑銘と同様に、納骨についてもいつまでにしなくてはならないというきまりはありません。
墓石に文字を入れる際には、書体や色、彫刻の方法も打ち合わせをして決めなければなりません。石材業者によって書体や彫刻の方法は違うので、あらかじめリストをもらっておくとよいでしょう。彫刻部分の色は墓石との相性も考えて選びますが、地域によっては慣習もあるので、石材業者の方にアドバイスをもらうことをおすすめします。
文字の彫刻を依頼する上で大切なのが、校正です。墓石に刻んだ文字は、間違いに気づいても基本的にやり直しができません。そのため、全て業者に任せるのではなく、依頼者として責任を持って校正しましょう。依頼する際には、戒名や位牌を確認し、原稿に間違いがないか数人でチェックすると安心です。
また、墓石に入れる文字は基本的に自由ですが、好きな曲の歌詞や詩の一節を勝手に入れると著作権の侵害になる場合があるので気をつけましょう。著作権の管理団体に事前に確認をとると安心です。故人のために彫刻してあげたい気持ちはわかりますが、著作権違反にならないように慎重に行動しましょう。
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墓碑銘は、「墓石に刻まれた故人を表す文言のこと」です。故人の名前や亡くなった日・好きだった言葉・経歴といった、故人がどういう方であったかを示す文字を刻みます。
墓石に入れる文字については、厳格なきまりはありませんが、宗教により使われる文字に一定の傾向はあります。そのため、事前に確認するとともに業者へも相談することが大切です。
お墓は一度作ると簡単にやり直しできるものではないため、墓石に刻む墓碑銘についても家族でよく相談して決めるようにしましょう。
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四十九日法要は、故人が亡くなってから48日目に執り行います。ホゥ。