精霊流しはお盆の送り火の一種で、長崎県など一部地域で行われている風習です。この記事では精霊流しや使われる船(精霊船)の作り方、お盆の過ごし方について解説します。お盆は故人や遺族にとって大切な行事なので、意味や過ごし方などもしっかり把握しておきましょう。
<この記事の要点>
・地域にもよるが、精霊流しはお盆の最終日付近である8月15日頃に行われることが多い
・精霊船は、供養する人数によって「個人船」と「もやい船」の2種類に分けられる
・精霊船は、竹、合板、藁などを合わせて造られることが一般的
こんな人におすすめ
精霊流しについて知りたい方
精霊流しに用いる船(精霊船)について知りたい方
お盆の種類や過ごし方について知りたい方
精霊流し(しょうろうながし)とは、主に長崎県や佐賀県で実施されているお盆の行事です。故人の精霊をあの世へ送り出すために、藁や木で作った船にお供え物を乗せて川や海に流します。
「無事に極楽浄土までたどり着けるように」という願いを込めて、故人にとって初めてのお盆である「初盆(はつぼん・ういぼん)」の終わりに行われます。
精霊流しの起源は諸説ありますが、中国の「彩舟流(さいしゅうながし)」が日本に伝わったという説が有力とされています。
彩舟流しは江戸時代に、中国から日本に訪れた貿易人や通訳者が道中で逝去したときに実施されたといわれています。彩舟流しには小流しと大流しの二種類があり、小流しは毎年行われていました。長さ3.6メートルほどの船を作り荷物や人形を乗せ、唐寺の僧侶を招いて法要をしたあとに唐人屋敷前の海岸で焼却したとされています。一方で、大流しは20年~40年に一度行われます。逝去した方が100人を超えると、本物の船さながらの唐舟をつくり盛大に焼却したそうです。
地域によっては、小さい船に提灯を置いて流したり、藁で編んだ船にお供え物を包んで流したりすることもありました。作法に地域差はあるものの、どの彩舟流も「逝去した方々への供養」を目的としています。
長崎県の精霊流しは、毎年8月15日に実施されます。精霊流しや京都府の送り火など、精霊をあの世へ送る伝統行事はお盆の最終日付近に行われることが多いでしょう。
精霊流しが実施されるお盆について詳しく知らない方も多いでしょう。お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらんぼんえ)」といい、逝去した方々がこの期間に自宅へ帰ってくるとされています。ここでは、お盆の種類と過ごし方について紹介します。
一口に「お盆」といっても、種類によって意味合いが異なります。それぞれ順番に解説します。
・新盆(初盆)
新盆(しんぼん・あらぼん・にいぼん)とは、命日から49日が経ち初めて訪れるお盆のことで「初盆(はつぼん・ういぼん)」と呼ばれることもあります。
49日以内にお盆が訪れる場合は、翌年のお盆を新盆とするのが一般的です。お盆飾りも通常のお盆とは異なるものを使用し、盛大に実施する地域もあります。
東京を中心とした一部の地域では、7月に行われるお盆を「新暦(しんれき)」「7月盆」と呼ぶこともあります。
・旧盆
国内のほとんどの地域で8月に実施されるお盆は「旧盆(きゅうぼん)」と呼ばれています。期間は8月13日~8月16日で、お盆休みも旧盆に合わせて設定されることが多いでしょう。長崎県や佐賀県では、この旧盆に精霊流しを行います。
・迎え盆、送り盆
お盆の初日のことを「迎え盆」と呼び、故人の霊をお迎えするためにお供え物やお盆飾りを安置する盆棚(ぼんだな)を準備します。
最終日は「送り盆」と呼ばれ、送り火を焚いて故人をお見送りします。
毎年訪れるお盆ですが、具体的にどのように過ごすべきか疑問をお持ちの方もいるかもしれません。地域や宗派によってお盆の過ごし方は異なりますが、8月13日に逝去した方を迎え入れ、8月16日に送り出す点はどの地域にも共通しています。
お盆期間中は「仏膳(ぶつぜん)」と呼ばれる精進料理を、専用の食器に入れて仏壇にお供えします。
精霊流しをはじめ、お墓参りや盆踊りは供養の一種とされています。住んでいる地域にどのような風習が根づいているのかを確認しておくと、いざというときに役に立つでしょう。
精霊流しでは、故人を弔うために遺族が「精霊船(しょうりょうぶね・しょうろぶね)」と呼ばれる船を造ります。その船をひきながら街中を練り歩くことで、故人を極楽浄土に送り出せるといわれています。
精霊船には2種類あり、少人数を供養するための船を「個人船」、町内など組織単位で大人数を供養するための船を「もやい船」といいます。
船は複数人でひき、爆竹の音や大きな掛け声で溢れかえる街中を練り歩きます。
地域によっては、船をひかずに担ぐところもあります。一昔前までは精霊船を実際に海に流していましたが、環境に配慮して海ではなく街を練り歩くようになりました。
船は「流し場」と呼ばれる海の近くの目的地まで運ばれ、担ぎ手と呼ばれる方々によって解体されます。
精霊船は数十センチメートルの小さなものから、10メートル近い大きなものまで幅広く存在します。ただし、大きさには制限があり、全長10メートル、胴長7メートル、幅2.5メートル、高さ3.5メートルを超える船は造ってはいけません。高さは、担いだときの高さで接地している状態での高さではないので注意が必要です。
船の形から大きくずれていなければ、精霊船はどのような形状でも問題ないとされています。
菰巻き(こもまき)の船など地域独自の伝統的な船の形もあるので、形に悩んでいる方は、地域の風習を調べてみてもよいでしょう。
また、船の先端には「みよし」と呼ばれる船首が設けられます。ラッパのような形状をしていて、もともとは、水押し(みおし)と呼ばれていました。みよしは個人では造ることができないので、専門職人が製造するのが一般的です。
個人船ともやい船の区別をつけるために、個人船のみよしには家紋が記され、もやい船のみよしには町名などが記載されます。
精霊船は、竹、合板、藁などを合わせて造られることが一般的です。実際に海に浮かべることはないので、浮力や耐水性が不十分でも船の形状を保っていれば問題ありません。
ただし、経験や知識がないと精霊船を一から造ることは難しいでしょう。固定が不十分だと、船をひいている途中で壊れて事故につながる恐れがあります。必ずしも手作りである必要はないので、無理はしないようにしましょう。
精霊船は、提灯、花飾りなどを乗せて華やかに飾りつけます。独自性を出すために、帆を写真にしたり、提灯に家紋をあしらったりする方もいます。
また、極楽浄土が真西にあることから、帆には「西方丸(さいほうまる)」と書くのが一般的です。逝去した方が好んでいたものをお供え物として乗せる方も少なくありません。
精霊船を造ることに自信がない方や造船する時間がないという方は、組み立てるだけで造れる精霊船を購入することをおすすめします。
価格は1メートル未満のサイズで約2万円、2メートルを超える大きなサイズで約9万円、車輪が設けられているもので約25万円です。石材店やインターネットショップなどで購入できます。
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精霊流しは、お盆の最終日に故人が無事に極楽浄土へと到着できるように願いを込めて行われます。精霊船と呼ばれる船に提灯や花飾り、故人が好んでいたお供え物を乗せて、街中をひいて回ります。一昔前までは実際に船を海に流していましたが、環境に配慮して街中で行われるようになりました。
精霊流しに用いる精霊船は一から造ることもできますが、知識や経験がないと途中で壊れて事故につながる恐れもあります。造船に自信のない方は、組み立てるだけで簡単に造船できる商品を購入するとよいでしょう。
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