仏壇や祭壇で、戒名を目にしたことがあるでしょう。死後の名前という認識のみで、詳しい意味を知らない方が多いかもしれません。ここでは、戒名の特徴や意味を解説します。
自分で考えたいという方向けに、構成や作成の流れについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・戒名は故人の人柄をもとにして考えられる
・基本の戒名は「院号」「道号」「戒名」「位号」により構成されている
・自分で戒名をつける際には、トラブルを防ぐために先に菩提寺に相談しておく
こんな人におすすめ
戒名の特徴について知りたい方
宗派による戒名のつけ方について知りたい方
自分で戒名をつけたいと考えている方
戒名は、仏弟子(ぶつでし)になった証として故人につける名前です。名付け方には、一定のルールがあります。ここでは名付け方に、故人の人柄や生前の功績、性別・年齢が関わるのか紐解いていきます。
戒名は、故人の人柄をもとにして考えられます。例えば美容のお仕事をしていた方なら「清心」、真面目で誠実な性格だった方なら「誠岳」、優しく穏やかな方だったなら「優雲」と与える場合があるでしょう。
他にも厳格な方に「厳」、明るく朗らかな方に「朗」を含める場合もあり、故人に合わせて考えます。生前の人柄を表わす戒名にすると、故人を身近に感じられるかもしれません。
戒名は生前の社会的な功績や、寺院・宗門への貢献にも加味して与えられます。功績や貢献が認められた場合、「院号」や「院殿号」を戒名に授けるのが特徴です。
下記で院号・院殿号の具体例を紹介します。
松下 幸之助さんの戒名 (パナソニック創業者) | 光雲院釋眞幸 (院号は光雲院) |
黒澤 明さんの戒名 (日本映画を代表する監督) | 映明院殿紘國慈愛大居士 (院号は院殿) |
戒名のつけ方は、性別や年齢によっても異なります。
【性別や年齢】 | 【戒名】 |
4歳~5歳以下の男児 | 「幼児」「孩児」 |
4歳~5歳以下の女児 | 「幼女」「孩女」 |
5歳~15歳の男児 | 「童子」「禅童子」 |
5歳~15歳の女児 | 「童女」「禅童女」 |
成人男性 | 「信士」「居士」 |
成人女性 | 「信女」「大姉」 |
成人以上は、地位によっても違いが見られます。人徳に優れていた、信仰心が強かった、社会への貢献が認められていた場合、「居士」「大姉」を用いるケースもあると覚えておきましょう。
社会への貢献を認められにくい男児や女児は、成人と異なる位号がつきます。
基本の戒名は「院号」「道号」「戒名」「位号」により構成されており、順番も決まっています。それぞれ文字の決め方にもルールがあるため、確認しておきましょう。
院号は戒名の頭に「〇〇院」と、つけます。元来、天皇や貴族、将軍家の戒名として用いられていました。現在では、社会貢献や仏教に深く帰依したと認められた故人に授けます。
野口英雄の戒名は「大仁院殿済民英世居士」で、「院」より位の高い「院殿」が用いられました。ただし、すべての人に「院号」がつくわけではありません。
もともと中国で用いられていた道号は、悟りを開いた信徒につける尊敬の念を込めた呼称でした。日本においては、生前の趣味や人柄、性格、仕事に基づいて与えられます。
道号によく選ばれる文字は、人柄を表わす「明」「才」「麗」や、仕事を表わす「賢」「誉」が挙げられるでしょう。例外として、水子や幼児、未成年者には、道号を授けません。
広義の戒名は「院号」「道号」「戒名」「位号」で構成されていることを差しますが、狭義だと道号の次につける2文字になります。
狭義の戒名には多くの場合、俗名から1文字、仏様や経典から1文字とって組み合わせます。もしくは先祖代々受け継いでいる文字や、尊敬していた師の名前から1字とる場合もあるようです。
位号は故人のランクを示し、戒名の後ろにつけます。成人の場合は性別や年齢、社会的な功績、信仰心の篤さ、社会的地位によって異なるのが通例です。
昔、位号は出家者に対して生前に与えられていましたが、のちに出家の有無に関わらず「極楽浄土へ行けますように」とつけるようになったようです。
位号の高い順は、下記のとおりです。
・男性:「信士」<「居士」<「大居士」
・女性:「信女」<「大姉」<「清大姉」
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戒名はいつ誰がつけるの?必要性や宗派による違い、お布施の相場も解説
浄土宗・浄土真宗・日蓮宗は、独自のルールでつけます。ここでは、各宗派における戒名の特徴を解説します。
浄土宗の戒名には、「誉号」がつきます。院号の次に「誉」もしくは、旧字の「譽」を用いるのが一般的です。ただし宗門によっては、誉号が「空」「良」「阿」に変わります。
<浄土宗の戒名例>
【対象】 | 【戒名例】 |
男性 | 「〇院〇誉〇〇居士」 |
女性 | 「〇院〇誉〇〇大姉」 |
空号の場合 | 「〇空〇〇大姉」 |
男性の旧字 | 「〇譽◯◯禅定門」 |
女性の旧字 | 「〇譽◯◯禅定尼」 |
浄土真宗の場合、戒名ではなく「法名」を授けます。法名の構成は「院号」「釋号」「法名」の3つで、道号や位号はありません。また女性に対して、釋号ではなく「釋尼」を用いる場合もあります。
<浄土宗の法名例>
【対象】 | 【法名例】 |
男性 | 「◯院釋◯◯信士」 | 「◯院釋◯◯居士」 |
女性 | 「◯院釋尼◯大姉」 | 「◯院釋尼◯◯信女」 |
日蓮宗は、戒名を「法号」と呼びます。日号を含む構成で、「院号」「道号」「日号」「位号」の順番です。道号には男性の場合「法」、女性の場合「妙」を用いる傾向にあります。
<日蓮宗の法号例>
【対象】 | 【法名例】 |
男性 | 「〇院法〇日〇〇居士」 | 「〇院法〇日〇〇信士」 |
女性 | 「〇院妙〇日〇〇大姉」 | 「〇院妙〇日〇〇信女」 |
お坊さんに依頼して戒名をつけてもらう際、経典から故人に適した漢字を用いることになるでしょう。ただし戒名には、不適切な漢字があります。例えば著名人や皇室の名前は、戒名に不向きです。また不吉や不穏を連想する言葉、熟語、動物の名前は避けるようにします。
<立派過ぎて不適切な漢字の一例>
・年号(昭和、平成)
・祖師、僧侶の名前(弘法、天台、道元、日蓮)
<戒名に使用できない漢字の一例>
・去
・亡
・盲
・痒
・毒
・貪欲
・蛇
・蛙
<響きが好ましくない漢字の一例>
・阿呆(あほう)
・円満(えんま)
一般的にはお坊さんに依頼する戒名ですが、自分で決めることも可能です。自分で決めるとイメージ通りの戒名になり、費用もかかりません。
ただし、つける際のルールや、注意点を知っておく必要があります。俗世との縁を切って仏門に入る証なので、不適切な漢字を用いてトラブルにならないように注意しましょう。
「思い通りの戒名にしたい」という方がいるかもしれません。自分で戒名をつける方に、決め方の流れを解説します。
菩提寺がある場合は、先に相談や申告をしておきましょう。もし無許可で独自の戒名をつけてしまうと、菩提寺の意向を無視している姿勢にとらえられるかもしれません。トラブルに発展した場合、納骨を拒否される可能性も考えられます。
まずは相談する形で、菩提寺の理解を得られるように努めましょう。
もともと院号は、天皇や格式の高い方に用いられていました。元天皇の院号は「後鳥羽院」や「後白河院」が挙げられます。
自ら院号をつける場合、死後に住む場所をイメージして架空の寺名や宮殿名をつけるとよいでしょう。
道号は、故人の人柄や個性に沿って考えます。戒名を見たときに、「こんな方だったな」と故人を偲ぶのに適した道号が望ましいでしょう。
<性格>
優しい・・・「優雲」
花が好き・・・「妙華」
<仕事>
専門職・・・「精覚」(料理や職人といった専門職を貫いてきた)
成績優秀・・・「賢徳」(賢く成績が抜群)
専業主婦・・・「温室」(家族を温かく迎え自宅を守ってきた)
戒名を考える際、故人の名前から一文字使うケースがあります。例えば、歌謡界で輝いた歌姫「美空ひばり」さんの場合は、「美空」「美」「空」から取って彼女を象徴する戒名になるでしょう。
また「さくら」という名前の方は、漢字にして「桜」を含める方法もあります。
年齢や性別に応じて、位号を決定します。上記の項目にある「美空ひばり」さんの戒名は「慈唱院美空日和清大師」です。位号の「大師」は、位の高い女性に用いられるのが特徴です。
誤った位号をつけないように、この記事の「性別や年齢も関わる」の項目をぜひ参考にしてください。
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戒名は人柄や生前の名前・功績だけでなく、性別や年齢に応じて決定します。「院号」・「道号」・「戒名」・「位号」の特徴を踏まえると、戒名に込められた意味を理解しやすいでしょう。戒名を自作するのも可能ですが、使用不可な漢字には注意しましょう。
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