浄土真宗本願寺派は、鎌倉時代に親鸞が開いた浄土真宗の1派です。どのような教えを持つ宗派なのか理解しておけば、安心して葬儀に参列できるでしょう。この記事では、浄土真宗本願寺派も歴史や教義や思想、葬儀の作法について詳しく解説します。
<この記事の要点>
・京都の西本願寺を本山とし「阿弥陀仏に帰依すれば極楽に往生できる」という教えを持っている
・仏壇は極楽浄土を表現する金色で、西本願寺にならって一重屋根で柱も金箔張りが好まれている
・故人は極楽浄土に往生して仏となり、再会できるとされているため「告別式」の表現は使わない
こんな人におすすめ
浄土真宗の宗派について知りたい方
浄土真宗の教義を知りたい方
浄土真宗の葬儀に参列予定の方
鎌倉時代に親鸞が開いた浄土真宗は、京都の龍谷山本願寺(西本願寺)を本山とする「浄土真宗本願寺派」のほかに、京都の東本願寺を本山とする「真宗大谷派」があります。
浄土真宗本願寺派は「阿弥陀仏に帰依すれば極楽に往生できる」という教えを持っています。念仏を唱えるのは、阿弥陀仏への感謝の心を示すためです。
ここからは、浄土真宗本願寺派の歴史と教義について紹介します。教えと仏像・掛け軸、位牌、仏壇との関係や経典についても解説します。
浄土真宗を開いた親鸞の遺骨を祀っていたのが本願寺です。浄土真宗は室町時代に広まりましたが、16世紀末には織田信長と争うことになります。
このときに意見が2派に分かれたことを契機として、徳川家康の時代に継承をめぐって、龍谷山本願寺(西本願寺)を本山とする浄土真宗本願寺派と、東本願寺を本山とする真宗大谷派に分裂しました。
御本尊が阿弥陀如来であるため、仏像や掛け軸の中心に阿弥陀如来を祀ります。一般的に脇侍(きょうじ・わきじ)として右側に親鸞聖人、左側に蓮如聖人を安置します。
親鸞聖人は浄土真宗の開祖であり、蓮如聖人は本願寺を再興した「中興の祖」と呼ばれる僧侶です。
浄土真宗において、亡くなった方は阿弥陀如来の救いによってすぐに仏になり浄土に往生すると考えられているため、魂の拠り所となる位牌は必要ないとされています。
ただし、位牌のかわりとしても用いられる俗名や法名(戒名)、没年月日などを記載する「過去帳」、もしくは「法名軸」と呼ばれる帳面があります。
浄土真宗の仏壇は、極楽浄土を表現する金色の仏壇が用いられることが一般的です。
浄土真宗本願寺派では、西本願寺にならって一重屋根で柱も金箔張りの仏壇が好まれます。一方で真宗大谷派では、内部は金箔張りであっても、東本願寺にならって二重屋根で黒漆塗りの柱の仏壇が好まれます。
主な経典は、「浄土三部経」といわれる「無量寿経(むりょうじゅきょう)」「観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)」「阿弥陀経(あみだきょう)」です。
また、親鸞の主著である「教行信証(きょうぎょうしんしょう)」や「正信偈(しょうしんげ)」などもよく用いられます。
浄土真宗本願寺派は、どのような思想を持っているのでしょうか。ここからは「他力本願」「往生」「称名念仏」「悪人正機」という4つの思想について解説します。また、報恩講や帰敬式という特徴的な儀式についても紹介します。
「他力本願」とは、阿弥陀仏の救い、慈悲のはたらきに委ねることです。決して他人に任せたり依存したりすることではなく、すべての命あるものを救わずにはいられない仏の願いのはたらきが「他力本願」という考え方であることを理解しましょう。
「往生」とは、阿弥陀仏の救いを信じれば浄土に往生して仏になることが定まっているという考え方です。如来のはたらきにより信心を得て念仏する人は今この人生において、「必ず仏に成るべき身」(現生正定聚 げんしょうしょうじょうじゅ)となり、命終わったときには浄土に生まれて必ずさとりに至る(往生即成仏 おうじょうそくじょうぶつ)と示されています。
阿弥陀仏の救いに委ねるという他力本願の考えと密接に関わった思想であるといえます。
「南無阿弥陀仏」と唱えるのが称名念仏(しょうみょうねんぶつ)です。「南無阿弥陀仏」の意味は、「阿弥陀仏に帰依します」ということです。ただし、称名念仏によって浄土に往生できるのではなく、あくまでも念仏を唱えるのは阿弥陀仏の救いに感謝するためであるというのが、浄土真宗の教えです。
「悪人正機」という親鸞の思想は、「仏に頼る気持ちが薄い善人でさえ浄土に往生できるのだから、自力では救われず仏の救済に頼るほかないと考えている悪人が往生できるのは当たり前である」という意味を持っています。
罪深い人間を成仏させることが阿弥陀仏の本願であるという、他力本願の思想につながっています。
報恩講(ほうおんこう)とは、開祖である親鸞の命日である11月28日を中心に行われる仏事のことです。浄土真宗の各寺において、親鸞の恩に感謝を捧げて仏法について語り合います。
また、帰敬式(ききょうしき)とは、「おかみそり」ともいわれる儀式で、お釈迦様の弟子、浄土真宗の門徒として新たな人生のスタートを切る儀式です。式を受けると法名を授かります。
葬儀の作法について理解していれば、参列した際にも落ち着いて臨めるでしょう。ここからは葬儀の特徴、流れ、焼香や香典の作法について解説します。
浄土真宗本願寺派の葬儀は故人の供養のために執り行われるのではなく、阿弥陀如来の救いの力をたたえ、感謝するために行われます。
また、すべての亡くなった方は極楽浄土に往生して仏になるため、再会できると考えられています。そのため、葬儀をお別れを告げる儀式である「告別式」と呼ぶことはありません。
浄土真宗本願寺派の葬儀は、次のような流れで執り行われます。
1. 三奉請(さんぶしょう)
法要の始めに仏様をお招きします。その後、短念仏を唱え読経をし、弔辞・弔電など を読み上げます。
2. 導師焼香・正信偈(しょうしんげ)
正信偈の読経後は、遺族や参列者が焼香します。
3. 念仏・和讃(わさん)
短念仏を唱え、仏様を見送ります。
4. 出棺式
念仏を唱えてから出棺します。
5. 火葬・拾骨
火葬して遺骨を骨壷に納めます。
6. 初七日法要
故人の供養のためではなく、遺族の精進明けの儀式として執り行われます。
浄土真宗本願寺派の焼香の作法は、ほかの宗派と異なる点があるので注意が必要です。額に押しいただくことはせず、お香を指でつまんだら、香炉にくべましょう。また、焼香は3回ではなく1回だけ行うのが浄土真宗本願寺派の作法です。
浄土真宗では、亡くなった方はすぐに仏になり往生すると考えられているため、四十九日前であっても不祝儀袋の表書きは「御仏前」または「御香典」と書くのが作法です。「御霊前」とは書かないように注意しましょう。
香典はほかの宗派と同じ程度くらいの金額を包みましょう。目安は以下の表のとおりです。
両親 | 5万円~10万円程度 |
兄弟姉妹 | 3万円~5万円程度 |
祖父母 | 1万円~3万円程度 |
親しい友人 | 5,000円~1万円程度 |
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この記事では、浄土真宗本願寺派の歴史、教義、思想や葬儀の作法について解説しました。浄土真宗本願寺派についてよく理解した上で、葬儀に参列しましょう。
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