認知症の「周辺症状」とは?進行段階ごとの症状や原因、ケース別の対応方法を解説

認知症の「周辺症状」とは?進行段階ごとの症状や原因、ケース別の対応方法を解説

認知症の人と接する際は、「周辺症状」と呼ばれる認知症特有の症状を理解しておくことが大切です。正しい知識があれば、適切な対応ができるでしょう。

この記事では、認知症の周辺症状の対応方法やケアのポイント、治療方法について解説します。

こんな人におすすめ

認知症のご家族がいる方

認知症の詳しい症状を知りたい方

認知症の治療方法を知りたい方

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認知症には「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」の2つの症状がある

認知症の症状にはさまざまなものがありますが、大きく分けると「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」の2つの症状があります。ここからは、それぞれ症状について解説します。

中核症状とは

「中核症状」とは、脳の病変・障害によって引き起こされる症状です。脳が正常に機能しなくなるため、さまざまなことができなくなります。具体的な症状は以下のとおりです。

記憶障害 忘れてしまう
見当識障害 時間や場所がわからなくなる
実行機能障害 今までできていたことができなくなる
言語障害 うまく会話ができない
失行 日常的な動作ができない
失認 対象を認知できない

周辺症状(BPSD)とは

「周辺症状(BPSD)」とは、中核症状に付随して二次的に発生する精神症状・行動症状です。具体的には以下のようなものがあります。

精神症状 うつ・無気力・妄想・幻覚
行動症状 徘徊・多動・不潔行為・暴力

周辺症状は本人が適応しようとした結果である

記憶障害や言語障害などの中核症状が発生すると、本人は強い不安や混乱を感じてしまいます。そのような状態に対して、本人がなんとか対応しようとした結果、発生するのが周辺症状です。

発生のメカニズムを理解して適切なケアを施すことで、周辺症状が緩和したりなくなったりする可能性があります。

周辺症状は適切なケアで軽減できる可能性がある

周辺症状は、適切なケアを施すことで軽減できる可能性があるので、正しい知識を身につけておきましょう。ここからは、進行段階別の周辺症状と原因として考えられることについて解説します。

進行段階別の主な周辺症状

認知症は、進行度合いによって前兆期・初期・中期・末期に分類されます。段階別の主な周辺症状は以下のとおりです。

認知症の進行段階 主な周辺症状
前兆期(発症前) 不安・頭痛・意欲の低下
初期(発症後1年~3年程度) 無気力・妄想・直前の記憶がない
中期(発症後2年~10年程度) 無関心・幻覚・トイレなど日常生活が困難になる
末期(発症後8年~12年程度) 寝たきり・失禁・意思疎通が困難になる

周りの方の対応が周辺症状の原因の一つとされている

原因の1つであると考えられているのは、介護者や周りの方の対応です。記憶障害などの中核症状に対して、否定したり、疑ったり、叱ったり、矯正したり、無視したりしてしまうと、本人の不安やいらだちが大きくなってしまいます。

不安を感じて心の状態が不安定になると、周辺症状の発生につながります。そうなると本人の不安は増幅され、周辺症状をさらに悪化させてしまいます。

周辺症状の対応方法

周辺症状が発生した場合は、適切な対応をすることが大切です。ここからは、周辺症状のケース別の対応方法を解説します。

不潔行為

不潔行為とは、尿や便などの排泄物で身辺を汚してしまったり、汚物を汚物と認識できずにもてあそんだりしてしまうことを指します。失禁を片付けようとして汚してしまったり、おむつが不快で手を入れてしまったりするケースもあります。

不潔行為の対応方法は次のとおりです。

・トイレに行くように声かけをする
・身近にポータブルトイレを置く
・おむつ交換をまめに行う

道がわからなくなる

外出中に道がわからなくなったり、徘徊したりすることがあります。これは「見当識障害」と呼ばれ、自分がどこにいるのかわからなくなってしまう症状です。不安があるために出かけてしまう場合もあります。

徘徊の対応方法は次のとおりです。

・1人で外出させず、付き添う
・服や靴に氏名や連絡先を記載しておく
・GPS発信機を身につけてもらう

暴言や暴力

感情の制御が難しくなり、介護者や家族に対して暴言を吐いたり暴力を振るったりするケースがあります。これは、前頭葉の機能が低下していることが原因の1つであると考えられています。

暴言や暴力の対応方法は次のとおりです。

・本人の話に耳を傾ける
・暴言や暴力のきっかけとなることを取り除く
・いったん距離を置いて、落ち着くまで待つ

無気力・抑うつ

無気力で外出したくなくなったり、何事も面倒になったりすることもあります。対応方法は次のとおりです。

・家族とともに散歩をするなど、簡単な目標を立てて実行して達成感を得る
・規則正しい生活を送る

また、できないことが多くなってくることで気持ちが落ち込み、抑うつ状態になる場合があります。認知症の合併症である場合もあります。対応方法は次のとおりです。

・ストレス要因をなくす
・「がんばれ」と励まさない
・簡単な役割をこなしてもらい、感謝を伝える
・日光を浴びる

幻覚・妄想

「虫がいる」など、あるはずのないものが見えたと言う幻覚や「お金を盗まれた」「配偶者が浮気をしている」など被害妄想が現れるケースがあります。

幻覚や妄想の対応方法は次のとおりです。

・話をじっくりと聞いてあげる
・話を否定せずに受け止めて対応する

周辺症状がみられる認知症のケアのポイント

周辺症状がみられる認知症においては、どのようなケアをすればよいのでしょうか。適切なケアによって緩和できることもあるので、ケアのポイントを理解しておきましょう。

生活環境や生活リズムを変えないようにする

認知症の方は環境の変化に敏感です。生活環境が変わるとストレスを感じてしまい、周辺症状が発生しやすくなるので、日課を守って生活環境や生活リズムを変えないようにすることが大切です。

認知症の方の気持ちを理解して信頼関係を築く

特に認知症の初期の段階では、本人が以前はできていたことができなくなっていることを感じて、自信をなくし悔しい思いをしています。

介護者は「なぜこのような行為をしているのか」を考えることが大切です。本人の気持ちを少しでも理解しようとして、信頼関係を築くことが大切です。

自己肯定感を持てるような接し方を心がける

周辺症状は「自己肯定感」と強い関連性があるといわれています。「自分は必要とされている」と思えれば、安心感や自信を持つことができます。孤独感をなくして役割を持って生活できるように、周囲の人が配慮することが重要です。

周辺症状の治療方法

周辺症状には介護者が行う生活上のサポートのほかに、医学的な治療方法があります。ここからは、周辺症状における薬物療法と非薬物療法について解説します。

薬物療法

気持ちを安定させて落ち着いた生活ができるように、周辺症状に対して向精神薬を使うことがあります。

暴言・暴力などに対しては「抗精神病薬」や「抗てんかん薬」、無気力・抑うつなどに対しては「抗うつ薬」、睡眠が十分に取れない場合には「睡眠薬」が主に使われます。

薬物療法を行う際の注意点は以下のとおりです。

・本人に十分説明すること
・薬をきちんと管理すること
・気になることがあったら医師や薬剤師に相談すること

非薬物療法

周辺症状の非薬物療法には、以下の2つの方法があります。

生活環境の改善
・ストレスの少ない生活環境を作る
・生活リズムを規則正しく整える

心理療法
・写真などを見て昔の思い出を語り気持ちを安定させる「回想法」

無理のない介護が大切

介護者が無理をして認知症の方のケアを続けていると、介護者の方が精神的にも肉体的にも疲れてしまいます。介護者自身に対するケアも必要であることを理解しておきましょう。

本人と良好な関係を築けるように配慮しつつ無理のないケアをして、介護者や家族も笑顔でいられるようにすることが本人の安心にもつながります。

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まとめ

認知症には「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」の2つの症状があります。「中核症状」は、脳の病変・障害によって引き起こされる症状で、「周辺症状(BPSD)」は、中核症状に付随して二次的に発生する精神症状・行動症状です。出現する周辺症状は認知症の進行段階によってさまざまですが、適切なケアを行うことで症状を緩和できる可能性があります。

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監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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