仏式の葬儀を調べる中で、浄土真宗東本願寺派の葬儀作法が分からないと感じたことがあるでしょう。東本願寺派では、引導の儀式や位牌の安置といった考え方がありません。ほかの宗派とは異なる作法のため注意しましょう。
この記事では、浄土真宗東本願寺派の葬儀作法を解説します。葬儀の流れや焼香マナーを知りたい方にも役立つ内容です。
<この記事の要点>
・浄土真宗東本願寺派の葬儀では、引導や授戒の儀式が行われず、死装束を着せる文化もない
・通夜では枕勤めが行われ、僧侶が枕経をあげる。焼香は右手でお香をつまんで香炉に2回くべる
・浄土真宗では、往生即成仏の教えから「ご冥福をお祈りします」といった表現を避ける
こんな人におすすめ
浄土真宗を信仰している人
東本願寺派における葬儀マナーについて知りたい人
東本願寺と西本願寺の違いについて知りたい人
浄土真宗は東本願寺と西本願寺に分かれています。しかし両者の違いや歴史的な背景を知っている方は少ないかもしれません。東本願寺を深く知るための知識として押さえておきましょう。
東本願寺の誕生は、親鸞聖人の安置された場所に由来します。浄土真宗の開祖である鸞聖人の亡き後、多くの人々によって京都東山に廟堂(びょうどう)が建てられました。これが東本願寺の始まりとされています。
西本願寺と異なるのは、仏壇と仏具です。それぞれの違いを理解しておきましょう。具体的には次のとおりです。
西本願寺 | 東本願寺 | |
仏壇 | 柱が金箔 | 柱が黒塗り |
仏具 | 黒系のもの | 金色のもの |
大きな相違点としては黒と金の色分けです。判断に迷った際は、僧侶や葬儀社で確認するのも方法のひとつでしょう。
本願寺が東西に分かれた原因は、戦国時代までさかのぼります。当時大阪に位置していた石山本願寺の占領を狙って、長期間に及ぶ戦争が続いていました。最終的に本願寺内で和平を求めるか抗戦し続けるかで意見が対立し、現在のように東西へ別れていきました。過去の戦争を背景に派閥が分かれていたのが特徴です。
浄土真宗東本願寺派の葬儀は、他の宗派のように亡くなった人が成仏するための引導や授戒の儀式がありません。
ここでは、浄土真宗東本願寺派の葬儀の特徴について解説します。
引導の儀式とは、故人の成仏を願って執り行う儀式です。浄土真宗東本願寺派では、信仰心を持つ者は誰でも極楽浄土に成仏できるという教えがあるため、引導の儀式はありません。
浄土真宗東本願寺派には、故人に死装束を着せる文化がありません。死装束は故人が浄土へ無事にたどり着けるように用意するものです。しかし浄土真宗東本願寺派では、故人が亡くなった時点で極楽浄土に成仏していると考えられているため、死装束は用意しません。
浄土真宗東本願寺派では、位牌は必要ありません。一般的に位牌は故人の戒名を記し仏壇に安置するための仏具です。しかし浄土真宗では人は死後すぐに成仏すると考えられているため、位牌を供養する必要はありません。代わりに法名(ほうみょう)が書かれた過去帳を利用してもよいとされています。位牌に関しては地域によって考え方に違いがあるため、適宜確認をとっておくと安心でしょう。
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浄土真宗の葬儀・法要の特徴やマナー
浄土真宗東本願寺派の葬儀では、通夜に枕勤めを執り行い、故人との最後の時間を過ごします。一般的な仏式の葬儀と大きな差はないものの、今生の別れを惜しむ大切なひとときです。
ここでは、浄土真宗東本願寺派の通夜を紹介します。
浄土真宗東本願寺派では、通夜の際に枕勤めを行います。枕勤めとは、僧侶に枕経をあげてもらうことを指します。僧侶とともに手を合わせることが多いため、通夜の際には事前に打ち合わせしておきましょう。依頼が必要な際には、菩提寺や葬儀社に相談するのがおすすめです。
浄土真宗東本願寺派の葬儀は、一般的な仏式の葬儀と大きな違いはありません。葬儀場に参列してから全員で念仏を唱え、僧侶の読経がはじまります。数回にわたって読経と短い念仏を唱えるのがポイントです。その後はひとりずつ焼香をあげていき、最後にもう一度念仏を唱えて儀式を終えます。
浄土真宗の葬儀に参列するのであれば、焼香マナーを押さえておきましょう。ここでは浄土真宗東本願寺派の焼香マナーを解説します。
焼香は、本尊に対する一礼からはじまります。お香をつまんだ手を額まで押しいただくことをせずに、右手でお香をつまんで香炉に2回くべます。その後合掌して念仏を唱えるのが通例です。一連の流れが終わったら自席に戻ります。正しい作法については葬儀当日にスタッフから誘導を受ける場合もあるため、不安な場合は事前に流れを聞いておきましょう。
香典の表書きには「御香典」または「御仏前」と記載しましょう。他の宗派では、亡くなった人は四十九日の法要を過ぎて仏になるという考えですが、浄土真宗では死後すぐに仏になるという考えのためこのように記載します。
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浄土真宗東本願寺派において、故人はすでに極楽浄土に成仏していると考えられています。そのため弔辞や弔電でも「ご冥福をお祈りします」といった表現を使う必要はありません。死後の世界を想起させる表現も控えておくのが好ましいでしょう。
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浄土真宗の東本願寺は、戦争によって石山本願寺内で意見が対立し、西本願寺と分断した背景があります。葬儀においては、引導や死装束、位牌などが必要ないのが特徴です。葬儀の際にはマナー違反にならないよう注意しましょう。
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