家族が亡くなると、通夜、葬儀・告別式などさまざまな法要を執り行います。また、お墓や仏壇、位牌などの仏具も、故人の遺骨を納めたり、供養の対象としたりするために必要です。仏壇に置く位牌は1人につき1つというイメージですが、「夫婦位牌」と呼ばれる夫婦連名の位牌にされる場合もあります。
今回は、夫婦位牌を作る理由や注意点などをまとめましたので、夫婦位牌を検討している方はぜひチェックしてみてください。
<この記事の要点>
・夫婦位牌とは夫婦連名の位牌のことで、夫婦仲が良かった場合や仏壇にスペースがない場合に作られる
・夫婦位牌の相場は2万円~5万円程度で、塗位牌・唐木位牌・モダン位牌の3種類がある
・夫婦位牌の書き方には「交差型」と「真裏型」の2種類がある
こんな人におすすめ
夫婦位牌について知りたい人
位牌を夫婦連名にしたい人
遺骨はお墓に納めますが、その多くは自宅でも故人を供養するために仏壇を置きます。仏壇にはさまざまな仏具を並べますが、その中の1つが位牌です。位牌とは何か、また2人で1つの位牌を作る夫婦位牌とは何かについても説明します。
仏壇には、台座のついた黒い板のようなものが並べられています。戒名や享年などが刻まれた木の板が「位牌(いはい)」です。最近はブラウンや深い赤色のもの、台座が従来とは異なるものなど、モダンなデザインの位牌もあります。
位牌は故人の魂を納めるものであり、自宅での供養に欠かせません。また、位牌の表面に刻まれている漢字は「戒名(かいみょう)」といい、仏様の世界における故人の新しい名前を指します。このほか、没年月日も位牌の表面に書き入れます。裏面には生前の名前である俗名(ぞくみょう)と、享年を入れるのが一般的です。
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基本的に位牌は1人につき1つ用意するものですが、夫婦連名で1つの位牌にまとめたものが「夫婦位牌(めおといはい)」です。
位牌としての役割や、刻む内容は1人用と同じです。ただし、2人分の戒名などを刻むため、やや大きめなのが特徴です。
「位牌は1人につき1つ」という考え方が一般的ですが、夫婦連盟の「夫婦位牌」にする方もいるかもしれません。夫婦位牌を選択する3つの理由について説明していきます。
夫婦位牌を作るのは、生前とても仲がよく「死後の世界でも一緒にいたい」と思う夫婦です。
生前からパートナーや子供たちに夫婦位牌を希望している旨を伝え、遺言などに遺すことが傾向として多く見られます。
位牌が増えると仏壇のなかに置けなくなり、その場合は「回出位牌(くりだしいはい)」といって複数の位牌を1つにまとめたり、仏壇を大きいものに買い換えたりして対処します。しかし、回出位牌にするほど位牌の数が多くない、大がかりな作業になるため気が進まない、という場合もあるでしょう。
夫婦位牌にすることで、スペースに関する問題を解決できます。
夫婦どちらかが早く亡くなり、2人の位牌の見た目に差が出てしまうようなときも、夫婦位牌にすることがあります。先に亡くなった方の位牌も新しいものにし、2つの位牌を用意する方法もありますが、位牌を2つ用意するよりも夫婦位牌で1つにまとめたほうが、遺族の負担は軽減できるでしょう。
しかし、ここでも生前の夫婦の事情に関して考慮が必要です。「手間がかかるから」という理由だけで、位牌を2人で1つのものにするのは避けましょう。
位牌は使われる素材などによって、価格が異なります。安いものは1万円前後から購入できますが、2万円~5万円のものが一般的です。10万円以上の高額なものもありますが、夫婦位牌の価格相場はどれくらいなのでしょうか。
夫婦位牌の相場は2万円~5万円ほどで、1人用の位牌とあまり変わりません。位牌に使われる素材、作成の工程でかかる工数などによって価格が変わります。最近は伝統的なスタイルにこだわらない「モダン位牌」も人気を集めており、デザイン性の高さから高額になることも少なくありません。
また、戒名などをどう刻むかも夫婦位牌の価格に影響し、位牌購入に加え魂入れや魂抜きなどの儀式のお布施なども必要です。
夫婦位牌は、2人分の戒名や没年月日などを刻むため、1人用のものよりサイズが大きめです。とはいえ、スペースを取らないようにという理由で夫婦位牌を選択されることもあり、位牌2つ分のような大がかりなものにはなりません。
サイズが大きいと価格も上がる印象がありますが、夫婦位牌と1人用の位牌の価格相場はほぼ同じです。素材やデザインが同じものを選択しても、やや価格が上がるものの大幅に高くなることはないでしょう。
位牌の種類は大きく分けて「塗位牌」「唐木位牌」「モダン位牌」の3つになります。位牌の種類によって使われる素材やデザイン、作業工程が異なり、価格に影響することもあります。それぞれの位牌の特徴や価格相場は以下の通りです。
位牌の種類 | 価格相場 | 特徴 |
塗位牌 | 1万円~3万円 | ・漆塗りや金箔などを施し高級感あふれる仕上がり ・合成漆と本漆があり、合成漆のほうが安価な傾向 ・会津塗などは10万円を超える場合もある |
唐木位牌 | 2万円~5万円 | ・黒檀、紫檀など高級な天然目である「唐木素材」を使用 ・木目や色合いを生かしている ・台座の装飾によっても価格が異なる |
モダン位牌 | 3万円~5万円 | ・現代的なデザインでリビングなどにも置きやすい ・クリスタルなど、従来にない素材を使用 ・形やデザインに制約がなく、故人の意向を反映しやすい |
夫婦位牌も、1人用の位牌と同じく戒名や享年などを刻みますが、2人分をどのように書くのかイメージしにくい方もいるかもしれません。夫婦位牌の書き方は「交差型」と「真裏型」の2種類があります。それぞれの書き方を確認しましょう。
交差型は、表と裏の情報が「交差」するように刻まれているものです。表面、裏面ともに向かって右側に男性、左側に女性の戒名を刻みます。裏面には生前の名前である俗名や享年、命日を書くのが一般的です。1人用の位牌と同じく、没年月日を刻むこともあります。
真裏型は、情報が交差せず真裏に来るように書かれているものです。表面は向かって右側に男性、左側に女性の戒名を刻み、交差型と変わりません。裏面は向かって右側に女性、左側に男性の情報を刻みます。
男性・女性それぞれの情報が真裏にくるように刻むことになり、夫婦位牌の書き方は真裏型のほうが多い傾向です。
しかし、真裏型でなければいけないという決まりはないので、夫婦で相談して決めましょう。故人の意向がわからない場合は、ご先祖さまの位牌を参考にする、菩提寺に相談するなどして、決めるとよいでしょう。
戒名や没年月日などは、手書き・手彫り・機械彫りなどの方法で文字入れされます。夫婦位牌のおすすめは機械彫りです。
夫婦位牌は、同時に2人分の文字入れをするとは限りません。どちらかが亡くなったタイミングで亡くなった方の分を片側に文字入れし、次に亡くなった方はもう片方に文字入れすることになります。
1人用の位牌や2人分の文字入れを同時にする場合には、好みの文字入れ方法を選ぶとよいでしょう。
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夫婦位牌を選ぶ理由としては、「死後の世界でも一緒にいたい」、「位牌を1つにすることで遺族の負担を軽減したい」などがあげられますが、夫婦位牌を作る際には、注意したいポイントがいくつかあります。
購入のタイミングや位牌の選び方のほかにも、夫婦の意向を大切にすること、位牌に関わる儀式を忘れないことも重要です。
夫婦位牌を検討した場合、夫婦どちらかが亡くなったタイミング、もしくはもう1人が亡くなったタイミングで作ります。
もしくは、先に亡くなった方の位牌は1人用のもので作り、もう1人が亡くなってから2人用の位牌にする方法もあります。この場合、1人用の位牌と夫婦位牌の2つの位牌を作る必要があり、1人用の位牌の魂抜きなどの儀式もしなければならないことも覚えておきましょう。
仏壇のスペースの問題から、遺族が夫婦位牌にしたいと考えることもあるかもしれません。しかし、生前の夫婦仲があまりよくなかった場合は夫婦位牌にすることはおすすめできませんし、一見仲がよさそうでも、夫婦間でしかわからない問題を抱えていた可能性もあります。
夫婦位牌にするかしないかはわからない状況でも、生前に意見を聞いておくことも大切です。「亡くなっているからいいだろう」と、遺族だけの意向で決めることは避けましょう。
夫婦位牌は2人分の情報を入れるので、小さすぎるものだと文字入れするスペースが足りなかったり、バランスが悪くなったりします。どの位牌でも夫婦位牌にすることはできますが、余裕を持って文字入れができる大きさのものを選びましょう。
夫婦位牌用で幅が広めの位牌もありますので、仏壇のスペースも考慮しながら最適なサイズを選びましょう。
1人用の位牌から夫婦位牌にする際は、古い位牌から魂抜きをして新たな位牌に魂入れをします。はじめから夫婦位牌にする場合にも、魂抜きが必要なため注意しましょう。
夫婦どちらかの魂が宿ったまま位牌に新たに文字入れをするのは、故人の身体に文字を刻む、刃物を入れるのと同じ意味になります。まずはじめに位牌の魂抜きを行い、後から亡くなった方の文字入れをし、2人分の魂入れをするのが正しい順序となります。
また魂抜きの儀式にはお布施も必要なため、事前に用意しておきましょう。
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位牌は1人に1つが一般的ですが、夫婦連名の「夫婦位牌」を選択することも可能です。
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亡くなった方や仏に向けて、香を焚いて拝む行為を焼香(しょうこう)といいます。ホゥ。