亡くなった人の銀行口座の預金は、銀行に死亡を連絡して口座が止まったあと、相続の書類を銀行に出して、相続人が払い戻しや名義変更で受け取ります。必要な書類は、遺言書があるか、遺産分割協議書があるかで変わります。遺産分割が終わる前でも、葬儀費用などで急いでお金が必要なときは「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」で、1つの金融機関につき最大150万円まで、相続人が1人で引き出せます。
こんな人におすすめ
亡くなった人の預金をおろす方法を知りたい方
銀行口座の相続手続きに必要な書類を知りたい方
葬儀費用を故人の預金から払いたい方
<この記事の要点>
・預金をおろす方法は相続手続き(全額・相続人全員で)と払戻し制度(一部・1人で)の2つ
・手続きは「銀行に連絡 → 書類を集める → 提出 → 払戻し」。大手銀行では、書類がそろってから払戻しまで2週間ほどが目安
・必要書類は遺言書・遺産分割協議書の有無で3パターンに分かれる
・親や配偶者の戸籍は、2024年3月から最寄りの役所の窓口でまとめて取れる。法定相続情報一覧図を作ると銀行ごとの提出が楽になる
・借金がありそうなら、手続きの前に3か月以内に相続放棄を検討する
亡くなった人の預金をおろす方法は、「相続手続き」と「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」の2つです。預金の全額を受け取るなら相続手続き、遺産分割の前に葬儀費用などの一部だけを引き出すなら払戻し制度を使います。
遺産の分け方が決まったら、銀行に相続の書類を出して、預金の全額を払い戻してもらうか、名義を変えて受け取ります。
→ 手順は次の「相続手続きの流れ」、書類はその次の「必要な書類」で説明します。
遺産の分け方が決まる前でも、葬儀費用などで急ぐときは、払戻し制度で預金の一部を相続人が1人で引き出せます。
→ 計算例と手続きは「遺産分割前の払戻し制度の手続き」で説明します。
葬儀費用の支払いが、払戻しの手続きに間に合うか心配な方へ。小さなお葬式では、お支払いの時期や方法も含めて、葬儀専門のスタッフが24時間365日ご相談をお受けしています。0120-215-618(通話無料・24時間365日対応)
口座がいつ止まるか、止まる前に引き出してよいかはこちらをご覧ください。
銀行口座の相続手続きは、①銀行に連絡する、②必要書類を集める、③書類を銀行に出す、④払い戻しを受ける、の順に進みます。時間がかかるのは書類集めで、大手銀行では、書類がそろってから払い戻されるまで2週間ほどが目安です。日数は銀行や取引の内容によって変わります。
| ステップ | やること | ポイント |
| ① 銀行に連絡 | 口座のある銀行(支店)に、名義人が亡くなったことを伝える | 口座が止まる。必要書類と手続きの方法、残高証明書の取り方を聞く |
| ② 書類を集める | 戸籍・印鑑証明書をそろえ、遺言書の確認か遺産分割協議をする | 一番時間がかかる。戸籍は最寄りの役所でまとめて取れる(2024年3月〜) |
| ③ 書類を提出 | 銀行所定の相続の届出書と一緒に、窓口か郵送で出す | 原本を返してもらえるか、コピーでよいかは銀行による |
| ④ 払戻し・名義変更 | 指定した相続人の口座に振り込まれる(または名義を変える) | 払戻しの方法(振込先の口座など)は届出書で指定する |
故人名義の銀行口座は、家族が銀行に亡くなったことを伝えた時点などで初めて凍結されます。役所に死亡届を出しても、銀行に自動で伝わることは通常ありません。口座が止まると、引き出しも公共料金などの引き落としもできなくなるため、引き落とし口座の確認を先にしておくと安心です。連絡するときに、次のことを聞いておくと二度手間になりません。
通帳やキャッシュカードが見つからず、どの銀行に口座があるか分からないときは、2025年4月に始まった「相続時の預貯金口座の照会」で、亡くなった人がマイナンバーを届け出ていた口座をまとめて調べられます。
相続人は、金融機関の窓口で申し込みます(ほかの相続人の同意はいりません)。手数料がかかり(預金保険機構の案内では1件5,060円)、結果が届くまで1か月ほどかかります。分かるのは口座がある金融機関で、残高は分かりません。
公金受取口座の登録とは別の制度で、口座にマイナンバーを届け出ていた場合だけが対象です。届け出ていない口座は、心当たりのある銀行に、戸籍謄本と本人確認書類を持って直接問い合わせます。
銀行口座の相続手続きに必要な書類は、遺言書があるか、遺産分割協議書があるかで変わります。どのケースでも、次の書類は必要です。
このほか、通帳・キャッシュカードや銀行所定の届出書を求められることがあります。必要な書類は銀行によって違うため、連絡したときに確認しましょう。
遺言書があるときは、遺言書と、亡くなった人の戸籍、預金を受け取る人の印鑑証明書を出します。
自筆の遺言書は、家庭裁判所で「検認」を受けてから銀行に出します。公正証書遺言と、法務局に預けていた自筆証書遺言は、検認がいりません。法務局に預けた遺言は、法務局で交付される「遺言書情報証明書」を使います。
遺言書がないときは、相続人全員で預金の分け方を話し合い、結果を遺産分割協議書にまとめます。協議書には相続人全員が署名し、実印を押します。銀行には次の書類を出します。
出生から死亡までのすべての戸籍が必要なのは、ほかに相続人(前の結婚での子や養子など)がいないかを確かめるためです。
遺言書も遺産分割協議書もないときは、協議書の代わりに銀行所定の届出書に相続人全員が署名・押印し、次の書類と一緒に出します。
預金が少なく協議書を作らない場合でも、あとでもめないよう、分け方は相続人全員で確認しておきましょう。
2024年3月1日から、本籍地が遠くても、最寄りの市区町村の窓口で、亡くなった親や配偶者の出生から死亡までの戸籍をまとめて請求できるようになりました(戸籍証明書等の広域交付)。請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫で、兄弟姉妹は使えません。窓口で顔写真付きの本人確認書類を見せる必要があり、郵送や代理人による請求はできず、コンピュータ化されていない一部の古い戸籍は対象外です。
口座が何行にもあるときは、法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を作っておくと、戸籍の束の代わりに使えて、銀行ごとに戸籍を出し直す手間が減ります。交付は無料です。
戸籍謄本の取り寄せ方はこちらをご覧ください。
銀行によって、所定の届出書や手順が違います。たとえばゆうちょ銀行では、まず相続の申し出をしてから「相続確認表」を出して、相続人の関係を説明します。手続きの前に、口座のある銀行それぞれに必要な書類を確認しましょう。
遺産分割が終わる前でも、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を使えば、相続人が1人で預金の一部を引き出せます。引き出せる額は「亡くなった日の預金額 × 1/3 × その相続人の法定相続分」で、1つの金融機関につき150万円が上限です。2019年7月1日に始まった制度で、ほかの相続人の同意はいりません。金額は口座ごと(定期預金は明細ごと)に計算します。
例1)A銀行の預金1,000万円・相続人は子3人(法定相続分 各1/3)
1,000万円 × 1/3 × 1/3 = 約111万円 まで
例2)B銀行の預金1,200万円・相続人は配偶者と子1人(子の法定相続分 1/2)
1,200万円 × 1/3 × 1/2 = 200万円 → 上限により 150万円 まで
払戻しを受ける相続人が、口座のある金融機関の窓口で申し込みます。主な書類は次のとおりです。
金融機関によっては、所定の申込書や通帳・キャッシュカードなど、ほかの書類を求められることもあります。遺言で預金を受け取る人が決まっているときなどは、払戻し制度を使えないことがあります。
払戻し制度でも、書類がそろわないと申し込めません。いちばん時間がかかるのは戸籍集めなので、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍の請求を先に始めておくと早く進みます。申し込んでから受け取るまでの日数は金融機関によって違うので、申し込むときに確認しましょう。
150万円の上限は金融機関ごとなので、口座が何行にもあるときは、それぞれの金融機関に申し込みます。金融機関ごとに戸籍を出すことになるため、戸籍の束の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を使えるかを、申し込むときに確認しましょう(「戸籍を集める手間を減らす方法」)。
払い戻した分は、あとの遺産分割で、その相続人が受け取ったものとして扱われます。引き出すときは、ほかの相続人にも使い道を伝え、領収書を残しておくとトラブルを防げます。
亡くなった人に借金がありそうなときは、払戻し制度を使う前に、相続放棄をするかどうかを先に決めましょう。引き出した預金を使うと、相続することを認めた(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなることがあります(くわしくは「借金がありそうなら、手続きの前に相続放棄を考える」)。
150万円を超える額が必要なときは、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判を申し立てたうえで、預金の仮払いを求める方法(仮分割の仮処分)があります。亡くなった人の借金(相続債務)の返済や相続人の生活費などのために預金を使う必要があり、ほかの相続人の利益を害さない場合に限って認められます。
葬儀費用を亡くなった人の口座から払うときの考え方(口座が止まるタイミング・引き出してよいか)はこちらをご覧ください。
戸籍がそろうまで、葬儀費用の支払いが間に合うか心配な方へ。払戻し制度は書類をそろえてから受け取るまで時間がかかります。小さなお葬式では、現金のほか、クレジットカード、ローンによる分割払いをお選びいただけます。一部のプランでは後払い(条件があります)もご利用いただけます。お支払いの時期や方法も含めて、葬儀専門のスタッフにご相談いただけます。
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預金は相続人全員のものなので、遺産が少なくても、分け方は相続人全員で話し合い、遺産分割協議書に残しておくと、あとのトラブルを防げます。払戻し制度で一部を引き出したときも、金額と使い道を伝えておきましょう。
口座が止まると、公共料金やクレジットカードなどの引き落としができなくなります。通帳の記帳で引き落とし先を洗い出し、使い続けるものは名義と支払い口座を変え、使わないものは解約します。未払いが続くと、延滞金がかかったりサービスが止まったりすることがあります。
役所・年金・保険など、ほかの手続きはこちらをご覧ください。
ローンや借金などのマイナスの財産も相続の対象です。借金が預金より多そうなときは、預金の相続手続きを進める前に、相続放棄か限定承認を検討しましょう。期限は、相続が始まったことを知ったときから3か月以内です。預金などの相続財産を処分する(使う・売るなど)と、相続することを認めた(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。3か月で決めきれないときは、家庭裁判所に申し立てて期間を延ばしてもらえます。
相続税がかかるのは、遺産の合計が基礎控除額「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」を超えるときです。かかる場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納付します。2024年に亡くなった人のうち、相続税がかかったのは約10人に1人(10.4%)です。葬式費用は、遺産総額から差し引けます。
銀行の相続手続きで時間がかかるのは、口座探しと書類集めです。元気なうちに口座の一覧を残し、遺言書を公正証書か法務局の保管制度で作っておくと、家族の手続きがぐっと楽になります。
口座や契約の一覧を残すならこちらをご覧ください。
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・亡くなった人の預金は、銀行に連絡して口座が止まったあと、相続の書類を出して受け取ります。遺産分割の前でも、払戻し制度で1つの金融機関につき150万円まで引き出せます。
・必要書類は、遺言書・遺産分割協議書の有無で変わります。親や配偶者の戸籍は最寄りの役所の窓口でまとめて取れ、法定相続情報一覧図を使うと銀行ごとの提出が楽になります。
・借金がありそうなら、手続きの前に3か月以内に相続放棄を検討しましょう。
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参考資料
亡くなった人の預金をおろすにはどうすればいいですか?
故人の銀行口座の相続手続きに必要な書類は何ですか?
銀行口座の相続手続きにはどれくらいかかりますか?
役所に死亡届を出せば、銀行の手続きもされますか?
通帳がなく、どの銀行に口座があるか分かりません。
戸籍は本籍地の役所に請求しないといけませんか?
自筆の遺言書があるときは、そのまま銀行に出せますか?

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