年金受給者が亡くなるとさまざまな手続きが必要になります。しかし、何をすればよいのかわからずにお困りの方もいるのではないでしょうか。何種類もの書類を扱わなければならないので困惑する方も多く見られるようです。
そこでこの記事では、年金受給者の死亡後の諸手続きについてご紹介します。手続きに関する注意点とポイントも解説しますので、スムーズな手続きが可能になります。
<この記事の要点>
・年金受給者の死亡後には、遺族年金が支給される
・年金受給者の死亡後の手続きに必要な書類について解説
・故人がどんな年金に加入していたのかを確認しておく
こんな人におすすめ
年金受給者の死亡後の手続きについて知りたい方
年金受給者の死亡後の手続きに必要な書類について知りたい方
年金受給者の死亡後の手続きに関する注意点を知りたい方
年金受給者が死亡すると、遺族には公的年金が給付されるケースがあります。遺族年金にはいくつかの種類があり、受給できる条件はそれぞれ異なります。こちらでは遺族年金の給付内容や条件について解説します。年金制度を把握するためにご一読ください。
遺族基礎年金は、国民年金加入者が亡くなった際に国民年金加入者によって生活を維持されていた「年度中に18歳になる年齢以下の子どもがいる家庭の配偶者かその子ども」に支給されます。言い換えると、該当年度に19歳未満の子どもがいる家庭に給付される年金です。障がいのある子どもの場合は20歳未満が対象になります。
受給できる遺族基礎年金額は、 816,000円(昭和31年4月2日以降生まれの方)・813,700円(昭和31年4月1日以前生まれの方)※です。これを基本額として、子どもの数に応じて金額が加算されていく仕組みとなっています。
※令和6年4月からの年金額(日本年金機構)
遺族厚生年金は、厚生年金保険の加入者が亡くなったとき、死亡した加入者によって生活を支えられていた遺族に支払われる遺族年金です。子どもがいる家庭に限定されないため、遺族基礎年金よりも広い範囲が対象となります。
給付額も遺族基礎年金とは異なり、死亡した加入者の収入によって上下します。平均標準報酬月額が20万円の場合は月額2万7,076円ですが、62万円になると月額8万3,935円が給付されます。中高齢寡婦加算や経過的寡婦加算といった制度があり、条件を満たすと受給額が増加することも特徴です。
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寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者として10年以上保険料を納めていた夫が老齢年金を受け取る前に亡くなった場合に、夫によって生活を維持されていた妻に給付されます。
「寡婦」の言葉が示すとおり、この遺族年金の対象となるのは条件が揃った夫が死亡した妻のみです。先に妻が死亡したとしても残された夫は受給対象にならないので注意しましょう。受給可能な期間は妻が60歳~65歳の間です。遺族基礎年金と同時には受け取れませんが、期間が同時期でなければどちらも受け取りが可能となっています。
国民年金の第1号被保険者として36か月以上保険料を納めていた方が老齢基礎年金と障害基礎年金のどちらも受給しないまま亡くなった場合、遺族に支給されるのが死亡一時金です。死亡した被保険者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹が受給可能で、受け取る優先順位も並びの順になっています。
注意点としては、死亡一時金と寡婦年金は両方受け取ることができません。受給者はどちらを受け取るのか選択することになります。寡婦年金の方が給付額は多いですが、寡婦年金を受け取る条件を満たしていなかったり受け取れるまでに長い期間があったりする場合には死亡一時金を選ぶことになるでしょう。
年金受給者が死亡すると、さまざまな届け出や手続きが必要となります。中には葬儀の進行に必要となる手続きもありますので、できる限り速やかに処理したいところです。ここでは、年金受給者の死亡後の手続きに必要な書類を解説します。手続きにお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
死亡届は故人が亡くなったことを法律・医学的に証明するのに必要な書類です。死亡が確認されてから7日以内に届け出ることが戸籍法で義務付けられています。故人の親族や同居人、家主、後見人が届出人となることができます。
届け出の場所は、亡くなった方の本籍地や死亡地、届出人の所在地の役場のいずれかになります。手続きには医師による死亡診断書か警察から発行された死体検案書、届出人の印鑑が必要です。
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死体火埋葬許可申請は、ご遺体を火葬して埋葬するために必要となります。「死体火埋葬許可証」を火葬場に提出しなければ火葬炉を使用できないので、葬儀を行う前に申請する必要があります。
死体火埋葬許可証は死亡届が受理された市町村長から発行されます。死亡届の手続きをする際にこちらもあわせて申請するとよいでしょう。申請に必要なものは「火葬許可申請書」です。市区町村によって名称や様式が異なり、申請の必要がない場合もあります。前提として死亡届が受理されていなければ手続きできません。
死亡した方が65歳以上の第1号被保険者だった場合と40歳から64歳までで要支援・要介護認定を受けていた場合は、介護保険資格失効届の提出と介護保険被保険者証の返却が必要になります。提出期限は死亡から14日以内です。
介護保険は市町村によって運営されているため、届出は該当の市町村役場で行います。手続きの際には届出人の印鑑、身分証明書、相続人の預金通帳、役場の窓口にある資格喪失届が必要です。
住民票の抹消に関しては、死亡届が提出されれば自動的に処理されるので、特に手続きは不要です。死亡者の住民票を登録されている住民基本台帳から抹消するための手続きです。正確には記録を消し去るわけではなく、「住民票の除票」が以降5年間は保存されます。
故人が死亡したことを証明する書類として金融機関や保険会社に提出を求められる場合があります。これらの手続きをする前に処理を済ませた方がよいでしょう。
申請先は住民票が登録されている市町村役場です。届出の際は故人の住民基本台帳カードや届出人の身分証明書を用意しましょう。
故人が住民基本台帳に記された世帯主だった場合、世帯主の変更届が必要です。世帯主が亡くなった際、住民異動届提出できるのは世帯員のみで、死亡が確認されてから14日間のうちに手続きを行う必要があります。世帯員が諸事情で動けない場合、委任状があれば代理人に依頼することも可能です。
世帯主の変更の届出は、登録している住民基本台帳がある市町村役場で行います。手続きの際には、本人確認書類や印鑑、世帯全員の国民健康保険証をご用意ください。
ただし、夫婦二人暮らしのような世帯主以外の世帯員が一人のみの場合、自動的に残りの一人が世帯主になるため手続きは必要ありません。
故人が自筆の遺言書を遺していた場合、遺言書の内容の確認と記録を行う検認手続きを行う義務があります。検認手続きを怠ると5万円以下の過料を科せられ、金銭的なペナルティが発生します。遺言書が公証役場で作成された公正証書遺言の場合は検認の必要はありません。
遺言書の検認手続きは家庭裁判所で行います。検認申立書のほか、遺言者の戸籍謄本や相続人全員分の戸籍謄本の提出が求められることがあります。加えて、申立て費用として800円分の収入印紙もご用意ください。
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年金に関する手続きをする際にはいくつか注意点があります。ご家族の死後はやるべきことが山積みで慌ただしいため、精神的にも余裕がなくなり気が回らなくなる方も多いでしょう。あらかじめ注意すべき点を知っておければ、いざというときに困ったりトラブルになったりすることを避けられます。事前にしっかりと確認しておきましょう。
年金の受給者が死亡すると年金を受け取る権利を失効します。受給停止の手続きをしなければ年金は給付され続けますが、これは不正受給となり返還しなければいけません。
年金の不正受給が発覚した場合、まずは「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出して年金の給付を停止する必要があります。その後、管轄の年金事務所に連絡を取り還付手続きを行いましょう。
多くの場合、年金の手続きには期限が設定されています。たとえば、年金を受給していた方が死亡したときに必要な「年金受給権者死亡届」の提出期限は、国民年金加入者の場合は14日以内、厚生年金と共済年金加入者の場合は10日以内と定められています。
このように同じ手続きであっても加入していた年金の種類によって期限が異なるケースもありますので、故人がどんな年金に加入していたのか確認することが重要です。
年金の手続きでお困りの際は「ねんきんダイヤル」を利用することをおすすめします。年金に関するさまざまな悩みを電話で相談でき、疑問点に丁寧に答えてくれるので大変便利です。
個人の具体的な記録に関する相談をする場合、本人確認のために基礎年金番号を聞かれることもあります。そういったケースに備えて、年金証書といった書類をあらかじめ用意しておけば話がスムーズです。
年金の手続きに関する相談は代理人でも受け付けています。ただし、代理人が年金相談をする場合、本人が用意した委任状が必要となります。代理人が相談窓口にお越しの際は、委任状、代理人の本人確認書類、本人の印鑑、本人の基礎年金番号とマイナンバーが記された書類をご用意ください。
委任状の内容に不備が確認されたときは相談に応じられないこともあります。特に委任する内容を記載する箇所は、できる限り具体的に書くよう心がけましょう。
年金の手続きをスムーズに行うためには事前の準備が重要になります。各種手続きにはさまざまな書類が必要です。そのため書類の保管場所を把握していないと、すぐに手続きに取りかかるのは難しくなるでしょう。書類が見つからずに再交付が必要となれば、余計な手間や時間がかかり、期限に間に合わなくなるかもしれません。
このような事態を防ぐためにも、もしものときに備えてしっかりと家族と相談して準備をしておきましょう。年金関係の書類のほかにも、保険関係や税金関係の書類はいつでも揃えられるように手元に置いておくことを心がけましょう。
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この記事では年金受給者の死亡後の手続きについて解説してきました。ご家族が亡くなったばかりなのに、さまざまな手続きをしなければならないのは大変なことです。しかし、手続きには期限が設定されているものが多く、速やかに処理しなければ後々問題が生じることも考えられます。
精神的に大変な時期ですが、悔いを残さず冷静に対応できるように書類の準備を進めておきましょう。その際には、ぜひこの記事の内容を参考にしてみてください。
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