誰かが亡くなったとき、その遺族を慰め援助するために包まれるのが香典です。通夜と告別式の両方に参列するのであれば通夜のときに渡した方がよい、金額は3万から故人との関係性によって10万、などマナーが存在します。
冠婚葬祭に付随する催事でも税金は関わってきます。香典も例外ではありませんが、一般的な範疇の金額であれば課税されることはありません。どんな場合にどんな理由で課税されないのか、香典と税金についてまとめました。
<この記事の要点>
・香典は常識的な範疇の金額であれば不課税となる
・香典返しは相続控除の対象外となるため、税金がかかる
・会社が香典を受け取った場合、雑収入となるため税金を払う必要がある
こんな人におすすめ
香典は非課税・不課税どちらなのかを知りたい方
香典の課税関係について知りたい方
香典は経費計上できるのかを知りたい方
課税されることはないと序文で触れましたが、実際はどんな理由で税が課されないのでしょうか。税が課されないものは2パターンあり、非課税と不課税に分類することができます。
不課税か非課税かを細かく知っておく必要は普段はあまりないかもしれません。しかし、どのような分類分けがなされているかを知ることで、葬儀に関わるどの部分で課税されないのかをより詳しく知ることができます。
香典は不課税と言われていますが、細かく分類すると非課税の部分と不課税の部分の2種類に分かれています。結論からいってしまうとどちらも税金の対象外のため、何らかのかたちでお金が引かれてしまうことはありません。
まず関係する税金として所得税や贈与税が出てきます。これらは非課税の区分です。次に消費税についてですが、こちらは不課税取引とみなされるため不課税の区分です。税の種類によって非課税になるか不課税になるかが決まります。
国税庁により不課税と定められているものに対しては税金を払う必要がありません。しかし、非課税の場合にも同じことが言えます。どちらも同じような言葉に見えますが、どんな違いがあるのかを確認していきましょう。
まず不課税ですが、こちらは「はじめから課税対象に含まれないもの」です。課税対象に含まれていないことを理由に消費税などの税を支払う必要はありません。
不課税の具体例としては給与や賃金、祝金や見舞金の他に保険金、株式の配当金などがあげられます。どれも取引に税が生じないものであることが分かります。
続いて非課税は「本来であれば課税されるべきものであるが、何らかの事情によって課税されない」ものを指します。
社会政策的な配慮が理由であるほか、消費する側が更に税を支払う負担が大きすぎるものに対して用いられます。例としては土地や有価証券の譲渡、銀行券や約束手形、商品券の譲渡などがあげられます。
不課税という性質から、やり取りをする際でも税金を心配する必要はありません。ですがこれは常識的な範疇の金額におさまっているときに限定されます。あまりにも大きな金額の移行は香典という名目であったとしても、課税対象となってしまう可能性があります。
ここで気にしておきたいのが、社会的に一般的な金額とはどこからどこまでを指すのかについてです。いくら渡すかは相手の立場や自分との関係性、また自分の年齢によって変動してきます。
故人が親類かどうかで値段は大きく上下してきます。親の場合は10万円出したとしても不適切な金額とはみなされません。兄弟の場合は5万円、親戚の場合は1万円ほどが相場といわれています。自分との血縁関係が濃いほど、多くの金額を出す傾向にあります。
ここまで香典について課税対象となるのかどうか、一般的な適正金額はどのくらいかなどおおまかな内容についてまとめてきました。
ここからは対象となる税について、一つ一つクローズアップしてまとめてあります。所得税、贈与税、消費税、相続税など関係すると思われる税金の種類はいくつかあります。それぞれの税がどう扱われているか見ていきましょう。
一つ目の税金は所得税です。所得税は給与などの所得に対してかかってくる税金です。香典も所得であることにかわりはないため、所得税を支払う必要が出てくるように見えてしまいます。
しかし実際には同じ所得でも非課税所得という扱いになります。社会政策的に適当だと判断される場合、所得があっても非課税にするということでした。非課税とみなされるものは他にも種類があり、葬祭料や災害時の見舞金などにもこれが適用されています。
社会通念上問題ないと思われる範疇であれば非課税所得となるため、所得税を支払う必要はありません。反対に、大きな金額をもらってしまった場合、所得税を支払う必要がでてきてしまうかもしれないため気をつけましょう。
所得税の次に贈与税も大きな関わりを持ってくる税です。贈与税は個人から別の個人に財産を贈与するときに発生してくる税金です。贈与額が大きければ大きいほど、支払うべき贈与税も大きくなるのが基本です。
この仕組みをふまえると、贈与税も支払う必要があるように思えてきます。ですが心配はいらず、こちらも非課税の扱いを受けています。所得税と贈与税は共に非課税であるため、税金を支払う必要はありません。
他にも贈与税が非課税となるものには花輪代や贈答品、見舞い時の金品などが含まれます。こちらも同じく社会通念上相当だとみなされる金額におさまる場合に限ります。所得税と贈与税は非課税でしたが、ここから先の消費税については扱いが変わってきます。
次は消費税についてです。消費税は社会人でなくとも、普段から接することの多い税の一つと言えるでしょう。何かものを買ったときに消費税として代金の8%もしくは10%を支払う義務があります。
香典にもこの消費税は適用されるのかどうかですが、前述の通りこちらは不課税取引とみなされます。所得税と贈与税は非課税でしたが、改めて消費税は不課税となることが分かります。非課税と違い「元々課税されるべきではない」と考えられているものです。
消費税が不課税となるものは他にも複数種類があります。葬儀に関するものでいえばお布施の代金があてはまります。逆に献花や果物などのお供え物には消費税がかかってしまうため、注意しておきましょう。
所得税、贈与税、消費税のどれもが非課税もしくは非課税という扱いを受けています。最後に相続税についてチェックしてみましょう。相続税は誰かが亡くなったあと、財産を相続する際に発生する税になります。贈与と違い、相続は故人が亡くなったあとに行われます。
故人が亡くなったことを理由に葬儀が行われるわけですし、香典は故人に由来するものですから一見相続税が発生するようにも見えます。一旦は故人に属するお金ではないかと思う人もいるでしょう。
実際には相続税が発生することはありません。理由としては、香典は遺族のために包まれる金品であって、故人に宛てられるものではないためです。一時的にも故人の財産とはならないため、相続税が発生することもありません。
所得税、贈与税、消費税、相続税のどれも支払う必要がないのは非常に助かります。ただでさえ葬儀の時期は慌ただしいことが多く、税金のことまで気が回らないという人も多いでしょう。
また金額的な負担も大きいことから、税が生じないのはありがたいことです。中には葬儀や生活が大変だろうと、生前の故人との付き合いが深い場合などは大きな金額を包みたくなってしまうかもしれません。
しかし、不適当に大きな金額を包んでしまうと課税対象としてみなされてしまう危険があるためこちらも気をつけましょう。具体的に課税対象となるのは所得税と贈与税の2つです。
非課税もしくは不課税となることから、香典にかかる税金については心配いらないように思えます。しかし全く気にしなくてよいというわけではなく、香典返しのときには特に気をつけるべきだといえます。
香典返しは相続控除の対象外となっているため、通常通り税金がかかってしまいます。香典返しのほかにも墓石や墓地の購入代、法事のためにかかる費用などは控除が効きません。
一方で火葬にかかる代金や遺骨の回送にかかる費用、読経料などは葬儀の上で全て必要な代金であるため控除の対象となります。
香典に関わる全てが非課税もしくは不課税というわけではないため、何が葬式費用に含まれて何が含まれないのかを事前に確認しておくことをおすすめします。
最後は経費として計上できるのか、香典の仕組みや勘定の内訳を、社葬をふくめてまとめています。会社に影響があった人の葬儀を社葬として執り行うべきか、遺族がするべきかの参考になるポイントもそれぞれの見出しにまとめられています。
経費として計上できる反面、故人で葬儀を催すときとは異なる注意点も出てきます。仕様の違いをよく知って、納得のいく決断に近づければ幸いです。
まず一番はじめに気になる点は、経費として香典を計上できるか否かです。こちらは問題なく経費として計上することができます。会社が業務の中で出した慶弔見舞金は原則として経費計上することが可能です。
他の慶弔見舞金の例として結婚祝いや出産祝い、病気の見舞金などがあげられます。これは会社のみならず、個人事業主の場合でも同じルールが適用されます。すなわち、取引相手のように見舞金や香典を出すのが相応とみなされる場合には、経費計上ができます。
次に経費として計上する際の勘定科目です。相手が取引先の場合は交際費になります。これは現在の取引先だけでなく、取引先の社長のご両親が亡くなった場合でも同じく交際費として計上して問題ありません。
支出の先が同じ会社の従業員の場合、勘定科目は福利厚生費となります。自分の会社の内か外かで勘定科目は変わってくるため注意が必要です。しかし、どちらの場合も経費として計上できることにかわりはありません。
注意しなければならないのは、経費として計上できるのは業務関連のみという点です。例えば会社を経営していたとしても、自分の家族への香典を経費として計上することはできません。
香典は誰が受け取ったかによって、雑収入かそうでないかがかわります。ここは明確に損得が生じてしまうため気をつけておきましょう。
まずは最終的に遺族が受け取ったケースです。この場合はこれまでにまとめてきた情報通りのため、税が生じることはありません。受け取った金額から引かれるものはなく、包まれたお金は問題なく遺族に渡ります。
会社が受け取った場合、扱いが変わってしまいます。社葬などで会社が香典を受け取った場合、雑収入として処理する必要が生じてしまいます。
収入として勘定されるため、税金を払う必要がでてきます。一度会社が受け取りその後に遺族に渡った場合、雑収入の後に寄付として処理されます。
こういった事情から、香典は遺族に直接渡る方法をとるのが望ましいとされています。出す側は交際費や福利厚生費として計上することができますし、受け取る遺族側は税をとられる心配がありません。
社葬の場合は他にも経費計上することができる項目が複数存在します。経費としてみなされるものは葬儀に必要とされる項目が占めており、遺族が個人で賄うべきだと考えられる項目においては計上することができない傾向があります。
経費として認められる費用の例には読経料や会場費用、祭壇費に警備費用、花代や飲食費などが含まれます。どれも社葬を行う上での必要経費と考えられるでしょう。
一方で経費として認められない費用は墓地や墓石、仏壇にかかる費用や戒名料などがあります。先ほど挙げた香典返しの費用や火葬料、死亡診断書にかかる費用なども認められません。
どれも手続きが欠かせないものにかわりはありませんが、葬儀に直接必要な費用ではないことが分かります。
弔慰金は葬儀後に遺族に国や会社から支払われるお金を指します。時期こそ違いますが、役割は非常に似ています。弔慰金も同じく相続財産としてはみなされません。そのため一般的な額であれば受け取っても相続税は発生しません。
この仕組みは節税に使おうと思えば使えてしまいます。多額のお金を弔慰金として渡して節税することを防ぐため、非課税枠が設けられています。非課税枠は普通給与の3年分となっており、それを越えた額は死亡退職金の扱いを受けます。
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香典と税には複雑な関係があり、非課税と不課税の違いなど、一目見ただけでは分かりにくい要素もあります。共通して言えることは非課税であっても不課税であっても、税金を支払う義務は生じないということです。
所得税、贈与税、消費税に相続税と関係する税金の種類はありますが、どれも課税対象から最終的には外れています。香典と税金の関係を知ることは、葬儀に関しての不安を解消することにもつながります。
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香典の郵送は、現金を不祝儀袋に入れ、現金書留用の封筒でなるべく早く送ります。ホゥ。