葬儀をする立場となった際、手配しなければならないことは多岐に渡ります。記帳案内や香典の受け取りを行う受付係も、手配しなければならない事柄のひとつです。
しかしながら、「密葬でも受付は必要なのだろうか」「家族だけなら受付は要らないのでは」と判断に迷うことがあるかもしれません。
今回の記事では密葬における受付の必要性や役割、受付に関する注意点について解説します。密葬で受付についてお考えの際など、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・密葬の場合、遺族が参列者を把握しているため基本的に受付は必要ない
・参列者リストの作成が負担になる人数かどうかで受付有無を決める
・香典の盗難や紛失防止のため、受付を離れる場合は代わりの人に不在時の対応をお願いする
こんな人におすすめ
密葬と家族葬の違いを知りたい方
密葬に受付が必要かどうかを知りたい方
葬儀で受付をする際の注意点を知りたい方
そもそも密葬とは、どのような葬儀を意味するのでしょうか。密葬と家族葬を同じようなイメージでお考えの方もいらっしゃるかもしれません。実は「密葬=家族葬」ではありません。言葉の意味合いについて、認識の相違はトラブルにつながることもあります。
まずは密葬の意味を確認しておきましょう。
密葬は、日を改めて「本葬(ほんそう)」を行うことを前提として行う葬儀です。一般的に密葬は限られたごく近親者のみで行い、本葬では広い範囲の方々に参列していただく形式で行います。
なお、密葬は限られたごく近親者のみで行うことが一般的であるため、自然と小規模な葬儀になる傾向にあります。
たとえば、企業の経営者が亡くなり大規模な葬儀を行う場合に、密葬を経て本葬をするケースです。大規模な葬儀では、関係者への案内や会場の手配など相応の準備期間が必要となることがあります。そのため、まずは家族だけで密葬を行い、準備を整えてから後日に本葬を行うという流れです。
家族葬は比較的新しい葬儀用語で明確な定義はありませんが、一般的には家族や親族を中心に故人と近しい人だけで行う葬儀という意味で捉えられています。
同居していた家族数名のみで行う場合もあれば、家族に加えて親族も参列し20人30人で行う家族葬とする場合など、一口に家族葬と言っても参列者の範囲には遺族の意向により様々です。
家族や親族を中心に故人と近しい方だけで行いますので、家族葬も密葬と同じように小規模な葬儀になることが多数です。
本葬を行うことを前提としていないのに、家族葬をイメージして密葬という言葉が使用されるケースが近年増えています。「密葬で行います」との案内を受けて「後日、本葬があるのかな」と思ってしまう人が出てくる可能性があります。認識相違によるトラブルを避けるためにも、密葬の本来の意味は理解しておきたいところです。
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一般参列者として葬儀会場に足を運び、記帳をして香典を差し出す受付が設置されている様子を目にしたことがある方は多いでしょう。では、密葬でも受付は必要なのでしょうか。「家族だけなので受付は必要ない」と思う方もいるかもしれません。
ここでは、密葬の受付について必要性を解説します。
密葬で行う場合、基本的に受付は必要ありません。密葬は故人に近い限られた範囲内の参列者のみで行うことが一般的であり、誰が参列するか葬儀前に遺族側が把握しているためです。
ただし、密葬でも家族親族で50人を超えるような規模になる場合や、一般葬と同じような規模や内容で行うこともあり、状況に応じて受付を設置する場合もあります。
なお、密葬でも香典をいただくことがありますが、香典の件数は多くありません。そこで密葬の場合、参列者から遺族が直接香典を受け取る方法をとることがほとんどです。受付は設けなくても後々のお付き合いを考えて、参列者名やいただいた香典の記録は残しておくことをおすすめいたします。
密葬であっても受付を設置したいときには、葬儀業者に相談をしてみるとよいでしょう。特に密葬では会場も小スペースであることが多いため、受付を設営する場所を確保することが難しい場合もあります。
設営場所の確保や備品の準備もありますので、受付の設置を希望する場合には早めに葬儀業者に相談することをおすすめいたします。
家族葬では参列される方の範囲や人数によっては、受付を設置した方が良い場合もあります。特に遺族以外に親戚の方々が多く参列される場合や、故人の友人が参列する場合には、受付を設けた方が無難です。
親戚であっても普段は接点がなく顔が分からない方が来られる可能性もありますし、故人の友人の名前が正確に分からないこともあります。遺族が参列者の記録を残す負担を軽減するとともに、参列者の名前や現住所などより正確な情報を得られることも受付を設置するメリットです。
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小さなお葬式で葬儀場をさがす
受付係を設けた方が良いのか、判断に迷ったときはどうすればよいのでしょうか。受付係の有無について、判断の基準になるような考え方があれば助かります。会場の大きさ、参列者との関係性など諸々の状況によって変わることもありますが、判断の基準となる主なポイントは2つです。
ここでは判断の基準となる主なポイントを紹介します。
一つは、参列者のリストを遺族自らの手で作成することが負担になる人数かという点です。人数が増えても受付で参列者各自が受付の芳名帳に名前を残してくだされば、遺族が参列者のリストを作成する負担がなくなります。
もう一つは、普段あまりお付き合いのない方が参列する場合です。久しぶりにお会いする親戚など顔が分からない方が来られても、受付を用意しておくことで誰が参列してくださったのか確認することができます。
小規模の葬儀では、誰に受付係を依頼すればよいか困ってしまうケースが珍しくありません。昨今は参列者のほとんどが高齢者で、受付を出来る人がいないという事例も多く見られるようになりました。
受付係は遺族の代わりに挨拶を受ける立場でもあり、しっかりとした応対が出来る方が適切です。また、香典を受け取る場合には、お金の管理を任せられる方を選ぶ必要があります。
なお、受付係の代行サービスを利用する方法も選択肢の一つです。受付係の人選で困った際は、葬儀業者に相談すると良いでしょう。
受付係を依頼する遺族側の立場であっても、依頼を受ける立場であっても、受付係の役割を知っておくことは大切です。葬儀の会場で受付係は具体的にどのような役割があるのでしょうか。
受付は参列者が会場に到着し、最初に弔問の挨拶を行う場所です。受付係は遺族に成り代わって弔問の挨拶を受け、ときには香典を預かる重要な役目を担います。
まず会場に到着したら、下記の点について葬儀業者の係員から説明を受け、受付での立ち位置など関する打ち合わせを行います。
芳名録(芳名帳)の使い方
香典の受け取り方
香典を受け取ったあとの現金管理や会計について
返礼品の内容、渡し方や渡すタイミング
参列者の導線
なお、筆記用具、電卓、香典や名刺を受け取るお盆、受付係が付ける腕章など、受付周りで必要な備品は葬儀業者が用意することが一般的です。
香典を受け取ることも受付係の役割です。受け取った香典の対応については、会計係に回す場合、受付係がそのまま保管しておく場合など、葬儀によって対応が異なるので事前に確認しておきましょう。
ただし、密葬や家族葬では香典の受け取りを辞退するケースが多々あります。香典を辞退している場合は、香典を差し出されても受付で丁寧にお断りすることが必要です。どうしても断りきれない場合は、近くにいる葬儀業者の係員か遺族に相談をしましょう。
参列者が受付に来られたら、芳名録へ住所や氏名の記入を案内します。芳名録の形式は主に2つあり、ひとつは冊子状になっているもの、もうひとつはカード形式でファイルに綴っていくタイプのものです。
基本的に会葬に来られた方は、香典の持参有無に関わらず全員に記帳していただきます。芳名録はあとあと遺族が香典返しや御礼状を送付する際などにも使われますので、漏れなく記入を促すことがポイントです。
返礼品には主に会葬御礼品、香典返し、粗供養品があります。どのように返礼品を用意して受付で渡すかは地域や遺族の意向によって変わってきますので、こちらも受付開始前に確認が必要です。もちろん香典辞退の場合には香典返しも用意されません。
一例として関東圏では、通夜または葬儀告別式の場で香典を受け取ったら、その場で会葬御礼品と香典返しを参列者にお渡しする方法が多くなっています。
参列された方が受付に来られた際は、まず軽くお辞儀をしてお越しくださったことに対する感謝の意を表します。そのときに「ご会葬ありがとうございます」と一言付け加えますとより丁寧です。
その後、参列者が記帳をしてくださったとき、香典を受け取ったときには「ありがとうございます」と一言添え、再度御礼のお辞儀をします。
受付を終えた方については、式場や待機場所に進むよう誘導を行います。
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小さなお葬式で葬儀場をさがす
受付係は遺族の代理とも言える立場ですから、故人や参列者に失礼のないよう適切な対応をとることが求められます。また、大切な方を亡くして大変な状況にある遺族に対して余計なトラブルで迷惑をかけるわけにもいきません。
受付係を担当する方は、どのような点に注意すべきでしょうか。受付係として注意しておいた方が良いポイントも確認しておきましょう。
葬儀の場では、忌み言葉を使わないことがマナーです。忌み言葉とは、不幸の連続を想像させるような言葉や表現のことを言います。下記は忌み言葉の一例です。
・「くれぐれ」「またまた」「たびたび」などの繰り返し言葉
・「再び」「続きまして」など連続や継続を意味する言葉
・数字の4や9(死や苦しみをイメージさせるという意味で避けます)
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香典を受け取る場合には、盗難や紛失を防止するためにも、香典を置いたまま受付に誰もいなくなるという状態は避けなければなりません。香典を受け取らない場合でも、受付不在時に来られた参列者が困ってしまいますので配慮が必要です。
受付を一人で行うケースでやむを得ず受付を離れる場合には、代わりとなる方や葬儀業者の係員に不在時の対応をお願いすると良いでしょう。
受付係をしていますと、お手洗い、自動販売機、クロークの有無や場所について質問を受けることがあります。受付を開始する前にお手洗いなどの場所を確認しておくと、質問を受けても対応がスムーズです。
その他、会場外になりますが、近くのコンビニエンスストアや最寄り駅までの道順について質問を受ける可能性もありますので、これらの情報も確認しておくとより万全です。
通夜、葬儀告別式の両日とも、男性も女性も喪服の着用がマナーです。その他、ヘアスタイルが整っているか履物は綺麗な状態になっているかも確認しましょう。基本的にアクセサリーは外し、香水などもつけないこともチェックポイントとなります。
葬儀での装いは、お洒落や自分が目立つことが目的ではありません。葬儀の装いは故人に弔意を示し、儀礼の場における厳粛な空間を造り出すためのものであるという認識が大切です。
受付係へのお礼はどうしたら良いのでしょうか。受付係をしてくださった方に対するお礼は、必ずしも用意されるわけではなく地域の慣習や遺族の意向によって対応方法が様々あるのが現状です。
実際の葬儀では地域事情に詳しい葬儀業者に相談をすることをおすすめしますが、ここではお礼を用意する場合の渡し方などについて一般的な考え方を紹介します。
まず何を渡すかについては、大きく分けて2つの方法があります。一つは現金で、もう一は品物です。現金に抵抗があるときには類似するものとして、ギフトカード、お米券、ビール券を用意することもあります。
渡すタイミングは、現金の場合は葬儀会場で「受付開始前または受付係がお帰りになる前」です。一方、品物については「葬儀会場で渡すか、葬儀後手渡しするか、御礼状を添えて宅急便で送る」という2種類の選択肢があります。
お礼の金額は、1,000円から3,000円が目安です。高額過ぎますと、相手が戸惑ってしまうことがあるという点は心得ておいた方が良いでしょう。なお、受付係をしていただいたのが通夜と葬儀告別式のどちらか一日だけでも両日であっても、お渡しするのは一回で同額です。
香典返しを葬儀会場で渡す形式の葬儀で受付係のお礼に品物を渡す場合には、香典返しを受付係のお礼としてお渡しするケースもあります。香典返しには2,000円から3,000円程度の品物を用意していることが多いためです。この場合、受付係をされた方から香典をいただいている場合には、同じ香典返しの品物が二つ相手の手元にいくことになります。
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密葬で葬儀を行う場合には、基本的に受付は必要となりません。密葬は本葬を行うことを前提とし、限られた参列者のみで行う葬儀です。最近は密葬と家族葬を同じようなイメージでお考えの方も増えていますが、認識の違いによるトラブルを避けるためにも本来の意味を知っておきたいところです。
受付係は葬儀の場で、遺族に代わり参列者の対応をする重要な役割を担います。また、香典で受け取った現金を扱うこともあります。しかしながら、昨今は参列者の多くを高齢者が占め、受付係の人選に困っている遺族も増えているようです。
密葬はもちろんのこと、家族葬など小規模な葬儀は小さなお葬式の得意分野です。受付設置について判断に迷ったり、受付係の人選に困ったりした際はぜひご相談ください。
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