法事に招かれてお菓子を持参し、仏様や故人にお供えをすることはよく見られる光景です。しかし、「お菓子を持参する際、どのように選んだらよいのだろうか」と悩んでしまう方も少なくないようです。
本記事では、法事のお供え物でお菓子を選ぶときに役立つポイントを確認することができます。お供え物としてお菓子を贈る際のマナーも大切です。併せて、返礼品としてお菓子を用意するときに参考になる情報も紹介いたします。ぜひ最後までご覧ください。
<この記事の要点>
・法事のお菓子は小分けになっているものや日持ちが良いものを選ぶ
・お供え物に適した和菓子として砂糖菓子、饅頭、大福などがある
・お菓子には掛け紙をかけ、水引は「結び切り」とするのがマナー
こんな人におすすめ
法事に参列する予定のある方
法事にお菓子を持参することを考えている方
法事のお菓子を選ぶポイントを知りたい方
まずはお供え物をする意味、お菓子を用意する理由から一緒に確認しておきましょう。法事で仏様や霊前に上げられるお供え物は、お菓子だけでなく生花、線香、灯籠(とうろう)、果物など多種多様です。
法事で用意するお菓子を選ぶにあたり、なぜお供えをするのか、なぜお菓子をお供えするのかという基本的な部分を知っておくことは大切です。
供養は「供給資養(きょうきゅうしよう)」の略語で、もともとは主に僧侶、修行僧に対して食べ物や衣服などを提供して生活を支援することを意味する言葉でした。
これが現在では、故人や先祖に対して成仏や冥福を祈り、家族親族のご加護などを願うために法要を営んだりお供え物をしたりする行為全般を指すようになっています。
つまり、お供え物も供養の一つです。お菓子を用意するにあたっては、故人や先祖を想う気持ちが大切であると言えるでしょう。
お菓子をお供えするようになった理由には諸説ありますが、昔は砂糖が貴重品であったことに由来すると言われています。
昔は甘い物の入手は容易ではなかったため、畏敬の念を示すに相応しい品物を献上する意味合いで砂糖菓子がお供えされるようになり、饅頭や羊羹など幅広い菓子が対象に広がっていったということです。
法事でお菓子をお供えするのは、故人や先祖に良い物を召し上がっていただきたいという先人たちの気持ちから生まれた慣習と考えられます。
【法事のお供えに適したお菓子】
小分けになっているもの | 後で参加者に分けることを想定しておきます。 |
包装されているもの | 後でお下がりをいただくことを考え、虫などが寄ってこないものを選びます。 |
痛みにくいもの 日持ちがするもの |
しばらくお供えしておくことや、すぐに食べることが難しいケースもあることを考慮する必要があります。基本的には常温保存可能なお菓子がおすすめです。 |
溶けにくいもの | 夏場など、常に冷房が効いている場所にお供えされるとは限りません。 |
食べやすいもの | 高齢者の参加が特に多い法事では、喉に詰まりやすいものや固いものは避けましょう。 |
【法事のお供えに適さないお菓子】
傷みやすいもの | 夏場は特に注意を要します。 |
匂いが強いもの | 匂いに敏感な方もいらっしゃいます。 (例)カレー味のスナック菓子など |
色合いが派手なもの 装飾がにぎやかなもの |
お祝いごとで持参するお菓子ではないことを認識しておきましょう。包装にも要注意です。 |
仏教の教えのなかで、お供え物のお菓子に推奨されているものがあるわけではなく、禁止されているものもありません。上記の表は、お供え物という性質、家族や親族など参加者への配慮から、より適しているもの、特に避けたほうがよいものとして紹介しています。
故人が好きだったお菓子は、お供え物として喜ばれるものの一つです。仮に傷みやすく、お供え物に適さないと紹介したお菓子でも、「故人が好きだったから」という理由で選ぶのであれば許容されるケースが多いです。
ただし、傷みやすいものであればドライアイスで保冷処置をしたり、虫が寄り付かないようにラッピングを工夫したりするなど、可能な限りの配慮は必要でしょう。
喜ばれるお供え物のお菓子には、地域の特産品も挙げられます。参列者である自分の地元や居住地の特産品も考えられますし、故人の郷里の特産品も選択肢です。
ただし、地域の特産品からお菓子を選ぶ際には、故人が好んでいたお菓子とは少々勝手が異なります。特産品から選ぶ場合、先に紹介したお供え物のお菓子に適さないものは避けましょう。
法事でお供え物として贈るお菓子の金額相場は2,000円から5,000円となっています。供花も贈っているけれど、プラスアルファとして数千円のお菓子をという方や、香典は持参するものとして、他にも何か持参したいので数千円のお菓子を、という方が多いようです。
お供え物のお菓子は、必ず用意しなければならないものではありません。自分の予算と相談しながら、無理のない範囲で検討しましょう。
「皆さん、どのようなお菓子を選んでいるのかな」「喜ばれるお菓子は何だろう」と気にされる方は多いようです。日常的に購入するものではないですし、迷うことに無理もありません。
ここでは、和菓子と洋菓子とに分けておすすめのお菓子を紹介いたします。どのようなお菓子を選べば良いか迷った際に参考にしてみてください。
和菓子は日持ちするものが多く、お供え物として適したお菓子が豊富にあります。選択の幅が広いことで、どれを購入すればよいか迷ってしまう方も多いようです。和菓子のおすすめは下記です。
・砂糖菓子(落雁、片くりものなど)
・饅頭、大福
・団子
・練り菓子(練り切り、雲平など)
・羊羹(水ようかん含む)
・煎餅、あられ、おかき、かりんとう
・カステラ、どらやき
・最中
・甘納豆、文旦漬
昔から砂糖菓子で落雁(らくがん)は特に定番でしたが、最近は饅頭、羊羹、煎餅も人気です。日持ちの観点からは、特に焼き菓子の類や、真空パックされているものを選ぶと安全です。
和菓子に比べれば洋菓子を選ぶ方は少ないようですが、洋菓子のお供え物が珍しいということはありません。
お供えしたあとに参加者で分けて食べることを考えると、洋菓子は小さなお子様が食べやすいものが多いという点も魅力です。下記がおすすめの洋菓子となっています。
・クッキー、ビスケット、サブレ
・パイ、タルト
・ドーナツ
・バウムクーヘン
・マカロン、メレンゲ
・ゼリー
洋菓子ではクッキーやゼリーが特に人気のようです。生ものはお供え物として適さない部類に入りますが、ケーキ類は故人が好きだったものとしてお供えされる様子がしばしば見られます。
せっかく気持ちを込めてお菓子を用意したつもりでも、贈り方がマナーに反していては残念です。贈り方には慣習上適切な方法があり、直接手渡しするとき、宅配便等で送付するときにもそれぞれ注意事項があります。
贈り方のマナーは地域性もありますし、難しいところではありますが一般的なマナーは認識しておきたいところです。
お菓子には掛け紙をかけます。「のしをつける」という言い方を耳にすることがありますが、正確には「のし」はお祝いごとで用いるものであるため、弔事では「掛け紙」という表現が適切です。
掛け紙の右上に「のし」の印が付いているものはお祝い用となりますので、注意しましょう。
掛け紙は、水引が印刷されているものが一般的です。水引は祝儀袋や不祝儀袋、贈答品につける飾り紐で、表側中央に結び目が施されます。
弔事での結び目は「結び切り」とするマナーがあります。水引の色は地域によって白と黄を使うところもありますが、白と黒または白と銀が無難です。
掛け紙の水引の上側中央には、どんな意味合いの贈り物なのかを示す「表書き」を表記します。法事でのお供え物の表書きは「御供」または「御供物」が一般的です。
葬儀では薄墨の筆記具を用いることがありますが、法事での表書きは通常の濃さの筆記具を使用します。
なお、表書きの水引を挟んで下側には、お供え物をする人の名前を表記します。
施主や施主の家族にお供え物を渡す際は「御霊前(または御仏前)にお供えください」と一言添えながら、必ず両手で持ちながら差し出します。
よく見られるマナー違反は、手提げ袋ごと差し出す行為です。お供え物に限らず、贈答品は手提げ袋から出して渡すのがマナーです。
相手に「お持ち帰り用に袋があったほうが良いですか」と伺って、相手が必要とおっしゃるのであれば、お供え物が入っていた袋をお渡しすることは許容範囲です。
なお、風呂敷で包んで持参する方法でも問題ありません。
宅配便を利用してお供え物を贈る場合には、手紙を添えると丁寧です。たとえば「この度は〇〇様ご法事に伺うことができず申し訳ありません。心ばかりの品をお送りいたしますので、御仏前にお供えいただければと存じます」のような手紙を添付します。
内容は主に、法事に伺えないことのお詫びと、お供え物を贈るので御霊前(または御仏前)にお供えしてくださいというお願いの2点です。
法事ではお供え物としてではなく、返礼品としてお菓子を用意することもあります。法事で用意する返礼品には、日用品や食料品など後々残らないものを選ぶことが基本的なマナーです。返礼品の選択肢のなかで、お菓子が選ばれることも多くあります。
お菓子を選ぶときに、注意すべき点も確認しておきたいところです。ここでは法事において返礼品として用意するお菓子についてご紹介します。
参列や香典返しの御礼として法事で返礼品ををお渡します。
葬儀では、参列に対するお礼品と香典に対するお礼品は別々に用意しますが、法事では、参列と香典の両方に対するお礼品を一つ用意することが一般的です。
ただし、地域によって対応方法が異なるケースもありますので、実際に御礼の品物を手配する際には、地域の慣習を確認しておく必要があります。
返礼品としてお菓子を選ぶ場合でも、お供え物として選ぶ場合と配慮すべき点は同様です。特に賞味期限や消費期限が迫っているもの、生ものは避けるべきでしょう。
そのほか、法事会場でお渡しすることを考慮し、参加者が持ち帰りやすいように軽くてコンパクトなものを選ぶことも覚えておきたいポイントです。
なかには、見栄えを気にして、大きな箱を希望される方もいらっしゃいますが、箱が大きくて良かったという声が参加者から聞かれることはないようです。
返礼品として用いるお菓子は2,000円から3,000円程度が金額相場です。高額な香典をいただいてしまった方などに対しては、後日改めて金額に応じた御礼の品物をお返しすることになります。
お菓子に限りませんが、返礼品を渡す際にも心得ておくべきマナーがあります。せっかく参加者から頂いた御厚志に対して失礼な対応をするわけにはいきません。返礼品は参加者がお帰りになる際、お渡しします。
最後のお見送りまで礼を尽くし、参加者の皆様に平穏な気持ちでお帰りいただくためにも、返礼品の渡し方について注意すべき点を紹介します。
掛け紙の種類は、法事の返礼品でもお供え物を贈るときと同様で、白黒または白銀の水引が印刷されたものを使用することが一般的です。水引の結び目は、不幸事を繰り返さないようにという意味合いで結び切りとなります。
法事の返礼品では、掛け紙の表書きを「志」や「粗供養」などと表記します。表書きの下部には「〇〇家」や「施主」と書き入れることが通例です。関西地方など四十九日の法事については「満中陰志」の表書きを用いるケースもあります。
返礼品を渡すタイミングは、法事の参加者がお帰りになる時です。法事では食事の席が設けられますので、食事の席がお開きになったあとに参加者のお見送りをしながら返礼品を渡します。
渡すときには「本日はありがとうございました」と感謝の言葉を添え、両手を添えて差し出すことがポイントです。
なお、会食の時間を設けず法要のみで終了とする場合には、僧侶の法話が終わり、施主が最後の挨拶を行ったあと、参加者がお帰りになるタイミングで返礼品を渡します。
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生花、果物、線香など様々な選択肢があるなかで、お菓子も法事の定番のお供え物の一つです。
お供え物としてお菓子を選ぶ際には、小分けになっているもの、日持ちがよいものなど配慮しておきたいポイントがあります。和菓子では饅頭、羊羹、煎餅が人気で、洋菓子ではクッキーやゼリーがおすすめです。
また、返礼品としてお菓子を用意する場合でも、選ぶ際の配慮すべきポイントはお供え物のときと同様ですが、持ち帰りやすい品物を選ぶと参加者の負担になりません。
お供え物のお菓子も返礼品のお菓子も、贈り方や渡し方に掛け紙や表書きのマナーがありますので、失礼のないよう準備をしておきたいところです。
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