一周忌は故人が亡くなってからちょうど1年後に迎えるものですが、仏壇の準備について分からず困っている人も少なくないようです。
法要をどこで営むか、僧侶に依頼するのかなど家庭ごとに状況は異なりますが、仏様や故人に失礼のないよう一周忌に備えて仏壇も整えておきたいところです。
本記事では、一周忌を迎えるにあたり仏壇の飾りやお供え物をどうすればよいのか紹介します。一周忌の準備を進める際には、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・燭台、花立て、香炉の1セットを三具足といい、故人や先祖の供養をするための基本の仏具である
・一周忌の仏壇で基本となるお供えものは「香り」「花」「灯明」「水」「飲食」の五供である
・仏壇にお供えする花で茎や葉に棘がある、香りが強いなどの花は避けた方が良い
こんな人におすすめ
一周忌法要を控えている方
一周忌の仏壇の飾り方を知りたい方
仏壇がない場合の一周忌の迎え方を知りたい方
一周忌は数ある法要のなかで、逝去後1年目という節目にあたるため、重要視される傾向にあります。仏壇も相応しい状態にしておきたいところです。
仏壇は一周忌当日だけ飾りやお供えをしておけばよいのでしょうか。自宅以外を法要会場に選択したときには、気にする必要はないのでしょうか。
まずは仏壇の準備に入る前に、飾りやお供えの必要性など基本的な点を確認しておきましょう。
最近は今までにない様式の仏壇も見られるようになりましたが、本来の仏壇の内部の造りは、お寺の本堂を模したものです。本堂には必ず宗派やお寺を象徴する阿弥陀如来など本尊が祀られています。仏壇も、本尊を祀ってこその仏壇です。
仏壇は、実状として故人や先祖の供養をする目的がありますが、第一義的には自宅においても本尊との繋がりを持ち、信仰を深めるために設けるものです。一周忌の準備に関しても、仏壇の根本的に意味するところは知っておきましょう。
当日でNGというわけではありませんが、おおむね整った状態で当日を迎え、湯茶や煮炊きした料理などのお供えは、当日の朝一番にお上げするのが基本です。
事前の準備として考えられるのは下記のことがらです。
・仏壇の内側外側の掃除(仏壇の設置してある部屋もきれいにしておきます)
・位牌、燭台(しょくだい/ロクソク立て)、香炉など仏具の点検やメンテナンス
・線香、ロウソク、花そのほか、お供え物の用意
掃除をする際、水気はカビや変形、洗剤は変色をきたすリスクがあり、仏壇にとっての大敵です。できるだけ乾拭きで済ませ、洗剤を使うのであれば仏壇用を用いましょう。
たとえば、お寺や法事会館や料理屋など自宅以外を法事会場に決めたとしても、一周忌は大切な日ですから、掃除やお供え物は自宅で法要を営むのと同じように準備しておくことが適切です。当日は線香を手向けるなどして、仏壇へのお参りも不可欠と心得ておきましょう。
仏壇の飾り方に詳しい人よりも、何が分からないかすら分からないといった人のほうが多いかもしれません。仏具については、仏壇購入時に一式そろえているものと考えられますが、一周忌を迎える前にあらためて確認しておきましょう。
お寺の本堂は住職の意向が反映されていることがあるものの、一定のルールに基づいて物品が整備されています。基本的な仏具、飾り方の基本をおさえておくことも重要です。
仏壇の大きさで置ける仏具が制限されることもありますが、下記を一例として参考にしてください。
名称 |
目的や注意点など |
本尊 | 宗派やお寺が信仰の中心的対象としている仏様や経文を表した仏像や掛け軸です。 |
脇侍・脇掛け | 本尊に次いで信仰の対象となる菩薩、僧侶、経文などを表した仏像や掛け軸です。 |
位牌・過去帳 | 一周忌だからといって、故人の位牌を移動する必要はありません。 |
高坏
(たかつき) |
お供え物を置く台です。1対用意します。 |
燭台 | ロウソク立てです。 |
花立て | 花、もしくは樒(しきみ)を活けるために用います。 |
香炉 | 線香を手向けるための仏具です。 |
鈴(リン)・鈴棒 | 本来は読経の際、調子を整えるために使用します。 |
燭台1本、花立て1本、香炉1基の1セットを三具足(みつぐそく)と言います。正式には燭台2本、花立て2本、香炉1基の五具足(ごぐそく)です。本尊を祀り、故人や先祖の供養をするための基本となる仏具となります。
自宅で法要を営む場合には、僧侶が経本を置けるような小机(経机)、座布団も準備しておきましょう。
法要のタイミングに合わせて仏壇仏具を新調するケースもあります。ものによっては注文してから納品されるまで1~2週間以上かかることもありますので、新調するのであれば早めに行動に移しましょう。
小さなお葬式でも仏壇仏具を取り扱っています。昔ながらの仏壇仏具から現代風のものまで幅広くそろえていますので、買い換えを検討される際はぜひご相談ください。
仏壇の飾り方は、宗派、地域、寺によって変わってきます。たとえば、香炉には線香を立てるタイプ、寝かせるタイプがあり、これに応じて香炉内の灰の種類も使い分けがなされます。菩提寺や一周忌法要を依頼する僧侶に、適切な飾り方を教示してもらうと安心です。
日本の仏教は、浄土真宗、真言宗、天台宗、臨済宗などいくつかの宗派に分かれています。浄土宗の本尊は阿弥陀如来ですが、真言宗では大日如来です。宗派が変われば本尊が変わることも珍しくありません。
地域性やお寺の考え方が影響することに注意は必要ですが、ここでは飾り方の事例として曹洞宗、浄土宗、浄土真宗大谷派の場合を紹介します。
本尊は釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)を祀ります。釈迦牟尼仏に向かって右側に道元禅師(どうげんぜんじ)、左側に瑩山禅師(けいざんぜんじ)を祀るのが正式ですが、釈迦牟尼仏だけを祀る形式でも差し支えありません。
位牌を祀るのは、釈迦牟尼仏や道元禅師、瑩山禅師の両脇か、ひとつ下の段です。次に水をお供えする水入れや茶湯器、飲食(おんじき/菓子、果物など)をお供えする高坏、手前側に燭台、花立て、香炉を据え配置します。
一番上位の位置に本尊である阿弥陀仏(あみだぶつ)の立像、そして向かって左に法然上人(ほうねんしょうにん)、右に善導大師(ぜんどうだいし)を祀ります。続いて、ひとつ下の段が、位牌を祀る位置です。燭台、花立て、香炉は仏壇の大きさに合わせて、三具足とするか五具足とするか決めます。
三具足とする場合には、香炉を中心に置き、向かって右側に燭台、左側に花立てです。そのほか、仏飯器、高坏を設置します。
本尊として阿弥陀如来(あみだにょらい)を祀ります。仏像ではなく絵像(阿弥陀如来が描かれた掛け軸)を祀るケースが多いようです。
本尊の両脇に向かって右側に「帰命尽十方無碍光如来」の十字名号、「南無不可思議光如来」の九字名号の掛け軸を備えます。名号の掛け軸ではなく、「親鸞聖人」「蓮如上人」の絵像とする場合もあります。
そろえておきたい基本的な仏具は、三具足、仏器(ぶっき/炊いた米をお供えするもの)です。
仏教には、基本となる5つのお供えものがあります。「お供えもの」のルールも知っておきましょう。5つのお供えものの考え方は、宗派の垣根を超えて通ずる部分が多々あります。
一周忌で仏壇の準備をする際も、5つのお供えものは重要です。ここでは、5つとは何なのか、5つ以外のお供えものの可否などについて紹介します。
基本の5つを五供(ごく、ごくう)と言います。「香り」「花」「灯明」「水」「飲食」が五供です。
項目 |
意味合い |
香り | 線香や焼香で生じる香りです。香りには心身、場所を清浄化し、仏様や物故者(亡くなった人)と通ずる効果があるとされています。重要なのは立ちのぼる煙ではなく、香りだということです。 |
花 | 花は、浄土に咲く花々を表わすとともに、安らぎの象徴としてお供えします。 |
灯明 | 灯明はロウソクのともしびです。仏様の智慧を示し、心の闇を照らすとも言われます。線香を点けるためにも用いますが、灯りそのものが重要です。 |
水 | 命の源である水です。清浄なる水は、魂を潤し清める効果があるとされ、お供えものとしても重視されています。 |
飲食 | 霊供膳、菓子、果物、飲料など食べもの、飲みもののことです。 |
お供えは、そこに仏様や亡くなった方々が「いますがごとく」するという考え方が基本となります。一周忌であれば、対象となる故人が目の前にいるかのようにお供えするということです。
たとえば「おじいちゃんなら、甘党だから煎餅より饅頭のほうがよいかな」と故人を想像しながら、故人の好みに合わせてお供えすることが大切です。
「いますがごとく」ですから、基本的には五供以外のお供えをしても差し支えありません。たとえば、故人が好んで聴いていた音楽をお供えするという考えもありでしょう。
しかし、何でもOKというわけではなく、避けるべきものもあります。特に、強い臭気がするもの、刺々しいもの、毒々しいものは仏様を祀る場に相応しくありません。
料理を並べたお膳が仏壇にお供えしてある光景を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。あの「お膳」の意味や必要性について知っている人は少ないようです。お膳の考え方も前述の「いますがごとく」に通じます。
故人が私達と同じように、料理を食べられるわけはありません。それでも、お膳を供えるのですから、何か重要な意味がありそうです。
お膳は「霊供膳(りょうぐぜん)」「料具膳(りょうぐぜん)」「御霊供膳(おりくぜん)」などと呼ばれます。仏教に由来するものではなく、陰膳(かげぜん)の一種として日本各地で見られる習俗です。
陰膳とは、「遠くに出掛けた人の無事を願うために、家に残った人たちが食事をする際、出掛けた人の分として用意する料理」のことです。また、「離れていても私たちは一緒」という気持ちを表すものとも言われます。
故人が死出の旅路を安全に歩めるよう、仏道修行を無事に勤められるように、一周忌でも仏壇にお膳が用意されるわけです。
必要性については、お住まいの地域の習わしに従って、お膳を用意するかどうか判断するのが無難です。なお、浄土真宗については不要とされることが多いので注意しましょう。
仏壇にあげるお膳には仏教の教えに基づき、一周忌でも精進料理を用意するのが基本です。
内容としては「炊いた米と一汁三菜(いちじゅうさんさい)」が一般的です。肉や魚だけでなく、ねぎやにんにくなど匂いの強い野菜も避けます。下記は献立の一例です。
・親碗……炊いた米(白飯)
・汁椀……味噌汁または吸い物(鰹節など魚系の出汁は避けるのが原則)
・平椀……昆布、いんげん、高野豆腐などの煮物
・壺椀……野菜の胡麻和えまたは煮豆
・高坏……漬物(柴漬け、浅漬けなど)
五供のひとつとして花も大切です。一周忌でも仏壇にお供えしますが、どんな花でもよいわけではなく、花の選び方には注意点があります。
不適切な花を活けて、仏壇にお参りに来た人に不快な思いをさせるのも困りますし、仏様や故人に失礼があっては大変です。失敗しないよう花に関する注意点も押さえておきましょう。
基本的には「いますがごとく」の通り、故人が好みそうな花を選んで差し支えありません。ひと昔前であれば、仏事と言えば白菊が一般的でしたが、昨今は白菊にこだわらない人も増えていますし、一周忌ともなれば白ではなく色鮮やかな花を選ぶケースも多く見られます。
しかし、仏壇内の花立てについては、白色の花とする地域の慣習や、花ではなく樒(しきみ)を活ける宗派や地域もありますので、事前に確認しておきましょう。
籠花やアレンジメントフラワーについては、そのままお供えして問題ありません。切り花を購入してきた場合や、花束を頂いた場合には花瓶に活けます。花束のままお供えする方法も可ですが、床や畳に置くのは不適切です。何かしらの台や小机に花束を置きましょう。
原則として、下記の花は一周忌にかかわらず仏壇のお供えに不適切とされています。
・茎または葉に棘がある
・香りが強い
・毒を有している
また、すぐにしおれて、一日もたないような花はやめておいたほうが良いでしょう。一周忌を営んでいる最中に花がくたびれてしまうのは残念な光景です。
人それぞれ感じ方は異なりますが、安らげそうにない花、浄土に咲いていないであろう花は避けると覚えておくと判断に迷ったときに手助けになるかもしれません。
明確な決まりはありませんが、せめて小机に清潔な布をかけ(出来れば白色)、位牌を祀り、三具足だけでも設置したうえ、香り・灯明・花の3点を用意し、故人が好きだった菓子などお供えはあげておきたいところです。
しかし、仏壇がないことで、お参りに来た人から「故人が蔑ろにされているようでかわいそう」「これでは故人が成仏できない」などの批判を受けてしまう可能性もあります。
一周忌に合わせて仏壇仏具を新規に購入する人も珍しくありません。可能な限り仏壇仏具を揃えておいたほうが良いでしょう。小さなお葬式では、家庭のご事情に合わせたご助言、ご提案をいたしますので、仏壇仏具の選び方についてもお任せください。
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一周忌では法要を自宅で営む場合でも、そうでない場合でも、仏壇をあるべき形に整えておくことが大切です。仏壇はお寺の本堂を模したもので、信仰を深めるため、実状としては故人や先祖を供養するために大切な役割を持ちます。
本尊を祀ってこその仏壇であるという点も認識しておきたいところです。準備としては、仏壇の清掃、本尊など仏具の手入れが肝心です。お供えものについては、少なくとも前日までには揃えておきましょう。
一周忌の仏壇に関する疑問はもちろん、法事・法要に関するお困りごとや葬儀全般に関する疑問がある場合は、「小さなお葬式」へお問い合わせください。専門知識を持つスタッフが、お悩みに寄り添い丁寧にアドバイスいたします。
初七日とは故人の命日から7日目に行われる法要のことです。ホゥ。