死に装束とは何か?意味・着せ方・装具・宗派による違いも詳しく解説

死に装束とは何か?意味・着せ方・装具・宗派による違いも詳しく解説

死に装束は、「しにしょうぞく」と読み、亡くなった方がまとう衣装です。言葉は聞いたことがあっても、どのような衣装を指すか、どのような種類があるかなど詳しくは知らない方も少なくありません。確かな知識を持てば、葬儀の準備も安心して進められるでしょう。

この記事では、死に装束の意味や種類について紹介します。また、葬具や副葬品、宗派による違いなども学べる内容です。

こんな人におすすめ

死に装束とは何かを知りたい方

死に装束の種類や着せ方について知りたい方

死に装束の装具と副葬品について知りたい方

このままWEBで調べたい方小さなお葬式についてもっと知る
喪主が必ず読む本プレゼント!無料でお届けいたします。資料請求する
事前準備をすすめたい方喪主が必ず読む本プレゼント!無料でお届けいたします。資料請求する
小さなお葬式LINE公式アカウント

死に装束とは何か

死に装束は、納棺時に故人が着用する衣装のことで、白色の着物が一般的です。「なぜ白い着物を着ているのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。ここからは、白色である理由や着用する意味などを解説します。まずは死に装束に関する基礎知識を深めましょう。

死に装束とは故人の旅立ちの装い

死に装束は、死後の旅に出る故人が、つつがなく旅立てるようにと願いを込めて整えるものです。そのため衣装だけでなく、笠や足袋など旅立ちに必要な付属品も含めて「死に装束」と考えます。ただし、宗派による違いがある点も覚えておきましょう。

なぜ死に装束を着せるのか?

仏教宗派において、修行僧の服である経帷子(きょうかたびら)を死に装束とするのがしきたりです。浄土真宗以外の宗派では、「亡くなった方は仏様のいる極楽浄土へ旅立つ」と考えられており、旅支度として経帷子を用意したと言われています。

死に装束は、約1200年前から存在する歴史あるものです。1156年に崩御した鳥羽法皇は、自分の遺体を野草衣(いれかたびら)で覆って埋葬するように命じました。野草衣とは、梵字や経文を書きつけた着物のことであり、「経帷子」という名称は「野草衣」からきているというのが通説です。

死に装束の色

「死に装束は白」というイメージを持つ方も多いでしょう。日本人は古くから、紅白という色を特別視してきました。「紅」は生を、「白」は死の象徴とも考えられるため、故人は白の衣装を身にまとうようになったとも言われています。また、白は神聖な色であり、汚れを落としたきれいな状態で旅立ってほしいという思いも込められているでしょう。

死に装束の種類

死に装束としてメジャーなのは経帷子ですが、その他にもさまざまな種類の衣装があります。死に装束の種類を知ることで、故人や遺族の希望にそったものを選べるようになるかもしれません。ここからは、死に装束の種類を紹介します。

経帷子

仏教における死に装束の定番は経帷子です。経帷子は仏衣(ぶつえ)とも言い、玉止めや返し縫いをせずに作られるのが特徴でしょう。玉止めなど糸の結び目は、この世への執着を連想させるもので、「この世にとどまってしまう」と考えられてきました。また返し縫いは、「この世に引き返す」というイメージから、成仏を妨げるとして避けられてきたものです。

素材は白麻が主流ですが、白木綿が使われることもあるでしょう。経帷子には真っ白なもの以外に、お経が書かれたものもあります。

神衣

神式(神道)における死に装束は、神主の衣装に似せた神衣(かむい・しんい)が一般的です。神衣は、神様を表す衣装とも考えられています。神道では、亡くなった方は子孫や家を守ってくれる存在(氏神)になるため、神衣を着るという考え方です。

神衣は、男性用と女性用で形式が異なります。男性用は狩衣(かりぎぬ)と呼ばれる、平安時代以降の公家の普段着です。一方、女性用は小袿(こうちぎ)と呼ばれる、平安時代以降高位の貴族女性が着る上着を模して、どちらも白の布で作られます。

<関連記事>
神道の葬儀を執り行う方へ 知っておきたい儀式や流れ

エンディングドレス

近年では、死に装束としてエンディングドレスを選ぶケースも増えています。キリスト教では、生前好んでいたスーツやドレスを着用するのが一般的です。「人生の最後を華やかなドレスで演出したい」という故人の意見を尊重し、このような文化が日本でも広がっています。

色はあまり派手ではないものが好まれ、白、淡いピンク、薄紫色や水色などのパステルカラーが多い傾向です。柄や装飾も単色でシンプルなものから、花柄やコサージュなどの装飾が付いた華やかなものまで豊富な種類があります。

ギャザーやレースなどでボリュームがあるものは、痩せ細った体を隠す効果もあるため人気です。また、死後硬直した体に着せやすいデザインも多いでしょう。

私服

生前好んで着ていた私服を着せることも可能です。本人にふさわしい服装で見送れることはメリットでしょう。しかし死後硬直により着せにくいこともあるため、サイズに余裕があるものや、伸縮性のある生地を選びます。着せる服に迷った場合は、葬儀社へ相談するのもおすすめです。

死に装束の着せ方

死に装束は、いつどのように着せたらよいのでしょうか。「左前に着せる」など着せ方にもマナーがあります。ここでは、着用タイミング、左前に合わせて着せる意味など、着せ方に関する情報を分かりやすくまとめました。

着せるタイミング

死に装束は納棺の前に葬儀社の方が着せるのが基本です。病院で亡くなった場合は、看護師によって体が拭き上げられます。その後、葬儀社が故人を安置場所に移動し、死に装束を着せた後に納棺となるでしょう。

ただし遺体を洗う「湯かん」の儀式が執り行われる場合は、儀式を終えて体をきれいに拭き終わった後に着用させます。

<関連記事>
葬儀の湯灌にかかる費用は?手順やマナーも解説します

死に装束は左前に合わせる

通常、着物は右側を前にしますが、死に装束は左側を前に合わせます。まずは左側を前に合わせる3つの理由を見てみましょう。

・お釈迦様のまね
お釈迦様が入滅した時に「左側を前に合わせて衣服を着ていた」という説から、そのまねをしたという考え方があります。

・上流階級のしきたり
奈良時代には「庶民は衣服を右前に着る」、「上流階級は左前に着る」と法律によって定められていました。高貴な方のように送り出してあげたいという願望や、来世では上流階級になれるようにという願いから左前に合わせるようになったという説があります。

・逆さ事(さかさごと)
この世とあの世、日常と非日常を区別するために、葬儀においては、通常とは真逆のことをする「逆さ事」という考え方があります。そのため、通常の着物とは逆の合わせ方をするのです。

私服やドレスなどの着せ方

遺体の死後硬直が始まると、形状によっては故人のお気に入りの服や希望していた服を着せられない場合もあります。そのため、なるべく早い段階で着せることが大切です。着用が難しい場合は、遺体の上に私服やドレスを掛けるだけのこともあるでしょう。

常識的な範囲であれば何を着せても自由ですが、しきたりを重要視する親族がいるかもしれません。私服などを着せる際には、あらかじめ周囲の了承を得たほうがよいでしょう。

死に装束の装具と副葬品

死に装束には、衣装だけでなく装具などの付属品も含まれます。衣装以外の付属品に関して知識がない方も少なくありません。ここからは、どのような装具を用意するのかや、副葬品としていれられないものについて解説します。

死に装束の装具

死に装束の装具にはさまざまな種類があります。主な物は以下の6種類です。

・笠
浄土への旅の間に、日差しや雨から頭を守るためにかぶります。

・杖
浄土への旅の途中、倒れたり転んだりしないよう、歩きやすくするために使われます。

・手甲(てこう・てっこう)
寒さ、日差し、外傷などから、腕から手の甲にかけて保護する装具です。

・脚絆、わらじ、白足袋
脚絆は足を保護する装具です。わらじと白足袋は、浄土までの長い距離の旅を無事に歩いて行けるようにと願ってはかせます。

・頭陀袋(ずだぶくろ)
旅に必要な荷物を入れるための、首にかける小物入れです。

・三角頭巾
頭に着用する三角形の布です。三角頭巾を着用する理由には魔除け、閻魔様にお目通りするための正装、高位の冠、再生の意味などさまざまな説があります。

その他の副葬品

その他にも副葬品として、多くのものを棺に入れる習慣があります。ここからは、メジャーな2種類の副葬品を見てみましょう。

・六文銭(ろくもんせん)
さんずの川を渡るために必要なお金が「六文銭」であり、1文硬貨を6枚持たせるのが通例です。頭陀袋に入れられますが、金属製の硬貨は火葬炉を傷めてしまうため、現在では紙に印刷した六文銭が使われます。

・友引人形(ともびきにんぎょう)
友引(ともびき)に葬儀を行うと、友人や親族が連れて行かれると考えられていました。これを避けるために、人の代わりに棺に入れるのが「友引人形」です。ただし本来、友引は「六曜(ろくよう)」と呼ばれる中国の考え方で、仏教とは関係ありません。

最近では、友引人形が使われることは少なくなってきましたが、友引を気にする親族がいる場合には、配慮しましょう。


<関連記事>
六曜とは?葬式における六曜を宗教別に解説

棺に入れられない物

副葬品として故人の思い出の品を一緒に入れてあげたいと考える方は多いでしょう。しかし、棺の中には「入れてはいけないもの」もあります。

例えば結婚指輪や眼鏡などの金属製品は、火葬炉を傷める原因となるため入れられません。骨壺などと一緒に大切に保管するとよいでしょう。また、火葬時に爆発などの危険があるライターなどもNGです。故人が愛煙家だった場合は、ライターの代わりとしてマッチを少量入れることをおすすめします。

また、故人の趣味であったことから、釣りざおやゴルフクラブを入れたいという方もいるでしょう。しかしこれらは、火葬炉の故障の原因であるカーボンが含まれているため火葬できません。その他にも燃えにくい革製品や、縁起が悪いとされる生者が写った写真なども避けたほうがよい副葬品です。

死に装束の仏教宗派による違い

葬儀を執り行うにあたって、死に装束の仏教宗派による違いを把握しましょう。同じ経帷子であっても、書かれる経文や着方は宗派によって異なります。ここでは、浄土真宗、真言宗、日蓮宗について宗派ごとの違いをまとめました。

浄土真宗

浄土真宗は鎌倉時代から続く宗派です。他の宗派と異なり、「往生即成仏」という考え方をするのが特徴でしょう。「往生即成仏」とは、生前に信心(しんじん)を得れば、すべての方が亡くなるとすぐに極楽浄土へ行き、仏になるというものです。そのため死後の旅路という考え方そのものがなく、死に装束を着用することもありません

浄土真宗では死に装束の代わりに、故人が愛用していた服などを自由に選べます。着物の場合は、着せ方も通常通り右前に合わせるのが一般的です。また、色も白にこだわらず、故人の好んでいた色や柄の衣装を選んでも構いません。

<関連記事>
浄土真宗の葬儀・法要の特徴やマナー

真言宗

真言宗の信者の中には自ら準備した経帷子を死に装束とするために、四国八十八か所霊場を巡礼し、経帷子に御朱印を押してまわる方もいます。多くの場合、真言宗において「弘法大師空海に帰依すること」を意味する「南無大師遍照金剛」(なむだいしへんじょうこんごう)という経文が書かれるのも特徴です。

<関連記事>
密教と呼ばれる真言宗の葬儀について

日蓮宗

日蓮宗では、本尊である十界曼荼羅(じっかいまんだら)や、お題目である「南無妙法蓮華経」(なむみょうほうれんげきょう)が書かれた経帷子を使います。また日蓮宗にはお寺の行事などで着用する「行衣(ぎょうい・ぎょうえ)」があり、日常的に着用したこの行衣を経帷子として着用するケースも少なくありません。

<関連記事>
日蓮宗の葬儀で知っておきたい流れと特徴・マナー

「喪主が必ず読む本」無料プレゼント中

「小さなお葬式」では、無料の資料をご請求いただいた方全員に「喪主が必ず読む本」をプレゼントいたします。

病院から危篤の連絡がきたときの対応方法や、親族が亡くなったときにやるべきこと、葬儀でのあいさつ文例など、喪主を務めるのが初めてという方にも役立つ情報が満載です。

いざというときの事前準備にぜひご活用ください。

喪主が必ず読む本

全員に「喪主が必ず読む本」プレゼント 無料資料請求はこちら

「小さなお葬式」で葬儀場・斎場をさがす

小さなお葬式は全国4,000ヶ所以上の葬儀場と提携しており、葬儀の規模や施設の設備などお近くの地域でご希望に応じた葬儀場をお選びいただけます。

まとめ

死に装束は、故人がつつがなく旅立てるようにと願いを込めた大切な衣装です。仏教においては、白い経帷子(きょうかたびら)を着用するのが一般的ですが、宗派によっても違いがあります。また、近年ではエンディングドレスや私服を選ぶ方も少なくありません。

小さなお葬式では葬儀、法要に関するさまざまなお悩みやご相談をお受けしております。故人にとってどのような死に装束がよいかなど迷った際には、ぜひお気軽にご相談ください。24時間365日、葬儀に精通したコールスタッフが、通話無料でご連絡をお待ちしております。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
運営会社についてはこちら

このままWEBで調べたい方
小さなお葬式についてもっと知る
このままWEBで調べたい方小さなお葬式についてもっと知る
事前準備をすすめたい方 喪主が必ず読む本プレゼント 資料請求する(無料)
事前準備をすすめたい方喪主が必ず読む本プレゼント!無料でお届けいたします。資料請求する
小さなお葬式LINE公式アカウント
小さなお葬式LINE公式アカウント

この記事をシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line
基礎知識・マナーを徹底的に解説 葬儀・葬式の流れ