香典を贈ってくれた人に謝意を伝える香典返しは、しっかりと礼儀を守って品を選んでお渡ししたい、と考えている方が多いのではないでしょうか。
お葬式に参列してくれる方は、故人と親しい人や会社や取引先などの仕事上の関係の人など様々です。それぞれどのように香典返しを渡したらよいのだろうといった疑問が浮かんでくるかもしれません。
この記事では、会社関係の人をはじめとしたケース別の香典返しについて、渡し方や品の選び方について解説します。
<この記事の要点>
・個人への香典返しは香典の3分の1~半額程度の品物を贈り、会社への香典返しはほとんどの場合必要ない
・香典返しのタイミングとして葬儀当日に香典返しをする当日返しがある
・香典返しを手渡しする場合は、参列へのお礼などの一言を添えて渡す
こんな人におすすめ
香典返しとは何かを知りたい方
会社や個人などケース別での香典返しの方法を知りたい方
香典返しの渡し方・選び方を知りたい方
そもそも、お葬式の参列者からいただく香典とは何でしょうか。香典とは、仏教式のお葬式において、祭壇に供える金品のことを指し、故人を偲び、遺族のことを慮って贈られるものです。
従来のお葬式では線香や香を祭壇に供えていましたが、時代が変わるとともに、故人への追悼と遺族の今後の生活などを考慮して、金品へ変わっていったという説があります。
香典返しには、香典を贈ってくれた人にお葬式が無事終わったことや、謝意を伝えるといった意味があるそうです。そのため、香典返しは謝意が伝わるものを選ぶとよいでしょう。
お葬式の参列者は、故人と仲のよかった友人や、会社・仕事上の関係者など様々です。遺族でも初めて会う人もいるでしょう。
そういった方々から香典をいただいたとき、どのようなお礼をするのが適切なのでしょうか。ここからは、ケースごとの香典返しの方法を解説します。
参列した人から個人的に香典をいただいた場合は、香典の3分の1~半額程度の品物を贈ることが多いようです。例えば、友人や知人、親戚などが該当します。故人の生前の付き合い方によってどの程度の数になるかは変動するため、把握しておきましょう。
勤め先や取引先など、会社から香典をいただいた場合はどうすればよいのでしょうか。
勤め先の会社から香典をいただいた際は、勤めている会社の制度に慶弔見舞金制度があるか確認しましょう。制度を通していただいたときは、ほとんどのケースでお返しは必要ないとされています。
勤め先の会社や取引先から、「〇〇一同」といった連名でいただいた場合は、個々人に香典返しをすることがあります。ただし、誰が贈ったのか分からない場合は、1人ずつ配れるような個包装のお菓子の詰め合わせを用意して配るといった方法もあります。
仕事上の関係であっても、個人名義で香典が贈られているときは、個人へのお返しと同様でよいでしょう。
どうしても都合がつかず、お葬式に参列したくてもできない方もいます。そのような場合は、代理の方が参列することもあるでしょう。その場合、代理の方を通して品物をご本人に渡してもらうか、ご本人宛てに郵送する方法もあります。
ただし、代理を頼むということは遠方にいる可能性もあるため、喪主・遺族側が「郵送しましょうか?」と聞いておくと良いでしょう。
香典返しをするタイミングには、当日返しや忌明け返しといった様々なパターンがあります。故人の宗教や宗派、住んでいた地域によって様々なルールや礼儀があるため、どのタイミングがベストかは喪主や葬儀会社と相談して決めましょう。
ここでは、代表的なものを紹介します。
お葬式を執り行ったその日に香典返しをすることです。会葬返礼品と香典返しの品、そしてお礼の手紙を併せて配ることが多く、当日中に直接謝意を示すことができます。
改めて手配を行う必要がないというメリットがありますが、香典の金額が高額だった場合は、再度品物をお渡しする方もいるようです。
四十九日が終わった忌明け後1ヶ月以内に香典返しをすることで、贈ってくれた個人それぞれに合わせた品物を贈ることができます。
四十九日は仏教での一般的な忌明けですが、宗派によっては香典返しを7日後や1か月後にするケースもあるようです。
神道では、命日から10日後の十日祭、1か月後の三十日祭、50日後の五十日祭があり、神道でメジャーなのは五十日祭と言われています。
また、キリスト教には、基本的に香典返しの習慣はありませんが、いただいたお花の代金分の品をお渡しするケースもあるようです。
宗教・宗派によって大きく変わるので事前に相談しておきましょう。
冠婚葬祭時には、品物にのしを付けるのが一般的です。本来「のし紙」は、お祝い事における贈答品に使用され、お葬式などの弔事では「かけ紙」が使われます。現代では、紙の右上に「熨斗鮑(のしあわび)」という装飾が印刷されているものを「のし紙」と呼び、印刷されていないものを「かけ紙」と呼びます。
香典返しは弔事に含まれるので、かけ紙を使用します。紙のかけ方は、手渡しする場合はかけ紙が外から見える外掛け、郵送する場合は包装の下にかけ紙を掛ける内掛けを選ぶのが一般的です。
水引は黒白結び切りが一般的。表書きは水引の上に「志」、水引の下に故人の姓を書く仏教式が多いです。
また品物と一緒に、香典のお礼と、お葬式が無事終わったことをお知らせする挨拶状を付けることが一般的だとされています。
多くの場合、いただいた香典の3分の1~半額ほどの商品が一般的であると説明しましたが、他にも選び方のポイントがあります。
香典返しには、あとに残らない「消えもの」を選ぶとよいでしょう。「不祝儀を後に残さない」「悲しみを後に残さない」といった意味があるとされています。
消えものでよく選ばれているものは、タオルや洗剤などの日用品、お茶やコーヒーなどの飲料、食品などです。
飲食物を選ぶ場合は、生ものや賞味期限が短いものを避け、日持ちするものや常温でも腐らないものを選ぶとよいでしょう。
品によっては、宗教や地域によって不適切だとされるものがあるので注意が必要です。
不適切なものとしては、四つ足生臭ものやお祝い事で好まれる酒、鰹節、昆布が挙げられます。
四つ足生臭ものとは、四つ足で歩行する動物の肉や、魚などの生臭い食品のことです。特に不殺生の教えがある宗教では避けられてきました。酒、鰹節、昆布などはお祝い事を連想させることがあるため、できるだけこれらの食品は避けたほうがよいでしょう。
香典返しを郵送ではなく、手渡しにする場合は、必ず一言添えて渡すようにしましょう。
手渡しの際に添える言葉としては、「参列のお礼」「香典に対するお礼」「お葬式が無事終わったこと」「品物を持ってきたこと」「今後について」といった内容が一般的です。
会社の方や目上の方に渡すときは、「参列と香典に対するお礼」「忌引きに対するお礼」「今後に向けての挨拶」をすることが一般的とされています。
お葬式は、様々な人の協力のもとに成り立つため、香典返しには謝意を示す意味もあります。挨拶とお礼はしっかりと伝えるようにしましょう。
ここまで香典返しについて解説してきました。では、香典返しをいただいた側はどうすればよいのでしょうか。香典返しをいただいたけれど、挨拶やお返しをしたほうがよいのか疑問をもつ方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、香典返しをいただいた際の対応について見ていきましょう。
香典返しをいただいても、お礼を言ったりお返しに何かを贈ったりするのは、お礼にお礼を重ねることになりかえって失礼となるため、不要とされています。
しかし、遺族と近しい関係だった場合など、どうしてもお礼を言いたいときは次のことに注意しましょう。
直接話して伝えるときは、「ありがとう」という言葉は言わないようにします。代わりに「ご丁寧な品を頂き恐れ入ります」「大変恐縮です」といった言葉にしましょう。当日返しをいただいた場合も同様に、できるだけ丁寧な言葉を使います。
また、手紙やメールなどを出すときは、香典返しが届いたことを知らせて、相手を労う言葉を書くようにしましょう。ここでも「ありがとう」という言葉を使わないように注意が必要です。
参列者の中には、遺族を気遣って少しでも負担が少ないように香典返しを辞退される方もいます。辞退を受けたときは、どういった対応をすればよいのでしょうか。
辞退をされた方が、身内や勤め先の会社の連名であれば、お返しをする必要はありません。ただし、お葬式が終わったことと香典のお礼を伝えるために、お礼の手紙を書くようにしましょう。
また、お中元やお歳暮などで気持ちを伝える方法もあります。香典返しでなくても、何かしらの形でお礼の気持ちを伝えることが大切です。
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会社関係の人をはじめとした香典を贈る人は皆、故人を偲び遺族のことを慮ってくれています。遺族は、故人の代わりに、参列してくれた方々に謝意を伝える役割もあるでしょう。その1つとして香典返しは重要です。
香典返しには様々な作法がありますが、礼儀を守って香典返しをしたいと考える方は多いでしょう。香典返しをはじめとするお葬式に関することでご不明なことがある場合は、小さなお葬式にご相談ください。
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