生活保護と年金はどう違う?両方受け取れる?それぞれの特徴を詳しく解説

生活保護と年金はどう違う?両方受け取れる?それぞれの特徴を詳しく解説

生活が苦しい方のなかには、「生活保護と年金はどう違う?」「生活保護と年金は両方受け取れる?」など、疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。十分な年金を受けていない方は、生活保護と組み合わせることが可能です。また社会保障制度をうまく活用するうえで、両者の違いを認識することも欠かせません。

そこでこの記事では、生活保護と年金の制度、および両者の違いについてご紹介します。

こんな人におすすめ

生活保護と年金の制度について知りたい方

生活保護と年金の違いについて知りたい方

生活保護を受けた場合の制約について知りたい方

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生活保護と年金の制度を解説

生活保護と年金は、制度上の大きな相違点があります。まず、この点について確認していきましょう。

生活保護の制度

人生においてはあらゆる手を尽くして努力しても、生活が立ち行かなくなることもあるでしょう。その場合でも再び自立した生活ができるよう支援する目的で、生活保護が設けられています。

生活保護は「最後のセーフティネット」とも呼ばれており、他の制度を活用しても生計が成り立たない場合に、申請により適用されることが特徴です。

生活保護の扶助は、以下の8種類に分かれています。

扶助の種類 扶助の内容
生活扶助 日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
住宅扶助 アパート等の家賃
教育扶助 義務教育を受けるために必要な学用品費
医療扶助 医療サービスの費用
介護扶助 介護サービスの費用
出産扶助 出産費用
生業扶助 就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭扶助 葬祭費用

引用:厚生労働省「生活保護制度」

実際に支給される額は、世帯構成や年齢などにより大きく変わります。厚生労働省や自治体のWebサイトでご確認ください。

年金の制度

年金は若いうちから少しずつ掛金を払込み、老後になってから定期的にお金を受け取る仕組みです。年をとると働いて収入を得にくくなることが難点ですが、十分な年金があれば安心して暮らせます。

年金は大きく、以下の3種類に分かれます。

・すべての国民が加入する「国民年金」
・働く人が加入する「厚生年金」や、自営業の方が加入できる「国民年金基金」
・企業や個人の選択により加入する年金(確定拠出年金や個人年金保険など)

このように日本では公的年金を基礎にして、様々な年金を組み合わせて老後の資金を充実させることが可能です。

生活保護と年金は一緒に受け取れる?

以下の条件にあてはまる場合、生活保護と年金を両方受け取れます。

・年金額が、生活保護の最低生活費を下回る
・年金を含めたすべての収入を合計しても、生活保護の最低生活費に達しない
・不動産や車、保険の解約返戻金など、換金できる資産もない

もっとも、生活保護は満額が支給されるわけではありません。最低生活費と収入を比較し、足りない分だけが支給されます。たとえば年金が支給されている方は、そのぶん生活保護の支給額が減るということです。

生活保護と年金・6つの違い

生活保護と年金には、6つの違いがあります。それぞれどのように異なるか、詳しく確認していきましょう。

受け取れる方の条件

受け取れる方の条件は、生活保護と年金で大きく異なる代表的なポイントです。それぞれの違いを、詳しく確認していきましょう。

生活保護は誰でも対象

生活保護は年齢制限がありません。加えて、申し込むことになった原因を問わないことが特徴です。低賃金で生活が苦しい方はもちろん、以下のような方も対象となります。

・年金に加入していない、または年金額が不足する
・ギャンブルで資産を失った
・刑務所から出所したばかりで、職に就けない

上記のような方に税金を費やすことに、違和感を抱く方もいるかもしれません。しかしこのような方も、落ち着いた日々を送る権利はあります。生活保護は「最後のセーフティネット」とも呼ばれている以上、上記に挙げた方も排除できません。

年金は掛金を支払い、一定の年齢に達した方が対象

年金を受給するには、以下にあげる条件を満たしている必要があります。

・掛金を支払った方
・一定の年齢に到達した方

厚生年金の場合は加入期間が1カ月以上あれば受給できますが、国民年金の場合は10年以上が必要です。どちらも原則として、65歳から受け取れます。

例外として国民年金の場合は、1円も掛金を払わずに受け取れる場合があります。10年間の加入期間を満たせば、すべての期間が全額免除でも受給可能です。ただし受け取れる年金額は国庫負担分のみとなるため、免除を受けていない方の半額以下となります。

参考:日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
   日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」

手続きの難易度

手続きの難易度は、生活保護よりも年金のほうが圧倒的に簡単です。それぞれの難易度について、確認していきましょう。

生活保護は審査がある

生活保護は申し込めば受給できるものではなく、自治体による審査が必要です。収入が最低生活費を下回っていることに加えて、親族からの援助が受けられないこと、資産の売却による収入が得られないことは主な条件に挙げられます。また他の制度を活用できる場合は、そちらの活用が優先されることに留意しましょう。

もっとも、申し込みをスムーズに受け付けてもらえない可能性もあります。このため生活保護を申し込む場合は、弁護士やNPO法人へ相談するとよいでしょう。

年金は手続きをおこなえば受け取れる

年金の場合は、必要な手続きをおこなえばもれなく受け取れます。受給の時期が近づくと手続きに必要な書類が送付されますので、必要事項を記入して申し込み、確実に受け取りましょう。

ただし国民年金や厚生年金の場合は、以下の点に留意が必要です。

・60歳~64歳までの方で繰り上げ受給をしたい場合は、「繰上げ請求書」を提出する
・受け取り開始時期を66歳~70歳に繰り下げたい場合は、受け取りたい時期まで書類を提出しない

参考:日本年金機構「65歳前に年金を繰り上げて受け取りたいとき」

自分で支給額を増やせるか

自分で工夫して支給額を増やせるかという点についても、生活保護と年金には大きな違いがあります。それぞれどのようなルールなのか、確認していきましょう。

生活保護は項目ごとに支給額が決まっている

生活保護は、扶助の項目ごとに支給額が決まっています。健康で文化的な最低限度の生活レベルに設定されているため、足りないからといって増やしてもらうわけにはいきません。

年金は自分で支給額を増やせる

年金は以下の方法で、支給額を増やせます。

・若いうちから加入する
・掛金を増やす
・iDeCoや個人年金など、複数の年金に加入する
・国民年金や厚生年金の場合は、繰り下げ受給を選ぶ

将来を見通した上で生活に余裕がある方は上記に挙げた取り組みをおこない、年金額を増やすとよいでしょう。

他の収入を得た場合の影響

生活保護の受給額は、他の収入に大きく影響を受けます。一方で、年金は影響を受けません。この点について、それぞれ解説していきます。

生活保護は支給額が減らされる

他の収入を得た場合は、その額だけ支給額が減らされることが原則です。この収入は仕送りや年金、不用品を売るなど、手段を問いません。

ただし就労による収入は例外で、一定額を手元に残せる「勤労控除」が設けられています。一例として、東京都渋谷区の例を挙げてみました。

毎月の収入金額 勤労控除額
1万5,199円まで 全額
1万5,200円~1万8,999円 1万5,200円
1万9,000円~2万2,999円 1万9,000円
2万3,000円以上 収入金額が4,000円アップするごとに400円加算

働いて高い収入を得るほど手元に残る収入も増えるため、働く意欲の向上につながります。

参考:渋谷区「生活保護制度」

年金は他の収入に影響されない

年金の受給額は、他の収入に影響されません。多額の収入を得た場合でも、あらかじめ決められた額を受け取れます。一方で収入が少ないからといって、年金の支給額を増やしてもらうことはできません。

税金

税金の扱いは、生活保護と年金で大きく異なる項目の1つです。それぞれどのような扱いになっているか、解説します。

生活保護は非課税

生活保護費には、所得税や住民税が課税されません。そのため受け取った金額は、すべて生計維持のために活かすことが可能です。

年金収入は課税対象

年金収入は、雑所得に分類されます。収入が年金だけの方の場合、1年間の年金支給額が以下に示す金額を超えると、所得税・住民税ともに課税される可能性があります。

年齢 所得税 住民税
65歳未満 108万円 103万円
65歳以上 158万円 153万円

実際に課税されるかどうか、また課税される金額は、以下の要因により大きく異なります。

・扶養家族の有無
・他の所得の有無(就労による収入や、不動産・株式の売却益など)
・他の控除の有無(医療費控除、生命保険料控除など)

このため同じ年金額を得ていても、人により課税されたり非課税だったりする場合があることに注意が必要です。

参考:国税庁「高齢者と税(年金と税)」
   札幌市「住民税と所得税の違い」

受給できる期間

生活保護と年金では、受給できる期間が決まっているかどうかという点で大きな相違点があります。それぞれの違いを確認していきましょう。

生活保護は要件を満たす場合だけ受給可能

生活保護は、受給要件を満たす間だけ受給できます。たとえば収入が増えたことにより受給要件を満たさなくなった場合は、保護費の支給が打ち切られます。

終身年金は生涯受給可能

終身年金は、生きている限りずっと受け取れます。国民年金や厚生年金は、このタイプの年金です。また国民年金基金も、1口目は終身年金となります。

定期年金は満期まで受給できる

定期年金は5年や20年などのように、受け取れる年数が決められています。一方でどのような状況になっても、生きている限り満期まで受給可能です。たとえば20年間の年金ならば、20年経過するまで受け取れます。確定拠出年金は、このタイプに属する代表的な年金です。

参考:国民年金基金連合会「iDeCo(イデコ)の仕組み」

生活保護を受給するメリット

生計に必要なお金が得られ、心配せずに日々を過ごせること以外にも、生活保護を受給するメリットはいくつかあります。ここでは主な2つのメリットを確認しましょう。

年金保険料は免除される

生活保護の生活扶助を受ける方は、国民年金の保険料が免除されます。免除を受ける際は年金事務所の審査を受けることが基本ですが、生活扶助を受けている方は法定免除に該当します。市区町村役場に「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を提出することで、審査なしで免除されるため、将来未納となり差し押さえを受けるおそれがありません。

また国民年金基金の掛金を支払っている場合は、国民年金の免除を受けることで加入資格を喪失するため、掛金を支払わずに済みます。

参考:日本年金機構「国民年金保険料の法定免除制度」

医療費は原則無料

生活保護の対象となった場合は、医療費の自己負担が原則としてなくなります。負担が軽減される点は、メリットといえるでしょう。

ただし医療を受ける際にはあらかじめ福祉事務所に申請した上で、「医療券・調剤券」を発行してもらう必要があります。体調が悪くなってもすぐに医療機関を受診できない場合があるため、注意が必要です。

参考:神奈川県「生活保護法による医療扶助とは」

生活保護は様々な制約がある

生活保護は生きていくために欠かせない制度ですが、適用を受けた場合は日常生活において様々な制約を受けます。制度の活用を検討されている方は、以下の点に注意した上で申し込みましょう。

自治体が生活に関与する

生活保護を受給すると、以下のとおり様々な面で自治体が生活に関与します。

・就労指導や生活指導がおこなわれる
・医療を受けたい場合は、あらかじめ福祉事務所へ相談が必要
・収入を報告する必要がある
・住み替えを求められる場合がある
・葬儀は直葬(火葬式)に限られる

実際の窓口は、ケースワーカーです。保護が必要なのに打ち切られることがないよう正しく報告するとともに、仕事に励みましょう。

資産があると支給されない場合がある

車や持ち家がある場合は、生活保護の対象とならない場合があるため注意が必要です。以下に該当しない場合は、処分を求められる可能性が高いでしょう。

資産の種類 資産を守ることが可能な例
自動車 ・処分した際の売却額が少額
・自動車がないと通勤できず、生活も成り立たない地域に住んでいる
持ち家 ・売却額が少ない
・ローンを完済している

また持ち家で65歳以上の方がいる場合は、生活保護を申し込む前に、お住まいの家を担保とした「要保護世帯向け長期生活支援資金」の貸付けを受けることが求められます。この制度は社会福祉協議会がおこなう、公的リバースモーゲージと呼ばれる制度です。貸付けを受けられなくなった段階で、生活保護の受給が検討されることになります。

貯金ができない

生活保護を受ける場合は、預貯金の額にも制約があります。すべての残高をゼロにする必要はありません。しかし保護費に影響しない預貯金の額は、最低生活費の半分程度にとどまります。もしこの額を超えた場合は、保護費から差し引かれます。

このため多くの方は、数万円程度の貯金しかできなくなるでしょう。

借金ができない

生活保護を受給中は、借金ができません。これは生活保護で支給される金額は生計を維持する最低額であり、借金を返す余裕はないという考えによります。

もし借金をすると、後日返済しなければならない金額であるにも関わらず、その借金が収入とみなされ、生活保護の停止や打ち切りにつながるおそれがあります。ますます生活が苦しくなるため、借金はやめましょう。

このため借金をしている方は、破産し免責を受ける手続きが必要です。弁護士の無料相談などを活用し、借金の整理をおこないましょう。法テラスの「法律扶助」を利用することで、破産手続きに必要な費用を減額、または無料にすることも可能です。

参考:日本司法支援センター「法テラス」

収入が増えると生活保護の額は減らされる

ここまで解説したとおり、収入が増えると生活保護費は減らされます。このため「1円でも多く欲しい」と思うあまり、収入を隠したくなる方もいるかもしれません。

しかし少額でも隠すと不正受給となり、保護費の返還や生活保護の停止・打ち切りなどの不利益をこうむるおそれがあります。このため、少額でも忘れずに申告しましょう。働いて得た収入は正しく申告することで勤労控除の適用を受け、収入額の一部を手元に残すことが可能です。

参考:習志野市「不正受給とならないために(生活保護受給者の皆様へ)」

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まとめ

生活保護と年金には、様々な違いがあります。年金を受け取れる方は年金の受給が優先されますが、それでも不足する場合は生活保護の受給も可能です。

また働き盛りの年齢の方でも、以下のような方はためらわずに受給を検討しましょう。

・なかなか就職できず、お金が底を尽きそう。身内からの援助も期待できない
・賃金が少なく、朝から晩まで働いても生活費がギリギリ

制度を正しく理解した上で積極的に活用することが、明るい未来につなげるコツです。困った際にはファイナンシャルプランナーや弁護士など、専門家に相談することをおすすめします。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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