香典の辞退をどうやって会社に伝えるべき?

香典の辞退をどうやって会社に伝えるべき?

近年、遺族の意向で香典を辞退するケースが増えています。しかし、香典は参列者からの厚意も含まれているのでなかなか断りづらいのが本音です。あるいは上司からの厚意を断ったら後でトラブルに発展しないかと不安を感じている方もいるでしょう。特に、勤め先の会社に伝えるときはどのような伝え方がよいか悩んでいる方も多いかもしれません。

この記事では、香典の辞退を角が立たないように会社に伝える方法や、香典を辞退されたときの会社側の対処法を解説します。

<この記事の要点>
会社への葬儀の連絡は早めに行い、その際に香典の辞退を会社に伝える
慶弔見舞金は会社の福利厚生の制度の一つのため、香典返しのようなお返しの必要はない
断り切れずに香典を受け取った場合、基本的に香典返しをするほうがよい

こんな人におすすめ

香典の辞退をお考えの方

葬儀後の事務処理の手間を減らしたい方

香典を辞退されたときの会社側の対応を知りたい方

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香典は辞退できる

香典は、参列者が故人を供養したい、遺族の金銭的な負担を減らしたいといった心遣いから生まれた文化です。しかし近年、その香典を辞退される遺族の方々も増えてきています。

理由はさまざまです。ここで代表的なものを挙げておきます。
・わざわざ参列してくれた方々に、さらに金銭的な負担をかけたくない
・供養としてお金を貰うこと自体に疑問がある
・遺族は遠方に住んでいるので、後の事務処理の手間を減らしたい

遺族同士で話し合った結果、香典を受け取らない選択ができる世の中となりつつあります。そのため、親戚や会社の同僚の葬儀の際に香典を辞退すると告げられたら、遺族の意思を尊重して香典を渡すことは控えるとよいでしょう。

また、自身が喪家の場合でも、香典の辞退は基本的に問題はありません。辞退する際は、その旨をしっかりと伝えましょう。

香典を辞退したいときの伝え方

遺族で話し合った結果、今回の葬儀の香典は辞退すると決まったとき、参列者にその旨を伝える手段は大きく分けて2つあります。口頭で伝える方法と、葬儀の案内状のような書面で伝える方法です。

口頭で伝える場合

口頭で伝える場合は、訃報を電話で伝えるときや、お葬式会場の受付で伝えてください。その際、辞退する理由をはっきりと伝え、参列された方がどのような対応をしたらよいのか迷ってしまわないように心がけましょう。

具体的な伝え方としては、「故人の遺志で、香典は遠慮しております」といったことを相手に告げます。その後、「故人を時々思い出していただけると幸いです」というように、相手にどうしてもらえるとありがたいか伝えるとよいでしょう。

また、香典とお供え物の両方を辞退しているときは、そのことも忘れずに伝えましょう。参列された方ができるだけ戸惑わないようにすると、後からトラブルに発展しづらいです。

案内状で伝える場合

口頭ではなく、お葬式の案内状など文面で伝える際に気を付けるポイントは、基本的に口頭で伝えるときと同じです。参列者に、香典を用意したほうがよいのか、用意しなくてもよいのかがきちんと伝わる文章になるよう心がけましょう。

文章は、口頭で伝えるよりも感情が伝わりにくいことがあるので、丁寧な文章を心がけます。一例として、「誠に勝手ではございますが、故人の遺志により御香典は、ご辞退申し上げます」といった文言を盛り込むと、角が立ちにくい文章になるでしょう。

香典を辞退したいときの会社への伝え方

家族が亡くなった際は、忌引き休暇を取得するためにも会社に連絡をする必要があります。また、故人が現役で働いている場合も、故人の勤め先の会社に訃報を伝えるのが基本です。

伝える内容

伝えることは、基本的に口頭でも文章でも同じです。以下の内容を伝えましょう。
・誰が亡くなったのか
・参列してもらう場合は日時や会場
・お葬式の形式
・忌引き休暇は何日まで取得するのか
・香典はどうするのか など

お葬式について会社に伝える際は、事前に社内制度について調べておくことをおすすめします。手順や文章のテンプレート、誰に伝えればいいかなどが決められていることがあるので、それに従えば角を立てずに伝えられるでしょう。

連絡は早めに行う

通常、お葬式が執り行われている間にも会社の業務は進行します。そのため、葬儀の連絡は早めに行うことが重要です。香典の辞退や忌引き休暇の日数などの連絡を確実に行い、業務に支障がないように手続きや引継ぎをしましょう。

忌引き休暇後の対応について

お葬式が終わって会社に出社したときは、休みの間、自分の代わりに働いてくれた人や上司に一言お礼を伝えておくとよいでしょう。一言お礼を伝えておけば、相手も自分も気持ちよく仕事に取り掛かりやすいからです。

会社から辞退したはずの香典や慶事見舞金を渡されたら

辞退したはずなのに、会社の上司や先輩から香典をいただくことがあります。その場合は、「大変恐縮ですが」「お気持ちは嬉しいのですが」といったことを伝えてから断ると、角が立ちにくいです。

断った後に「それでも」と香典を渡されたら、今度は断らず受け取ることもあります。頑なに断るとトラブルに発生する可能性もあるので、相手の様子を見ながら受け取った後のことも考えて、慎重に判断しましょう。

慶弔見舞金を頂く場合も

葬儀があった際に、香典の他に「慶弔見舞金」を受け取ることがあります。どちらも一般的に封筒に入った金品ですが、香典と慶弔見舞金は違うものなので注意しましょう。

慶弔見舞金は、会社の福利厚生の制度の一つで、社員やその家族に祝い事や不幸があった際に会社から支給されるお金のことです。慶弔見舞金の場合は、基本的に香典返しのようなお返しの必要はありません

一般的な香典と慶弔見舞金を見分ける際には、送り主の名前を確認しましょう。香典には個人の名前が書いてあり、慶弔見舞金には会社名が書いてあります。連名で出された香典なのか迷った際は、会社に確認することをおすすめします。

香典を辞退されたときの会社側の対応

ここまでは、自身が喪家であったときの香典の断り方について解説してきました。ここからは、会社の同僚や上司が喪家であったときに、香典を辞退された際の対応方法について解説します。

香典の辞退の有無を確認する

会社の同僚や上司からお葬式の連絡が来た際は、まず「会場や日時」「お葬式の形式」「香典」について確認しましょう。近年は、家族葬といった近親者のみでお葬式を行うことも増えてきました。家族葬の場合は、参列や香典は断られていることもあるので、まずはお葬式への参列を求められているか確認してください。

お葬式の形式を確認した後、香典を辞退しているか確認します。香典を辞退していることの文言がなかった場合は、必要か不必要かは分からないので、香典は準備しておくと不測の事態にも対応できて安心です。

連名で贈るか個人で贈るかを決める

職場の人に香典を渡す場合は、同じ部署の上司や先輩、同僚と話し合って連名で出すのか、個人で出すのか、どのタイミングで渡すのか決めるとよいでしょう。香典を1人で渡す方がいたり、連名で渡される方がいたりすると、遺族から協調性のない職場と思われるかもしれません。

辞退の場合は意思を尊重する

香典を辞退することの文言があった場合は、香典を用意しないのが基本です。厚意で香典を用意しても、遺族の負担になることがありますので、故人や遺族の意思を尊重して香典は渡さないようにしましょう。

また、香典は断っていてもお供え物は辞退していない場合があります。花や食べ物、線香をお供え物として渡すこともできますが、基本的にはいきなり渡すのではなく、お葬式をする当事者に、お供え物を贈ってよいか確認してから渡しましょう。お供え物も断られた際は、故人や遺族の意思を尊重して用意しないのが基本です。

会社への香典返しが必要になるパターン

どうしても断り切れず香典を受け取った場合は、香典返しは必要になるのでしょうか。また、香典返しの選び方はどんなものがあるのかについても見ていきましょう。

辞退していない場合は香典返しをする

上司や取引先から断り切れずに香典を受け取った場合、基本的には香典返しをするのが無難です。香典返しにはお礼の意味もあるので、香典返しを辞退されていない限り渡すようにしましょう。

また、香典と同じ金品で会社から支給される慶事見舞金がありますが、慶事見舞金は会社の福利厚生の一環なので、お返しは原則として必要ありません。

香典返しにおすすめの品

香典返しは食品や日用品などの消えものが選ばれることが多いです。食品はお茶や砂糖、お菓子、乾物などがあり、日用品にはせっけんやタオルなどがあります。連名で香典を頂いた場合は、お菓子の詰め合わせなど個別で渡せる品物を贈るとよいでしょう。金額の目安は、一般的にはいただいた香典の半分~3分の1程度の値段の品物を選びます。

香典返しとして不適切なのは、四つ足生臭ものといった動物のお肉や魚、お酒などです。乾物が選ばれることがあると説明しましたが、鰹節や昆布などは祝い事のイメージがあるため、香典返しには選ばないように注意しましょう。

香典返しの贈り方

個人から香典を渡されたときは、本人に渡すか郵送しましょう。職場の人の場合はできるだけ、手渡しが好ましいとされています。

手渡しをする際は、一般的に香典のお礼と葬儀が無事終わったことを伝えます。忌引き休暇明けの場合は、以前説明した通り、休み中の仕事のお礼も伝えるようにしましょう。

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まとめ

香典は、故人を偲ぶ気持ちを示すためのものでもあるので、できれば贈りたいという方は多いでしょう。

また、厚意を無下にするのは悪いと思っても、故人の遺志を尊重するため、香典を辞退しても失礼にはあたりません。ただし、角が立たないように丁重にお断りすることをおすすめします。

ただ、そうは言っても、会社の上司や取引先など仕事関係者からの香典はなかなか断りづらいと思われるかもしれません。香典のことでお悩みのことがある際には、小さなお葬式にご相談ください。香典のさまざまなパターンに精通したプロのスタッフが、お客様のお悩み解決に尽力いたします。

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監修
小さなお葬式 コラム編集部
小さなお葬式 コラム編集部

葬儀・法要に関する専門領域の記事を、5人のチーム体制で執筆しています。
メンバーは葬儀・法要関連だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
現在 「小さなお葬式のコラム」では、合計2,000記事以上を管理しています。
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