死者を偲ぶ陰膳とは?気をつけなければいけない点やマナーを解説

死者を偲ぶ陰膳とは?気をつけなければいけない点やマナーを解説

死者を偲ぶために陰膳(かげぜん)という習慣があります。普段の生活で使うことは滅多にありませんが、知っておいて損はないでしょう。陰膳は古くからある習慣で、現在では亡くなった方の法事や法要などで行われることがほとんどです。

配膳の仕方や方法などにきまりがあるため、基本的なことだけでも知っておくと便利です。この記事では陰膳をはじめて聞く方でもわかりやすいように解説します。

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こんな人におすすめ

陰膳の意味を知りたい人

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陰膳とは

陰膳という言葉を知らなかったという方でも、習慣としては知っていたという人もいるでしょう。ここからは陰膳について詳しく解説していきます。

陰膳の読み方

かげぜんは、「影膳」や「蔭膳」と書くこともありますが、「陰膳」と書かれることがほとんどです。現在では故人の法要として行われるものとしての認識が強いですが、元々は遠く離れた家族の無事を祈るという意味合いもありました。

現在では、陰膳は故人が安全に極楽浄土へ到着するための祈りであるという認識が一般的です。身近なことで例えると、お盆に仏壇へ食事を出していた経験がある人もいるでしょう。言葉を知らなくても、仏壇に食事を配膳することといえばわかりやすいでしょう。

身内の無事を願う

陰膳には、遠くにいる家族の安全を祈願するという意味合いも含まれています。

現在では家族が離れていても簡単に連絡を取ることができますが、昔は連絡すら取れないことが当たり前でした。そのため、離れた家族の安否を心配することも多く、陰膳により無事を願っていました。また、離れた土地でも健康で頑張って欲しいという願いを込めながら、陰膳をしていたようです。

昔は戦争や出稼ぎなどで家を離れている家族を思い、膳を用意して一緒に食事を囲いました。陰膳は、いつも座っていた場所に食事を用意することが多いですが、地域や家庭によって方法はさまざまです。

現在では生きている家族に対して行う人は少ないですが、離れて住む家族を思って行う人もいます。

陰膳をしない宗派もある

陰膳はすべての宗派で行うわけではありません。しかし、自分の家庭がどの宗派かを知る機会は少ないかと思います。お葬式があって初めて知ったという人もいるものです。一度自分の家庭の宗派について確認してみることをおすすめします。

また陰膳は、宗派だけでなく、お寺ごとにやり方の違いがあります。基本的な考え方や方法は同じベースでも、なんらかの違いがある場合も考えられるため、陰膳を行う前にお寺について知っておくことは重要です。結婚した先と実家で異なるケースも十分にあります。そのため、事前に家族に聞いておくとよいでしょう。

陰膳で使うカトラリーや食事の内容

ここからは、陰膳で使うカトラリーや食事の献立について紹介します。陰膳で使うカトラリーや料理の内容を知っておけば、いざというときに落ち着いた対応が可能です。事前に準備しておく仏具や、食事の内容などについて確認しましょう。

陰膳で使用するカトラリー

呼び名はさまざまですが、仏前に並べる食器のことを「仏膳椀(ぶつぜんわん)」と総称して呼びます。女性であれば雛人形セットにあるお膳をイメージするとわかりやすいかもしれません。

小型の台のような形の膳で、カトラリーが5つとお箸が1膳並びます。普段供えている湯のみや茶碗などとは別に用意をします。一般的な並べ方は、中央に漬物用となる高坏、自分から見て前側左がご飯を盛る親椀、右側が汁物を入れる汁椀、左側が煮物に使う平椀、奥の右側が和え物を入れる壺椀です。

カトラリーはプラスチックのものから漆塗りのものまで幅広くあり、値段もさまざまです。プラスチックは扱いやすいですが、漆器は乾燥に弱いため手入れをきちんと行いましょう。

精進料理

陰膳の料理は、一汁三菜をベースとした精進料理です。料理にきまりはありませんが、仏教では殺生を禁止しているため、肉・魚・卵などは使いません。元々は、中国で仏教を学んだ僧侶が伝えた料理だとされています。

そして、五葷(ごくん)と呼ばれる臭いや刺激の強いにんにく・ネギ・らっきょう・ニラなどは修行の妨げになるものとして禁止されています。いくら故人が肉好きだったとしても、精進料理を出しましょう。

凝ったものを用意する必要はなく、普段の献立に使えるもので構いません。煮物や和え物など、豆腐や野菜中心の家庭料理にしましょう。また陰膳の食事内容は、家族や客人と同じものを出すパターンもあります。

陰膳のエチケット

陰膳には亡くなった方への配慮もあるため、いくつかのマナーを知っておくと役に立ちます。知らなかったことで恥ずかしいと感じることがないように、事前に理解しておきましょう。陰膳をしっかりと執り行うためのエチケットを以下にまとめました。

配膳の位置

まず、カトラリーの配膳方法や位置から覚えましょう。陰膳を配膳する位置は、位牌や写真の前です。配膳する際の写真や位牌の移動にも注意を払いましょう。

中央の上座の位置に壇を設置し、壇に写真や位牌を並べて陰膳とお箸を置きます。カトラリーを並べるときに混乱しやすいのが、カトラリーの向きです。自分の向きに置くのではなく、故人と向き合うイメージで置きましょう。

「自分の向きと反対に置く」と考えるとわかりやすいかもしれません。お箸は一番奥側になり、次にご飯や汁物を並べます。そして手前に煮物や和え物を置きましょう。故人が食べやすいように並べると考えれば自然と向きが決まるはずです。

お下がりは必ずいただくこと

陰膳を行う上で非常に大切なポイントは、お下がりをいただくことです。お下がりとは、陰膳で供えた料理のことで、仏壇から下げた後に家族が口にすることで供養になります。一口でもよいので、必ずお下がりをいただくようにしましょう。お下がりを口にすることで、故人が無事に旅立てるように祈ります。

供養という意味がこもっているため、故人に供えた料理を捨ててはなりません。食べきれない場合は、次の食事で口にするようにしましょう。自宅の外で陰膳を行った場合は供えた料理を持ち帰り、自宅で口にするようにしてください。これは、陰膳で忘れてはいけない供養のための大切なエチケットです。

陰膳を供えることが供養だと考える方もいるかもしれませんが、家族が陰膳を食べることで亡くなった方への供養となるので覚えておきましょう。

陰膳から配膳する

法事などで参列者や家族などが集まった際、配膳する順番は上座から行うため、この場合は故人の料理から配膳します。故人が上座となるため最初は陰膳からと覚えておくとよいでしょう。

ただし、これはあくまでも基本的な考え方であり、お寺や地域によって異なる場合もあります。間違いがないように事前に確認をすることが大切です。配膳するときは、そのまま置くのではなく、「膳引き」という台の上に乗せるようにしましょう。

陰膳で気をつけたいこと

陰膳は故人を偲ぶ会食の席です。家族や知り合いそれぞれが故人を思いながら食事をするため、気持ちよい状態で行うに越したことはありません。そこで、陰膳を執り行う際に配慮すべきことについて確認しましょう。

陰膳は四十九日まで

期間はいつまで行うのかについても知っておくべきことのひとつです。仏教では、陰膳は故人が仏様になるまで辿る旅路の成功を応援するために行うといわれています。そのため、四十九日まで行いましょう。四十九日を終えたら、仏様にお供えものをするという意味に変わります。

陰膳は、故人が無事に旅立つように家族が行う応援であるため、四十九日まで毎日欠かさず行うのがよいでしょう。故人ではなく離れた家族に陰膳を行う場合は、特に期間は決まっていません。毎月行う人もいれば、年に1度行う人もいます。

陰膳はお供えとは異なる

よく陰膳とお供えは同じ意味だと思っている人がいますが、実は別物です。まず、行為の対象が異なります。陰膳の対象は死者や遠方の身内、お供えは対象が故人ではなく仏様です。故人を偲び、無事に極楽浄土に行けることを祈ったり、別のところにいる身内の無事を願ったりするのが陰膳です。

仏様を崇拝する意味のお供えとは、考え方が別です。陰膳では共に食事することに対して、お供えは線香や果物、お菓子などさまざまな物を供えます。四十九日が終了したら故人が仏様になり、お供え物を仏壇に供えるようになるのです。

陰膳とお供えは似たものに感じられますが、実はまったく別のものであることを理解しておきましょう。

陰膳をしない宗派

多くの仏教では、四十九日を終えて極楽浄土に到着すると考えられていますが、浄土真宗は別の教えがあります。

浄土真宗では即身成仏(そくしんじょうぶつ)という考え方があります。亡くなった直後から仏様に変わると教えられているため、仏様になるまでの旅がなく、陰膳を用意する必要がありません。

浄土真宗では、死者はすぐに仏様になり、現世にいる人々を誘導するために戻ってくるといわれています。宗派による考え方の違いで、浄土真宗は陰膳をしないと覚えておきましょう。

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まとめ

法事や法要などで行う陰膳には、「故人が安全に極楽浄土へ到着するための祈り」という大事な意味があります。普段の生活では陰膳を行う機会は少ないかもしれませんが、知っておくことで大切な故人を気持ちよく偲ぶことができるでしょう。大事な供養だということを覚えておくのが大切です。

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監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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