法事・法要は故人をしのぶ大切な場であり、施主・参列者共に頭に入れておきたい知識やマナーが多数あります。
しかし、法事・法要に立ち会った経験が少なく、具体的なマナーがよく分からないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、法事・法要の概要や種類、当日の流れやマナーについて詳しく解説します。正しい知識やマナーを身に付ければ、落ち着いて故人を供養できるでしょう。仏教以外の宗教のマナーも紹介します。
<この記事の要点>
・法事・法要は親しい方が集まり故人の冥福を祈り、霊を慰める仏教の儀式です
・香典の金額は地域や故人との関係性によって異なります
・男性は黒いスーツに白いシャツと地味な柄のネクタイ、女性は黒のスーツかワンピースを着用します
こんな人におすすめ
法事に参列予定の方
法事のマナーを知りたい方
仏教以外の宗派の法事について知りたい方
法事・法要とは、親しい方が集まり故人の冥福を祈り、霊を慰める仏教の儀式です。四十九日までは7日区切り、それ以降は定められた年に年忌法要を執り行います。7日という区切りは、7日ごとに生前の功徳に対する裁判があるとされている仏教の教えが由来です。
「法要」という言葉は経を読んでもらう供養の儀式を指し、「法事」は法要後の会食「お斎(おとき)」を含めた行事を意味します。
法事・法要は一度で終わりではなく、一定期間ごとに複数回営みます。主な法事・法要は以下の通りです。
種類 | 時期 | 現在での扱い | |
忌日法要 | 初七日 | 7日目 | 遺族、親族、知人・友人、僧侶が参列 |
二七日 | 14日目 | 遺族のみ。省略されることもある。 | |
三七日 | 21日目 | 同上 | |
四七日 | 28日目 | 同上 | |
五七日 | 35日目 | 同上※この日を忌明けとする宗派もある | |
六七日 | 42日目 | 遺族のみ。省略されることもある。 | |
四十九日 | 49日目 | 遺族、親族、知人・友人、僧侶が参列。忌明けの日 | |
百箇日 | 100日目 | 遺族のみ。省略されることもある。 | |
年忌法要 | 一周忌 | 1年後 | 遺族、親族、知人・友人、僧侶が参列 |
三回忌 | 3年目 | 同上 | |
七回忌 | 6年目 | 遺族、親族で供養。七回忌以降は縮小傾向。 | |
十三回忌 | 12年目 | 遺族のみ | |
十七回忌 | 49日目 | 遺族、親族、知人・友人、僧侶が参列。忌明けの日 | |
二十三回忌 | 22年目 | 同上 | |
二十七回忌 | 26年目 | 同上 | |
三十三回忌 | 32年目 | 遺族のみ。三十三回忌で弔い上げの場合が多い。 |
法要は、百箇日までの「忌日法要」と節目の年の命日に営む「年忌法要」があり、規模や参列者が異なります。ここでは、特に重要な法要について見てみましょう。
本来は亡くなってから7日目の法要でしたが、より多くの方に参列してもらえるように、現在では葬儀と同日に営む場合がほとんどです。故人は7日目に三途の川にたどり着くとされていて、無事に渡れるよう供養する意味があります。
亡くなってから49日目は「満中陰(まんちゅういん)」とも呼ばれ、故人が極楽浄土へ行けるかどうかかが決まる日とされています。本位牌に魂入れをして納骨をするため、重要な法要のひとつです。
したがって、四十九日法要までに本位牌や納骨の準備をしなければなりません。お墓に納骨以外にも、樹木葬や散骨といったさまざまな供養方法があります。
亡くなった後、四十九日の忌明けを過ぎてから初めて迎えるお盆のことです。四十九日を迎える前にお盆が来る場合、翌年が新盆となります。
あわせ
一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌といった節目の年の命日に営む法要のことです。故人が亡くなってからの年数が短いほど、多くの方を招いて盛大に営む傾向があります。年忌法要のタイミングは、亡くなってから1年後が一周忌、それ以降は数え年です。例えば、三回忌であれば亡くなってから2年目の命日に法要を営みます。
故人の供養を終了とする「弔い上げ(とむらいあげ)」は、三十三回忌とするのが一般的です。ただし、宗派やお寺、地域によっては五十回忌を弔い上げとする場合もあります。
まずは会場を決めますが、自宅かお寺の場合がほとんどです。自宅の広さや参列者の人数、準備の手間を考慮して決めるとよいでしょう。地方では、代々の慣習として自宅で営むことが多いのが特徴です。
自宅での法要では、仏壇の下段に位牌を移動させておきます。頂いた供物を置けるように、机に白い布をかけた台を用意しておくと丁寧です。お寺の場合、位牌や供物を持ち込んで、僧侶に伺いながら準備を進めましょう。
また、法要の後にそのまま会食ができることから、ホテルや料亭を選ぶこともあります。
法事・法要当日の流れは以下の通りです。
1.法要を執り行う場所に集まる
2.着席後、僧侶に読経をお願いする
3.順番に焼香をする
4.僧侶の法話を聞く
5.食事を取り、その前後に施主は挨拶をする
6.参列者に引き出物を渡し、解散
施主として法事・法要を営んだ経験がない方も多いでしょう。法事では、僧侶や参列者に対してさまざまな配慮をしなければなりません。また、お斎やお布施に関する知識も必要です。ここでは、施主向けに法事の知識やマナーを紹介します。
菩提寺の僧侶にお勤めを依頼します。予定が決まり次第、なるべく早く連絡しましょう。希望の日時と場所を伝えて、スケジュールを調整します。命日当日に都合がつかない場合は前倒しにするのが一般的です。
菩提寺がない方は寺院手配サービスを利用してもよいでしょう。「小さなお葬式」では、お付き合いのあるお寺がない方に向けて、僧侶をお手配するサービスがございます。詳しくはこちらをご覧ください。
法事の案内状は、参列者の人数を把握して会食の準備をするためにも、なるべく早めに出すことが大切です。目安として、予定日の1ヶ月前には届くように送ります。
案内状には、誰の何回忌か、日時・場所、法要後の会食の有無を記載しましょう。正式な案内状は、返信用のはがきを同封して出欠の確認をします。略式であれば、往復はがきで問題ないでしょう。参列者が親戚のみなど小規模な法事の場合、電話やメールで出欠確認をする場合もあります。
法要の後に振る舞う食事を「お斎(おとき)」と言います。もともとは、四十九日の忌明けに精進料理から通常の料理に戻す区切りという意味がありました。 現在は、故人への供養と参列者に対するお礼とお清めの意味で会食します。
人数が確定したら早めに予約を入れましょう。法事で利用するお店を探す際には、飲食店検索サイトで「法要」や「仏事」と検索すると簡単に見つかります。
法事でお経を読んでくれた僧侶には、謝礼としてお布施(おふせ)を渡します。お布施を包む封筒の表書きは「御布施」とし、小さなお盆や袱紗に乗せて渡すのが一般的です。
参列者から香典を頂いたときは、返礼品をお渡しします。2,000円~5,000円程度の品を用意しておくとよいでしょう。手元に残らない「消え物」で、かさばらない実用的なものが適しています。
法事・法要に招かれた場合、故人や遺族に失礼がないように知識やマナーを押さえておくことが大切です。礼儀を理解すれば、落ち着いて法事・法要に参列できるでしょう。ここでは、参列者向けの知識やマナーを紹介します。
法事・法要の案内状を受け取ったら、施主の準備のためにもできるだけ早く出欠の返事をするのがマナーです。施主はぜひ来てほしいという気持ちで案内状を送っています。余程のことがない限りは出席するようにしましょう。
どうしても都合が悪く欠席する場合、施主や遺族への配慮や故人をしのぶ気持ちを伝えることが大切です。返信はがきの余白にお詫びの一文を添えるか、返信はがきとは別に手紙を送るとよいでしょう。
遺族への弔意の気持ちを表すために、法事の香典である「御供物料」を持参しましょう。御供物料の金額の目安は故人との関係の深さや地域によってさまざまです。
親族や生前の故人と親しかった方は、御供物料以外に供物を贈る場合があります。仏教であれば、線香やろうそく、果物を贈るのが一般的です。ただし、案内状に供物を辞退する旨が記載されている場合は持参しないようにします。
法事・法要に参列する際の服装は、男性は黒いスーツに白い襟付きのシャツと地味な柄のネクタイ、女性は黒を基調としたスーツかワンピースが適しています。「平服でお越しください」と言われた場合も失礼にあたりません。案内状に服装に関する指示があれば従いましょう。
法事には数珠を忘れずに持参します。故人の宗派が分かっていれば、宗派に合った本式数珠を選べば問題ないでしょう。宗派が分からない場合や本式数珠を持っていない場合、宗派にかかわらず使用できる略式数珠がおすすめです。
法事・法要の会場に着いたら遺族のもとへと向かい、心を込めた丁寧な挨拶をします。遺族に対する挨拶では、「ありがとうございます」は避けるのが通例です。例えば、「本日はお招きいただき、大変恐縮です。心を込めて供養させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします」といった挨拶をしましょう。
会食では故人をしのび思い出を語り合いましょう。写真や映像があると、より思い出話に花が咲きます。話題に困ったときは「木戸に立てかけし衣食住(キドニタテカケシイショクジュウ)」について話すと会話が弾むといわれていますが、何よりも大切なのは故人をしのぶ気持ちや遺族への配慮を忘れないことです。
キ:季節・気候
ド:道楽・趣味
ニ:ニュース
タ:旅
テ:天気
カ:家族
ケ:健康
シ:仕事
イ:衣服
ショク:食べ物
ジュウ:住まい
本来、忌日法要や年忌法要は仏教における儀式です。ただし、他の宗教でも故人の追悼のために似た儀式を営む場合があります。ここでは、神道やキリスト教、無宗教の法事に参列するときのマナーについて見てみましょう。
神道では「霊祭」や「式年祭」が法事の位置付けの追悼儀礼です。仏教の法事はお寺で営む場合もありますが、神道は神社で執り行うことはありません。香典を入れる袋は蓮の花や模様が描かれていない無地の封筒を選び、表書きは「御神前」「御玉串料」「御榊料」とします。
キリスト教には「供養」という概念がありません。したがって、仏教における法事・法要とは意味合いが異なりますが、故人を思い出し自らの気持ちに区切りをつける儀式として「追悼ミサ」や「記念集会」を執り行います。香典の表書きは「御花料」とするのが一般的です。
特定の宗教がない場合、宗教的な意味を含む法事は必要ありません。ただし、四十九日や一周忌のタイミングで遺族や友人が集まって、故人をしのび思い出を語り合う会を設ける場合があります。香典の表書きは「御花料」とすれば問題ないでしょう。
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法事・法要は故人の冥福を祈る大切な儀式です。施主と参列者がそれぞれに必要な知識を学び、マナーを守ることで、円滑に法事を執り行えるでしょう。例えば、施主は案内状の内容や送る時期に気をつけて、参列者は早めに返事することを心掛けます。他にも、法事当日の流れや事前の準備について確認しておきましょう。
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「お悔やみ申し上げます」は通夜や葬儀の定型句なので、宗派を気にせず使えます。ホゥ。