企業に勤めているサラリーマンやアルバイトをしている方々は自覚がない方も多いかもしれませんが、実は毎月の給料から税金が天引きされています。「自分の給料から勝手に天引きされているなんて」と思う方もいるかもしれませんが、税金を納めることは日本国民である以上必要なことです。
税金の天引きは会社が代わりに行ってくれるため、どこかの会社に属している方にとっては、自分で税金を計算し納めることはほとんど経験がないことでしょう。また、死亡退職が関係するとなると、税金の計算は余計にわからないことだらけです。
この記事では、会社の従業員が年末調整前に死亡した場合の流れと注意点について解説します。年末調整について悩まれている方はぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・従業員が死亡したときは、その時点で年末調整を行うのが一般的
・年の途中で死亡したときは、1月1日から死亡したその日までに受け取った給料を対象とする
・故人の年末調整の処理が終わり次第、遺族は準確定申告に向けた準備をする
こんな人におすすめ
年末調整について知りたい方
死亡退職した方の年末調整の流れを知りたい方
死亡退職した方の年末調整の注意点を知りたい方
サラリーマンやアルバイトなどの会社に属する方や公務員の方は、雇用元が月毎に給料から税金を天引きしています。このことを源泉徴収と呼び、収入が給与所得である限り必ず処理されます。
しかし、その源泉徴収は正確な額を引かれていないことがあり、年末にその過不足を再計算する必要があります。その作業のことを「年末調整」といいます。もし、給料から税金を引きすぎていた場合はその分本人に返還され、反対に不足していた場合はさらに天引きするという仕組みです。
「はじめから正確な額を引いておけば年末調整をせずに済むのではないか」という疑問を持つ方もいるでしょう。
しかし、正確な税金の額が確定するのは年末であるため、どうしても人によって過不足が発生します。その理由の中には、転職や昇給、家庭の状況などが変更された場合の他にも、給料などの控除以外で社会保険等を払っていることも挙げられます。
年末調整のやり方は、以下の書類に必要事項を記入し、控除の証明書を会社に提出します。
・「給与所得者の保険料控除申告書」
・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
・「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」
期限は11月の後半に設けられることが一般的です。この年末調整の対象者は、企業に属している方となっていますが、年収が2,000万円以上の方は確定申告の必要が個別にあります。
一方で年末調整をその年の途中で行う対象となる方もいます。以下にその対象を記しています。
・海外に転勤して非住居者になった方
・死亡退職された方
・心身の障害のために退職された方
・12月分の支給されるべき給料を受け取った後に退職された方
・年収が103万円以下のパートの方
その中でも特に、死亡して退職された方の年末調整は複雑なものがあるため、ここからは詳しく解説します。
本来、年末調整は従業員が年末に行うものです。しかし、その年の途中で死亡し退職した方の年末調整はどうなるのでしょうか。
年末調整をしなければいけないとき、会社が全て行っている場合は遺族の方々がすることは特にありません。とはいえ、自らが何らかの手続きを行う必要があるときに迷うといけないため、ここからは死亡退職のときの年末調整について解説します。
従業員が死亡したときは、その時点で年末調整を行うのが一般的です。給料の支給日前に従業員が死亡した場合は、その後から支払われる給料は相続遺産として処理されます。よって、その給料には所得税ではなく相続税が課せられるため、徴収はされません。支給期とは、給料が支払われる時期のことを指し、支給日と同義です。
しかし、相続財産であるため、遺族は会社から源泉徴収票を受け取り、確定申告を忘れずに行うようにしましょう。
例として、給料の締日が前月の末で給料が支払われる日が当月の25日とします。死亡した日が当月の17日とすると、前月の給料と月初めから17日までの給料は相続財産として取り扱われます。よって、年末調整の対象には含まれません。
また、死亡前に支払われるはずだった給料が何らかの理由で死亡後に支払われていた場合は、その給料は給与所得として扱われます。
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会社に勤めていた方が死亡した場合以外にも、年の途中で年末調整を行う義務がある方もいます。
・海外に転勤して非住居者になった方
・心身の障害のために退職した方
・12月分の支給される給料を受け取った後に退職した方
・本年の見込みの年収が103万円以下のパートの方
上記に当てはまる方は、たとえ年末でなくても年末調整を行う必要があるため注意しましょう。
ここからは、死亡して退職された方の年末調整の手順を解説します。実際の手順は以下の通りです。
1. | 相続のために給料を確認する |
2. | 年末調整の対象になる給料を計算する |
3. | 遺族に源泉徴収書を渡す |
一つずつ解説します。
相続のために死亡された方の給料を確認し、相続財産として取り扱う給料を計算します。相続財産として扱う給料の計算の仕方は以下の通りです。
例として、締日が月末・給料日が翌月15日の企業に勤めている、あるサラリーマンが3月14日に死亡したとします。この場合は、2月分の給料はまだ受け取っていないため、1月までの分を給与所得として扱います。よって、年末調整の対象となる給料は1月までの分です。
一方で、2月分の給料は通常通り、3月15日に払われますが、その給料は相続財産として扱われます。
次に年末調整の対象となる給料を割り出します。通常は、1月1日から12月31日までに受け取った給料が対象です。
しかし、年の途中で死亡したときは、1月1日から死亡したその日までに受け取った給料を対象とします。先ほど例を出したサラリーマンのケースでは、1月いっぱいの給料は年末調整の対象です。一方で、2月1日から3月14日までの給料は相続財産とされます。
本人に支払われるボーナスの扱いも死亡日より前に支給期がある場合は給与となり、死亡日より後にあるなら相続の財産です。
遺族に対して「源泉徴収票」を必ず渡します。年末調整の対象者が死亡した場合、その遺族は相続財産に対して「準確定申告」を行わなければなりません。そのときに必要になるのが源泉徴収票です。
この源泉徴収票がないと準確定申告を行えないため、遺族の方で源泉徴収票を交付されていない方は故人が勤めていた職場に請求しましょう。
また、故人が勤めていた職場側も、遺族に対して源泉徴収票の交付が済んでいない場合は早急に交付してください。
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死亡退職者の年末調整を行うときには、次のように注意点が存在します。
・保険料の控除範囲
・配偶者、扶養控除の判定基準
・健康、介護、厚生年金保険料を支払う
・給料の受け取り方
・退職金
・相続税の納め忘れがないようにする
これらを蔑ろにしてしまうと、税金を多く払い、支出が増えることにつながります。以下で注意点を一つずつ解説します。
年末調整をするときに、次の保険は支払った額によって控除を受けることが可能です。
・社会保険
・地震保険
・生命保険
注意点としては、1年間に支払った額ではなく、年の始まりから故人が死亡するまでに支払った額が対象となることです。
配偶者、扶養控除の判定基準は死亡日の現状によって判定されます。
配偶者控除とは、納税者に配偶者がいる場合、一定額の控除を受けられる制度で、控除額は13万円~48万円です。
一方で、扶養控除は納税者に扶養親族がいる場合に一定額の控除を受けられる制度で、控除額は38万円~58万円になります。
死亡退職においての社会保険の扱いは、通常の退職と同じように処理します。したがって、保険は死亡した翌日にその資格を失う仕組みです。健康保険料などの支払いは加入してから死亡する日の前月までを支払う義務があります。例えば、7月24日に死亡したとしたら、6月分までの保険料を払いましょう。
銀行の口座は名義人が死亡すると凍結します。そのため、死亡後に支払われる給料が振り込まれない可能性があるでしょう。その場合は、遺族の銀行口座に振り込まれるか、手渡しで支払われます。
死亡退職した場合の退職金は、死亡した日を退職日として、その1ヶ月後に支払われます。その退職金は相続財産として取り扱われるため、源泉徴収は行われません。
故人が死亡して年末調整の処理が終わり次第、遺族が準確定申告をするための準備をします。したがって、遺族の方々は相続税の申告を忘れないようにしましょう。
そのときに必要な源泉徴収票は年末調整後に交付されるため、忘れず受け取るようにしてください。
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企業に勤めているサラリーマンやアルバイトの方々は月々の給料から税金が天引きされており、そのことを「源泉徴収」と呼びます。この月々の天引きは正確ではなく、年末に差額を返還したり、徴収したりする必要があり、このことを「年末調整」と呼びます。
しかし、企業に勤めているサラリーマンやアルバイトの方が死亡した場合、年末調整はその年の途中に行わなければいけません。
また、給料を受け取る本人が死亡した日が給料日の前か後で、年末調整の対象かどうかが変わってきます。対象外の場合、相続財産として取り扱われ、準確定申告が必須となるため注意しましょう。
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