一口に「仏教」といっても宗派によって作法が異なります。法事やお墓参りなどに欠かせない数珠も、宗派ごとに形や持ち方、使い方に特有の作法やマナーがあるため注意が必要です。
今回は、仏教のなかでも信仰している方がもっとも多いといわれる「浄土宗」の数珠の持ち方を解説します。数珠の特徴や種類、使用する際のマナーについても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・数珠は左手で持つのが基本だが、念仏の際は左右どちらでもよい
・浄土宗の数珠には「本連数珠」「略式数珠」の2種類がある
・浄土宗では数珠の貸し借り、椅子や畳の上に置くことは避ける
こんな人におすすめ
浄土宗の葬儀に参列予定の方
浄土宗の数珠の持ち方を知りたい方
浄土宗の数珠の特徴を知りたい方
葬儀や法要には数珠を持参しますが、持ち手はどちらか、焼香時はどうしたらよいのかなど、細かな作法についてはよく分からないという方も多いでしょう。
浄土宗の場合は、数珠の基本の持ち方のほかにも合掌の際や念仏を唱える際にも持ち方のきまりがあるため、覚えておくとよいでしょう。
数珠は左手で持つのが基本とされています。その理由は諸説ありますが、仏教の考え方で「左手は清浄」「右手は現世の不浄な世界」を指しているそうです。数珠を左手にかけて両方の手を合わせれば「自身の持つ穢れを仏さまが消してくれる」といわれています。
仏教の発祥地のインドでは左手が「不浄の手」です。インドでは「左手に数珠を持ち煩悩や穢れを清める」と考えられています。
合掌する際には、以下のように数珠を持ちましょう。
1. 2つの輪が1つになるよう重ねる
2. 両手を合わせ、左右の親指に輪をかける
3. 2本の房が両腕のあいだに来るよう垂らす
浄土宗といっても複数の宗派が存在するため、宗派によって持ち方が異なるケースも存在します。一般的な持ち方は説明した通りですが、事前に宗派を確認することを忘れないようにしましょう。
念仏を唱える際の数珠の持ち方は、次の通りです。
1. 房がついていないほうの輪を親指と人差し指の付け根にかける
2. 房がついている輪を、人差し指と中指ではさむようにかける
3. そのまま握るようにして持つ
4. 念仏を1回唱えるごとに、人差し指の上にある球を手前にずらす
数珠は念仏を唱えていないときには左手で持つのが基本ですが、念仏の際は左右どちらでも問題ありません。
焼香の際は左手に数珠を持ち、房が下を向いた状態にします。そのまま合掌や一礼をして、右手で焼香をしましょう。焼香の流れは以下の通りです。
1. 合掌
2. 喪主へ礼
3. 焼香(回数は宗派による)
4. 合掌
5. 喪主へ礼
6. 仏前から下がる
浄土宗の一般的な焼香回数は1回です。また、仏前から下がる際は仏さまにお尻を向けないよう注意しましょう。
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通夜や葬儀での数珠の使い方を宗派別に解説!葬儀におけるマナーとは
数珠にはさまざまな大きさや長さのものがあり、年齢によってサイズが異なる場合もあります。浄土宗で使用する数珠の玉の数や種類を知っておくと、新たに購入する際に役立つでしょう。
一般的な数珠についている玉の数は108個です。これは、僧侶が修行する際に108の煩悩を断ち切ることに由来しています。しかし、浄土宗の数珠は一般的な数珠と比べて玉の数が非常に少ないのが特徴です。
浄土宗の数珠は2つの輪でできています。2つの輪の玉の数は、男性が20個と27個、女性が40個と27個です。数が少ないことに加えて、性別によって玉の数が異なる点も浄土真宗ならではの特徴だといえるでしょう。
また、2つある輪の一方には2本の房があり、それぞれに「弟子玉」と呼ばれる玉が10個と6個ついています。
浄土真宗の数珠には、次のような種類の玉が使用されています。
密閉対親珠(おやだま)策 | >数珠の中心となる玉。お釈迦様、阿弥陀如来を意味する |
子珠(こだま) | 数珠を形成する玉。「主珠」とも呼ばれる |
四天玉(してんだま) | 子珠のあいだに4つある玉。四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)を意味する |
弟子玉(でしだま) | 房につながる部分につけられた玉 |
弟子玉には、片方の房に「平玉(ひらだま)」と呼ばれる平たい小さめのものが10個、もう片方の房にはやや大きめの「丸玉(まるだま)」が6個ついており、これらは菩薩が実践すべき10の修行、もしくはお釈迦様の十大弟子を表しているといわれています。
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浄土宗の葬儀・法要の特徴やマナー
浄土宗の数珠には「本連数珠」と「略式数珠」の2種類があります。ここからは、それぞれの特徴や使用する際のポイントについて解説します。
本連数珠は、宗派が正式に認めた数珠のことです。一般的には108個の玉から成るものを指しますが、浄土宗の場合は男女で異なる玉の数で2つの輪からできたものを指します。
正式な数珠なので、浄土宗のすべての行事で使用可能です。ただし、そのほかの宗派では使えない場合も多いため注意が必要です。
略式数珠は、宗派に関係なく仏教の行事において使用できる数珠です。本連数珠は二重にして手にかけ使用しますが、略式数珠は一重で使用します。扱いやすいことから「片手数珠」とも呼ばれています。
玉の数が半分のものや4分の1の数珠もあり、「略式」の名の通り手軽に使用できて持ち運びが便利なのが特徴です。さまざまな宗派の行事に対応できるので、1つ持っておくとよいでしょう。
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お葬式での数珠の使い方と宗派ごとの数珠の種類
数珠は適切な保管方法で収納しないと、汚れてしまったり破損したりする可能性があります。ここからは、浄土宗の数珠の保管方法や扱い方について解説します。
「玉が汚れている」「くすんでいるように見える」「保管中に房が曲がってしまった」など、経年劣化などにより数珠の見た目が悪くなってしまうことがあります。玉のお手入れには、眼鏡拭きのような柔らかい布を使ってやさしく乾拭きをしましょう。
房が曲がるなどクセがついてしまった場合は、鍋にお湯を沸かして出てきた蒸気にクセがついた部分を当てながら形を整えるときれいになります。
数珠を保管したり持ち歩いたりする際に、数珠が傷ついてしまうことがあります。持ち歩く際は、バッグのなかでほかのものに当たって傷がつかないように数珠袋に入れましょう。
数珠袋に入れたまま保管すると房が曲がりやすいので、保管の際は購入時に入っていた箱に入れて形を整えることを意識しましょう。数珠掛けにかけるのも、型崩れを防ぐ方法の1つです。
大切に使用していても、経年劣化で傷んでしまったり破損してしまったりすることはあります。「数珠が切れると縁起が悪い」と捨ててしまう方も少なくありませんが、長年使っていると、中糸や房は劣化するものです。
数珠が破損した場合は、修理に出すことをおすすめします。房の色を変えると、数珠の雰囲気が変わって新たな気持ちで数珠を長く使い続けることもできるでしょう。
浄土宗には数珠を使用する際のタブーが大きく分けて3つあります。
他人と数珠の貸し借りをしたり使用していない数珠を椅子や畳に置いたり、ファッション性の高い数珠を使用するのは他の方の目にも触れる行為なので、特に注意しましょう。
「数珠を持っていないから誰かに借りたい」と思う方もいますが、数珠の貸し借りはマナー違反とされています。数珠は「念珠」とも呼ばれる所有者の身を守るものなので、他の人のものを使用することは控えましょう。
急な訃報などで数珠が用意できない場合もありますが、誰かに借りることはせず、持たずにいくことをおすすめします。また、家族間で数珠を共有するケースもありますが、1人1つ数珠を用意するのが望ましいでしょう。
数珠はお守りの1つで、仏さまと持ち主をつなぐ大切なものです。席を離れる際にはバッグやポケットに入れて持ち歩き、椅子や畳の上には置かないようにします。
やむを得ず椅子などの上に置かなければならない場合は、ハンカチを敷き、その上に数珠を置くなど工夫が必要です。いかなる状況でも、仏さまへの敬意を忘れないようにしましょう。
魔除け、厄除けなどの効果が期待される数珠は、ファッションの一部として取り入れられることも増えています。おしゃれなブレスレット型の数珠も多く販売されていますが、こうしたタイプの数珠をお寺などで使用するのはマナー違反です。
本連数珠がない場合は、アクセサリーの数珠ではなく略式数珠を持参しましょう。どちらもない場合は、アクセサリーで代用せず仏具店で購入するか数珠なしで参列するのが賢明です。
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数珠は煩悩と同じ、108個の玉でできているのが一般的です。浄土宗の数珠は一般的な数珠とは異なる形状と玉の数で、性別によっても玉の数が違うのが特徴です。数珠の正しい持ち方やタブーも知り、マナーを守って法要などに参列しましょう。
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亡くなった方や仏に向けて、香を焚いて拝む行為を焼香(しょうこう)といいます。ホゥ。