親族間での不仲やトラブルにより、「財産の相続をしたくない」と思う方もいるかもしれません。そのような場合では、相続廃除を検討することもあり得るでしょう。しかし「相続廃除の要件を満たしている」と認めてもらうのは難しいといわれています。
この記事では、相続廃除の対象や要件、事例、手続きの方法、注意点を解説しました。相続廃除について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
<この記事の要点>
・相続廃除の要件には、被相続人に対する虐待や重大な侮辱、著しい非行が含まれる
・相続廃除には、生前に行う「生前廃除」と死後に遺言書を通じて行う「遺言廃除」がある
・相続廃除が認められる確率は低く、代襲相続が発生する可能性がある
こんな人におすすめ
相続廃除とは何か?効果と対象を知りたい人
相続廃除の手続きについて知りたい人
相続廃除の注意点を知りたい人
相続廃除とは、相続人の相続権を剥奪する制度です。被相続人は、遺留分を有する推定相続人に対して相続廃除ができます。遺留分とは「私の相続分です」と主張できる最低限の相続財産です。
配偶者、直系卑属(子や孫)、直系尊属(父母や祖父母)は、推定相続人で通常は遺留分が存在します。しかし相続廃除の申し立てをされた場合、遺留分はなくなり配偶者や直系卑属(子や孫)、直系尊属(父母や祖父母)であっても相続財産を受け取れません。
なお、被相続人の兄弟姉妹は遺留分を持っていないため相続人廃除の対象ではなく、財産を渡したくない場合は、兄弟姉妹以外に全財産を相続させる旨を遺言書に記載しておきましょう。
相続廃除はどのような場合でも認められるわけではなく、家庭裁判所に廃除の申し立てをして「要件に当てはまる」と審判を受ける必要があります。ここからは要件と過去の事例を確認しましょう。
相続廃除できる要件は、被相続人に対する虐待や重大な侮辱が認められたときです。また著しい非行があった場合も、要件に含まれます。
【法的根拠】
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
(引用:『民法892条』)
ここでは過去に実際にあった事例を2つ紹介します。相続廃除を検討している方は、参考にしてみてください。
当時60歳を超えていた被相続人Aに対して、推定相続人Bは3回にわたる暴行におよびました。Aは鼻から出血し、全治3週間の障害を負った事例です。この場合、一連の暴行は「虐待」または「著しい非行」であるとして、相続廃除が認められました(大阪高裁令和元年8月21日決定の判決より)。
推定相続人Cは、被相続人Dと不仲で疎遠になっていました。そのためDに対して、病気見舞いや火事見舞いをしていなかった事例です。この場合、Dの行為も原因の一端を担っていたと推察できるため「侮辱」や「虐待」は認められませんでした。
相続廃除の手続きは、生前でも死後でも可能です。ただし死後の手続きには、遺言執行者を選ばなければなりません。以下の項目では、それぞれの手順をチェックしてみてください。
被相続人が生きているうちに手続きをする場合、生前廃除の手続きができます。
手続きの流れは、下記のとおりです。
・家庭裁判所へ推定相続人廃除の審判申立書を提出
・審判が下る
・審判書謄本と確定証明書が交付される
・10日以内に被相続人の戸籍のある市区町村役場に交付された書類と相続廃除の届出をする
被相続人の死後に相続廃除を届け出る場合は、遺言書にその意志と理由を書く必要があります。故人の意志ではなく遺族や遺された推定相続人が、相続廃除の申し立てをすることは不可能です。また、遺言廃除の場合、廃除の申し立ては遺言執行者が行うため、被相続人は生前に遺言執行者を選んで依頼しておきましょう。
手続きの流れは、下記のとおりです。
・遺言書に相続廃除に関する以下の事項を記載
・相続廃除の意志と具体的な理由、遺言執行者の選定
・被相続人の死亡により相続開始
・遺言執行者は家庭裁判所に推定相続人廃除の請求をする
届出までは、上記の項目で説明した生前廃除の手続きと同様に進めます。ただし、必要書類の提出・記入・手数料の支払い・届出は、遺言執行者により行なわれます。そのため被相続人は、遺言執行者に対して相続廃除に関する説明と手続きの依頼を生前にしておく必要があります。
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相続廃除する場合、推定相続人の相続権を失なわせたあと、代襲相続がある点に注意しましょう。また廃除を認めてもらう難しさについても、知っておく必要があります。ここでは、2つの注意点について解説します。
相続廃除された場合でも、代襲相続は発生すると覚えておきましょう。代襲相続とは、相続人の代わりに相続権が引き継がれる仕組みです。
例えば相続廃除により親が相続権を失うと、その子どもが代わりに財産を受け取れます。もし子どものいない夫婦かつ両親も他界している場合は、兄弟姉妹が代わりに相続できます。
被相続人だけでなく、その子ども、または兄弟姉妹にも相続したくない方は、その旨を遺言書に書くといった対策もしておきましょう。
相続廃除の申し立てをしても認められる確率は低く、実際に全国の家庭裁判所では「推定相続人の廃除およびその取消し」を受理したのち、廃除を認めるのは2割程度だといわれています。
廃除の要件となる「虐待」や「重大な侮辱」を認めてもらうには、証拠を揃えることが重要です。申し立てを検討している方は、事前に充分な証拠集めが必要になるでしょう。
相続廃除をするうえで「届け出たあとに取り消しも可能か」「相続欠格と何が違うのか」「遺留分はどうなるのか」について気になる項目を読み進めて、理解を深めましょう。
相続権を失なわさせるような仲だった家族でも、状況によっては和解する場合もあります。例えば家族に迷惑をかけていた非行息子でも、数年後改心したと分かり関係が修復するケースもあるでしょう。「やっぱり相続権を与えてあげたい」と思った場合、相続廃除を取り消すことも可能です。
家庭裁判所に「廃除の審判の取り消し」を申し立てます。おおまかな流れは、相続廃除を届け出るときと同じです。家庭裁判所への申し立て後、廃除取り消しの審判を受けて市町村役場へ届け出ます。
相続廃除と混同しやすいものに「相続欠格」があります。相続欠格は相続廃除の申し立てをしなくても、自動的に相続権を失う制度です。相続欠格事由は、以下のとおりです。
・故意に被相続人又は同順位以上の相続人を死亡、または死亡させようとして刑に処された
・被相続人が殺害されたのを知っても、告発や告訴を行わなかった
・詐欺や脅迫によって、被相続人の遺言・撤回・取り消し・変更を妨げた
・詐欺や脅迫によって、被相続人の遺言をさせて、取り消し・変更・妨害させた
・被相続人の遺言書偽造・変造・破棄・隠蔽をした
(参考:『民法891条』)
相続廃除された者は、遺留分も消滅します。推定相続人の人数や続柄によって異なりますが、通常は法定相続の2分の1または3分の1が遺留分の割合です。しかし相続廃除になると遺留分の請求ができず何も相続できません。
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相続排除を認めてもらうには、推定相続人から被相続人に「虐待」「重大な侮辱」「著しい非行」があったと証明する必要があります。証拠集めの方法や申し立ての必要性について、家族でよく話し合ってきめましょう。
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