「終活」という言葉が広く認知されるようになりましたが、自分が亡くなった後、財産や持ち物はどうなるのだろうと不安を抱えている方もいるかもしれません。また、老後は施設に入居する方も増えるため、元気なうちに身の回りを整理してすっきりとした生活を送りたいと考える方も増えています。
この記事では、「いざというとき」に備えて生前整理が必要な理由を解説します。実際のやり方や上手に進めるためのコツ、親の生前整理を促す方法についても紹介します。
<この記事の要点>
・生前整理とは元気なうちに身辺を片付けておくこと
・生前整理の対象となるのは「財産」と「物」であり、財産については財産目録を作成する
・生前整理をする際は、貴重品の保管場所についても考えておく
こんな人におすすめ
生前整理をお考えの方
親に生前整理を促したい方
生前整理の進め方を知りたい方
人が亡くなったときに、遺された家族が遺品を片付ける「遺品整理」という言葉があります。物品の整理のほかにも故人のIDやパスワードが必要になるSNSや定額サービスの解約も遺品整理に含まれます。
遺品整理は本人が亡くなった後に行いますが、元気なうちに身辺をある程度片付けておくことを「生前整理」と呼びます。遺品の処分について遺族が迷う必要がないので、負担が減るでしょう。
時間的にも体力的にも余裕があるうちに、亡くなった後のことを考えて行うのが生前整理の特徴です。近年は高齢者だけでなく、20代や30代の若い世代で行う方もいるようです。
老いる前に身辺の整理する場合は「老前整理」とも呼ばれます。事故や災害によって急に命を落とす可能性は誰にでもあるため、亡くなった後のことを考えて身の回りを整えておくのに「早い・遅い」はないといえるでしょう。
生前整理はなんのために必要なのでしょうか。ここからはその理由について解説します。
家族が亡くなると、遺族は告別式や葬儀、行政の手続き、遺品整理などやらなくてはならないことがたくさんあります。特に遺品整理は、故人の生活していた空間から故人の愛用品を捨てる精神的負担、処分過程での荷運びといった肉体的負担、粗大ゴミや遺品処理業者など処分にかかる金銭的負担がかかります。
最近ではスマートフォンやパソコンのデータをめぐる「デジタル遺品」も問題になっています。生前整理によって家にあるものを減らしたり、残すものと捨てるものを予め選別したりしておくことで、残された家族の負担を軽減できるでしょう。
生前整理を起点に不要なものを捨て、部屋が整理された状態で暮らすと、すっきりと暮らせるようになります。また、年をとって身体の自由がきかなくなると、不用品を捨てるのも容易ではありません。物が散乱している家では転倒のリスクも高まります。
元気なうちに生活しやすい環境を作っておくことで、シンプルで穏やかな老後を迎えられます。
これまで所有してきたものや使ってきたものは、自分の人生の証です。生前整理をすることで、どんなものが好きだったか、何をしているときが幸せなのかなど価値観や思い出を振り返ることができます。
そして、今後の人生について考えるきっかけができるかもしれません。死ぬまでにやりたいと思っていたことを思い出してモチベーションをあげたり、過去を振り返ったりすると未来につながることもあるのです。
生前整理は自分の死後にトラブルになりやすい遺産相続について考える契機にもなります。不動産や株式といった金融資産だけでなく、宝石や美術品の処分や配分の希望を書き残した遺言や財産目録を書いておくことで、相続者の仲違いや争いが起こるリスクを軽減できます。
「財産目録」とは、自分が所有している金融資産や不動産、預貯金などの資産をまとめてリスト化したものを指します。資産の中には借金や債務といった負の資産もきちんと記入しておきましょう。また、それらがどこに保管されているのかもあわせて記入しておくとよいでしょう。
遺言書は、「誰にどの財産をどれだけ相続させるか」を記載した書類です。どのような形式でも有効なわけではなく、法律に定められた決まりを守って書かなければ、無効になってしまいます。親族以外に相続させたい財産がある場合には特に注意が必要です。
財産目録や遺言書に誤りがないように、不安がある方は弁護士や税理士、司法書士など専門家に相談して書類を作成しておくと安心です。
また、持っているだけで費用がかかるサービスや車などを見直し、適宜解約することで日頃の出費を節約し、老後に使えるお金を増やせるでしょう。
生前整理のメリットは、自分が亡くなった後の遺族の負担を減らせる点だけではありません。ここからは、相続トラブルを回避できる・万が一の事態に対応しやすくなる・部屋がすっきりするという3つのメリットについて解説します。
生前整理をしていないと、財産をめぐって遺族がもめてしまう可能性があります。財産の処遇を決めておけば、相続トラブルを未然に防げるでしょう。
どこにどのような財産があるのか所在を明らかにして、それぞれの財産を誰に継がせたいのかをはっきりさせることで、スムーズな相続が行えます。
生前整理は亡くなった後だけではなく、生きている間に発生するかもしれない、万が一の事態にも役立ちます。例えば、急な入院の際に身の回りの整理がされていれば、代わりに手続きをしてくれる人が必要なものを探し出しやすくなるでしょう。
また、認知症になって施設に入居する場合には、自分で指示を出せなくなっている可能性があるため生前整理された状態だと家族は助かります。
生前整理をで物が減ると部屋の中がすっきりとして、気持ちよく生活できるようになるでしょう。また、きれいな部屋の状態を維持することを意識すれば、余計なものを購入しなくなるため節約にもつながります。一度生前整理を行った後は、元の状態に戻らないように気をつけて生活しましょう。
生前整理は自分で動けるうちに行うことがポイントです。家族に手伝ってもらうと、どうしても、自分の望み通りにはならないことが起こってしまいます。そのため、自分で自由に行動できる間に始めるのがよいでしょう。
何かのきっかけがないと始めにくいという人は、人生の節目を利用して生前整理に着手してみてはいかがでしょうか。たとえば、就職や結婚などで子どもが家を出たときや、自分が70歳になったときなどです。
生前整理の対象となるのは、「財産」と「物」です。ここからは、生前整理の方法を具体的に解説していきます。
財産には以下のものがあてはまります。
・現金(預貯金)
・家
・土地
・車
・有価証券
・宝石
・骨董品 など
何を持っているのかを把握したうえで、財産目録を作るとよいでしょう。
人が亡くなった後には相続が発生して、遺族は相続財産を分けることになります。財産がどれだけあるのかを調べるのには時間がかかるので、あらかじめ目録を作っておくとその手間を省くことができます。
また、早めに財産の内容を把握しておけば、相続税の対策も行えます。場合によっては生前贈与などで税金対策をすることができるので、目録を作ったら弁護士や税理士などの専門家に相談してみてもよいでしょう。
残しておくべきものと、不要なものの選別を行いましょう。「不要なものを捨てる」と考えるのではなく「必要なものやこれからも使うもの」を選定して、残りを処分すると考えるとスムーズに判断ができます。捨ててしまうのが惜しいと考えるものは、誰かにあげる・売る・フリーマーケットのアプリに出品するという選択肢もあります。
趣味のもので種類や数が多いものは、選別を行う前に「1年以内に使ったものだけを残す」など必要なものの判断基準を定めておく方法もおすすめです。
最近は片付けや断捨離についての情報もたくさんあるので、それらを参考にしながら少しずつ身辺を身軽にしていきましょう。
小さなお葬式でも、お得な「生前整理」サービスをご用意しています。お見積りは完全無料!料金にご納得いただけた場合のみのご依頼なので安心です。まずは以下からお問い合わせください。
書店や通販サイトで、終活のための「エンディングノート」と呼ばれる記入式の冊子が販売されています。1000円未満のものから、自筆遺言書の手引きまでついた完全版までその種類はさまざまです。
エンディングノートには、自分の死後の遺品の処分方法や形見分けについて記入することができます。自分が何をどれだけ持っているのかを可視化できるので、遺産の整理にも役立ちます。
利用中の定額サービスを把握すると、現在の無駄な出費が見えてくるかもしれません。また、自分の死後に解約し忘れて遺族の遺産が減ってしまうことも防げます。
定額サービスはリストアップして、登録IDやメールアドレス、パスワードをまとめておくと安心です。既に使っていないサービスがあれば、解約することで固定の削減にもなります。こちらも「1ヶ月に2回以上使わないサービスは契約を見直す」など基準を作っておくとスムーズに判断できるでしょう。
現代においてSNSは大切なつながりの場であり、フォロワーや友人にきちんと別れを告げたい方も多いでしょう。自分の逝去をSNSで告知してほしい場合は、その旨を家族に伝えておく必要があります。エンディングノートに予めお別れの投稿に載せてほしい文章を書きとめておくのもよいかもしれません。
手に負えないほど家が散らかってしまっている場合や、何から手を付けて良いか分からない場合は業者に依頼するのも一つの方法です。最近では「片付けコンシェルジュ」や「生前整理アドバイザー」など、多様なサービスが登場しています。捨てづらいものや大きなものもまとめて整理してくれるため、スムーズに生前整理が進められます。
亡くなってしまうと、その後のことは自分ではどうすることもできません。葬儀のあげ方や財産の分け方、不用品の処分の仕方など希望がある場合は、文章に残しておくと家族が困らなくて済みます。
弁護士や公証役場のサポートを受けて作成した正式な遺言書は法的効力を持つため、財産の行方について確実に自分の意思を示しておきたい場合は遺言書を作ることをおすすめします。
遺言書がなくても、民法の規定に従って遺産分割はされますが、法で定められた相続人以外の人に財産を引き継ぎたかったり、特定の財産を特定の人に遺したかったりする場合には、正式な遺言書で示しておかないと希望が叶わない可能性があります。自分の死後、家族が遺産分割で揉めないためにも、遺言書を作っておくとよいでしょう。
エンディングノートは「終活」の一環として利用されているノートのことで、財産のことだけでなく、お葬式やお墓についての希望や大切な人へのメッセージを記しておくことができます。
遺言書のような法的効力はありませんが、エンディングノートを書いておくことで家族に簡単な指示を出したり、希望を伝えたりすることができます。
財産の管理を誰かに任せたいのであれば、「家族信託」という方法もあります。家族信託とは、家族の誰かに財産を託して、管理や処分を任せる契約を結ぶことです。遺言ではできない財産処分が可能になったり、節税効果があったりすることが特徴です。
利用にあたっては、専門知識が必要になりますので、気になる方は家族信託の知識が豊富な弁護士や司法書士へ相談してみましょう。
生前整理は決してネガティブなものではなく、今をよりよく生きていくための前向きな作業です。今の自分を大切にし、亡くなった後の家族に配慮するのが生前整理です。まずは、できるところからあなたも始めてみませんか?
他にも、生前整理に関連した記事がありますので参考にしてください。
生前整理はただものを捨てればよいということではありません。ものを整理した後に、考えておきたいことがあります。ここからは、貴重品と遺言書の保管場所について解説します。
生前整理をする際は、貴重品の保管場所についても考えておきましょう。自分が入院したり亡くなったりした際に、家族が必要なものを手に入れられるようにしておきましょう。
貴重品の内容は以下の通りです。
・契約書
・保険証書
・通帳
・クレジットカードに関する書類
・公共料金や家賃に関する書類 など
紛失や改ざんのリスクがあるため、遺言書は安全な場所に保管しておく必要があります。ただし、いくら安全でも家族が発見できなければ、自分の意思は伝わりません。家族に発見してもらいやすい場所の中から決めるとよいでしょう。
生前整理をすることで辛い気持ちになる方もいるかもしれません。そこで、ここでは上手に生前整理を進めるためのコツをご紹介します。
家具家電から日用雑貨までを含めると、人の持ち物は膨大な数になります。そのため、生前整理は家族や友人などを誘って大人数で行うことをおすすめします。
他人と片付けを行うことで、思い出の品や親友からのおみやげ、プレゼントなど、人から後押しされなければ処分しづらいものを処分する機会にもなります。また、家族友人と作業することで、老後や死後について皆で話し合うきっかけにもなります。
「自分が死ぬ準備を行う」と生前整理をネガティブなものだと思ってしまう方も多いかもしれません。しかし実際のところは、自分がどう生きたかを再確認し、これからどう生きて世を去りたいかを考える作業でもあります。
どうしても辛い気持ちになったら、作業をストップすることも選択肢に入れておきましょう。生前整理をして覚えた感情を親しい人に話したりしながら、負担になりすぎないように進めることが大切です。
老後をすっきりと整頓された家で暮らすため、家族や大切な人の笑顔のためと思って、ポジティブに取り組むことをおすすめします。
一度にたくさんのものを片付けることだけが生前整理ではありません。定期的にタンスやクローゼット、棚を整頓したり、物を増やさないように努めたりすることも生前整理の一つです。いきなり始めようとすると、精神的な負担がかかってしまうこともあります。
週に一つや月に一つと少しずつ長期に渡って整理すると、スムーズに進めることができるでしょう。
生前整理を進めるポイントは、使っていないものをすぐに処分することです。いつか必要になるかもしれないと思ってしまうとなかなか整理ができないため、まずは思い切って処分してみましょう。
処分して家の中がすっきりと片付くと、生前整理を前向きにとらえることができるかもしれません。
高齢者施設に入居するために生前整理をする場合は、ものを最小限に減らす必要があります。施設に持っていけるものには限りがあるので、入居後に使うものとどうしても手元に置いておきたいものだけを選びましょう。
施設には持っていけないが処分したくないものがあれば、トランクルームやレンタル倉庫の契約をして保管する方法もあります。
自分の生前整理であれば自分の気持ち次第で作業を始めることができますが、親となるとそうはいきません。ここからは、親の生前整理を促すための方法をご紹介します。
子どもから生前整理を促されてもなかなか作業を始めてくれない親は多いでしょう。その場合は、まずは子どもから率先して協力する姿勢を見せると効果的です。実家に自分の思い出の品が残っていれば、まずはそれを処分したり、家の中の一部屋だけは一緒に片付けたりする方法でもよいでしょう。
高く売れそうなものを見つけてフリーマーケットアプリに出品してあげるのも親のモチベーションアップにつながります。
生前整理は大切なものを見極めて整理していく作業です。子どもであっても親が大事にしているものを全て把握しているとは限りません。そのため、勝手にものを捨てたりせずに必ず許可をとってから処分するようにしましょう。
また、生前整理は短期間で終わらせるものでもありません。ゆっくりと時間をかけながら見守っていくことも重要です。
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生前整理は自分の死後に残された家族の負担を減らせるほか、人生の振り返りができるポジティブな終活と言えます。身体が思うように動かなくなる前に、少しずつ身の回りを整理しておくことで、慌てることなく、穏やかな老後を過ごすことにもつながります。
とはいえ、持っているものを整理するのは労力のかかる作業です。必要であれば専門家に相談し、負担の重い作業は依頼してしまうのも一つの方法でしょう。
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