親族が亡くなったら、葬儀と併せて考えなくてはならないのは「火葬」です。まず理解しておかなくてはならないのは、葬儀をおこなう斎場と火葬場は別の施設だということです。
火葬場とは、故人の遺体を火葬して、遺骨を骨壺にまとめるための場所だからです。火葬場には公営と民営があり、それぞれ自治体や施設によって料金が変わります。今回の記事では、東京都内における火葬場事情について解説します。数や金額相場などを詳しく紹介しましょう。
<この記事の要点>
・東京23区内には合計で9箇所の火葬場がある
・公営の火葬場は「臨海斎場」と「瑞江葬儀所」の2箇所
・民営の火葬場は7箇所あり、利用対象の制限なく誰でも同じ価格で利用できる
こんな人におすすめ
東京都で火葬をお考えの方
東京都の火葬場を利用する際の料金を知りたい方
葬儀費用を節約するコツを知りたい方
まずは、東京23区内で利用できる火葬場の数を紹介します。東京23区内には、合計で9箇所の火葬場があります。更にこの9箇所の火葬場は、公営と民営の2種類に分類されます。それぞれの数と特徴について紹介していきます。
公営の火葬場を運営しているのは、それぞれの自治体です。基本的にはその自治体の住民が利用対象で、故人やその家族が住んでいる場合、利用料金も安くなるのが一般的です。住民でなくても利用は可能ですが、その場合は利用料金が割高になってしまいます。そして現在、東京23区内には、以下の2箇所の公営火葬場があります。
<東京23区内の公営火葬場>
・臨海斎場
・瑞江葬儀所
「臨海斎場」は、東京都大田区にある火葬場です。葬儀場が隣接しているため、葬儀後すみやかに火葬に移れる立地となっています。基本的な利用対象は組織区民であり、故人が大田区、目黒区、世田谷区、品川区、港区に住んでいた場合か、葬儀の施主(二親等内の親族のみ)が住んでいる場合であれば、低価格で利用可能です。
「瑞江葬儀所」は、東京江戸川区にある火葬場です。葬儀場は隣接していませんが、火葬炉の数は臨海斎場の2倍を有しています。基本的な利用対象は東京都民であり、1938年の開設以来、「東京都の模範的な火葬場」として利用され続けてきた歴史があります。
民営の火葬場を運営しているのは、それぞれ独立した民間企業です。公営の火葬場のように利用対象に制限はなく、すべての人が均一の価格で利用可能となっています。ただし、公営と比較すると金額相場は高めです。
現在、東京23区内にある民営の火葬場は、以下の7箇所となっています。
23区内の民営火葬場 | エリア |
町屋斎場 | 荒川区 |
四ツ木斎場 | 葛飾区 |
桐ヶ谷斎場 | 品川区 |
代々幡斎場 | 渋谷区 |
落合斎場 | 新宿区 |
堀ノ内斎場 | 杉並区 |
戸田葬祭場 | 板橋区 |
「町屋斎場」「四ツ木斎場」「桐ヶ谷斎場」「代々幡斎場」「落合斎場」「堀ノ内斎場」は、すべて東京博善株式会社が運営する火葬場です。斎場が隣接しているため、葬儀と火葬をスムーズにおこなえる仕様となっています。
「戸田葬祭場」は、株式会社戸田葬祭場が運営している火葬場です。同じ敷地内に斎場と火葬場の両方が整備されているため、やはり葬儀と火葬をスムーズにおこないやすくなっています。
東京23区内における公営の火葬場は、住民数を考えると非常に少ないと言えます。その他の都市部の人口と、公営の火葬場の数を比較すると一目瞭然です。
横浜市の人口は約370万人で、公営の火葬場は4箇所あります。大阪市の人口は約270万人で、公営の火葬場は5箇所です。それに対して、東京23区の人口は約920万人で、公営の火葬場は2箇所のみです。
東京23区内で公営の火葬場が少ないのには、日本の火葬の歴史に理由があります。火葬文化が普及していった明治以降、日本は各地で数多くの民間の火葬場がつくられました。
それぞれの自治体は、公営の火葬場としてそれらを統廃合していきましたが、東京23区内においては、ひとつの民間企業火葬場の統廃合をおこなったのです。それが、現在23区内に6箇所の火葬場を持つ東京博善株式会社の前進企業です。設立したのは、明治時代の有名な実業家・木村荘平でした。
当時の東京では、各地方から人口が集中しており、遺体の埋葬場所問題が深刻化していました。伝染病が流行していたことから、衛生面も問題視されており、早急な火葬場整備が必要だったのです。
東京博善はそれらの吸収合併を進めるだけでなく、施設の近代化も進め、都心部における煙や臭いへの対策もおこないました。設立者の死後も、東京博善による火葬場の整備は続き、現在の形に落ち着いたという歴史的背景があるのです。
前述したように、東京博善株式会社による火葬場運営という一面もあり、東京23区は民間の火葬炉が非常に多い状態となっています。
現在、民間の火葬場だけで、火葬炉の数は79基あります。その他の都市部では、横浜市には1葬儀場10基、大阪市では1葬儀場3基です。民間会社が運営する火葬場によって、自治体による火葬場不足をカバーしている状態というわけです。
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それでは、実際に東京23区内の火葬場を利用するためには、どのくらいの料金がかかるのかをご紹介していきます。
前述したように、公営の火葬場の方が利用料金は安くなりやすいですが、一方で利用対象の制限もあります。民営の火葬場であれば基本的な利用料金はやや高めであるものの、誰でも同じ価格で利用可能です。
具体的な金額相場と共に見ていきましょう。
東京23区内における公営火葬場の金額相場は、利用対象者であれば40,000円~75,000円です。「臨海斎場」であれば、故人か施主が組織区民(大田区、目黒区、世田谷区、品川区、港区)であった場合、40,000円で利用できます。それ以外の人は、80,000円の料金がかかるため、料金の幅がかなり広い状態です。
「瑞江葬儀所」は、故人や施主が東京都民であれば、59,600円で利用できます。それ以外の人は、71,520円となっているため、利用対象者と対象外者の差が少ないという特徴があります。
東京23区内における民営火葬場の金額相場は、75,000円~145,000円となっています。ただし、これは故人が大人であった場合であり、小人の場合は金額がやや安くなります。
民営の火葬場の場合は、火葬炉の等級によっても料金相場が変わるようになっています。一般的な等級が「最上等」であり、ひとつ上が「特別室」、更にもうひとつ上が「特別殯館」となっています。等級が上がるほど、料金も高くなる仕組みです。また、四ツ木斎場には、更に上の等級である「貴殯館」が用意されており、料金は大人で280,000円です。
等級による具体的な差は、端的に言えば「個室であるか大部屋であるか」です。一般的な「最上等」は大部屋となっているため、その他の火葬と時刻が重なった場合、故人とのお別れに集中できないと考える人もいます。「特別室」以上の等級であれば、火葬炉も個室となるため、集まった遺族だけで静かにお別れしやすいととらえるのです。
東京都内には、23区外にも火葬場があります。東京23区外の公営の火葬場は、合計で16箇所です。
23区外の公営火葬場 | エリア |
青梅市民斎場 | 青梅市 |
立川聖苑 | 立川市 |
八王子市斎場 | 八王子市 |
日野市営火葬場 | 日野市 |
府中の森市民聖苑 | 府中市 |
南多摩斎場 | 町田市 |
瑞穂斎場 | 西多摩郡 |
ひので斎場 | 西多摩郡 |
大島町火葬場 | 大島町 |
小笠原村父島火葬場 | 小笠原村 |
小笠原村母島火葬場 | 小笠原村 |
神新島村火葬場 | 神津島村 |
津島村火葬場 | 新島村 |
式根島火葬場 | 新島村 |
八丈町火葬場 | 八丈島 |
三宅村火葬場 | 三宅島 |
東京23区外の火葬場を利用する場合は、どのくらいの料金相場なのでしょうか。23区内と比較すると、23区外は公営の火葬場が多い傾向にあり、割引制度も豊富なので、料金相場も全体的に安めとなっています。
具体的な金額相場を紹介すると共に、具体的な割引条件についても解説しておきます。
東京23区外における公営火葬場の金額相場は、利用対象であれば0円~10,000円です。対象の自治体に住んでいる人は、非常に低価格で火葬場が利用できる仕組みとなっています。
ただし、都心部の火葬場と比較すると、火葬炉の数が少ない傾向にあります。場合によっては火葬待ちになる可能性もあるでしょう。
東京23区外における民営火葬場の金額相場は、78,000円~165,000円です。23区内と同じく、故人が大人であった場合の金額相場なので、小人の場合は金額がやや安くなります。また、23区外でも火葬炉の等級によって料金相場が変わります。
前述したように、東京23区外は公営の火葬場が豊富で、料金も安価な傾向にあります。火葬場を運営している自治体によっては、火葬料が無料というケースも珍しくありません。
以下は、火葬料が無料になる公営火葬場の一例です。
23区外の公営火葬場 | 火葬料 |
青梅市民斎場 | 青梅市民は無料 |
立川聖苑 | 立川市、昭島市、国立市の住民は無料 |
八王子市斎場 | 故人が八王子市民の場合は無料 |
日野市営火葬場 | 日野市民は無料 |
府中の森市民聖苑 | 府中市民は無料 |
南多摩斎場 | 八王子市、日野市、多摩市、稲城市、町田市の住民は無料 |
瑞穂斎場 | 瑞穂町、福生市、武蔵村山市、入間市、羽村市の住民は無料 |
ひので斎場 | 日の出市、あきる野市、奥多摩町、檜原村の住民は無料 |
それぞれの自治体ごとの条件を満たす住人であれば、料金をかけずに火葬がおこなえるのです。
葬儀には様々な費用がかかるため、合計するとかなりの金額になってしまうでしょう。少しでも費用を節約するためには、ちょっとした工夫が必要になります。
今回は、葬儀費用を節約するコツをいくつか紹介しておきます。特に火葬場に関するものをまとめましたので、参考にしてみてください。
葬儀の際、火葬場の側にある斎場を選ぶことで、葬儀費用を低価格に抑えやすくなるでしょう。これは、斎場と火葬場の移動距離が短くて済むため、霊柩車やマイクロバスの費用が節約しやすくなるからです。
特に便利なのが、火葬場と斎場が同じ敷地内にあるタイプです。火葬場で別途休憩室などを借りる必要がなくなるため、全体的な費用をコンパクトにしやすくなるでしょう。もちろん、移動時間や手間の節約にもなります。
葬儀にかかる費用を少しでも安くするためには、民営の斎場よりも、公営の斎場を選んだ方が良いでしょう。これは、ここまで紹介してきた火葬料だけを見ても明白です。民営の施設よりも、公営の施設の方が圧倒的に使用料金を抑えやすいのです。
斎場と火葬場が隣接していない施設同士であっても、どちらも公営の施設を選べば、全体的な使用料を節約しやすくなるでしょう。
少しでも葬儀の費用を節約するためには、葬儀全体のプラン変更も検討してみましょう。葬儀の規模は、大きくなるほど料金も高額になっていきます。参列者が多くなる分、スペースの用意やお返しの準備も必要ですし、葬儀全体にかかる時間も長くなります。
会場や業者だけではなく、葬儀自体をコンパクトにまとめるほど、料金は安く済みやすく、遺族の負担も減らしやすいでしょう。
近年では、葬儀に関する考え方も柔軟になりつつあり、家族ごとの考え方が尊重される傾向にあります。「直葬」として、通夜や葬儀をおこなわないこともありますし、「家族葬」としてごく親しい親族だけで葬儀を済ませることも可能です。
葬儀社にも相談し、予算の面でも適切な葬儀プランを探してみると良いでしょう。
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今回の記事では、東京都内における火葬場事情について解説しました。火葬場に公営と民営の2種類があります。
東京23区内には、火葬場普及の歴史背景もあり、公営火葬場は2箇所しかありませんが、その分民営の火葬場が充実しています。一方で、東京23区外は公営の火葬場が多く、自治体によっては無料で利用できるところもあります。
葬儀費用を節約したい場合は、火葬場や斎場、葬儀プランなどを検討すると良いでしょう。正しい知識を身に着け、故人を適切に供養できるようにしてください。
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