もし、あなたがご遺族としての立場ではなく葬儀に出席する場合、そのことをどのような言葉で表現するか思い浮かべてみてください。「列席」それとも「参列」、もしくはその他の表現を使う方もいるかもしれません。
葬儀という故人とご遺族にとって大切な場面で言葉の使い方を間違えてしまうと、非常識な人間だと誤解されてしまう可能性もあります。正しい「列席」の使い方を葬儀のマナーと合わせて確認しておきましょう。
<この記事の要点>
・「列席」は葬儀の主催者側が使う言葉で、招かれた人たちに対して使われる
・「参列」は葬儀に招かれた側が使用する言葉で、お通夜や告別式への出席を表す
・遺族は参列者に対して、お礼状や香典返しの準備をする必要がある
こんな人におすすめ
葬儀における「列席」という言葉の意味を知りたい方
葬儀の列席者が気をつけるべきマナーを知りたい方
通夜や葬儀に列席してもらったお礼のマナーを知りたい方
日本語の表現には、意味の違いがわかりにくい言葉や、立場や場面によって使い分ける必要があるなど、どの表現をどのように使うことが正しいのか悩むことも多いのではないでしょうか。それは、葬儀における言葉でも同じことが言えます。
正しい言葉を使うには、「列席」と「参列」の2つの言葉が持つそれぞれの意味を知り、違いをしっかりと理解することが大切です。
「列席」はその場に出席すること、「参列」は加わり列席することを意味するため、どちらも故人の葬儀に出席するということでは言葉の意味には違いがありません。しかし、意味に違いが無くても使い分けにはマナーがあります。その使い分けは、「列席」という言葉は葬儀の主催者側つまり遺族側が使う言葉であるということです。
また、葬儀の場だけでなく結婚式の場でも、主催者側が「列席」という言葉を使用します。
遺族の代表である喪主は、故人に代わって列席してくださった方々に対して挨拶を行う場面や案内をするケースがあります。その際の「列席」を使った挨拶の例文をご紹介します。
・ご列席のみなさま 本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございました
・ご列席いただいたみなさまには 送迎バスをご用意しております
・ご列席のみなさまには 簡単ではございますがお食事をご用意しております
「列席」が主催者側である遺族が使うのに対して、「参列」は遺族側以外の立場の人が使います。また、「列席」は列をなして故人をお墓まで送っていたことに由来するという説や、「参列」は葬儀に参加者が出席し故人を弔うという意味もあるとされています。
このように、それぞれの言葉を使う立場や言葉自体が持つ由来や意味を知ることで、「列席」と「参列」の違いをしっかりと理解することができます。
喪主のように挨拶や案内をする場面はありませんが、葬儀に参加することを人に伝える場合や、参加できないことを伝える場合などに「参列」を使います。「参列」を用いた例文を見てみましょう。
・お通夜に参列させていただきます
・先日の葬儀には参列することができませんでした
・友人の葬儀に参列してきた帰りです
葬儀では列席者が気をつけなければならないマナーがいくつかあります。その中から服装のマナー、香典のマナー、焼香のマナー、お供え物のマナーについてご紹介します。
社会人としてマナーを守ることは、ご遺族に不快な思いをさせないためにも大切なことです。失礼にあたらないように、葬儀のマナーについて確認しておきましょう。
男女それぞれの服装のマナーについて見てみましょう。
男性は、ビジネス用のスーツではなく礼服用のブラックスーツを着用します。スーツのデザインは、シングルでもダブルでも問題ありません。カッターシャツは白の無地で織り柄もないタイプを選びます。ネクタイ、靴下、靴は黒で地味なデザインのものにしましょう。
不要な装飾品は避けることが基本的なマナーであるため、ネクタイピンはつけません。腕時計は華美なデザインであれば外しておく方が無難です。
女性も、礼服用のブラックスーツかワンピースです。靴とバッグは光沢の無い黒で地味なデザインを選びます。ストッキングは、黒色で肌が薄っすらと透ける20デニールくらいのものを選びましょう。たとえ黒であってもタイツはカジュアルな印象を与えてしまいます。
アクセサリーは、つけるのであればホワイトかグレーの真珠のネックレスにしましょう。その際、不幸が重なることを連想させないようにネックレスは一連のものにします。
故人のご霊前に供えるお花や線香の代わりの金銭を香典と言います。これは、助け合いの心から生まれた習慣でもあります。葬儀に出席できない場合であっても、供養の気持ちを表すために郵送などで送ることもあるため、出席しないからといって無関係なことではないのです。
香典は、香典袋やその書き方や金額の相場、お札の向き、受付での渡し方などいくつかのマナーがあります。突然の訃報を受けて香典を準備する際に慌ててしまうのは、不慣れなことだからであって、知っておけば落ち着いて準備できます。
香典に関する詳しいマナーは、下記の記事を参考にしてください。
焼香のマナーは葬儀のマナーの中でも見落としがちなポイントです。所作が多いということもあり、難しそうに感じる方も多いかもしれませんが、焼香の時間は葬儀の中では故人とのお別れの時間でもあります。正しい知識をこの機会に身につけておきましょう。
焼香は、同じ仏教であっても宗派によって押しいただく回数が違ったり、押しいただく行為自体がなかったりとさまざまです。故人のことを想う気持ちが一番大切なことですが、マナーを知って故人をお見送りしましょう。
焼香の形式は、立礼焼香、座礼焼香、回し焼香があります。どの形式で焼香が行われるのかは葬儀が行われる会場の規模や様式によって決まります。
焼香のやり方は、参列マナーのコラム内の「いざという時に恥をかかない焼香のやり方」のページで詳しく紹介していますので、そちらを参考にしてください。
お供え物は何でもよいという訳ではなく、宗教ごとや地域によって違いがあるため注意しましょう。贈る側としては心を込めて故人を偲ぶ気持ちで贈ったとしても、贈られた側のご遺族からすると失礼にあたることにもなり得るのです。
仏教では殺生を禁じていることから、肉や魚はお供え物には不向きです。しかし、神式では神の恵みとされるため問題ありません。酒類も神式では神聖であるとされるのに対して、仏教では不向きとされています。
仏教では、線香、ロウソク、果物、お菓子、缶詰などが一般的なお供え物で、神式では海産物、酒類、和菓子、果物、五穀などをお供えします。キリスト教ではお供え物を飾る習慣自体がありません。そのため、お花を供花として贈ります。
地域によっては葬儀の後に、供養の1つとの考え方からお供え物を持ち帰るように促される場合もあります。この場合は、断らずに持ち帰ることがマナーです。どうしても持ち帰ることができない場合は、丁寧に辞退しましょう。
主催者側である遺族は、突然の訃報にも関わらず列席してくださった方々に対して、返礼品や香典返しの準備をしなければなりません。返礼品や香典返しの準備だけでなく、お礼状の準備も必要です。
慌ただしい中で準備をしなくてはならないため、少しでもスムーズに進められるように、お礼状はどのような内容にすればよいのかに加えて、返礼品や香典返しについてのマナーやおすすめの品物についてもご紹介します。
お礼状にもいくつか種類がありますが、一般的には葬儀当日に会葬者にお渡しするものと、忌明けの挨拶として香典返しに添えて送るものがあります。それぞれの例文をご紹介します。
会葬礼状の例文
謹啓 亡〇 〇〇儀 葬儀の際はご多忙中のところをわざわざご会葬賜り ご丁寧なご厚志を賜りまして 厚くお礼申し上げます
早速 拝趨の上ご挨拶申し上げるべきところ略儀ながら書中をもちましてご挨拶もうしあげます
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇市〇〇区〇〇町〇-〇-〇
喪主 〇〇〇〇
外 親戚一同
忌明けの挨拶状の例文
拝啓
先般 亡〇 〇〇儀 葬儀に際しましては
ご多忙中にもかかわらずご会葬賜り且つご鄭重なる御厚志を賜り有難く厚くお礼申し上げます
葬儀の際は万事行き届かぬ点ばかり多く申し訳なく存じております
お陰をもちまして〇月〇日に四十九日の法要を滞りなく営むことができました
つきましては追善の微意を表し心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納下さいますようお願い申し上げます
茲に生前のご厚情に感謝申し上げますとともに 今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼申し上げるべきところ略儀ながら書中をもってお礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
〒〇〇〇-〇〇〇〇
〇〇市〇〇区〇〇町〇-〇-〇
喪主 〇〇〇〇
外 親戚一同
大切なポイントは、文章中に句読点を使わないことです。句読点には「止める」という意味があるため、句読点を使わないことで法要がつつがなく進むという意味が込められています。
葬儀のお礼をメールで行うことは略式とはいえ、マナーさえ守られていれば問題ありません。しかし、目上の方や年配の方からすると軽率だと思われることもあるため、普段からメールでのやり取りがある方や親しい間柄の方のみにするなど、考慮しましょう。
返礼品には通夜返礼品、会葬返礼品、香典返しの3つがあります。
通夜返礼品とは、通夜に列席いただいた方へお渡しする品物です。通夜の後に行われる通夜振る舞いを欠席される方に対してお渡しする品物ですが、近ごろでは通夜振る舞いに参加されるか否かに関わらず通夜に列席いただいた方全員にお渡しすることが一般的となっています。
通夜返礼品には、通夜振る舞いの代わりという意味を込めてお茶やコーヒーといった口にするものを選びましょう。
会葬返礼品とは、葬儀に列席いただいた方にお礼の気持ちを込めてお渡しする品物です。葬儀当日に香典をいただいたかどうかに関わらず受付で全員にお渡しします。お菓子やお茶、コーヒーなどの消え物と言われる消耗品が一般的です。タオルや石鹸、洗剤などの日用品も人気があります。
香典返しは他の返礼品とは区別して扱われ、香典をいただいた方に対して準備します。他の返礼品と同様に、不祝儀には消え物と言われる消耗品が一般的ですが、近ごろは消え物にこだわらずカタログギフトを送り選べるもようにする方も増えています。
香典の金額は故人との関係性で変わるため、列席してくださる方によって異なります。そのため、香典額の3分の1から半額程度を目安に準備します。種類の異なる品物を準備するため、送り間違いのないように気をつけましょう。
他の返礼品は葬儀当日にお渡しするのに対して香典返しを渡すタイミングは、故人の四十九日の法要後に納骨法要も無事に終わったことの報告も兼ねて送ります。
仏教以外の神道やキリスト教では、そもそも香典という考え方自体がないため、香典返しとしてではなく、御玉串料や御花料のお返しとして品物を送ります。
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「列席」と「参列」の言葉の意味の違いや、葬儀の列席者が気をつけるべきマナー、列席してくださったことに対するお礼のマナーについてご紹介しましたが、お分かりいただけましたでしょうか。突然の訃報に慌てずに済むように、事前に確認して備えておきましょう。
故人との最後のお別れの場である葬儀では、立場に合わせた適切な言葉を使い分け、故人を気持ちよく送ってあげてください。
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