浄土真宗の葬儀とお経から読み取る教え

浄土真宗の葬儀とお経から読み取る教え

仏教にとって、「お経」は重要な要素のひとつです。これは浄土真宗でも変わりません。しかし、「大切だということは分かるけれど、意味や教えが理解できない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、浄土真宗の葬儀とお経から読み取れる教えを解説します。学ぶ前はハードルが高いように感じてしまいますが、基本的な知識であれば決して難しいものではありません。浄土真宗の思想の基礎からお伝えしますので、浄土真宗の教えについて理解を深めていきましょう。

こんな人におすすめ

浄土真宗の葬儀で読まれるお経の意味とその教えを知りたい方

浄土真宗の葬儀の流れを知りたい方

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浄土真宗の葬儀で読まれるお経の意味とその教え

まずは、浄土真宗のお経の意味や教えを理解していきましょう。浄土真宗での代表的な聖典(教えやきまりを記した書物)は、「浄土三仏経」といわれる「仏説無量寿経」「仏説観無量寿経」「仏説阿弥陀経」です。このほかにも「高僧和讃(こうそうわさん)」や「浄土和讃」などがあります。

ここでは「高僧和讃」「仏説阿弥陀経」「正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)」など、浄土真宗の葬儀の際に読まれる代表的なお経にフォーカスして解説していきます。訳をみていけば、ひとつひとつの文章は難しいものではありません。本文と訳を併せて紹介します。

高僧和讃(こうそうわさん)の本文とその訳

まずは浄土真宗の聖典のひとつである、「高僧和讃」について説明します。「和讃」とは、「和(日本語)をもって讃嘆する詩」という意味があり、「讃嘆」は仏の徳を褒めたたえることです。「高僧」は、徳や知が優れた僧のことをいいます。

「高僧和讃」は、宗祖親鸞が7人の高僧の教えを称え、難解な漢文ではなく日本語でわかりやすく伝えるために著したものです。ここでは、その中から「高僧和讃」でも重要な最後の文章に焦点をあてて解説します。

本文の最後に書かれているのは「五濁悪世の衆生の選択本願信ずれば不可称不可説不可思議の功徳は行者の身にみてり」という一文です。これは「阿弥陀様を信じて念仏を唱える人は、たとえ多くの煩悩を持っていても、無量の徳が満ちてくる」と解釈できます。

法話としても有名なこの一文は、「ときどきは自分には功徳が満ちているイメージや、体の中に南無阿弥陀仏が充満していて溢れ出してくるイメージを持ちなさい」というポジティブな教えを伝えていることが分かります。

仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)の本文とその訳

浄土真宗の根本聖典のひとつである「仏説阿弥陀経」は、葬儀や法事でもよく読まれます。全体で説かれているのは「極楽浄土の状態や阿弥陀仏について」、また「生ある者たちは極楽への往生を願うべきである」という考えです。

たとえば「舎利弗 衆生聞者 応当発願 願生彼国 所以者何 得与如是 諸上善人 倶会一処」という一節があります。「俱(とも)に一つ処(ところ)に会う」という部分は、浄土真宗においては、「極楽浄土に往生して人々が集う」という意味になります。

これは「極楽では立派な人々と同じところにいられるように、あなたは極楽に生まれたいと願わなければなりません」ということです。浄土で仏になる大切さが説かれた部分といえます。

このように「仏説阿弥陀経」では、「極楽がどのような場所であるか」そして「極楽浄土に往生するために善い行いや願いをしておかなければならない」といった教えが説かれています。

正信念仏偈の本文とその訳

浄土真宗では「正信念仏偈」も聖典のひとつです。親鸞が浄土真宗の教えの要点をまとめたといわれる、「経行信証」の最後の部分に収められています。浄土真宗では重く用いられ、通夜や葬儀で読み上げられます。

本文は前半と後半の2部構成です。前半では阿弥陀如来が称えられ、絶対的な存在として信じることが表明されています。後半では、親鸞が尊敬する七人の高僧への帰依が著されています。本文の最後には「唯可信斯高僧説」と書かれており、これは「この高僧の説を信じましょう」という意味になります。

浄土真宗の教え

浄土真宗では「南無阿弥陀仏」という念仏を唱え、「亡くなると阿弥陀様の力で浄土に行ける」という教えがあります。

生前、念仏を唱えることによって煩悩が断ち切られると、亡くなってすぐに極楽浄土で仏様へと生まれ変わります。極楽浄土は、美しい音楽が流れ、きれいな花が咲く素晴らしい仏様の国です。仏様となったあとは人間の世に再び生まれ変わり人々を救う、とされます。

浄土に行くためには阿弥陀様の力を借りる必要があります。そのため生前に念仏を唱え、お参りをすることがよいという教えです。

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浄土真宗の葬儀の流れ

葬儀は日常的に行われるものではないので、内容を常に覚えておくのは難しいかもしれません。ここでは、浄土真宗の葬儀の流れを確認します。事前に流れを把握しておくことで、いざというときに焦らずにすみます。臨終から通夜までの流れをメインに、本願寺派と大谷派それぞれの作法も確認しておきましょう。

浄土真宗の臨終~通夜までの流れ

浄土真宗には亡くなるとすぐに極楽浄土へ行くという考え方があるので、「授戒」や「引導」などの儀式はありません。臨終を迎えると、お仏壇の横に故人を安置します。このときに枕経が行われますが、浄土真宗では阿弥陀如来に対する最期のお礼の勤行を意味し、「臨終勤行」といいます。

通夜では「仏説阿弥陀経」や「高僧和讃」「正信念仏偈」などが読まれます。このとき、導師に合わせて合唱と礼拝を行いましょう。なお、浄土真宗では「お線香を一晩中絶やさない」という慣習はありません。

浄土真宗本願寺派の葬儀式次第

本願寺派の式次第ですが、まずは導師が入場し開式を行います。そのあと阿弥陀如来などを招く「三奉請(さんぶしょう)」が行われ、導師焼香・表白(びょうびゃく)と続きます。

葬儀の際も「正信念仏偈」や「念仏和讃」が読まれるのが一般的です。続いて念仏を唱え、「和讃」で仏様を送るという流れです。最後は「回向(えこう)」という読経の功徳をすべての人と共有し、阿弥陀如来に極楽への道を願います。

導師が退場したあとは、喪主が挨拶をして出棺です。一般的な流れではありますが、細かな内容は地域や寺院によっても変わります。

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浄土真宗の本願寺派は独特?本願寺派の葬儀を解説!

浄土真宗大谷派の葬儀式次第

次は大谷派の式次第です。大谷派では「第一の式」「第二の式」があるのが特徴的といえます。自宅葬の場合は「葬儀式第一」です。念仏を唱えたり回向を行ったりする「棺前勤行」のあとは導師焼香、表白などが含まれる「葬場勤行」に移ります。

斎場で行うときは「葬儀式第二」です。読経のあと、導師による焼香と総礼、続いて三匝鈴(さそうれい)という鈴を鳴らして念仏・表白が行われます。大谷派でも「正信念仏偈」が読まれることが多いようです。焼香へと進んだあとは「和讃」「回向」が唱えられます。このあと出棺・火葬となり、葬場から骨を持ち帰る「環骨」という流れになります。

浄土真宗の葬儀の特徴

最後は、浄土真宗の葬儀の特徴についての解説です。ここでは、特に覚えておきたい7つの項目をピックアップして紹介します。使ってはいけない言葉や線香の置き方・焼香の作法などは今のうちに心に留めておきましょう。不用意なことをして周りの方に迷惑がかからないよう、マナーを理解しておくことも大切です。

浄土真宗で使ってはいけないお悔やみの言葉がある

浄土真宗の考え方は、他の宗派と違う部分があります。お悔やみの言葉として、浄土真宗では適切ではないと判断される言葉もあるので注意してください。

代表的な言葉は以下のとおりです。

・永眠いたしました
・安らかにお眠りください
・冥福を祈ります
・天国
・冥土

これらの言葉は、浄土真宗の「亡くなった人はすぐに浄土で仏様になる」という教えに合っていないため、発言はタブーとされています。お悔やみの言葉として使わないよう、事前に意識しておきましょう。

線香は「寝かせる」

線香は立たせてあげるイメージがついている方も多いのではないでしょうか。しかし、浄土真宗では線香は寝かせます

浄土真宗では常香盤という香炉を使ってお香を焚き、その中にある溝に燃香を入れて端から火をつけていました。そののち、より長い時間良い香りをお供えできる線香が伝えられましたが、香炉での名残が現在の線香を寝かせる作法につながっていると考えられます。

線香をあげるときは1本を香炉の大きさに合わせて折り、火がついている部分が左になるように横に寝かすのが正しい作法です。

数珠にも宗派の特徴がある

宗派によって数珠にも特徴があります。浄土真宗では男女ともに単輪(ひとわ)が一般的で、結び方に決まりはありません

数珠のサイズですが、男性は主玉が22玉・20玉・18玉のものなどがあります。女性は主玉が108玉ある「八寸サイズ」が目安になります。実際に目にしてみると分かりますが、男性用と女性用では数珠のデザインも大きく異なります。浄土真宗でも数珠は大切な法具とされていますので、畳や床の上に直接置くのは作法に反します。

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お葬式での数珠の使い方と宗派ごとの数珠の種類

焼香のやり方は本願寺派と大谷派で異なる

本願寺派は焼香卓の手前で立ち止まり一礼し、進んで香盒(こうごう)のふたを取ります。右手でお香を1回だけつまみ、そのまま香炭にくべてお供えします。そのあと合掌し「南無阿弥陀仏」とお念仏を唱えましょう。そして礼拝です。後退し、立ち止まって一礼します。

大谷派も本願寺派と基本的なことは変わりません。ただし、焼香が1回の本願寺派と違い、大谷派での焼香回数は2回です。どちらの宗派でも、おしはかる(お香を額に当てる)行為はしません

香典袋は「御仏前」または「御香典」

香典袋に「御霊前」と書くことが多いですが、浄土真宗では香典袋に「御仏前」か「御香典」と書くようにしましょう。なぜなら、浄土真宗には「亡くなったあとにすぐに阿弥陀様の力で浄土に行く」という思想があるためです。

香典袋の金額相場

香典の相場ですが、故人との関係性によって変わります。血縁関係がある方は、通常の額よりも多めに入れるようにしましょう。故人が親であれば3万円以上、兄弟姉妹であれば3万円前後、叔父や叔母であれば1~3万円程度となります。血縁関係でなければ、5千円~1万円が相場です。

お清めの塩は使わない

浄土真宗では「お清めの塩」は使いません。葬儀でお清めの塩を使うということは、「故人や葬儀自体は穢れたものである」という考えに至りかねません。しかし、浄土真宗では葬儀や故人はけがれたものではないので、お清めの塩も必要ないとされています。勉強不足と思われることもありますので、お清めの塩は使わないことを覚えておきましょう。

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まとめ

ここまで浄土真宗のお経から読み取る教えや、葬儀の注意点などについて解説してきました。事前に知識を身につけておくと、通夜や葬儀の際に落ち着いた対応ができます。これらの作法やマナーは地域やお寺によっても差がみられます。細かな点は改めて勉強しておくことが大切です。

小さなお葬式」では、葬儀に関するご相談やご質問を24時間承っています。公式ホームページにも詳しくご案内しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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