葬儀に関する独特なルールやしきたりは地域によって違いがあります。縁もゆかりもないところから引っ越してきた場合、どういうしきたりがあるのか、わからないこともあるかもしれません。マナー違反にならならないように、その地域の通夜や葬儀の風習について確認しておくことは大切です。
今回の記事では、通夜の独特な風習「目覚まし」についてご紹介します。目覚ましとは通夜での見舞いを指しており、香典とは別のものです。この記事を一読すれば目覚ましの基本的なマナーについて理解できますので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・通夜の「目覚まし」は九州地方の風習で、遺族に食べ物や飲み物を渡すこと
・目覚ましの相場は1,000円~3,000円で、新札を避けて薄墨で「御目覚まし」と表書きを書く
・目覚ましは香典とは別に用意し、通夜の受付で渡す
こんな人におすすめ
通夜の風習「目覚まし」について知りたい方
通夜の目覚ましの相場を知りたい方
通夜の目覚ましのマナーを知りたい方
通夜の目覚ましの風習がない地域の方にとっては「そもそも目覚ましとはどのような習慣なのか」疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
ここでは、通夜の目覚ましの意味と内容について具体的に紹介します。目覚ましの風習の歴史や目覚ましで用意するものについて、細かい風習をまとめました。目覚ましの基本的な知識を押さえておきましょう。
九州地方の通夜における習慣の一つに「目覚まし」というものがあります。元々の発祥は熊本県で、通夜の日に食物を煮たり焼いたりする代わりに、参列者が食べ物を用意したのが始まりとしています。
時代とともに目覚ましに対する考え方は変化していきますが、地域によっては本来の目覚ましの風習を受け継いでいるところもあります。もし、地方から葬儀に参列する場合は、目覚ましの風習が残っているのかの確認をおすすめします。
また、葬儀場によっては目覚ましについての受付を行っているところもあるため、不安なときはあらかじめ葬儀会社にたずねておくといいでしょう。
目覚ましは、通夜見舞いのことを指しています。そのため、葬儀の当日ではなく通夜で目覚ましを遺族に渡すのがマナーです。
目覚ましには大きく分けて3つの意味があります。1つ目は「大切な方が再び目を覚ましてもらいたい」という意味です。2つ目は、「通夜という大切な時間に眠ることがないよう、目を覚ましてもらいたい」という願いを含んでいます。そのため、遺族に食べ物を届けるのです。
3つ目は、「大切な人の死を通して仏法に目覚めてもらいたい」という意味もあります。仏教では亡くなった故人は浄土へ往生するという考えがありますので、念仏にあしらって信心深くなってほしいとの考えがあるのです。
遺族のために食べ物を贈ることも目覚ましではあります。食べ物についての細かいしきたりはありません。もともとは、通夜のときに遺族が眠ることがないように夜食を差し入れることが始まりだったため、お菓子屋やお酒、おにぎりや漬け物などを贈っていました。
現代では食べ物の代わりにお金を渡す地域もあります。食べ物を持参するのが難しい場合には、お金を包むのもいいでしょう。
目覚ましでお菓子やお酒などにしたいけれども、どのように包めばいいのかが分からないかもしれません。そのような場合には、直接お店の人に相談しましょう。参列者に変わって、お店の人が目覚ましの包装をしてもらえるので安心です。
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通夜の目覚ましにはマナーがあります。遺族に対して失礼のないよう、あらかじめ目覚ましにおけるマナーを把握しておきましょう。
お金を包む場合には、お金の向きや包む袋の扱い方にもマナーがあります。お菓子やお酒を渡す場合にも、マナーがあるので注意が必要です。ここでは、とくに注意すべきマナーを6つ挙げましたので、ぜひ参考にしてください。
お金を渡すときには包むための袋が必要です。基本的なこととして、お金を包む袋は弔事用ののし袋を用意しましょう。弔事用ののし袋は不祝儀袋といいます。
通常、不祝儀袋は白黒の水引を使用します。不祝儀袋には、水引が結んであるものや水引をプリントしているものなどがあります。金額が5,000円以下のときは水引をプリントしたもの、金額が1万円以上のときは実際に水引をしてあるものを用意すると、金額と袋のバランスがとれます。
不祝儀袋にお金を包んだ後は、袋に記載をしましょう。香典の場合は「御霊前」と書きますが、目覚ましの場合は「御目覚まし」としたためます。地方によっては「お目覚まし」、または「お目覚まし料」と書くこともありますので事前に確認しておきましょう。
また不祝儀袋には、氏名や住所も忘れずに書いておくことが重要です。氏名を書き記しておくことで、遺族が故人とどのような関係で合ったのかを把握できます。裏面に必ず書き添えておきましょう。
不祝儀袋には、墨汁で書きましょう。墨汁を使用するのは、感情を表現するためです。「悲しみの涙によって墨がにじんだ」、「友人を失ったことで筆を握る力も失ってしまった」、「突然の訃報だったため、墨を擦る時間もなかった」という気持ちを表現するための慣例として薄墨が使われています。
墨汁は四十九日まで使用しましょう。四十九日からは悲しみの表現する必要はなくなるので濃墨で構いません。ただし地域によっては四十九日以降も薄墨を使用したほうがいいところもあります。
通夜の目覚ましは1,000~3,000円が一般的です。友人や知人の香典の場合は3,000円から5万円が目安ですが、目覚ましについては大きな金額を包むことはありません。
お菓子やお金を通夜の目覚ましとして渡す場合にも、同額程度の品物を用意します。お酒の場合は2升や3升瓶を用意するのが一般的です。
お菓子の場合は軽くつまめる軽食がいいでしょう。とくにおすすめなのが、日持ちのするものです。おもなお菓子として、焼き菓子や和菓子、チョコレートがあります。
目覚ましにお金を包むときにもマナーがあります。とくに注意しておきたいこととして、新札を包むのは避けましょう。新札を包みますと、友人や知人が亡くなるのを待っていたことを意味し、失礼になります。
通常、人の死は突然に起こることですので、お金を両替したり、新札を用意したりする時間はないものが一般的です。突然の訃報で準備するものですので、常識の範囲内で使用感のあるお札を包むようにしましょう。
また、お札を不祝儀袋に入れる際のマナーとして、お札の人物が裏を向くように入れるというものがあります。悲しみの場では、顔を伏せるという意味でお札を裏向きにするのです。
通夜の受付で目覚ましは渡しましょう。目覚ましの風習が根付いている地域では、香典と目覚ましの受付が別々の場合もあります。どちらで目覚ましを受け付けているのかを確認しましょう。
不祝儀袋を渡すときには渡し方にも配慮しましょう。不祝儀袋は袱紗(ふくさ)という布に包んで持参するのがマナーです。袱紗には、丁寧に包んでいるという礼儀を表しています。そのため、家からは袱紗に包んでおきましょう。弔事用の場合、寒色系や紫色の袱紗を使用するのが一般的です。
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友人や親族の死は突然に起きるものです。遺族に感謝や敬意を表するために、正しいマナーと適切な行動をとりたいものです。
ここでは通夜の目覚ましに関するよくある質問をまとめました。目覚ましのある地域の確認方法や目覚ましの返しなど、質問の多い4つについてご紹介します。目覚ましに関して勘違いしないためにも、ぜひチェックしてみてください。
目覚ましを贈るべきかについて確認したいときには、葬儀を執り行なう葬儀社のホームページをチェックするのがおすすめです。葬儀場のホームページでは、駐車場や安置所、火葬場や仮眠室の基本情報に加えて、目覚ましの有無について紹介しています。あらかじめチェックしておけば安心でしょう。
また友人や親戚が該当する地域に住んでいる場合には、通夜に訪れる前に相談するのもおすすめです。電話で確認してから、目覚ましの準備を進めましょう。
香典と目覚ましは別に用意してください。香典は、線香の代わりとして霊前に供えるという意味があり、目覚ましは残された遺族に気遣うという意味で渡すものだからです。それぞれにお金を包みますが、目的や役割は大きく異なり、一緒にして渡すものではありません。
一方で、香典と目覚ましを同じ袱紗に包むことに関しては問題ありません。袱紗は、小さくした風呂敷のようなもので、進物を持ち歩く際に使うものです。そのため、家から持参して受付で渡すまで、同じ袱紗に入れておいても問題はありません。
お金を渡すときの疑問として、通夜に参列する際に香典だけでも大丈夫なのかと考える人もいます。結論としては、香典のみで目覚ましを渡さなくても、失礼にはあたりません。
香典は、亡くなった人へお供えするために用いるものです。香典という名前のとおり、もともとは香から取った言葉です。故人に対する供養を表現しています。一方で、目覚ましは遺族のために用意するものです。大切な時間に眠ることがないようにお金や食べ物を用意します。
目覚ましがない場合でも、香典を用意できていれば問題はありません。ただし、香典はなく目覚ましのみを用意する場合は、失礼にあたるので注意しましょう。
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香典返しとは、参列者から香典をもらった人に対して品物で返礼することです。つらい時期があったものの、無事に四十九日を終えられたという感謝の気持ちを届けるためのものです。そのため、通常は香典返しを行います。
一方で、目覚ましに関しては、お返しの必要はありません。目覚ましを用意した場合でも、お返しを期待してはいけません。過去に家族の葬儀で目覚ましを受け取ったことがあるケースでは、感謝の気持ちも含めて目覚ましを贈るのがマナーです。そのため、目覚ましを用意し忘れることがないように気をつけましょう。
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この記事では、目覚ましの意味や基本的なマナーについてご紹介しました。九州地方における習慣で、通夜の際にお金や食べ物を贈ることを指しています。香典と同じように不祝儀袋を使用するので覚えておきましょう。
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