亡くなったことを伝える「訃報(ふほう)」という言葉をテレビなどで聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、読み方や意味を知らない方もいるかもしれません。
この記事では、「訃報」の読み方や意味、伝える内容や使い方を解説します。訃報を受けた際の対応やマナーも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・訃報は「ふほう」と読み、人が亡くなったことを知らせる言葉である
・訃報連絡の際は、通夜や葬儀の日時、宗派、喪主の名前、連絡先などを伝える
・訃報は電話で伝えるのが一般的だが、時間帯によっては先にメールで伝えてもよい
こんな人におすすめ
訃報とは何かを知りたい方
訃報の際に知らせる内容が知りたい方
ケース別の訃報の例文が知りたい方
訃報とは、人が亡くなったことを伝える際に使用する言葉です。ここからは、「訃報」を使った文例や、類義語や対義語を紹介します。
身内が亡くなったとき、関係者に死亡の事実を知らせることを「訃報(ふほう)」といいます。単語を構成する2つの漢字には、それぞれ以下のような意味があります。
訃(ふ):人の死に関する知らせ
報(ほう):なんらかの事実を知らせること
「訃」「報」どちらも死そのものを表す言葉ではありません。「訃報」は、亡くなったことではなく「亡くなった知らせを報じる」という意味の言葉です。
時折、訃報は誤って「とほう」や「けいほう」と読まれます。訃のつくりの部分がカタカナの「ト」に似ている点や、訃の形が「計」に似ている点から、間違えてしまうことが多いようです。
しかし、訃の字は、「と」や「けい」とは読みません。音読する際は気をつけましょう。
訃報と似た意味を持つ言葉の一つに「悲報(ひほう)」があります。類義語として認識されるケースもありますが、厳密には意味が異なります。悲報の場合は、告げる内容は亡くなったことに限定されません。
当事者や関係者にとって悲しい出来事があった場合、その内容を周囲に知らせるために「悲報」を使います。ほかの類義語としては、「死亡通知」が挙げられます。
多くの言葉には反対の意味を持つ「対義語」がありますが、訃報においては明確な対義語がありません。対義の意味としてよく使われる言葉には、以下のものがあります。
朗報(ろうほう):嬉しい出来事に関する知らせ。「悲報」の対義語
吉報(きっぽう):めでたく喜ばしい出来事に関する知らせ。「凶報」の対義語
訃報の対義語が存在しないのは、「人の誕生を告げる」という意味を持つはっきりした言葉がないためです。
亡くなった事実を知らせる側と訃報を受ける側によって、言葉の使い方も異なります。「訃報」を使った文例は以下のとおりです。
・母の訃報を会社関係者に流す
・友人の訃報は突然だった
・知人夫婦の訃報に接した
訃報そのものに「死を知らせる」という意味があるため、「訃報で亡くなったことを知らせる」といった表現は、日本語として正しくありません。
通夜や葬儀を行う前に訃報を流す場合は、葬儀に参列してもらうために正確な情報を伝えましょう。
宗派や連絡先を伝えるのも忘れないようにしましょう。ここからは、訃報で知らせる内容を4つ紹介します。
訃報で伝える内容の中でもっとも重要な情報が、通夜と葬儀の日程です。儀式が営まれる日時を正確に伝えましょう。
「場所が分からず参列できなかった」といった事態を防ぐために、近年では電話連絡に加えて別途メールなどで連絡をするケースもあります。
明確な予定が決まっていない場合は、改めて葬儀日程を知らせる旨を伝えます。
通夜や葬儀には、宗教や宗派が大きく関わります。特定の宗派を信仰している方は、訃報を流す際にその旨も伝えましょう。葬儀形式が決まっていない場合は、記載しなくても問題ありません。宗派名のみでは分かりにくい場合は、儀式の形態や形式、注意点も明確に伝えます。
喪主の連絡先も、訃報を伝える際に必要不可欠な情報です。訃報に明記された連絡先は、弔電や香典を送る上で重要な役割があります。訃報を受けた方が参列できない場合など、喪主の名前を頼りに香典を用意したり弔電を送るためです。
亡くなった原因や経緯などの詳細な情報は、無理に伝える必要はありません。喪主や遺族で話し合い、伝えるか否かを決めましょう。死因を伝えることに抵抗感がない場合は、参列者のためにもおおまかに知らせておくとよいでしょう。
これは、死因や亡くなった経緯によって、弔電や挨拶の内容に配慮する必要があるためです。訃報を伝える際は、相手に対する配慮も忘れないようにしましょう。
一般的に、訃報は親族をはじめ故人の関係者に伝えます。優先順位は以下のとおりです。
1. 親族
2. 故人と深く関わっていた友人
3. 故人の勤務先または学校関係者
4. 町内会や自治会の関係者
親族には早い段階で訃報を伝えます。親戚よりも先に友人に訃報が伝わらないように注意しましょう。
親密性が薄いと思われる場合でも、故人の関係者には訃報を伝えるのが賢明です。地域の結びつきが強い場合は、こちらもなるべく早く伝えたほうがよいでしょう。このほか、宗教関連でお世話になった方に訃報を伝えるケースもあります。
一般的に、訃報は葬儀の日程など詳細が決まってから知らせます。ただし、親族は葬儀に出席する必要があるので、可能な限り早く伝えましょう。
遠い親戚には、死亡直後に訃報を入れて、葬儀の日程が決まり次第連絡する旨を伝えておくと安心してもらえるでしょう。
勤め先や自治会の関係者には、葬儀日程が確定した後で訃報を伝えても問題ありません。ただし、葬儀の直前や当日に伝えることのないように注意が必要です。相手の居住地も考慮して訃報を流すタイミングを判断しましょう。
かつて訃報はハガキを使用して伝えていましたが、現代では電話やメールを用いて訃報を伝えることも増えています。電話やメールは瞬時にコミュニケーションが取れるツールで、配達日数や紛失などを心配する必要もないので、訃報を流すのにふさわしい手段ともいえます。
しかし、適切な訃報の伝え方は相手によって異なります。ここからは、訃報を伝える3つの連絡手段とそれぞれの注意点を紹介します。
電話は正確性が高く、もっとも効率的な連絡手段です。メールには誤送信のリスクや相手が読んだか分からないというデメリットがあり、郵便にも未達や紛失といったリスクがあります。しかし、電話であればその心配はありません。
遺族のタイミングで連絡できる点が電話の一番のメリットです。訃報を伝える相手をリスト化してから架電しましょう。
葬儀に関する詳細情報を伝える場合は、相手がきちんと書き残せるようメモの準備を促してから、ゆっくりと伝えましょう。
普段から連絡している相手であれば、いつも使用しているメールやメッセージアプリから訃報を伝えるという選択肢もあります。ただし、親密な関係ではない方や目上の方に対しては失礼にあたることもあるので、避けたほうが賢明です。
メールの場合は、ハガキのように形式を整えた文面にできないこともありますが、必要事項を明記してあれば問題ありません。
参列してほしい相手に手紙やハガキで訃報を伝える場合は、相手の準備期間も配慮して手続きを進めましょう。また、送付した書面は修正することができないので、誤記や情報に漏れがないか確認してから投函しましょう。
郵送で訃報を伝える際は、別途電話でも連絡しておくと安心です。知らせる相手が個人宛ではない場合は、「死亡通知」と呼ばれる書類を利用してもよいでしょう。
葬儀会社に依頼すると、必要な書類をそろえてくれるケースもあります。会社や自治会などの組織宛に訃報を伝える際に活用できる方法です。
万が一の事態でも慌てずに対応するために、訃報の伝え方を知っておきましょう。ここからは、電話やメール、手紙、ハガキにおいて活用しやすい文例を紹介します。
電話では、情報を正確に伝えることが大切です。必要な情報をあらかじめメモしておき、伝え漏れや言い間違いがないようひとつずつはっきりと伝えましょう。
亡くなった直後、親族や友人に伝える際の文例 |
(故人の名前)の長女、(自分の名前)です。本日早朝、父が(死因)により亡くなりました。遺体は、通夜・葬儀まで父の自宅に安置します。通夜は(日時)、(場所)にて行う予定です。詳細が決まり次第ご報告いたしますので、何かあれば(連絡先)までご連絡ください。 |
会社の関係者に訃報を伝える際の文例 |
お世話になっております。(故人の所属名と名前)の長男(自分の名前)です。かねてから闘病中であった父が、本日早朝に亡くなりました。葬儀は親族のみで執り行う予定です。失礼ながら、ご厚意は辞退いたします。ご迷惑をおかけしますが、ご配慮のほどよろしくお願い申し上げます。 |
メールの場合は、読みやすさに配慮して情報を記載しましょう。葬儀の日時や喪主の名前は、箇条書きで並べると分かりやすくなります。
また、本文を読む前に訃報だと認識し必ず読んでもらえるように、件名に「訃報」「急逝のお知らせ」といったフレーズを入れます。文例は以下のとおりです。
友人や関係者に伝える際の文例 |
件名:急逝のお知らせ (相手の名前)様 (亡くなった年月日)、父(故人の名前)が病気により逝去しました。生前のご厚誼に感謝し、謹んで通知申し上げます。 通夜・葬儀は下記の通り、仏式にて執り行う予定です。 (葬儀の日時・場所・連絡先) |
会社関係者から従業員に対して伝える際の文例 |
件名:訃報 (故人の名前や所属名)殿が、(亡くなった年月日) ご病気により永眠されました。 ここにご冥福をお祈りし、通夜のお知らせを申し上げます。 (通夜の場所・日時・喪主名) (会社名・住所・連絡先) |
訃報を文字で伝える際は、句読点を使用しないのがマナーです。
また、手紙やハガキの場合は縦書きで記載します。葬儀が終わった後に訃報を伝える場合は、亡くなった日付だけでなく葬儀の日程も記入します。文例は以下のとおりです。
葬儀後に訃報を伝える際の文例 |
父(故人の名前)は(亡くなった年月日) 永眠いたしました 皆さまに謹んでお知らせ申し上げます なお 葬儀は(行った日付)に滞りなく相済ませました ここに 生前中のご厚誼に深く感謝申し上げます (記載した年月日) (住所・名前) |
葬儀から数日以上経過したタイミングであれば、通知が遅れたことに対するお詫びも記載したほうがよいでしょう。
訃報は、送るだけでなく受け取る側になることもあります。
突然の訃報に接すると返す言葉に困ることもあるでしょう。ここからは、家族と家族以外の2パターンに分けて、訃報を受けた際に避けたい言葉や表現、お悔やみの文例、親族としてやるべきことを紹介します。
身内の死を知った直後は、思うように行動できず混乱する可能性が高いでしょう。親族は、死亡に関する手続きと並行して通夜や葬儀の準備もする必要があります。
遺体の搬送方法や安置場所、依頼する葬儀社も同時進行で決めなければならないため、兄弟姉妹や子どもなど、ほかの家族にも協力を求めながら進めましょう。
故人やほかの親族と居住地が離れている場合は、通夜や葬儀に参列できるよう予定を調整しましょう。参列可能な日程を家族と共有しておくと、今後のスケジュールを立てやすくなります。
家族以外の方から訃報を受けた際は、「忌み言葉」に注意して対応する必要があります。以下の言葉を含む表現はマナー違反とされているため、しっかりと把握しておきましょう。
・「再び」「追って」など再来をイメージさせる言葉
・「死亡」「急死」など「死」を含んだ言葉
・「たびたび」「しばしば」などの重ね言葉
・「嬉しい」「楽しい」など状況にふさわしくない言葉
訃報は電話で受けることが多いでしょう。返答の文例は以下のとおりです。
心からお悔やみ申し上げます。生前はお世話になりました。故人とお別れをしたいのですが、ご迷惑でなければ今後の日程などお知らせいただけますでしょうか。何かお手伝いできることがあれば、いつでもご連絡ください。
訃報を受けた際は、マナーを守り、相手に不快な思いをさせないように注意しましょう。ここからは、訃報を受け取った際のマナーを3つ紹介します。
訃報の連絡を受けたら、できるだけ早く返信しましょう。タイミングによっては訃報がきていたことに気づかないこともあります。その場合は、返信が遅くなったことに対して一言添えてお悔やみの言葉を書きましょう。
また、深夜や早朝には返信せず、日中や次の日に返信しましょう。
仏事で使用する文面には句読点を使いません。そのため、訃報の返信にも句読点は使用しないのがマナーです。
仏事の文面で句読点を使わない理由はいくつかあり、毛筆を用いた書状に句読点が使われていなかったことや、「仏事が滞りなく済むように」と願いを込めて、文章を区切る句読点は用いないとされています。
訃報の返信が、相手の負担にならないように配慮することも大切です。遺族は、心身共に疲弊している状態である可能性が高いので、返信の文章は簡潔にしましょう。
訃報の返信に時候の挨拶などの前置きは不要です。件名や文頭にお悔やみの言葉を明記し、文章の最後に「ご返信には及びません」と付け加えると丁寧です。
急な訃報の連絡に対応するため、事前に返信文面を知っておきましょう。訃報への返信に活用できる一般的な文例を紹介するので、万が一の場合に役立ててください。
訃報への返信文例1
この度は 〇〇様のご逝去につきまして 心よりお悔やみ申し上げます
突然の訃報に 言葉が見つかりません
大変な毎日だとは思いますが ご無理なされないようにご自愛ください
何か私にできることがあれば連絡してください
改めて 安らかなご永眠を心からお祈りいたします
訃報への返信文例2
この度は 〇〇様のお身内にご不幸があったと伺い 心よりお悔やみ申し上げます
大変な時ではございますが どうかご無理されませんように ご自愛くださいませ
本来ならば 直接お悔やみを申し上げたいところですが 略儀ながらメールにて失礼いたします
改めまして 心よりお悔やみ申し上げます
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身内が亡くなったとき、関係者に死亡の事実を知らせることを「訃報(ふほう)」といいます。「訃」には「人の死に関する知らせ」、「報」には「なんらかの事実を知らせること」という意味があります。
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