忌明けの四十九日に行われる法要のあとは、香典やお供物をくれた方々へ「お礼状」を送るのがマナーです。弔事は頻繁に行われるものではないので、お礼状や香典返しの準備をはじめて経験する方もいるかと思います。
いざ書こう思うとどのような内容を書けば良いか分からない、香典返しに適した品物が分からないと悩む方も少なくありません。
そこでこの記事では、忌明け後に送るお礼状・香典返しのマナーに焦点を当てて情報をお届けします。感謝の気持ちを真っすぐ伝えられるよう、ぜひこの記事の内容を参考にしてみてください。
<この記事の要点>
・四十九日法要後のお礼状は、感謝の気持ちと法要の報告を兼ねて書く
・お礼状は縦書きで書き、忌み言葉や重ね言葉を使わない
・香典返しは後々残らないものや日持ちするものが望ましい
こんな人におすすめ
四十九日法要を終えた人
四十九日法要のお礼状を書くのが初めての人
香典返しの選び方もあわせて確認したい人
まずはこの項目で、四十九日・忌明け法要のあとに送るお礼状の書き方を確認しましょう。そもそも、このお礼状の目的はどういったものなのか、お礼状を書く際はがきと手紙の形式どちらが良いのかなど、お礼状に関する疑問について回答します。
書く内容に困ったときの対策も紹介しておりますので、そちらもぜひチェックしてみてください。
まずはお礼状の目的を確認しましょう。お礼状とは、葬儀に参列してくれたことや香典、お供物をいただいたことに対するお礼の気持ちを伝えるために送ります。また、このお礼状は報告を兼ねているものでもあります。
故人は亡くなってから49日経つと仏になるという話は、仏教の教えのなかでも有名と言えるでしょう。この49日までを「忌服期間」と言います。
この期間を過ぎると「忌明け」となり、無事に四十九日・忌明け法要を迎えたことをお礼状で報告するのが古くからの習慣です。このことから、忌明けのお礼状と呼ぶこともあります。
まずは、葬儀に駆けつけてくれたことや香典、お供物をいただいたことに対する「お礼」が必要です。お手伝いをしてくれた方には、そのことに対する感謝もしっかりと述べます。
次に書くのは、四十九日・忌明け法要を無事に迎えることができたという「報告」です。普段交流がある方には、お世話になったことや、故人との思い出話を書くこともあります。報告以外のことを書く場合は、あまり長くならないように気をつけましょう。
また、年月で構わないので法要を行った日付も記入してください。
次に、香典に対してお返しを送ることも報告として書くようにします。ただし、香典をいただいていない方に対しては不要です。
お礼と報告を終えたら最後は締めとして、お礼を書面上で済ませることに対する「お詫び」を書きます。本来、忌明けの報告やお礼は直接伝えるものです。現在は書面上で伝えるのが主流ですが、あくまで略儀であることを念頭に入れておきましょう。
最後には差出人の名前を記入しますが、名前は喪主の名前でも「親族一同」といった書き方でも差し支えはありません。
必須とされる内容を書いていけば、お礼状は完成します。しかし、注意点がいくつかあるので、書く前にそれらのポイントはよく確認しておきましょう。まず、基本的に文章は縦書きで書くようにします。
文章を練る際に最も気をつけたいのが、忌み言葉を使わないことです。お礼状では「重ね重ね」や「ますます」といった重ね言葉は不適切とされています。重ね言葉は、不幸が続くことを連想させると言われている言葉です。
忌み語とも呼ばれ、弔事の場ではタブーと言われています。生死にかかわる直接的な表現も忌み言葉になるので避けましょう。(生きる、死亡など)また、注意点という程ではありませんが、文中では季語を使わないのが一般的です。
書き出しで使うなら、拝啓と敬具が良いとされています。さらに、文中では句読点を使わないこともマナーとして覚えておきたいポイントです。これには、法要が滞りなく終わるようにという思いが込められています。
ただし、現在ではそこまで厳しい目で見られることもないとのことです。親しい間柄なら使用しても差し支えないという考えもあります。
墨の色も通常の濃さのものを使用するのが一般的ですが、地域によっては薄墨を使うこともあるとのことです。事前に地域性の違いを確認しておくと良いでしょう。
お礼状を書くとき、まず悩むのは形式かと思います。はがきで送るのと、封筒(手紙形式)で送るのはどちらが良いのでしょうか。
どちらが良いとは一概には言えませんが、丁寧とされるのは封筒です。特に香典をいただいた方や、普段お世話になっているという方にはこの形式で送ると良いかもしれません。文字数は1枚の紙に収めるようにしましょう。
より丁寧に送りたいのであれば、奉書紙と呼ばれる和紙を使うことをおすすめします。この和紙は、通販や文房具店で購入可能です。巻紙タイプのものを買うと、必要な分だけを切り取って使えるので不自然な余白ができることもないかと思います。
お礼状で使う便箋は、手書き用もあれば印刷用のものも存在します。手書きの方が望ましいですが、多くの人に送る場合は印刷して送っても厳しい目で見られることはないでしょう。
一般的に、お礼状は香典返しと共に送るものとされていますが、すでに香典返しを済ませていることもあります。香典をくれた方のなかには、お返しを辞退している方もいるかもしれません。このようなときは、相手にお礼状のみを送ります。
この場合だと、封筒ではなくはがき形式で送ることが多いようです。はがきを選ぶのであれば、封筒よりも書く場所が狭くなるので内容を簡潔にまとめる必要があります。内容のアレンジがあまりできないのはデメリットと言えるかもしれません。
書くべき内容は理解していても、実際に文章を練るとなると思いつかない…という方も多いでしょう。礼儀として言葉遣いにも気を配りますが、丁寧な言葉遣いに自信がないという方もいるかと思います。
文章に悩んだときは、インターネット上にある「テンプレート」を利用するのがおすすめです。今では、インターネットで検索すればたくさんの文例がでてきます。
そのまま真似ても差し支えはありませんし、文例を参考に内容を練ることもできるでしょう。なかなか文章が思いつかないという場合には、ぜひテンプレートを利用してみてください。
手書きが望ましいとされているお礼状ですが、現在は印刷で作成する方も珍しくはありません。印刷で作成したい場合には「印刷サービス」を利用するのがおすすめです。
この項目では、お礼状の注文印刷ができるサービスをまとめました。サービスそれぞれのメリットも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
注文する場所の選択肢としてまず挙げられるのは、郵便局の印刷サービスです。封筒付きの巻紙と横長のカードの2種類を選ぶことができ、どちらのタイプも無地か柄入り(藤、百合の花など)を選べます。
郵便局の公式サイト上で料金の見積もりができるので、注文を考えている方は事前に確認しておくのがおすすめです。
巻紙形式だと無地で6,417円から、柄付きで6,621円から注文ができます。カード形式だと無地で5,551円から、柄付きで5,959円からが基本料金です。料金は、10枚ごとに加算されていきます。(料金は税込で記載しております)
百貨店のなかには、香典返しと共にお礼状を同封してくれるサービスを提供しているところもあります。大手のなかでもこのサービスを提供しているのは「伊勢丹」「三越」「高島屋」の3つです。
伊勢丹は香典返しを注文することで、件数分のお礼状を無料で印刷してくれます。封筒付きの奉書紙とカード形式が選べるのが嬉しいポイントです。しかし、オンラインストアからの注文や予約なしの店頭来店は無料サービスの対象外で有料となるので気をつけましょう。
三越にもお礼状の無料作成サービスが存在します。サービスの内容は伊勢丹とほぼ同じで、オンラインストアからの注文と予約なしの直接来店の場合印刷は有料です。
高島屋は、オンラインストアからの注文でも無料でお礼状を付けてくれるので便利です。ただし、封筒はなくメッセージカードの形式になるのでその点は覚えておきましょう。
無料とは限りませんが、その他百貨店でも独自のサービスでお礼状の作成を受け付けているところがあります。依頼を検討している方は、お近くの百貨店の公式サイトを確認するのがおすすめです。
印刷会社へネットオーダー、葬儀屋に注文するといった方法でお礼状を用意することもできます。近くに印刷会社があるなら、直接注文しに行くこともできるでしょう。
品物と別途で用意する場合は、ネット注文が一番手軽にできて便利です。印刷会社は印刷が専門ということもあり、出来がきれいで見栄えも良いという利点があります。お礼状の形式は、印刷会社によって異なるのでサイト上でしっかりと確認しておきましょう。
葬儀屋に注文する場合は、百貨店と同様にお礼状とともに香典返しも選べます。しかし、品数に限りがあったり、割高になったりすることもあるので注意が必要です。
自宅にパソコンやプリンターがある場合は、自分でお礼状を作成して印刷するという手もあります。自分で用意するのが一番の節約にもなるので、費用を抑えたい方にもおすすめです。
ワードやエクセルといったソフトで作成することもできますし、ネット上にはお礼状のテンプレートもたくさん存在します。パソコンの知識に長けている方は、フリーフォントを探してお礼状にふさわしいものをダウンロードするといったこともできるでしょう。
最近だと、プリンターに対応しているお礼状専用のカードも販売されています。上手くいけば、印刷会社に頼むのとあまり変わらない出来のものができるかもしれません。
例外はあるものの、お礼状は香典返しの品物と一緒に送るのが一般的です。お礼状の準備をするとともに、香典返しに適した品物を選ぶ必要がでてくるでしょう。
この項目では、香典返しを選ぶポイントや相場をまとめました。お返しに選ぶ品物として、不適切と言われるものもあります。どのようなものがふさわしいか確認しておきましょう。
お返しとして選ぶ品物は後々残らないもの、日持ちするものが望ましいです。この条件に該当する品物は多く存在しますが、特にお茶、コーヒー、お菓子の類がよく選ばれます。
タオルや洗剤などの日用品も候補として挙げられますが、これらの品を貰うと扱いに困るという声もありました。いただいた香典が高額なら、カタログギフトや商品券を贈るのもおすすめです。
生もの、かつお節、昆布といった食品は、不適切と言われています。生ものは「四つ足生臭もの」と呼ばれ、殺生を連想させ、日持ちもしないため避けましょう。かつお節と昆布は慶事で用いられる贈り物のため、香典返しには基本選ばれません。
お返しの相場はいただいた金額の半分か3分の1とよく言われていますが、最近では半分(半返し)の考えが主流になりつつあります。
しかし、近頃だと香典返しを当日に行うケースも少なくありません。この場合は、2,000円~3,000円程度の品物を準備するのが一般的です。この金額は香典が5,000円程度であることを想定したものですが、5,000円よりも高額な金額を受け取ることもあるでしょう。
この場合は後日改めて、半返しになるように品物を贈る必要があります。また、故人が一家の大黒柱、働き手だった場合や子供が未成年だった場合は、3分の1~4分の1程度のお返しでも問題ありません。
のし紙と間違える方も多いですが、弔事で贈るものは「熨斗(のし)」がないものを選ばないといけません。のしがなく水引だけが印刷されたものを「掛け紙」と言い、香典返しにはこの掛け紙を選ぶ必要があります。
掛け紙にはさまざまな種類があり、地域や宗派による使い分けが必要です。仏教だと蓮の花が描かれたものが主流ですが、他宗教の場合は絵のないものを選びます。
そして、水引は結び切りのものを選びましょう。これには、弔事を繰り返さないという意味が込められています。色は黒白のものが一般的です。しかし、一部地域では黄白のものを選ぶこともあるので事前に確認を取ることをおすすめします。
表書きには「志」の字と喪主の名前を書くのが一般的です。ただし、地域や宗教の違いで「満中陰志」や「粗供養」といった言葉を使うケースもあります。
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感謝の気持ちを伝えるお礼状には、守るべきマナーがいくつかあります。事前にポイントを押さえることで、スムーズに準備ができるでしょう。
これからお礼状を用意する方は、この記事で文章の練り方や注意点を確認してみてください。そのほか、お礼状や香典返しで疑問に思うことがあればぜひ「小さなお葬式」へご相談ください。
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