出棺時に霊柩車がクラクションを鳴らす理由は?霊柩車の役割についても解説

出棺時に霊柩車がクラクションを鳴らす理由は?霊柩車の役割についても解説

告別式の最後の場面、霊柩車が棺を載せて出てくる出棺の際、クラクションが鳴るのを耳にすることがあると思います。このクラクションにどのような意味があるのか不思議に思った方もいるのではないでしょうか。

この記事では、出棺時にクラクションを鳴らす理由について解説します。あわせて霊柩車の役割や種類についても紹介します。また出棺全体の流れについても理解ができる内容です。ぜひとも最後までお読みください。葬儀全体の流れについてあわせてご確認することもおすすめです。

<この記事の要点>
クラクションには、故人を弔い邪気を払って、出棺を知らせる意味がある
霊柩車には、宮型霊柩車・洋型霊柩車・バス型霊柩車・バン型霊柩車の4種類がある
価値観の変化や斎場の立地により、クラクションを鳴らさない選択も増えている

こんな人におすすめ

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出棺時に霊柩車がクラクションを鳴らす理由

なぜ出棺の際に、大きなクラクションが鳴らされているのか、不思議に思ったことがある方は多いと思います。しかしながら、その理由を知っている方は少ないのではないでしょうか。

ここでは出棺時にクラクションを鳴らす理由を解説します。その由来やクラクションを鳴らさないケースについても理解ができる内容です。

1. クラクションを鳴らす意味

霊柩車がクラクションを鳴らす意味については諸説あります。主なものは以下のとおりです。

・故人を弔う意味
・邪を払う意味
・合図の意味
・特に意味はない

もっとも一般的な意味は「故人を弔う」ことです。参列客は合掌と黙祷をして故人を見送ります。クラクションもそれに併せて故人を弔っていると考えられています。

故人があの世に旅立つにあたり、道中の邪を払うという意味もあります。また、クラクションを鳴らして車両が見えない方にも出棺を知らせることができます。

そして、実は「特に意味がない」という説もあるのです。これまでの理解は全て後付けで、過去に誰かが誤って出棺時にクラクションを鳴らしたのが始まりで、それが全国に広まったという考えです。

2. クラクションを鳴らす由来

由来については以下のものがあります。

・皇室の演奏
・茶碗を割る音
・鶏の鳴き声
・汽笛や空砲
・楽器の代わり

皇室の葬儀において「大御葬歌(おおみはふりのうた)」が演奏されるという儀礼があり、この演奏に倣ったと言われています。

茶碗を割る音というのは「亡くなった方が現世に戻らないように」という意味があるようです。鶏の鳴き声というのは昔の葬儀が朝一番に行われることが多く、よく鶏が鳴いていたことが由来と言われています。

汽笛や空砲については、船乗りの慣習とのことです。航海中に人が亡くなったときに行う、海葬で汽笛や空砲を鳴らしていた名残と言われています。最後の楽器の代わりというのは昔の葬儀の際に、僧侶が読経をするのに併せて鐘や太鼓を鳴らしていたことが起源です。

3. クラクションを鳴らさないケース

クラクションの音は非常に大きいです。そしてその大きな音が、不快に感じる方もいるでしょう。近年は出棺の際にクラクションを鳴らさない選択をする人も増えています。

遺族の価値観の変化も要因です。特に都会では斎場が住宅地の中にあるケースも多いという状況もあります。また家族葬が増えており、ひっそりと行いたいというニーズが高まっていることもクラクションを鳴らさなくなった原因の一つと言えるでしょう。

葬儀における霊柩車の役割

遺体を運ぶのに使われる車と聞くと、霊柩車をイメージする方がほとんどでしょう。実は霊柩車にも種類があり、それぞれ異なる役割があるのをご存知でしょうか。

ここではその定義と、出棺時と火葬場での役割について解説します。しっかりと内容を確認して、車両を手配する際の参考にしてください。

1. 霊柩車の定義

霊柩車は、遺体を運ぶという目的のみに使われる車両です。斎場ではなく自宅で葬儀を執り行うことが多かった時代では、自宅から火葬場まで遺体を移動させていました。その際に使われていた車両です。

法令上は「霊きゅう自動車」と表記されています。遺体を運ぶためには国土交通省から「霊柩運送事業」の認可が必要です。

そのうえで遺体を運ぶのに必要な改造を行います。ナンバープレートは緑色で、前側のドアの下の部分に「霊柩」もしくは「霊柩限定」と表記されるのが一般的です。

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2. 出棺時の役割

出棺時における霊柩車の役割は、遺体を火葬場や斎場に運ぶことです。手順としては、告別式が終了したら棺を車両に納めます。

その後に喪主が挨拶をして出発しますが、喪主は位牌を持って霊柩車に乗り込むのが一般的です。しかし最近はスタッフが同乗して、喪主は別の車両で火葬場に向かうケースも増えてきています。霊柩車はクラクションを鳴らして、火葬場に向けて出発します。

3. 火葬場での役割

出棺時にはクラクションを鳴らす霊柩車ですが、火葬場への移動中は一切音を出すことはありません。火葬場についたら、車両から棺を降ろします。

ここでは、棺の搬出に慣れている火葬場のスタッフが担当するケースが多いです。棺を降ろす作業に関わらず、火葬場においては、火葬場のスタッフの主導により進行されます。棺が降ろされた段階で、役割は終了です。

霊柩車の4つの種類

霊柩車の語源は「手押し車」と言われています。昔は手押し車で棺を運んでいたのが馬車になり、今では車両になりました。

霊柩車には4つの種類があります。もともとは告別式から火葬場まで運ぶことが目的でしたが、今では役割も多様化しています。ここでは4つの種類について用途もあわせて解説しています。

1. 宮型霊柩車

一定の年代以上の人は、おそらく霊柩車と聞いてイメージされるのがこの宮型霊柩車だと思います。実は今ではほとんど見る機会はありません。

宮型霊柩車が減ってしまった理由ですが、いかにも霊柩車というデザインのため敬遠されていることです。葬儀が自宅ではなく、斎場で行われることにも関連があります。斎場の近くに住んでいる人は頻繁に霊柩車を見かけることになり、そのたびに死を意識することになったそうです。

そのような声から、宮型霊柩車を禁止する火葬場や自治体が増えてきました。その結果、宮型霊柩車は姿を消していってしまったのが現状です。

2. 洋型霊柩車

ぱっと見て霊柩車とは分からないデザインですが、現在主流となっている霊柩車が洋型です。洋型は宮型に比べて華美な装飾は排除され、遺体を搬送することに特化したデザインとなっています。

高級車やステーションワゴンなどの、大型車両を改造して造られています。後部は馬車時代の折りたたみ幌を模した外観です。

宮型とは違って死のイメージを喚起させないことが、支持されるもっとも大きな要因となっています。

3. バス型霊柩車

バス型は、大型バスやマイクロバスを改造して造られます。霊柩車と言っても。外観には全く特徴は見られません

もちろん棺を納めるスペースは確保されています。マイクロバスは、後部に棺を納める場所があるタイプです。大型バスのタイプはトランクルームに収納できるようになっており、その上の座席は取り外されています。

都会ではあまり見られませんが、冬の気象条件が厳しい北国などではよく見られる車両です。

4. バン型霊柩車【寝台車】

バン型霊柩車は別名「寝台車」とも呼ばれています。病院から自宅に遺体を搬送する際は、この寝台車がよく使われます。

寝台車だけは棺ではなく、ストレッチャーで遺体を運ぶスタイルです。ストレッチャーを車両に固定できる仕様になっています。遺体を搬送することは営業行為に該当するため、他の霊柩車と同じように緑ナンバーの取得が義務付けられています。

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出棺について解説

ここでは改めて、出棺について詳しく取り上げます。出棺は葬儀を締めくくる儀礼です。火葬場に同行しない参列客にとっては、故人との最後のお別れの場となります。

出棺の定義から儀礼の手順、棺を霊柩車に運んでお見送りをするところまで解説します。しっかりと内容を確認して、出棺の流れをご理解いただければ幸いです。

1. 出棺とは

出棺とはその名前のとおり、棺を送り出すことです。告別式が終わった後に故人の棺は家族と親類や参列客に見守られながら、霊柩車に乗ることになります。家族や血縁の深い親類は火葬場まで同行しますが、多くの参列客にとっては故人と対面する最後の場です。

しかしながら火葬場の規定によっては、最後に遺体と対面できないケースもあります。そのため、火葬場に同席する人にとっても出棺は非常に大きな意味を持つ儀礼です。

2. 出棺の儀礼の手順

出棺の儀礼は「別れ花」と「釘打ちの儀」という2つの手順に沿って進められます。

別れ花とはスタッフが花の準備をしてくれるので、それを受け取って棺の中に入れていく儀礼です。花を入れる順番は喪主が最初で、血縁の濃い順番に入れていきます。

なお、花以外のものを棺に入れることもできます。ただし「燃えにくいもの」や「燃やすと有害物質がでるもの」などは避けなければなりません。

続いて行うのが釘打ちの儀です。その名の通り、棺を釘で打ち込みます。手順としては、スタッフが棺の四隅の角に、釘を半分程度打ち込んだ状態まで準備してくれています。そこから、血縁の濃い順番に釘を打ち込んでいく儀礼です。

3. 棺を霊柩車に運ぶ

出棺の儀礼が完了したら、棺を霊柩車に運びます。遺族を中心とした男性が棺を持ちます

車両へと運ぶ際は、位牌を持った喪主が先頭です。遺影を持った故人の家族などが後から歩いていきます。そのままスタッフの案内に従って、棺を乗せます。

準備が整ったら、喪主の挨拶が行われます。喪主の挨拶は定型文があるので、葬儀会社に用意してもらうのが安心です。時間にして1分~2分程度でまとめるのが良いとされています。

4. お見送り

最後にお見送りです。参列した方は、ここで帰宅することなくお見送りまで参加するようにしてください。

出棺は屋外で行われることが多いです。冬場は寒いので、コートを着用して待っていただいて構いません。しかし出棺の際はコートを脱ぐのがマナーです。一方、夏場は暑いので、特に男性の方は、ジャケットを着用するのが苦しいこともあります。ここでも同じように、出棺の際はジャケットを脱がないようにしてください。

斎場から棺が出される時は、棺の方を向いて立ちます。遺族が礼をするのに合わせて、参列客も礼をしてください。車両が発進する時は、丁寧に一礼して合掌して見送ります。車両が見えなくなっても、しばらくは話したり笑ったりしないように注意してください。大変失礼にあたります。

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まとめ

葬儀には様々な慣習があり、なかなか覚えきれないものも多いでしょう。しかしながらその慣習にはそれぞれ意味があり、しっかりと実行できていないと遺族に失礼にあたるケースがあります。

昨今は以前のように詳しい親戚がいるような状況も、少なくなっているのが実情です。このような状況下で「小さなお葬式」がサポートできることは数多くあります。

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監修
小さなお葬式 コラム編集部
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葬儀・法要に関する専門領域の記事を、5人のチーム体制で執筆しています。
メンバーは葬儀・法要関連だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
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