葬儀として行うべきすべての行事が終了した後、火葬まで同席した方々を中心に「精進落とし」という会食が行われます。喪主が手配するのが一般的ですが、どのくらいの費用がかかっているのかわからない方も多いでしょう。
この記事では「精進落としの費用」について紹介します。あわせて、メニューやその由来、葬儀全体の費用相場についても解説します。相続税控除についても学べる内容になっているので、ぜひとも最後まで御覧ください。葬儀全体の流れについてあわせてご確認することもおすすめです。
<この記事の要点>
・精進落としの平均費用は一人あたり4,000円~5,000円程度で、和食が基本
・葬儀にかかる費用の全国平均は約127万円
・精進落としの費用は相続税の控除対象となり、相続税の申告期限は亡くなってから10ヶ月以内
こんな人におすすめ
精進落としの費用を知りたい方
精進落としの料理の内容を知りたい方
精進落としの相続税控除について知りたい方
費用は平均的には一人あたり4,000円~5,000円程度となることが一般的です。用意する食事の内容や会場によって異なりますので、費用の範囲としては3,000円~8,000円程度となります。20名を超えるような大人数になると予算も総額で10万円を超えるので、人数は正確に把握しておきしましょう。
読経していただいた僧侶も招待するのがマナーですが、辞退されることも珍しくありません。そのような場合は、御膳料をお渡しすることを忘れないようにしましょう。金額相場は5,000円~1万円で、お布施と一緒に渡せば問題ありません。
メニューは基本的に和食で、懐石料理が選ばれることが多いです。「肉や魚は避けるべき」と思われる方もいますが、現代では、通常の食事に近いメニューが望ましいです。ジュースやお酒を飲んでも、問題ありません。
一般的なメニューは以下のとおりです。
お刺身
野菜と牛肉の煮物
焼き魚
蒸し野菜
天ぷら
茶碗蒸し
白米とお吸い物
デザート
寿司なども良いですが、「鯛」や「伊勢海老」などのお祝いの席で出される料理はふさわしくありません。また「必ず和食でなければいけない」ということはなく、オードブルやサンドイッチなどを用意しても問題ないです。
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精進落としで出すべき料理や相場を徹底解説!
精進落としが「葬儀の際に振る舞われる料理」であると、知っている方は多いと思います。しかし、「通夜振る舞いとの違い」や「なぜそのように呼ばれているのか」など、知らない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、精進落としの意味や由来を「通夜振る舞い」との比較も交えて解説します。よくお読みいただいて、理解していきましょう。
元々は故人の死から四十九日がたって、通常の生活に戻る儀式を意味していました。しかし、近年では、四十九日後ではなく初七日法要の後に行われることが一般的になっています。
そして、初七日法要も、元々の日時より早く行われることが多いです。昔は故人の死から七日間が経過した後行われていましたが、近年では告別式と同じ日に行われています。
現代では故人の死後から50日近くを、精進料理のみで過ごすという価値観は馴染まないでしょう。そういった事情もあり、精進落としのタイミングが早まっていったと考えられます。
呼び名から「精進料理」を連想する方も良いのではないでしょうか。しかし、精進「落とし」なので、実際は肉や魚も出てくる通常の料理です。
元々は仏教の教えを起源とした慣習です。親族が亡くなった家族は四十九日の間、肉や魚を食べてはいけないといわれていました。「忌明け」と呼ばれる四十九日間が経過した時に、通常の生活に戻るために行われていた儀式です。
呼び名は変わっていませんが、現代では「精進料理から元の食生活に戻す」といった意味は薄れています。それよりも「僧侶や葬儀に関わった方への感謝を表す食事会」といった意味合いが強くなっています。
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葬儀で出す食事「精進落とし」の意味とマナー
「精進落とし」と「通夜振る舞い」の違いがわからない方も、いるのではないでしょうか。近年では意味合いが非常に近くなっており、開催されるタイミングや人数などが主な違いとなっています。
特徴を比較すると以下のとおりです。
精進落とし | 通夜振る舞い | |
参加者 | 近親者や僧侶のみ(少人数) | 通夜に参列した方(大人数) |
料理形式 | 個別のお膳 | オードブルなど大皿 |
時期 | 初七日法要の後 | 通夜の後 |
通夜振る舞いの趣旨は、通夜に参列した方をおもてなしすることです。大まかな人数を想定して料理を準備するので、参加者を正確に把握しておく必要はありません。対して、精進落としは人数を正確に把握して、個別にお膳で料理を用意します。
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通夜振る舞いの流れとマナーを徹底解説!費用や注意点も紹介
葬儀に関係する食事は参列者のためのものだけでなく、故人にお供えする食事もあります。それが「枕飯」と「枕団子」です。お供えの仕方にも作法がありますので、確認しておくことをおすすめします。
枕飯とは、冥土に旅立つ故人の最後の食事です。生前使っていたお茶碗にこんもりと大盛りによそったご飯に、お箸を垂直に二本立てたものです。枕飯は亡くなった日から火葬する日まで、毎日作り変えて準備します。火葬後は死者との決別として、茶碗は割って処分するのが慣習です。
枕団子も亡くなった日から火葬の日まで、毎日作り変えて用意します。故人が冥土の途中で食べられるようにとお供えする食事です。
精進落としの費用相場について理解したところで、葬儀全体の費用についても気になった方がいるのではないでしょうか。実際に葬儀にかかる費用については、わからない方が多いでしょう。
ここでは葬儀全体の費用相場を、3つの項目に分けて確認します。精進落としの費用と併せて確認することで、それぞれの費用負担に対する理解が深まるのでおすすめです。
小さなお葬式が行った調査では、葬儀にかかる費用の全国平均は約127万円※という結果になりました。その中でも葬儀自体の費用は全国平均で約86万円※です。(※対象期間:2021年2月~2022年5月 2022年5月 自社調べ。火葬料金を含む)
葬儀自体の費用とは、以下の儀式や手続きにかかる費用です。
・遺体の安置・搬送
・通夜
・告別式
・火葬
具体的には、人件費や物品の費用などがあります。そして、物品の例では、以下のようなものがあります。
費用のかかる物品例 | |
遺体の安置・搬送 | ・寝台車や霊柩車などの車両 ・棺 ・安置施設費 ・ドライアイス |
通夜・告別式 | ・会場費 ・祭壇 ・焼香セット ・供花 |
火葬 | ・骨壷 ・骨箱 |
その他 | ・自宅飾り ・遺影 ・位牌 ・仏衣 |
それぞれ個別に費用が発生するわけではなく、葬儀社が葬儀の形式別にプランを用意しているケースがほとんどです。
寺院費用とは一般的には「お布施」として僧侶に支払う費用を指します。ここでのお布施とは、読経や戒名を授かった御礼として渡す金銭です。
費用相場は約26万円※ですが、寺院費用は特に「どのランクの戒名をつけたか」によって大きく変動します。(※対象期間:2021年2月~2022年5月 2022年5月 自社調べ)戒名料は20万円程度のものから、100万円を超えるものまで様々です。
そのため、26万円というのはあくまで目安で、金額は大きく変動する可能性があると理解するのがよいでしょう。
飲食接待費は「通夜振る舞い」と「精進落とし」の費用の合計です。飲食接待費の全国平均は約16万円※です。(※対象期間:2021年2月~2022年5月 2022年5月 自社調べ)
飲食接待費も参加人数によって、金額が大きく変動する項目です。ご自身で予算を立てる時は、精進落としの場合は参加予定人数に4,000円をかけると大まかな費用がわかります。通夜振る舞いの費用は、葬儀社に想定人数も含めて相談しながら予算を立てるのがおすすめです。
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葬儀の費用平均127万円!今すぐ用意できますか?
ここでは相続税控除について、申告方法も含めて解説します。「精進落としの費用の話をしているのになぜ相続税の話が」と思われる方が多いでしょう。
実は、精進落としの費用は相続税の控除対象なのです。控除できるはずの費用を、申告漏れによって控除できなくなることがないようにしましょう。そのために相続税控除という用語自体の説明から入りますので、しっかりと確認して理解するようにしてください。
故人が財産をもったまま亡くなると、家族などの相続人に相続されることになります。この相続された財産に課される税金が「相続税」です。
この相続税は相続された財産全てに課されるわけではなく、故人が亡くなった際にかかった費用を差し引いた金額に課されます。この費用を差し引くことを「控除」といい、相続税に関する控除が「相続税控除」です。
ここでは、主に「葬儀に関する費用」を差し引くことについて解説しますが、隠れた借金などが見つかった場合も控除は可能です。
葬儀における控除可能な費用の基準は「葬儀を行うのに欠かせない費用」です。例えば、葬儀会社に支払った以下のような費用は、控除することができると考えられます。
・葬儀会場の費用やスタッフの人件費
・花代
・祭壇に棺の費用
・位牌に遺影の費用
・火葬や納、骨費用
・遺体の安置と運送費
また「通夜振る舞い」や「精進落とし」などの飲食接待費用も、一般的な金額の範囲内であれば控除可能です。
実は、心づけも控除することができます。金額は1万円程度までなら一般的な金額と判断される範囲内です。
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葬儀費用で相続税から控除できる費用とできない費用とは?
相続税の申告には期限があり、故人が亡くなってから10ヶ月以内に行わなければなりません。まず、遺言書の所在を確認することから初めてください。遺言書があればその記述にしたがって、遺産分割などについて故人の意思を確認することができます。
相続税の申告には、必要な書類が多くあります。例えば、以下のようなものです。
・戸籍謄本
・印鑑証明
・銀行関係の書類
円滑に控除手続きをするためには、かかった費用の領収書を保管しておくことをおすすめします。しかし、領収書がなかったとしても、しっかりと記録をつけていれば控除が認められることが多いです。支払った金額をその都度しっかりと確認しておきましょう。
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葬儀に参列することが多い方でも「どの程度の費用がかかっているか」について、意識している方は少ないでしょう。
ご自身が葬儀を執り行う立場になったとき、確認するべきことが多くあります。しかし葬儀の前後は非常に慌ただしいため、調べている余裕はないのが実情です。
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