三回忌とは故人がなくなってから満2年後に執り行われる法要を指し、遺族と親しい親族が集まり故人が来世でよりよい世界に行けるよう祈りを捧げます。
参列する際は香典やお供えものを、施主として取り仕切る場合には返礼品を用意することが一般的です。しかし準備するにあたって、「のし」の使い方を知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では「のし」の正しい意味から水引を選ぶ際の注意点、表書きの書き方まで詳しく解説します。また悩みがちな三回忌の返礼品についても具体例を合わせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・香典やお供えものを用意する際、「のし紙」と呼ばれる水引が書かれた紙を使うことが一般的
・三回忌で使う水引の色は「青白」「黒白」「黄白」「双銀」の4種類が一般的で、金額によって使い分ける
・お供えものにつけるのしには「御供」や「御供物」と記載するのが一般的
こんな人におすすめ
三回忌ののしの使い方について知りたい方
水引や表書きのマナーを押さえておきたい方
返礼品の選び方で迷っている方
「のし」というと模様の書いてある印刷紙を想像する人が多いのではないでしょうか。しかし「のし」とは本来、水引の右上にある細い六角形の飾りのことを指します。
中に入っている黄色い部分を「のしあわび」と呼び、これは鮑を薄く「伸(の)し」て乾燥させた保存食が名前の由来です。現代においては縁起物として贈答品につけられることが多く、結婚や出産の慶事の際に利用されます。
葬儀や法事といった弔事の際には上で述べた意味での「のし」を利用することはなく、三回忌ももちろん例外ではありません。ただし「のし紙」と呼ばれる水引が書かれた印刷紙については、香典やお供えものを用意する際には使われることが一般的です。
ただし、慶事と弔事では表書きの書き方や水引に種類が異なり、「お祝い」と「お悔やみ」という真逆の意味を示してしまいます。間違えてしまうと相手に対して失礼な印象をあたえてしまうため注意する必要があります。
施主はいただいたお供えものに対して返礼品を用意する必要があります。その際にも品物の包装にはのし紙を使いましょう。返礼品の場合にも表書きの書き方や水引の選び方に決まりがあるため、香典やお供えものを用意するときと同様に十分に注意しましょう。
水引には「魔除け」や「未開封」という意味がこめられているのですが、同時に「色」「本数」「結び方」にはそれぞれに別の意味が込められています。ここでは三回忌の水引を選ぶ際の注意点とそれぞれの意味について詳しく解説します。
三回忌を含む弔事の際に使われる水引の色は「青白」「黒白」「黄白」「双銀」の4種類が一般的です。これらの色はお悔やみの意を示すとともに、香典においては中身の金額によって使い分ける場合があります。
1,000円から5,000円を包む際には「青白」または「黒白」を、10,000円から50,000円を包む際には「黄白」を、50,000円以上を包む際には「双銀」を利用します。
また地域によって色が決まっている場合もあり、「黄白」の水引は関西地方で多く利用されるようです。特に京都は黒白の水引を使わないことで有名だそうです。どうしてもわからない場合は施主に確認しましょう。
三回忌の水引は2本、4本、6本のものを使用しましょう。これは「偶数」であることが重要であり、「偶数を陰数、奇数を陽数」とする中国の陰陽説が由来であると言われています。偶数の中でも10本は婚礼関係に使用するため弔事においては使用を避けましょう。
結び方には大きく分けて「蝶結び」と「結び切り」の2種類がありますが、三回忌では「結びきり」を使用します。結び切りは一度結ぶと解けない結び方であるため、「二度と繰り返さないほうがいい」ということを意味します。三回忌に限らず葬儀や法事においては必ず「結びきり」を選ぶとよいでしょう。
のし紙に書く表書きにも場面に応じて使い分ける必要があります。宗教によって書き方が異なるというのが大きな特徴です。水引と違って意味が真逆になってしまうことはないのですが最低限のマナーではあるのでしっかりと確認しましょう。
お供えにつけるのしには、「御供(ごくう)」や「御供物(おくもつ)」と記載するのが一般的です。ただし御供や御供物ののしは仏前や神前にお供えする品物以外には使用できないため、現金を包む場合は使用できません。
現金を贈る場合には「御供物料」と記載するようにしましょう。また故人は四十九日を過ぎると仏様になるので「御霊前」と書くのは間違いです。四十九日を過ぎた後のお供えものかどうかで判断すると覚えやすいでしょう。
また使用する墨の濃さについても注意が必要です。お通夜や葬儀の際には薄墨(うすずみ)をしようしますが、四十九日や初盆、一周忌、三回忌などの法事においては濃墨(こずみ)を使用します。
名入れも表書きと同様に濃墨をしようして書くようにしましょう。
また、夫婦揃って参加するときは、基本的には連名になります。不祝儀袋に2人分包んで持参するのがマナーです。表面の名前は夫のものだけでよいとされていますが、妻の名を書いてもマナー違反にはなりません。特に妻と故人の関係が深いものだった場合、妻の名前も記載しておいた方がよいでしょう。その場合は、夫の氏名を中心に記載し、左隣に妻の名を記します。
三回忌の返礼品の表書きは、「志」とするのが基本マナーです。名前は施主の氏名を真ん中部分に記載するのが一般的で、苗字や〇〇家といった記載をするケースもあります。
一般的なのは喪主の氏名を記載するケースですが、どの方法でもマナー違反にはならないでしょう。好みのものやお家の事情などで判断しても、問題ありません。
しかし郵送の場合、受け取った方が誰の三回忌の返礼品なのかわかるように書かなくてはなりません。化粧箱そのものにかけ紙をかける内のしと、包装の上にかけ紙をつける外のしを利用しましょう。
返礼品にも向き不向きがあり、返礼品として適していないものも中にはあります。間違えて選んでしまった場合、中には失礼だと腹を立ててしまう方もいるかもしれません。三回忌に参加される方は特に故人と親しい方が多いので失礼がないよう慎重に品目を選びましょう。
お菓子やお茶は、返礼品の品としての大定番です。少し前は、多くの方がお菓子かお茶のどちらかを選択していました。お茶には魔除けの効果があるとされている上、お茶を飲みながら故人を偲ぶという日本古来の考え方も由来し広く使用されています。
お茶を選んでおけば間違いないというくらい、三回忌の返礼品としては適切だといえるでしょう。
また、お菓子を選択する場合は日持ちしやすく好みが分かれないものを選択するのがよいでしょう。ご年配の方が参列者に多い場合は、羊羹やお饅頭などの和菓子を、若い世代や、洋菓子が好みである方が多く参列している場合は、クッキーやマドレーヌなどでも問題ありません。
また、少しずつ食べ進められるので、小包装になっているものの方がよいとされています。参列している方の好みや特徴、年齢などを見て返礼品のお菓子を選ぶとよいでしょう。
使い勝手のよい実用品も選ばれることが多くなっています。タオルやハンカチなどの布製品はその中でも特に選ばれる事が多く、シンプルなデザインのものが好まれる傾向にあります。
結婚式の引き出物で見かけるようなものとはやはり少し印象が違うものが多くなります。白一色のものだったり、小さくワンポイント入っているだけのシンプルなデザインだったりすることがほとんどでしょう。タオルは老若男女使うものなので意外と喜ばれます。
特に小さなお子さんはタオルを使う機会が多いので、かなり重宝するでしょう。小さなお子さんがいる方が参列者に多い場合は、タオルのような布製品を検討してみるのもよいでしょう。
洗剤や石鹸は使うとなくなるものなので、三回忌という場に合った品目であるといえるでしょう。普段はハンドソープを使っていて石鹸を使う機会がないという方でも、手元にあると重宝するものです。肌が弱い方や小さな赤ちゃんでも安心して使えるような素材でできているものを選択するとよいでしょう。
返礼品に向いていないもの
三回忌の返礼品に向いていないとされるのは、重たくてかさばるものや消費してもなくならないものです。消費できないものを選んではいけない理由としては、「不祝儀を後に残さない」という意味合いが強いです。
ただしタオルやハンカチといった布製品は「不幸や悲しみを拭い去る」「悲しい出来事を覆いこむ」という意味合いから例外的に適しているとされています。
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今回は三回忌ののしの使い方について詳しく解説しましたが、注意すべき点については一周忌とほとんど変わりません。ただし水引や表書きについては知識が浅いまま扱ってしまうとマナー違反になることもあるため十分に注意しましょう。
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