お盆の終わりの夕方午後6時ごろ、玄関先で火をたいたり飾ってあった提灯の灯りを消したりする光景を目にしたことがあるという方は多いのではないでしょうか。地域によって異なりますが、玄関先でたく火や提灯を消す行為は、お盆の送り火と深い関係性があります。
送り火はお盆に迎えたご先祖様を見送るためにたく火です。これを何時から何時にかけてするべきか本記事で解説します。送り火の作法を時系列で見ていくため、送り火に向けて何時に何をするべきかが分かる内容ですので、ぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・送り火は、お盆最終日の日が暮れ始める17時ごろから20時ごろにする儀式
・地域や家庭によって行うタイミングが異なるため、確認が大切
・送り火と同じで迎え火にきまりはないが、故人との時間をどう過ごしたいかで変わる
こんな人におすすめ
送り火はいつ・何時にするものかを知りたい方
送り火をする際の流れについて知りたい方
送り火が終わった後にすることを知りたい方
送り火を何時に行うべきかについて、地域性や家族によって取り決めが変化することから明確な決まりはありません。しかし、送り火をする大まかな時間帯についてはある程度決まっていると思ってよいでしょう。
送り火を、ニュースで報じられる高速道路のUターンラッシュに例えるとわかりやすくなるかもしれません。ここでは送り火の時間について解説します。
地域や家庭環境にもよりますが、送り火はお盆最終日の日が暮れ始める17時ごろからとっぷり日が暮れた20時ごろにする儀式です。特に夕方の中でも18時30分~19時ごろにするケースが多く見られます。
しかし、お盆最終日の午前中に送り火をする地域もあり、夕方以降にするものというわけではありません。午前中にする場合、その後のお墓参りまでがセットの流れになっている傾向です。
送り火をするお盆の期間は、地域や寺院によって日程も大きく変化します。関東の一部地域では新暦の7月15日前後、沖縄などの南西諸島地域では旧暦を基準として、旧暦の7月15日ごろ(例年8月20日ごろ)がお盆の期間に当たります。したがって、送り火をする日も地域によって大きな差があることを覚えておきましょう。
住んでいる地域の一般的なタイミングを知るためには、地域に詳しい方に尋ねてみたり、菩提寺やお世話になった葬儀社に質問したりするのが最適です。
送り火を終える時間にも決まりはありません。家庭内で故人やご先祖様の霊を見送ったと思ったタイミングが、送り火を終えるタイミングだといえます。
送り火に関連する行事の場合だと火を灯す時間はおおよそ30分ほどであることが一般的です。こうした催し物の終了時刻を参考にしてもよいでしょう。
暗くなる時間という幅広いタイミングで送り火をする地域が多いことには理由があります。ここでは、送り火が多く行われる時間帯について、その理由を見てみましょう。紹介する考え方以外にも諸説あります。
お盆の時期には、ご先祖様や故人の魂がこの世へやってきて、家族と自宅で一緒に過ごすとされています。送り火は、お盆初日に迎え火を頼りにこの世へやってきた魂を見送るものとして、迎え火を執り行った場所でたくものです。
そのため送り火には、この世へやってきた魂が迷わずにあの世へ帰れるようにという意味合いが込められているといわれています。夕方以降に実施するのは、火から立ち上る煙が見えやすく魂が道しるべを見失いにくいからなどの考え方が一般的です。
送り火の時間は夕方以降が多い傾向ですが、実施する時間はそれぞれの地域や家庭でまちまちです。送り火の時間が決まっていない理由として、日本の緯度や軽度にも関係すると考えられるでしょう。
縦に長い日本では国内に時差はありませんが、日の出と日没時間に差が生じ、住んでいる場所によって日没時間に多少変化があります。送り火の時間帯に地域差が生まれるのは、地域によって日が沈む時間が異なることが背景にあるといえるでしょう。
送り火は必ずしも夕方から夜にかけてするべきと決まっている訳ではなく、地域によっては午前中にするところもあります。帰省しているご先祖様は午前中は自宅にとどまっているという考え方もあるため、その影響もあるでしょう。
お盆初日に故人の魂をお迎えする迎え火とお盆最終日に魂を見送る送り火は、セットで把握すると便利です。迎え火と送り火の時間の「ズレ」はあるのかどうか、気になるという方もいるでしょう。この感覚は、帰省・Uターンラッシュと同様に考えると理解しやすいかもしれません。
迎え火は、先祖が自宅に帰宅する時間を考えて「夕方」に執り行われるのが一般的です。迎え火は送り火と同じく、明確な時間に決まりはありません。
迎え火をお盆などの帰省ラッシュに置き換えるとわかりやすいかもしれません。なるべく早く移動を済ませ、実家でゆっくりと過ごしたいと考えるものです。お盆の期間は限られています。ご先祖様にゆっくりしてほしい、長くとどまっていてほしい、との気持ちから、可能な限り早い時間帯に迎え火をすることも考えられるでしょう。
また、家庭によって移動にかかる時間や生活サイクルのあり方などはさまざまです。もてなす環境が整う時間帯にも差が出ます。そのため、到着時間の設定だけでなく「夕方」の概念も家庭によって変化するといえるでしょう。
送り火は故人の魂があの世へ帰るための道しるべとされています。そのため、夕方以降に火をたくことが一般的です。しかし、この時間がふさわしいという固定観念はありません。
故人やご先祖様の魂に少しでも長くいてほしいと考える場合の送り火は夜の遅い時間に、あの世への渋滞を避けてゆっくりのんびり帰ってほしいと願う場合の送り火は午前中にすることもあるでしょう。こうした考えで迎え火、送り火の時間を設定すると必然的に時間帯にズレが生じます。
ただし、地域によっては定められたタイミングがあるかもしれません。一度、菩提寺や葬儀社に問い合わせたうえで故人にどのくらいの時間いて欲しいかを決めるようにしましょう。
お盆にはご先祖様たちをもてなすためにさまざまな準備をしなければなりません。送り火もある程度の事前準備が必要です。迎え火の準備と同じタイミングで準備する物もあります。ここでは、送り火当日の一般的な過ごし方も含めて確認しておきましょう。
送り火をする最終日は、午前中に故人やご先祖様の魂へお供え物をしてから、ゆっくりと家族の時間を過ごします。主に、家族や親族と一緒に食卓を囲んだり、お茶を飲んで談笑したりすることが一般的です。
また、地域や家庭によっては親戚が集まってお酒を酌み交わして過ごすこともあります。お盆の来客は最終日の前の日までにあることが多いため、最終日はご先祖様と家族水入らずで過ごす時間をつくることを考えましょう。
送り火は迎え火と同様、炮烙(ほうらく・ほうろく)と呼ばれる平らなお皿の上で、麻でできた「オガラ」をたいてお見送りする方法が一般的です。焙烙は毎年使えますが、オガラは燃やしてしまうため、時期になるとスーパーなどで売っているものを購入しておかなければなりません。
また、最近では防災の観点や近所への配慮から火をたくこと自体出来ないという家庭も存在します。火をたけない場合は提灯で代用したり、小規模の火の取り扱いが可能であればろうそく(キャンドル)やマッチで代用したりしても差し支えありません。
菩提寺や葬儀社に確認しながら、住んでいる地域や家庭環境・住環境に合わせて可能な範囲で送り火の準備をすることがおすすめです。
送り火ですることは基本的に迎え火をする時と同じで問題ありませんが、故人やご先祖様の魂に感謝し、きちんとお見送りすることが大切です。ご先祖様と一緒に過ごせたことや、自宅に来てくれたことに感謝しながら地域や家庭環境に合ったお見送りをしましょう。ここでは送り火の流れを解説します。
迎え火をした場所で送り火をたきます。多くの場合、玄関先や庭先で実施するのが一般的です。精霊馬を配置した上で、送り火をたきましょう。オガラを用いた一般的な送り火をするか、ろうそく(キャンドル)・マッチ・提灯などの代用で送りをするか、宗派や地域性に配慮しながら住環境に合わせた方法でお見送りすることが大切です。集合住宅や住宅地で送り火をする場合は、防災ルールを確認しながら提灯やランプなどで対応するとよいでしょう。
送り火はこの世に来た大切な方の魂をあの世へ見送る儀式です。お盆の時期を一緒に過ごせたことへの感謝だけでなく「来年また一緒に時間を過ごしましょう」という気持ちを込めて一礼しましょう。
送り火がたけなかったとしても、送り火の時間帯に一礼するだけでも魂に対して感謝の意を示せるでしょう。
地域によっては、提灯を送り火として用い、ご先祖様をお墓までお見送りした後に提灯の火を消すことで送り火とする場合があります。また、お墓から自宅までの道筋全体に松明を灯す地域もあるなどさまざまです。
送り火などのお盆の儀式は住んでいる地域のしきたりにのっとって行うと安心できます。菩提寺や葬儀社に一度確認するようにしましょう。
送り火が終了した後は、お盆用品の片付けです。お盆の翌日にすることもあれば、送り火終了後すぐに片づけをするなど、片付けについても地域性があります。
また、新盆なのか通常のお盆なのかによっても片付けの手順が異なるため、状況に合わせながら適切な片付けをしましょう。
送り火が終わった後に、精霊馬を片付けます。精霊馬とは、ナスでできた牛とキュウリでできた馬で、ご先祖様や故人がこの世とあの世を行き来するための乗り物です。精霊馬の片付け方としては、以下の方法がおすすめです。
・庭がある場合は土に埋める
・塩で清めて白い紙(半紙など)に包んで処分する
・菩提寺や近所のお寺でおたき上げしてもらう
お盆のお供え物や盆棚(精霊棚)・お盆飾りも送り火後に片付けます。お供え物は、食べることでご先祖様や故人の供養にもなりますので、まだ食べられるものがあれば家族で食べても差し支えありません。親戚も集まるようなお盆の過ごし方をする場合は、全員で分けてもよいでしょう。
新盆(初盆)なのか通常のお盆なのかによっても片付け方法に異なる点があるため注意しましょう。新盆(初盆)では、亡くなった後初めて迎えるお盆にだけ使う白提灯を処分しなければなりません。この白提灯や精霊馬は、送り火で一緒にたいたり、送り火後に菩提寺にておたき上げしてもらったりします。
住環境などにより、送り火や迎え火ができないこともあるでしょう。何らかの事情により送り火や迎え火ができないという場合は、地域や宗派・住環境などに合わせた方法で、ご自身でできることを考えましょう。
小型の提灯を仏壇の側に備えたり、一般的に迎え火や送り火をするタイミングで仏壇の前に座り静かに手を合わせて感謝したりするなど、火をたくことがなくとも故人に感謝の気持ちを伝える方法は多くあります。
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送り火は、ご先祖様や故人と過ごすお盆を締めくくるための儀式です。お盆そのものに地域性があることと同様、送り火も何時に執り行うかなどについては地域性に富んでいます。多くの場合、最終日の夕方以降、17時ごろから送り火をたく家庭がぽつぽつと出てくる傾向です。
最近では住環境や家庭環境の多様化により、従来の送り火が難しいという場合もあることでしょう。さらに、菩提寺を持たない家庭など、送り火の地域性も確認しづらいという方もいるかもしれません。
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