国民年金の保険料の支払いは、国民に課せられた義務だと感じている人もいるでしょう。払わなければ、将来、年金がもらえなくなると不安に思うかもしれません。しかし、国は事情に応じて支払いを免除する制度を設けています。
しかし、制度について聞いたことがあっても、年金保険料を全額免除してもらえるのか気になっている人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、国民年金の免除や猶予の制度について詳しくご紹介するとともに、将来の年金受給額にどのような影響があるのかについても解説します。制度について理解しておけば、保険料の支払いが難しくなったときに適切な判断ができるでしょう。
<この記事の要点>
・国民年金の保険料の免除制度には全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類がある
・免除の制度を利用すると、原則として受給額は減るため注意が必要
・国民年金の免除には住民票を登録している市区町村の窓口で申請が必要
こんな人におすすめ
国民年金の免除について知りたい方
国民年金の保険料納付猶予制度について知りたい方
国民年金の免除や納付猶予制度を利用した場合の受給額への影響について知りたい方
国民年金の保険料は、所得が一定の水準以下になるといった条件を満たせば、支払いが免除されます。免除制度を利用するには手続きが必要です。
学生時代に保険料の免除を受けていた方もいるかもしれませんが、一般的な免除制度とは異なります。まずは、しっかりと免除制度について理解しましょう。
収入の減少や失業などによって経済的に困窮している人を対象に、国民年金の保険料を免除する制度があります。免除額は、前の年の所得に応じて決まる仕組みです。
免除を受けるには、審査で認められる必要があります。もし失業や倒産が理由なら、それらを証明する書類を添付して、市区町村の役所・役場に提出しましょう。審査には2か月から3か月ほどかかるため、早めの手続きが重要です。認められれば、所得に応じて「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」のいずれかが適用されます。
自分がどの免除区分に該当するのか、前年の所得を確認したうえで、管轄の年金事務所に確認してみるとよいでしょう。
保険料納付猶予制度は、保険料の納付を一定期間猶予する制度です。免除ではなく、あくまで猶予のため、あとで保険料を支払う必要があります。
この制度ができた理由は、免除では救済しきれない人がいるためです。免除制度では、同居している世帯主や配偶者の所得を含めて審査します。すると比較的収入のある親と同居している若者のなかには、自分の所得では保険料を支払うのは難しいものの、審査に通らないケースも出てしまうでしょう。
納付猶予制度では、本人の所得が審査の対象となります。当初の制度の趣旨から、対象は30歳未満の若者でしたが、平成28年から50歳未満へと引き上げられました。非正規雇用が増加している時代背景を踏まえてのことです。
こちらは学生を対象にした保険料の納付猶予制度となります。学生の所得が一定額以下の場合、保険料の支払いの猶予が認められる制度で、審査の対象となるのは本人の所得のみです。同居か別居にかかわらず、親の所得は関係ありません。
対象者は大学生・短大生のほか、高校生や高等専門学校生、通信課程の学校に通っている生徒や学生も含まれます。
申請は、年金手帳と在学が証明できる書類のコピーを添付して各市区町村の窓口で手続きしましょう。申請しないと猶予は認められませんので注意が必要です。申請が認められれば、10年以内に保険料を納める必要があります。
保険料の免除や猶予の特例は他にもあります。最近の例としては新型コロナウイルスが挙げられるでしょう。新型コロナウイルスの感染拡大で、所得や収入が急激に落ち込んだ人を対象に保険料が免除となっています。
大地震や水害の被災者も対象になることがしばしばです。2011年の東日本大震災では、広範囲にわたって保険料の減免が適用されました。
前の年の所得が高くても、急なリストラにあった人や失業した人も特例措置として支払いを免除されることがあります。会社が倒産して収入がなくなった場合も免除される可能性が高いでしょう。扶養家族がいる場合は、再就職先が決まるまで免除されることが一般的です。
保険料が全額免除されるケースもあります。免除は「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4パターンです。それぞれ、前の年の所得に応じて、どの程度免除されるかが決まります。全額免除になる所得基準を算出する計算式は以下のとおりです。
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
たとえば妻と子ども1人の2人の扶養家族がいる男性の場合は92万円です。所得が92万円以下だと全額免除になります。
年間の所得が92万円という数字をみると、全額免除のハードルの高さを感じるかもしれません。ただ、失業やリストラなど、収入が激減した際はこの限りではありません。所得が一定額を下回る落ち込みが予想される場合には、全額免除が認められることもあります。
免除や猶予の制度を利用するメリットは、その期間も年金の受給資格期間に含まれることです。受給資格期間とは、公的年金を受けるために必要な加入期間を指します。国民保険の場合、この期間が10年以上ないと年金を受給できません。
もし免除ではなく、未納のまま放っておいたら、受給資格期間には算入されません。最悪の場合、年金を受け取れなくなってしまいます。未納を続けていると督促状が届く点にも注意が必要です。それでも支払いに応じなければ、銀行口座など財産を差し押さえられてしまう恐れがあります。
また、免除や猶予の制度を利用しても、10年以内に保険料を全額納めると、年金は減額されずに受給することが可能です。
免除の制度を利用すると、原則として受給額は減ります。免除や猶予を受けた期間の分だけ減額される仕組みです。一方、半額免除された場合は、受給額も半分になるわけではありません。減額の幅は、保険料の免除割合より小さくなります。
減額の幅を大きいと感じるか小さいと感じるかは人それぞれでしょう。ここでは、実際にどのくらい年金の受給額が少なくなるのか解説します。
免除や猶予を受けても年金は受給できます。ただし、免除や猶予を受けていた期間分だけ、受給額が減額されることは知っておきましょう。
全額免除された人は、免除期間分は2分の1に減額して計算されます。4分の3免除された人の場合は8分の5、半額に免除された人は4分の3、4分の1免除された人は8分の7となる計算です。
途中で制度の見直しがあったため、2009年3月までの免除や猶予については、減額の割合が異なります。2009年3月までの期間については、全額免除の人が3分の1、4分の3免除された人が2分の1、半額免除された人は3分の2、4分の1免除された人は6分の5減額される計算です。
猶予を受けた場合は、受給資格期間には影響はありませんが、受給額はその分だけ減ってしまいます。
未納の場合、その期間の年金は受給できません。免除のときは、国が保険料の半分をいわば肩代わりしているため、減額されても支払われます。未納は猶予とは違い、受給資格期間にも算入されません。
国民年金を受給するためには、10年以上保険料を支払っていることが条件です。未納期間が長期にわたった場合、年金そのものの支給を受けられない可能性もあります。
さらに問題なのは、財産の差し押さえなどにあうことです。督促状を無視して支払いが滞ったまま放置していると、大きな問題に発展する可能性があるので気を付けましょう。
免除や納付猶予は、住民票を登録している市区町村の窓口で申請します。必要なものは申請書と年金手帳、それに前の年の所得が確認できる書類の写しです。給与明細などでよいでしょう。
申請書は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。最寄りの年金事務所でもらうことも可能です。
もし失業やリストラ、会社の倒産などの理由で免除してもらう場合には、それらを証明する書類も必要となります。たとえば、雇用保険受給者証や雇用保険被保険者離職票などです。不明な点は年金事務所か市区町村の窓口で尋ねるとよいでしょう。申請してから審査が終わるまで数か月かかるため、手続きは早めにすることをおすすめします。
国民年金の免除や猶予を受けたあとに、過去にさかのぼって追加で納付する「追納」もできます。追納をすれば、将来の年金受給額は減額されません。経済的に余裕ができたときに追納するのもひとつの方法です。
しかし、追納には条件もあります。条件や具体的な手続きの方法を理解していないと、追納ができないという事態になりかねません。
追納ができるのは、免除や猶予から10年以内と定められています。10年より古い免除・猶予分の追納はできません。追納すれば、その分については将来、減額されずに年金がもらえます。
経済的に余裕ができたなら、追納はメリットがあるでしょう。
追納にあたって注意点もあります。ひとつは、免除の承認を受けた期間のうち、古いものから追納するという決まりがあることです。10年を超えてしまうと追納ができないことを考えると、合理的ともいえます。
もうひとつは、免除の承認から時間の経過とともに、追納する金額が加算されてしまうことです。時間がたてばたつほど加算額が大きくなり、追納額も増えてしまいます。
追納を申請する場所は年金事務所です。厚生労働大臣の承認を受けると、納付書が発行されます。いまのところ、口座振替やキャッシュレスでの納付は受けつけていません。
申請用紙は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。窓口に申請書を提出する際にはマイナンバーカードが必要です。持っていない場合には、通知カードまたは個人番号の記載された住民票の写しと、身元が確認できる免許証やパスポートなどが必要となります。
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会社の倒産や失業、給与の削減など、手持ちの現金をどう確保すればいいのかという状況に陥ることはだれでもあります。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、経済が厳しさを増すなかでは他人事ではありません。
そのようなとき、国民年金保険料の免除や猶予の制度があることを頭の片隅にでも置いておくとよいでしょう。制度を利用すれば、当面の現金が手元に残ります。状況が好転してから追納すれば将来の年金を減らすこともありません。国民年金の保険料に関する正しい知識を得て、家計のやりくりを考えてみてはいかがでしょうか。
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