大切な家族が亡くなると、さまざまな行事が行われます。そのひとつに「法要」があります。身内に不幸があった方の中には、法要とは何か、わからない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、法要の目的や主な種類などについて紹介します。法要に関する幅広い知識を得られ、適切な準備ができるでしょう。
<この記事の要点>
・法要とは、故人があの世で極楽浄土に行けるように僧侶を招いて供養する儀式のこと
・新盆(初盆)は、亡くなってから初めて迎えるお盆のこと
・法要のお布施の目安は3万円~5万円程度
こんな人におすすめ
主な法要をいつ行うのかを知りたい人
法要・法事は何を準備すればよいかわからない人
法要の際のお供えにふさわしいものを知りたい人
仏教では、人間が亡くなると、法要を行い故人を供養する習慣があります。遺族側は法要に関する正しい知識を身に付け、あらかじめ親族や友人に日程などを伝えておくことで、滞りなく行えるでしょう。最初に、法事との違いや具体的な日程などを解説します。
法要は、故人があの世で極楽浄土に行けるように僧侶を招いて供養する儀式です。読経や焼香をし、故人の冥福を祈ります。
法要の日時は、故人の命日や節目の日となるため、あらかじめスケジュールを把握しておくことが大切です。法要に合わせて親族が集まり、故人との思い出話をしたり、食事会を開いたりします。
法要と似た言葉に「法事」があり、2つの違いがわからない方もいるのではないでしょうか。法事は、法要と食事会を含めた行事全体のことです。
また故人に関する仏教行事全般に対して、法事と呼ぶこともあります。その場合、お盆や故人をしのぶ会なども法事となります。
法要は死後複数回迎えることになるため、死後すぐにスケジュールを確認し、メモをしておくと安心でしょう。
忌日法要は、故人の死亡後49日間で、7日ごとに開催される法要です。故人の行き先がこの49日間で決まるため、極楽浄土に導くために供養します。
年忌法要は、故人の命日に催される法要です。毎年行われるわけではなく、仏教で大事な「3」と「7」の付く回忌にします。
忌日法要の日程は、亡くなった日を含めて数えます。例えば、亡くなった日が1月1日であれば、初七日は1月7日です。
一般的に、死後7日目の初七日と、49日目の四十九日は重要な法要となります。仏教の宗派や地域によって考え方は異なるため、高齢の家族などに聞いた上で行いましょう。
忌日法要 | 数え方(亡くなった日を含めて) |
初七日 | 7日目 |
二七日 | 14日目 |
三七日 | 21日目 |
四七日 | 28日目 |
五七日(三十五日) | 35日目 |
六七日 | 42日目 |
七七日(四十九日) | 49日目 | 百箇日 | 100日目 |
年忌法要の日程は、表の通りです。「周忌」と「回忌」があり、周忌は「亡くなってから1年目」のみに、回忌は亡くなってから2年目以降で使われます。特に大事な法要は、一周忌と三回忌であることを覚えておきましょう。
年忌法要 | 数え方(亡くなった日から) |
一周忌 | 満1年目 |
三回忌 | 満2年目 |
七回忌 | 満6年目 |
十三回忌 | 満12年目 |
十七回忌 | 満16年目 |
二十三回忌 | 満22年目 |
二十七回忌 | 満26年目 | 三十三回忌 | 満32年目 | 三十七回忌 | 満36年目 | 四十三回忌 | 満42年目 | 四十七回忌 | 満46年目 | 五十回忌 | 満49年目 | 百回忌 | 満99年目 |
忌日法要では、8回全ての法要を行う必要はありません。地域やご家庭の考えに合わせて、スケジュールを組むことが大切です。ここでは、特に大切な忌日法要について理解を深めましょう。
初七日(しょなのか)は、死後7日目の法要です。仏教では、故人が三途の川に到着するのが、死後7日目とされています。
読経や焼香をし、故人が三途の川を渡れるようにお祈りする流れです。会食を開く場合もあります。初七日は葬儀と一緒に行うこともあります。負担のないスケジュールで初七日を迎えましょう。
五七日(いつなのか)は、死後35日目の法要です。死後35日目になると、故人は地蔵菩薩に会い、生前の行いを裁いてもらいます。読経や焼香の有無は、地域や家庭の意向によってさまざまです。
四十九日(七七日)は、死後49日目に行われ、広く知られている法要です。故人は死後49日目に薬師如来に会い、来世の性別や寿命など重要な判決を受けることになります。
仏教では、四十九日を忌明けとするのが基本です。家族や親族のみならず親しい友人も呼び、読経や焼香、会食をします。
死後100日目の法要が、百箇日(ひゃっかにち)です。家族との別れを悲しむことから気持ちを切り替えて、前に進む意味合いがあります。百箇日法要はしないのが一般的です。
新盆または初盆は、亡くなってから初めて迎えるお盆です。四十九日よりも前にお盆を迎える際には、翌年のお盆が新盆(初盆)となります。例えば8月13日~8月16日をお盆とする地域では、8月1日に亡くなった場合、翌年が新盆(初盆)となります。
家族が亡くなった際には新盆(初盆)がいつになるか確認し、すぐに迎える場合は早めにお寺に連絡しましょう。
年忌法要については、毎年行うのが理想です。ただし厳密に命日に合わせて、家族や親族が集まるのは難しい場合もあるため、負担のない範囲で行いましょう。ここでは、特に大切な年忌法要について紹介します。
一周忌は、死後1年目の命日に行う、年忌法要の中で一番大事な法要です。別名「小祥忌」ともいいます。家族のみならず親族や親しい友人も呼び、読経や焼香、会食をするのが基本です。
死後1年の間を「喪中」といい、年賀状を送ったり、初詣に行ったりすることは控えることになります。
三回忌は、死後2年目の命日に行う法要です。別名「大祥忌」ともいいます。亡くなってから3年後ではないため、注意しましょう。三回忌を盛大に済ませて、それ以降の法要は行わないご家庭も多くあります。
死後6年目の命日に行う法要を、七回忌といいます。別名は「休広忌」です。七回忌以降の法要については、呼ぶ人数や儀式を縮小して行うのが基本となります。
死後12年目の命日に行う法要は、十三回忌です。「称名忌」ともいいます。盛大に行うご家庭は少なく、行う場合でも参列者は家族のみです。
三十三回忌は、死後32年目の命日に行います。別名は「清浄忌」や「清浄本然忌」です。基本的に死後32年目の命日で弔い上げとなり、ご先祖様となります。
法要や法事を滞りなく終えるためには、命日の2か月~3か月前から準備することが大切です。ここでは、時系列で準備すべきことを紹介します。
故人の法要の2か月~3か月前になったら、以下の点を決めておくと安心です。
・法要の日時
・参列者
・会場
法要の日時に関しては、命日に行うのが理想です。ただし仕事などの関係で難しい場合には、命日より前の土日祝日に行うのもよいでしょう。招待したい参列者と連絡を取り合い、決めるのが大切です。
会場については、どの忌日法要、年忌法要かによって異なります。寺院や斎場、自宅など、家族で話し合って決めましょう。
法要の1か月前までくると、細かい作業に入ります。以下の点を準備し、法要に備えましょう。
・供花や供物、引き出物、会食、車の手配
・案内状の送付
供花や供物は、故人への弔意を示すために供えるものです。供花はとげがなく香りが強くない花を選び、供物は日持ちする菓子類や果物を選びましょう。引き出物は法要が終わる頃に、参列者に渡します。人気があるのは、お茶やコーヒー、調味料、お菓子、タオル、食器などです。
会食をする際には、レストランや斎場、自宅など、法要を行う場所に合わせて決めましょう。また、遠くから来る参列者がいる場合には、タクシーやバスなどを手配しておくと安心です。案内状は、白い無地の封筒か往復ハガキで送るのが基本です。
決めた日時が近づいてきたら、僧侶に渡すお礼も準備します。
・お布施
・お車代
・御膳代
お布施は、読経や戒名のお礼に渡す金銭です。法要が始まる前に、切手盆に乗せるか、袱紗から取り出して渡しましょう。お車代は、僧侶が寺院ではなく斎場や自宅などの別の会場まで来る際に、お礼として渡します。また僧侶が会食に出席しない場合には、御膳代を渡すのがマナーです。
法事や法要までに準備すべきことは、表の通りです。希望する日時で会場を予約できなかったり、案内状の作成に時間が掛かったりすることもあるため、余裕を持って準備しましょう。
法要までの日数 | 準備すべきこと |
2か月~3か月前 | 法要の日時と参列者、会場を決める |
1か月前 | ・供花や供物、引き出物、会食、車を手配する ・案内状を送付する |
直前 | お布施とお車代、御膳代を準備する |
法要に必要な費用は、お布施と会食費、引き出物代などです。お布施の目安は、3万円~5万円となります。
ただし、僧侶の人数や法要の規模などによって、目安は異なることを覚えておきましょう。お布施は、読経や戒名をしてくれた僧侶へのお礼の気持ちを表すものであることを踏まえて、金額を決めることが大切です。
故人へのお供え物には、マナーがあります。「故人があの世でも安らかに過ごしてほしい」との気持ちを込めて供える品物のため、しっかりとマナーを理解しましょう。
具体的には、消え物や日持ちする物や小分けにされている物が適切です。消え物とは、お茶やコーヒー、調味料、お菓子といった消費できる品物を指します。
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法要は、命日や節目の日に合わせて故人の冥福を祈る、仏教行事のひとつです。具体的には、読経や焼香、会食をします。法要は複数回あるため、家庭や地域の考えに合わせて行いましょう。
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