天台宗の葬儀で使う道具は?葬儀の流れと作法も解説

天台宗の葬儀で使う道具は?葬儀の流れと作法も解説

仏教の宗派はそれぞれの思想にもとづいて活動を行っており、同じ呼称の法事でも用いる道具が異なる場合があります。天台宗ではどのような道具を使うのか気になる方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、天台宗の葬儀で使う道具について解説します。葬儀全体の流れや経典の種類、天台宗ならではの作法についても確認できるため安心して葬儀に参列できます。天台宗の葬儀に関するよくある質問と回答もご紹介しますので、ぜひ参考にしましょう。

こんな人におすすめ

天台宗の葬儀で使用する道具について知りたい人

天台宗の葬儀の特徴や流れを押さえておきたい人

天台宗の葬儀作法が気になる人

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天台宗の葬儀で使用する道具

天台宗の葬儀ではどのような道具を使用するのでしょうか。葬儀で使用する道具は普段目にする機会がないものも多く、用途や名前がわからずに困ることもあるでしょう。さまざまな宗派で使われる道具と、天台宗特有の道具に分けて解説します。

一般的な葬儀で使う道具

一般的な葬儀では、納棺に関する道具と葬祭に関する道具の2種類に分類できます。納棺に関する道具は、遺体を納める棺や死者に着せる白装束、遺体を保存するために用意するドライアイスなどがあります。

葬祭の道具は、祭壇・経机・香炉・骨壺・写真立てなどが代表的です。葬儀で使う道具は、あえて紙や白木といった長持ちしにくい素材のものを使用していることが多いという特徴があります。これは「何度も葬儀道具を使う機会がないように」といった意味が込められているからという説が有力です。

天台宗特有の仏具

天台宗特有の仏具としては、木魚があげられます。木魚は木を魚型に彫り、僧侶が読経の際に打ち鳴らしてリズムをとるのに使用する道具です。眠気払いの意味もあり、魚を模しているのは、昔は目を閉じることのない魚は眠らない生きものだと信じられていたことに由来します。

ほかには、葬儀の最中に僧侶が使う錫杖(しゃくじょう)や、故人に備える茶湯器を用意することもほかの宗派では見られない特徴といえるでしょう。

天台宗の葬儀の概要

天台宗は数ある仏教宗派のひとつです。宗派にはそれぞれの教えがありますが、天台宗ではどのような教えのもとで葬儀を行うのでしょうか。こちらでは、天台宗の特徴や成り立ち、天台宗のお葬式にどのような意味が込められているのかについてご紹介します。意味を理解して参加することで、儀式はより意義が深いものとなるでしょう。

「天台宗」とは?

天台宗は平安時代に開かれた大乗仏教の宗派のひとつです。本山は比叡山延暦寺で、法華経を根本経典としています。天台宗のルーツは中国にあり、伝教大師とも呼ばれる最澄(さいちょう)が日本に伝えたことで日本仏教の宗派として発展しました。

天台宗は法華経を中心として、「戒」「密教」「禅」「法華円教」の四宗から大乗仏教全般について学ぶ総合的な宗派といわれています。天台宗の教えを礎とした宗派も多数派生しました。「すべての人々に悟りにいたる素質がある」という考えを根本とし、多くの人々の支持を受けて日本仏教の主要宗派のひとつになったと伝えられています。

天台宗の葬儀の意味

天台宗の葬儀は、すべての人々が仏さまになれるという天台宗の教えにのっとって、故人が仏さまになる準備を行うための儀式です。お釈迦さまは久遠実成(くおんじつじょう)の仏さまであり、衆生は未来永劫に渡って救済されるという考えにのっとって行われます。

葬儀の内容は「受戒」「引導」が中心です。故人は受戒の儀式で戒めを受け、仏門への入門が認められます。続いて僧侶が現世を離れるために菩薩戒偈(ぼさつかいきょう)を唱えることで引導が渡される流れです。

天台宗の葬儀の特徴

天台宗の葬儀にでは、「顕教法要」「例時作法」「密教法要」の3要素が重要視されています。普段生活する上では見聞きする機会がない言葉が並ぶため、意味がよくわからない方も多いでしょう。こちらでは、天台宗の葬儀の特徴となる3要素について解説します。

法華経を唱えて懺悔する「顕教法要」

「顕教法要」では、法華経を唱えることで「ざんげ」を行います。罪を悔いあらためることで身体と心を浄化し、うちに宿した仏性を高められるという教えです。

顕教(けんぎょう)とは、現世の人々を導くために釈迦如来が説き残した教えを指します。悟りへいたるための方法を限られた人のみに伝える密教の対義語にあたり、広く開かれた教えであることを示す言葉です。

阿弥陀経を唱えて祈る「例時作法」

「例時作法」は、阿弥陀経を唱えることで極楽へ行けるように祈願することです。故人の供養だけでなく先祖の霊の追善供養の意味もあり、現世を仏さまがいるような極楽浄土へと変えていこうという願いが込められています。

例時作法は朝夕の定められた時刻に行う勤行でもあり、引声(いんぜい)という曲調に合わせて阿弥陀経を唱えるのが天台宗の修行の一環です。

光明真言を唱えて祈る「密教法要」

天台宗の葬儀では、光明真言を唱えることで「密教法要」を行います。故人が極楽へ行けるように祈りを捧げる供養の一環で、印を結んで真言で弔う法要です。

光明真言は「オン、アボキヤ、ビロシャナ、マカボダラ、マニハンドマ、ジンバラ、ハラバリタヤウン」と唱えます。真言は真実を現す秘密の言葉であり、呪術的な力をもつ仏さまの言葉です。

唱えられるお経は3種類

天台宗の葬儀では、主に下記の3種類のお経が唱えられます。

・法華経
天台宗の根本経典です。大乗仏教の初期に編集された仏教の原点についてわかりやすく説かれた経典であり、誰であっても平等に成仏できることが説かれています。

・阿弥陀経
葬式や法要でよく読まれる経典です。「シャーリーホー」というフレーズに聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか。正式には「仏説阿弥陀経」といい、極楽浄土とはどのような場所か説かれています。

・般若心経
正式には「般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)」といい、大乗仏教の空と般若思想を説いた経典です。原典は全巻600巻にも及ぶ長大な経典ですが、300字に満たない本文に大乗仏教の核心が詰まっているとされており、多くの宗派で唱えられる経典となっています。

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天台宗の葬儀の流れ

通夜と葬儀の流れについて順を追って解説します。天台宗ならではの作法もあるので、葬儀に参列したときにきちんと対応できるようにしっかりと内容を把握しておきましょう。通夜と葬儀に分けて、それぞれの流れを解説します。

通夜

1. 臨終誦経(りんじゅうじゅきょう)
通夜は枕経から始まるのが一般的です。僧侶が阿弥陀経を読経し、故人が極楽へ行けるように参列者全員で祈りを捧げます。臨終誦経は、かつては文字のとおり臨終の際に行われていましたが、現在では逝去の後に行われるようになりました。経机を用意して、遺体の枕元で読経を行います。

2. 通夜誦経(つやじゅきょう)
続いて行われる通夜誦経は、朝夕に合わせて2回行われる読経です。朝と夕で読み上げる経典が異なり、朝には法華経を、夕方には阿弥陀経を唱えます。

3. 剃度式(ていどしき)
天台宗の通夜は煩悩に満ちた現世から出家するための儀式でもあり、「剃度式」を行うのが特徴です。剃度式は本当に髪を剃るわけではなく、故人の頭部にカミソリをあてることで剃髪を表現します。香を焚き遺体を水で清める清拭もここで行います。続いて辞親偈の後に、懺悔文・授三帰三竟を唱えて戒名が授けられるのが一連の流れです。

葬儀

1.導師入場~随法回向
導師を務める僧侶が入場すると、楽曲に合わせて鐃鈑打流しというシンバルに似た楽器が鳴らさせる列讃(れっさん)が行われます。続いて随法回向で故人の成仏を祈る声明を発し、供養を行います。

2. 奠茶~引導下炬
再び列讃が行われたあと、棺の蓋を閉じる鎖龕(さがん)と棺を運び出す準備をする起龕(きがん)が行われます。次に、故人を見送る準備としてお茶やお湯をお供えする奠茶(てんちゃ)・奠湯(てんとう)が行われる場合もあります。その後、導師がたいまつを持って下炬文(あこぶん)を唱え、故人が極楽へ旅立つための引導を渡すのが一般的な儀式です。

3.弔辞拝受~出棺
弔辞と弔電の読み上げが終わると、再度読経が行われます。読経が済むと導師が退場し、遺族と参列者の手で出棺されて火葬を行うのが一連の進行です。

天台宗の葬儀作法

葬儀の作法は宗派によって異なる場合があります。焼香と数珠は宗派によってさまざまな作法があるため、葬儀に参列する機会が多い方でも戸惑うことが多いのではないでしょうか。天台宗の場合の作法を確認して、安心して参列できるようにしましょう。

お焼香は基本的に3回

天台宗の場合の焼香は、焼香台の前へ出て合掌から入ります。続いて一礼して親指と人差指・中指で抹香をつまみ、額の前で押しいだく動作を行います。そして、つまんだ抹香を散らばらないように緩やかに香炉に落としましょう。

焼香をつまんで落とすまでを1回とし、これを3回繰り返すのが天台宗のマナーです。3回香を香炉に入れたら合掌し、再度一礼して席に戻りましょう。抹香を額の前で押しいだく動作をするか、香を入れる回数は何回かといった点に宗派ごとの違いが見られます。ほかの宗派の葬儀に参列する際は注意しましょう。

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数珠は楕円形の珠が連なったものを使用

数珠はほかの宗派でも広く用いられる仏具ですが、天台宗では「平玉」と呼ばれる楕円形の薄い球を連ねた数珠を使用するのが特徴です。

数珠の持ち方は、左手の人差指と親指の間にとおして下げて持つのが基本です。数珠の珠は親玉が1個・天玉が4個・主玉が108個で構成されており、親玉から伸びた房から弟子玉がついた房つきの紐が出ています。この弟子玉がついた紐が下側に垂れるように持つのが正式な作法です。

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まとめ

この記事では、天台宗の葬儀で使う道具や、葬儀の流れ・作法について解説しました。天台宗では一般的な葬儀の道具のほかに、列讃で使う楽器や奠茶(てんちゃ)のために茶器類を用いるのが特徴的です。葬儀では天台宗の教えにのっとって剃度式や引導下炬を行うところにも特徴が見られます。

この記事で焼香や数珠の作法もしっかり把握して、自信をもって葬儀に参加できるように備えましょう。小さなお葬式では、ほかにも葬儀や法事に関するマナーを解説しています。お電話やWebフォームでのご質問も承っていますので、わからないことがあればお気軽にご利用ください。

監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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よくある質問

よくある質問
  • 天台宗の葬儀に参列する際の香典の表書きは?

  • 天台宗の葬儀に参列する際の香典の金額は?

  • 天台宗の葬儀に参列する際のお布施の相場は?

  • 天台宗の葬儀でのお布施はいつ渡す?

  • 天台宗の葬儀の心がけとは?

  • 葬儀でする「合掌」にはどのような意味がある?

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