少子化や高齢化が加速する現代においてニーズが増えている供養形態に、永代供養があります。しかし永代供養という慣習のない浄土真宗の場合はどうなるのか、疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、浄土真宗における永代供養の正しい知識に加えて、費用の相場についてもあわせてご紹介します。事前に確認しておくことで、供養方法をスムーズに決めることができるでしょう。
<この記事の要点>
・浄土真宗には永代供養の概念が存在しないため、供養の行為は必要とされない
・永代供養の代わりに、本山納骨や供養塔への納骨、宗教不問の霊園へ納骨される
・合祀墓の相場は約10万円~30万円、集合安置墓は約30万円から70万円、単独墓は約50万円から150万円
こんな人におすすめ
浄土真宗を信仰している方
浄土真宗で永代供養ができるか気になる方
永代供養の相場を知りたい方
永代供養の主なポイントは、以下の3つです。
・お寺や霊園に供養と管理をしてもらう
・費用を安く抑えられることが多い
・宗派を問われないことがある
ただし、お寺や霊園によって上記のとおりではない可能性もあります。
永代供養とは、お寺や霊園が供養・管理をしてくれる方法のことです。近年はお墓を管理する家族の後継者不足が深刻であるため、ニーズが高まっています。
しかし、永遠に供養してくれるわけではなく、17回忌や50回忌までなど契約時に遺骨の安置期間を定めます。契約期間が終了した後は、合同墓地・集合安置墓地・単独墓地へ移動することが多くなります。
遺骨をすべて埋葬したり、一部だけを骨壺に入れて残りを埋葬したりするなど、お寺や霊園によって対応が異なります。契約を行う前に、どのような対応をしてくれるのか事前に確認しておくとよいでしょう。
永代供養は、一括して寺院や霊園が管理するため、家族があまりお墓参りに行けない場合でも安心できます。管理費用も契約時にすべて支払うため、継続的に管理料が発生することもありません。金銭的な負担を抑えた供養といえます。
永代供養を行うときに遺骨を安置する場所は、納骨するお墓の種類によって異なります。ここからは3つの永代供養墓の種類やそれぞれの費用について、詳しく紹介します。
合祀(ごうし)または合葬(がっそう)とも呼ばれ、通常のお墓のように先祖や家族の遺骨だけを埋葬するものとは違い、骨壺から遺骨を取り出して、ひとつのお墓に大勢の方の遺骨と一緒に埋葬します。
そのため、一度埋葬してしまうとほかの方の遺骨と混ざってしまい、故人の遺骨だけを取り出すことができません。しかし、中には骨壺に遺骨を納めたまま供養しているところもあるので、事前にご確認しておくとよいでしょう。
合祀墓を利用する方は、「お墓の管理で遺族に負担をかけたくない」「お墓を建てる費用が工面できない」「後継者がいなくなった後、無縁仏にはなりたくない」などの理由から選択している場合が多いようです。
永代供養墓の中でもっとも費用を抑えられるのがこのタイプで、価格は10万円~30万円程度です。
寺院や霊園の建物の中にある納骨堂といわれる場所に遺骨を保管します。納骨のスペースは個人に用意されており、小さな石碑や石塔を設置して遺骨を納めることができます。契約期間が過ぎた後は合祀することが多いでしょう。
集合型ではありますが個別のスペースが用意されているため、遺骨は混ざりません。また、屋内での管理となるため、お墓参りをするときに天候に左右されることがないのもうれしいポイントでしょう。価格は30万円~70万円程度です。
単独墓または個別安置型とも呼ばれます。通常のお墓のように墓石が個別に用意され、骨壺ごと納骨します。故人を個別にお墓参りすることが可能で、管理はすべてお寺や霊園に任せられます。
こちらも17回忌~50回忌の間での契約となり、契約期間が終わると合祀されます。契約期間を33年としているところが多く、中には5年といった短い期間での契約を設けているところもあります。価格も50万円~150万円と幅があるようです。
浄土真宗には永代供養という概念がありません。ここでは、浄土真宗の即成仏という考え方や読まれる経典の内容、永代供養がない理由、浄土真宗のお経の意味について詳しく解説します。
仏教はもともと、厳しい修行と戒律によって成仏できるという考えです。しかし浄土真宗では、死後に阿弥陀如来によって極楽浄土へ導かれると教えています。信仰のあるものは亡くなった後すぐに極楽浄土にたどり着くため、供養の行為は必要とされていません。
また、浄土真宗で読まれる経典には、お釈迦様の本心が書かれた根幹をなす「大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)」、極楽浄土の内容・阿弥陀如来とは何かを説明し、教えの偉大さについて説いた「阿弥陀経(あみだきょう)」、どんな人でも南無阿弥陀仏を唱えることで極楽浄土へ行けると書かれた「観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)」の3つがあり、まとめて浄土三部経といわれています。
現在は、供養を亡くなった者に対して冥福を祈る行為と位置づけ、お経を仏様や亡くなった方に対して読むものとの認識が広がっています。
しかし本来の供養とは、仏様や菩薩様に対して尊敬の念を込めて行われるものです。また、お経とは「浄土三部経」に書かれているとおり、生きている人間に向けられた内容となっています。
浄土真宗の教えはこの考えに基づいており、ほかの宗派のように永代供養という概念自体が存在しません。
>浄土真宗で永代供養の代わりになる納骨方法には、本山、供養塔、宗教不問のいずれかに納骨する方法があり、全国各地の寺院や霊園で行われています。
ここからは、浄土真宗におけるそれぞれの納骨方法について、詳しく解説していきます。いずれにせよ、まずは菩提寺に相談することが大切です。
各宗派の本山に納骨する方法です。宗派にあわせて開祖が眠る寺院に供養してもらえるのが特徴です。合祀の際は同じ宗派の故人との埋葬なので、まったくの他人との埋葬よりも抵抗が少ない傾向にあります。
浄土真宗の場合は、大谷本廟、大谷祖廟で受け入れられています。詳細については、事前に確認しておきましょう。大谷本廟での本山納骨の場合、費用の目安は5万円以上です。
供養塔とは、天災や戦争などで亡くなった方や、引き取り手のない遺骨を納めるために建てられた石造りの塔で、全国各地にあります。五重塔や五輪塔など形はさまざまで、平安時代から続く供養の方法です。現在では、永代供養と同じようにお寺が管理し、故人を手厚く供養してくれる方法として広まりつつあります。
「宗教不問」とは、キリスト教やイスラム教など、どんな宗教に属していても大丈夫という意味で、無宗教の方でも受け入れてくれるお寺や霊園もあります。ただし、「宗旨・宗派不問」というところもあるため、違いを理解しておく必要があります。
「宗旨・宗派不問」とは、真言宗・浄土宗・浄土真宗・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗・天台宗・黄檗宗・時宗・法曹宗・華厳宗・融通念仏宗・律宗の13の宗派の中の、いずれかに属していれば受け入れてくれるという意味です。
浄土真宗には供養という概念は存在しませんが、似た言葉に「永代経」があります。永代経とは、「永代読経」を省略した言葉で、仏の教えであるお経を代々伝えるために読まれるものという意味があります。
ここでは、永代経の詳しい内容について解説します。
永代経とは、先祖代々つないできた仏教の教えを、未来に伝えるという願いを込めて読まれるもので、故人の供養のために読まれるものではありません。また、永代経というお経が存在するわけではなく、永代までお経を読み続ける行為そのものを指します。
また、仏具やお金などを収めることを「永代経懇志」といい、その懇念のもとお寺が行う法要のことを「永代経法要」といいます。引き継がれてきた教えが未来永劫続くようにと、故人の引き継いでいくものと理解できます。
永代供養には、現世から故人に対して供養を行い「お寺や霊園が遺族に代わって一括して供養する行為」という意味があります。それに対し、永代経はこれまで先祖がつないできた教えの大切さを、今生きている人間があらためて確認するために読まれるお経であるため、意味が全く異なります。
「浄土宗」と「浄土真宗」は別の宗派であるため、異なる部分もありますが、成り立ちについて詳しく調べていくと共通する部分も多く存在します。
ここでは、2つの宗派の正しい関係性と、念仏の捉え方や成仏するタイミングの違いについて解説します。
「浄土宗」とは、平安時代後期に法然によって開かれた仏教の宗派のことで、時が経つにつれ、さまざまな宗派に分かれていきました。「浄土真宗」は、法然の弟子にあたる親鸞が開いた宗派です。浄土宗から分かれた大きな宗派は以下の3つです。
・親鸞が開いた「浄土真宗」
・弁長が開いた「鎮西派」
・証空が開いた「西山派」
浄土宗が親にあたるので、お経などの違いはほとんどありません。浄土真宗の中には「本願寺派」と「大谷派」が存在し、全体で1万8,000もの寺社数を構えている日本最大の仏教宗旨です。
浄土真宗と浄土宗の決定的な違いは、念仏に対する捉え方と成仏するタイミングにあります。
浄土真宗では、故人はすぐに成仏すると考えられていますが、浄土宗では故人の魂は49日の間、現世に留まると考えます。そのため浄土宗の遺族は、故人に対して極楽浄土へ旅立つまで読経など善事を行います。
このように成仏するタイミングについての考えが異なることから、浄土宗と浄土真宗では仏壇の飾り方や位牌の有無にも違いが生まれました。
浄土真宗では、亡くなった後すぐに極楽浄土へと旅立ち仏になると考えられています。そのため、よく使われる「冥福を祈る」という言葉は失礼になりますので注意しましょう。その代わりに、「お悔やみ申し上げます」や「このたびはご愁傷様でございます」と、残念ですという一言だけを添えるのが無難です。
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浄土真宗には永代供養という考え方はありません。しかし、永代供養を希望する場合はいくつかの方法があるので安心してください。似た言葉に「永代経」がありますが、こちらは永代供養とは全く異なるため注意が必要です。
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