自宅葬(じたくそう)という葬儀の形式をご存知でしょうか。その名の通り、亡くなった方の自宅で葬儀を行うことです。長年住み続けた我が家でゆっくりと故人を見送ることができることから、自宅葬を選ぶ方がいらっしゃいます。
自宅葬は、葬儀社を通さずに自身で様々な手配を進めて行う方法と、葬儀社へ依頼する方法があります。この記事では、自宅葬のメリットや注意点など、安心して自宅葬を行うために知っておきたいことをご紹介します。
<この記事の要点>
・自宅葬とは、故人の自宅で通夜や葬儀を行う葬儀形式
・自宅葬を行う場合はお布団と枕飾りのほか、祭壇を置くスペースが必要
・集合住宅の場合は、規約により自宅葬ができない場合もある
こんな人におすすめ
自宅葬を検討中の方
自宅葬のメリットとデメリットを知りたい方
自宅葬のマナーや葬儀費用を知りたい方
セレモニーホールや会館などで行われる葬儀が「一般葬」と言われるのに対し、自宅で行われる葬儀を「自宅葬」と言います。今でこそ一般葬があたり前になっていますが、一昔前までは自宅での葬儀のほうが一般的だったようです。
一昔前は現在とは違い、広い平屋建ての家も多く、近所付き合いも盛んでした。そのため、自宅に僧侶を招き、近所の方に手伝ってもらいながら執り行うことが多かったのです。
現在のような一般葬が普及した背景として、核家族化に伴い、アパートやマンションに住む人が増えたことが挙げられます。大勢が集まれる部屋が少なくなったことで、自宅で葬儀をあげることが難しくなっていったのです。
一般葬は時期によっては予約が取りにくく、莫大な費用がかかるため、近年再び「自宅葬」が注目を集めています。
核家族化に伴い、葬儀会社に依頼し、会館やホールで行うタイプのお葬式が一般的になりました。一方、田舎のほうでは「お葬式は自分の家で行うのが当たり前」という考えが根強く残っているところもあります。
主に理由は2つあります。まず、「そもそもニーズがないため、葬儀会社が参入する余地がないこと」、続いて「都市部と比べ、檀家になっている家が多いこと」が挙げられます。
菩提寺の僧侶を呼ばずに一般葬を執り行うことは、大変失礼にあたるとされています。田舎であればあるほど悪い噂がすぐに広まりやすいため、世間体を気にする方々も多い傾向にあるようです。
田舎ならではのしきたりが残っていたり、これまでの付き合いが優先されたりすることから、今でも自宅葬が一般的なのでしょう。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
昔は自宅葬が一般的で、親戚や近所で協力しあって葬儀を行っていました。そんな自宅葬の、現代におけるメリットは次のとおりです。
自宅葬であれば、時間を気にせず最期のお別れができます。一般的なセレモニーホールの場合、施設の開館時間に合わせて滞在できる時間が限られていることがあります。自宅での葬儀であれば、制限なく過ごすことができます。
「住み慣れた我が家で最期を迎えたい」と、遺言として残される方も多いようです。参列される方にとっても、自宅であれば場所が分かるためすぐに駆けつけることができます。また、自宅で気を遣うことなく、故人との別れに集中できます。
慣れ親しんだ家で葬儀を執り行える自宅葬は、見送る側にとっても多くのメリットがあると言えるでしょう。
「自宅葬」のメリットのひとつとして、ホールや会館などの式場を借りる会場費用がかからないという点が挙げられます。また、一般葬だと会食費用がかかりますが、自宅葬であれば会食をなしにすることもできます。
一般的なお葬式の場合、どうしても規模が大きくなり参列される方も多くなります。人数が多ければ多いほど、さまざまな人に気を配る必要があり、遺族の負担は大きくなりがちです。
また、同じ会社というだけの関係性の人や、故人とは面識のない知り合いの子どもなど、仕方なしに参列される人もいます。そうした方々にも接待が必要となり、時間を要します。故人と最後をゆっくり過ごすというのは、なかなか難しくなるでしょう。
「自宅葬」であれば、家族や近い親戚など、気の知れた人たちだけで行うことができるので、常にリラックスしたムードでお葬式を進めることができます。また、多くの人に接待する必要もないので、時間を気にせず、ゆっくりと最後のお別れをすることができるでしょう。
葬儀には形式化されたルールや礼儀作法がありますが、それらを知らないと「非常識だ」と思われてしまうこともあります。一般葬だと、参列される方も多くなり、ルールを気にする人が来る可能性も否定できません。
例えば、座り方ひとつにも決まりがあり祭壇から血縁関係の深い人が座るなど、いわゆる上座、下座が存在します。また、地域によってもしきたりなどが異なるため、思わぬことでルール・マナー違反を犯してしまうことがあるかもしれません。
自宅葬であれば、そうしたルールを気にせず、基本的に喪主が自由に進めることができます。参列者も、身内など限られた人になるため、一般葬のように細かいことを気にせず執り行うことができるというメリットがあります。
自宅葬を執り行うにあたり、ご自身で様々な準備をして自宅葬を行う場合と、葬儀社へ依頼して自宅葬を行う場合、それぞれに必要な知識をご紹介します。
葬儀を執り行うには通常、葬儀専用会館を使用し、その会館のスタッフがお手伝いをしてくれますが、ご自身ですべての手配を考えているのであれば、その部分を自宅にて遺族で全て行うことになるため、いくつかの制限や負担を考慮しなければなりません。
自宅葬を行う際は、自宅で葬儀を行うためのスペースを確保する必要があります。昔は間取りの広い平屋が多かったため、自宅で葬儀を行う十分なスペースがありましたが、現代の住宅では、手狭で自宅葬を行えない場合もあります。
お布団と枕飾りが置ける、6畳ほどのスペースがあれば葬儀が可能とされています。ただし、祭壇の有無やそのサイズ、人数により、必要なスペースは異なります。
また、マンションにお住まいの方は、エレベーターに棺を乗せられるか確認しておきましょう。 一見、棺が乗せられないように見えるエレベーターでも、奥側に扉がついていて、長さのあるものも乗せられるようになっていることがあります。乗せられない場合には、自宅葬は難しいかもしれません。
自宅で葬儀を行う場合、近所への配慮も必要です。棺や参列者が出入りするため、事前にご近所の方へお声がけをしておいたほうが無難です。また、参列者が多い場合には、駐車場を用意できるかなど、自宅周辺の環境も配慮しておきましょう。
自宅葬を行うと、一般的な葬儀場などで行う場合と比べてご自身で行わなければならない作業が増えます。
特に葬儀社を介さず、ご自身で自宅葬を行う場合には、準備や式の進行・片付けといったものは全て自分たちで行う必要があり、事前に十分な準備をしていなければ難しいでしょう。 その場合の準備内容については、次の項でご紹介しています。
葬儀社に依頼をする場合でも、自宅を会場にすることから準備と片付けは必要であり、葬儀場などで行う場合よりも多少の負担はあります。 これらを踏まえたうえで、自宅で葬儀を執り行うかどうかを検討しましょう。
「自宅葬」はルールなどの制限があまりなく、比較的自由にできるからといって、遺族側が何もしなくていいというわけではありません。一般葬ほどでなくとも、やはり参列された方にお茶やお菓子をお出しするなどの接待は欠かせません。
そもそも葬儀における接待とは、「故人の代わりに参列してくれた方をもてなすこと」を意味します。そのため、たとえ身内だけであっても、わざわざ足を運んでくれる方に何かしらの振る舞いをする必要はあると考えておくべきでしょう。
ただし、一般葬と比べ自由度が高いことには違いありません。例えば、食事ひとつにしても、家族の手作りにしたり、持ち寄ってもらったり、遺族側の負担を大きく減らすことができます。
マンションなどの集合住宅を会場にする場合、物理的に「自宅葬」ができない場合があります。どの葬儀仲介業者も、必要な部屋の広さとして、6畳以上のスペースを推奨しています。そのため、極端に部屋数が少なかったり、1部屋のスペースが狭かったりする場合には、「自宅葬」ができないことがあります。
また、スペースがあったとしても、2階以上に部屋がある場合、ご遺体をエレベーターや階段で運ばなければなりません。その際のエレベーターや階段の広さも重要になります。さらにマンションによっては、規約で「自宅葬」を禁止にしているところもあるので、必ず管理会社やオーナーに確認をとってから行うようにしましょう。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
注意点のところでもご説明しましたが、自分たちで準備するとなると、かなりの手間と時間が必要となるため、終活という形で予め進めておかなければ現実的には難しいでしょう。
ただし、葬儀式場の利用料や葬儀社スタッフの人件費など、費用を節減できる部分は多く、一般的な葬儀と比べれば費用は安くなるでしょう。
葬儀社に依頼しない場合に必要な作業としては、
・ご遺体の搬送(病院から自宅、自宅から火葬場までの2回)
・死亡届の提出
・火葬場の予約、手続き
・安置用のドライアイス、防水シーツ
・棺の準備
・骨つぼの準備
・納棺
・遺影写真の準備
など、ざっと挙げるだけでもたくさんあります。
あくまで無宗教葬の場合を想定したものであり、僧侶をお呼びして経を読んでもらうのであれば、枕飾りなどの物品も必要となります。お亡くなりになってから、上記の物品を揃えるのは大変ですので、あらかじめ用意しておく必要があるでしょう。
さらに、棺のスペースの確保や、ご遺体の保全を十分に行えるかなどの問題がありますので、自身で準備する方法はあまりおすすめできません。
自宅葬を執り行う際には、葬儀社に依頼して行うことで、様々な手続きや作業を任せられるため時間の節約や心身の負担を抑えることができます。葬儀社に自宅葬を希望する旨を伝えると、ほとんどの場合で対応してもらえます。
上記でも触れましたが、希望する葬儀の規模や内容と、部屋のスペースが合わないなどの理由で自宅葬が難しい場合があることを覚えておきましょう。
依頼することが決まったら、次に葬儀内容も併せて検討します。自宅葬と言っても様々な形式が考えられます。例えば、葬儀内容は一般的なもので場所が自宅という場合や、自宅にご遺体を安置して火葬のみを行う場合などです。
「小さなお葬式」では、自宅葬として各葬儀プランをご依頼いただくことが可能です。多くの方が自宅葬に選ばれている2つの葬儀プランの説明と共に、どのような方に適しているのかをご紹介します。
もちろん、葬儀に必要となる様々な準備は「小さなお葬式」が行いますので、故人を見送ることに専念していただくことができます。
家族葬とは、家族や親しい方を中心に執り行う葬儀で、一般的な葬儀と同じく通夜式・告別式、火葬を行います。
儀礼的な弔問などをなくし、一般的な葬儀を小規模で行える内容であるため、自宅葬に適した葬儀プランであると言えるでしょう。
■このような方に適しています
・一般的な葬儀を自宅で行いたい
・親しい方のみをお呼びする予定だ
・自宅や駐車場のスペースを確保できる
通夜式や告別式などの儀式を執り行わず、火葬のみを行います。お亡くなりになった後、出棺までご自宅で安置します。上記の家族葬プランに比べて、必要となる物品やサービスが少ないため費用を抑えることができます。
■このような方に適しています
・故人が高齢で呼べる方が少ない
・なるべく費用を抑えたい
・宗教儀式にあまりこだわらない
「葬儀の経験や知識がなくて不安…」「対応品質の高い葬儀社に任せたい」とお考えであれば、他社に葬儀をご依頼済みの方、病院で葬儀社を紹介された方も、「小さなお葬式」にご相談ください。全国どちらの地域でも対応しております。
お葬式について分かりやすくまとめた、「小さなお葬式」の無料資料をご用意しています。資料の送付方法は「メール・郵送」からお選びいただけますので、ぜひご利用ください。
最近では、「自宅葬」を取り扱う葬儀社も増えており、その費用も会社によってさまざまです。安いところだと40万円前後だといわれていますが、場合によっては追加料金が発生することもあります。自宅葬を依頼する際は、費用の内訳を事前に確認しておくことをおすすめします。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
一般葬と比べ、「自宅葬」は比較的自由度が高く、ルールなどの制限が少ないことがメリットと言えます。しかし、いくら自由だといっても好き勝手やっていいというわけではありません。
とくに、「自宅葬」はまだ一般的ではなく、知られていないマナーも少なからず存在します。そこで、参列者が困惑しないためにも、最低限守るべきマナーを知っておきましょう。
一般的な葬儀は、多くの方に来てもらい、盛大に執り行うことがよしとされています。しかし、「自宅葬」は家族や近い親族だけで気を遣わず、故人とゆっくり最後のお別れをするために行うものです。
よって、友人、会社の同僚などは呼ばず、親族の中でも生前交流が深かった人に限定して呼んだほうがよいと言えるでしょう。
また、一般の参列がないことを伝えるために、訃報のお知らせにはあえて式の日時を伏せておきます。こうすることで、一般の参列ができないということがわかります。それでも理解を示さず、なかには参列を希望される方もいます。そうした場合には「故人の強い希望」であることを伝え、ご遠慮いただければ失礼にはあたりません。
「香典や供物を辞退することは失礼にあたるのではないか」と考える人がいるようですが、お断りすることについてはとくに問題ありません。
ただし、その場合あらかじめ香典や供物を辞退することを明らかにしておく必要があります。辞退することをきちんと伝えておかないと、訪れた方が戸惑うばかりでなく、後々トラブルに発展してしまうこともあります。
そのため、訃報のお知らせに「お香典や供物は故人の遺志により、ご辞退申し上げます」と明記したり、手伝いをしてくれる人に周知し誤って受け取ったりしてしまわないよう注意が必要です。
「自宅葬」でも、一般的な葬儀と変わらず参列者には喪服を着用してもらいます。喪服には、正喪服、準喪服、略喪服と3つの格式が存在しますが、自宅葬であれば、そこまでかしこまる必要はないため、略喪服で参列してもらうのもよいでしょう。
ちなみに略喪服とは、男性なら黒や紺、グレーなどのダークスーツ、女性なら黒や紺のワンピースやアンサンブルを指します。対照的に正喪服は、喪主、三親等までの遺族が着用するもので、モーニングコート、ネクタイ、靴下にいたるまですべて黒で統一します。
参列者が何を着ていけばよいか迷わないよう、お知らせ状に「平服でお越しください」などと記載しておくとわかりやすく、親切でしょう。
訃報のお知らせで式の日時を伏せておいても、弔問には訪れたいと考える人もいらっしゃいます。弔問客が続くと、故人を思い出す機会が増えるため、遺族にとっては日常を取り戻すのに時間がかかってしまうかもしれません。
そうしたことを防ぐために、葬儀が終わるまで亡くなったことを伏せておくという方法があります。葬儀後に故人の遺志で自宅葬を行い、香典や弔問も辞退している旨を伝えれば、決して失礼にはあたりません。
ただし「それでも生前お世話になったから弔問したい」と訪れてくれる方もいます。その場合は、お気持ちに感謝して無下にお断りすることのないよう、誠心誠意きちんと対応するようにしましょう。
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近年では少なくなった自宅葬ですが、身内だけでお見送りをしたい方やゆっくり故人とお別れをしたい方にとっては、しきたりに縛られることなく気を遣わずに葬儀を執り行うことができるというメリットもあるでしょう。しかし、十分なスペースの確保や近隣への配慮は必要不可欠といえます。
自宅で葬儀を希望される場合には、事前に葬儀社を選んで相談しておくとスムーズに進められ安心して最期のお別れができるでしょう。
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一日葬とは、通夜をはぶいた葬儀形式のことです。ホゥ。