親族が突然亡くなったら、どのように葬式や火葬場の手配をすればよいのでしょうか。
葬式には多額の費用がかかります。お金の工面に困っているのであれば、火葬のみを執り行う「火葬式」を選ぶのがおすすめです。経済的に葬儀を行うのが難しい場合でも、火葬式であれば比較的安価に執り行えます。
この記事では、火葬の仕組みや火葬当日の流れ、必要な準備について紹介します。ぜひ最後までご覧ください。葬儀全体の流れについても、あわせて理解を深めておきましょう。
<この記事の要点>
・火葬は仏教由来の文化で、日本ではほぼ全ての遺体が火葬によって埋葬されている
・日本で使用されている火葬炉は、台車式が大部分を占めている
・火葬には「死亡届の提出」「火葬許可証の発行」「火葬場の予約」の3つの手続きが必要
こんな人におすすめ
火葬の仕組みを知りたい方
火葬の意味や選ばれる理由を知りたい方
火葬の流れを知りたい方
遺体の埋葬方法は、遺体をそのままお墓(土)に埋める「土葬」と、焼却して遺骨や遺灰のみを埋葬する「火葬」の2種類が主流です。どちらを選ぶかは、その土地や時代、宗教などによって異なります。
現代の日本ではほぼ全ての遺体が火葬によって埋葬されていますが、海外では土葬の文化が根強く残っている地域もあります。ここからは、火葬と土葬の違いを順に解説します。
火葬は仏教由来の文化で、遺体を火葬することを「荼毘(だび)に付す」ともいいます。仏教の思想では、魂は肉体に宿るのではなく、死後は新しい肉体に輪廻転生すると考えられています。インドでは古くから遺体を灰になるまで焼いて、その灰を川に流す文化があるのはこの教えに基づいています。
一方でキリスト教やイスラム教では、遺体を傷つけること(火葬)は故人への侮辱になると考えられています。そのため、火葬が禁じられており、土葬が主流になっています。
日本で火葬が選ばれているのは、日本が仏教圏であることが一番の理由です。仏教が伝来するよりも前、中国の儒教が国家宗教だった頃は火葬が禁じられていましたが、長い年月を経て火葬が主流となりました。
現代では日本は世界一の火葬大国となっており、ほぼ100%の方が火葬を選択しています。徐々に火葬の文化は世界中に浸透していますが、日本の割合は圧倒的に高いといえるでしょう。
火葬が選ばれるのは宗教的な理由だけでなく、伝染病の予防や埋葬する土地の不足などの現実的な理由も含まれています。
現代の日本の火葬率はほぼ100%ですが、法律で土葬が禁止されているわけではありません。日本の火葬はここ100年程度で浸透したもので、昭和の頃には日本でもまだ土葬が行われていました。
日本初の火葬に関する記述が日本書紀に残っていますが(西暦700年に法相宗の開祖「道昭」の火葬が行われた)、当時は一部の僧侶や皇族にしか火葬は浸透していなかったそうです。
鎌倉時代~江戸時代になってようやく庶民にも普及し始めましたが、明治時代になっても火葬率は30%程度でした。現代の日本でも土葬が禁止されていないとはいえ、中には禁止している自治体もあるので注意が必要です。
キリスト教圏とイスラム教圏では基本的に火葬は禁止されており、土葬の文化が根強く残っています。キリスト教では、キリストの復活になぞらえて「死者の復活」の教義があり、復活には肉体が必要という考えから火葬には否定的です。
イスラム教圏では火葬を懲罰としている国もあり、犯罪者に死後に与える罰としてさらし首と同様に扱われることもあります。
しかしキリスト教圏(特にプロテスタント)では、その合理性から火葬が広まりつつあります。また、アメリカ西海岸や北ヨーロッパなどでこの動きが見られるようです。
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火葬とは?流れやマナーを徹底解説
火葬は、火葬場にある火葬炉にて行われます。日本で使用されている火葬炉は、ロストル式と台車式の2種類です。ここからは、それぞれの仕組みと特徴を紹介します。
ロストル式は、「ロストル」と呼ばれる金属製の格子の上に棺を乗せて火葬する仕組みです。ロストルの使用によって、炉の中に空間が生まれて火葬の効率よくなります。
また、格子から遺骨が抜け落ちても、下部にある受け皿で回収されます。ただし、日本ではロストル式の火葬炉は多くありません。
台車式は、台車の上に棺を乗せて、台車ごと火葬炉に送り込んで火葬する仕組みです。ロストル式とは異なり、棺と台車の間に空間がないため、遺体の下部からは火が回りにくい構造といえるでしょう。
その分、火葬にかかる時間は長くなりますが、遺骨が落ちることなく火葬後に見つけやすいのが特徴です。日本では台車式が火葬炉の大部分を占めています。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
ここからは、ロストル式火葬炉のメリットとデメリットを紹介します。
火葬炉内で炎が回りやすい仕組みであるため、火葬効率のよさがロストル式のメリットです。そのため、短時間で火葬ができます。また、火葬炉の構造が単純であるため、設置費用や維持費用も低く済み、火葬料金を抑えられます。
金属製の格子の上に棺を乗せて火葬する仕組みであることから、構造上どうしても遺骨が落ちて崩れたり、散乱したりしてしまいます。
また、火葬炉の外に異臭や燃焼音が漏れることもデメリットです。遺体を完全燃焼できないケースもあり、衛生面の問題もあります。
次に、台車式火葬炉のメリットとデメリットについて解説します。日本で主に採用されている火葬の仕組みについて理解を深めましょう。
棺が燃えても遺骨は台車の上に残るため、遺骨の形が保たれるのがメリットです。また、燃えにくい部位に対しても炎がよく回るので、異臭も出にくい構造になっています。
さらに、炉が2つあるため、発生したガスを再燃焼できます。有毒ガスの発生を抑えられるのも、台車式火葬炉の優れた点といえるでしょう。
遺体の下部に火が回りにくい構造なので、火葬時間が長くかかるのがデメリットです。また、火葬が終わっても代車を冷却する時間が必要であるため、さらに時間を要します。
ロストル式に比べて設備が複雑であるため維持費用がかかり、燃料費も高くなるため、火葬費用も高額になることが多い仕組みです。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
火葬炉には旧式と最新式があり、技術革新によって火葬炉の改良が進み、最新式の火葬炉も増えてきています。ここからは、旧式と最新式火葬炉それぞれの特徴を解説します。
旧式火葬炉の場合、炉内の温度は800度~950度程度であるため、火葬に2時間~3時間かかります。燃料には薪・重油・石炭などが用いられるので、煙突から黒煙が排出されます。
炉内の温度は900度~1200度まで高められるため、火葬時間は1時間ほどしかかかりません。コンピュータにより温度が制御されるため、火葬の状態を安定させられます。
使用燃料は灯油やガスなので、煙も少なく悪臭除去装置も備えられています。周囲の環境に配慮した設備といえるでしょう。
火葬は「最後のお別れの時間」「火葬中の待機時間」「収骨」の流れで行われることが一般的です。火葬式の場合は僧侶の読経がないので簡略化される部分はありますが、流れはほとんど変わりません。
専用の部屋でそれぞれの儀式を行いますが、経験がないと火葬場の構造や式の流れは分かりづらいでしょう。ここからは、火葬当日の流れを順番に解説していきます。
火葬場には「告別室」という場所があり、そこで式場から運ばれてきた故人との最後のお別れの時間があります。読経と焼香を行った後、遺体は炉に入り火葬が始まるので、合掌して故人をお送りしましょう。
また、火葬式の場合は読経が行われないため、最後のお別れは5分~10分しかありません。ほとんどの場合、火葬炉は次の予約で埋まっているので、手短にお別れを済ませましょう。
火葬には1時間~2時間ほど時間がかかります。参列者全員が係員の誘導に従って控え室に通されるので、そちらで待機しましょう。多くの場合、控え室には飲み物や茶菓子が用意されています。故人の冥福を祈りながら思い出を語り合いつつ、時間まで待ちましょう。
館内には売店やお手洗いが用意されていることが多いですが、移動しすぎず所定の時間までに控え室に戻るようにします。火葬を執り行う方が火葬場には複数組いるので、マナーを守って過ごしましょう。
火葬が完了した後に、遺骨を箸で骨壺に収めることを「収骨」といいます。喪主や親族で、足から順に頭部まで遺骨を拾い上げて骨壺に収めていきます。収骨には「この世とあの世の橋渡し」という意味があることから、遺骨は箸で拾い上げるのがルールです。
骨壺の数は、関東では一つであることが一般的ですが、関西では「本骨」と「胴骨」に分けて収骨することもあります。本骨とは胴体以外の骨のことで、喉仏や指先などを指しますが、地域によって定義は変わります。骨壺は木箱に入れて袋で包み、初七日法要の日まで喪主が大切に管理します。
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小さなお葬式で葬儀場をさがす
通常のお葬式の中には僧侶による読経や告別式などが含まれますが、これらを全て省略して火葬のみを行う葬儀形式を「火葬式」といいます。
火葬式は別名「直葬(ちょくそう)」「荼毘式(だびしき)」とも呼ばれ、費用の安さから需要が広がっています。ここからは火葬式の流れと、メリット・デメリットについて順番に解説します。
火葬式は、遺体の処理と棺桶の手配のみを式場で行い、当日はすぐに火葬場に向かいます。
火葬場では僧侶による読経はありません。参列者の服装や香典などは、通常の葬儀と同じように用意しましょう。通常の葬儀は2日かけて行われますが、火葬式の場合は半日程で終了するので流れは非常にスムーズです。
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火葬式を選ぶメリットは、参列者の負担が最小限であることと、葬儀の費用が安く済むことの2つです。通常の葬儀の場合、通夜と葬儀の2日に分けて親戚一同が集まるので、遠方の方はとても苦労します。しかし、火葬式であれば半日もかからずに全てが終了するため、遠方でも葬儀の後に帰宅することも十分可能です。
また、簡易的な葬儀であるため金額も安く、僧侶へのお布施も必要ありません。そのため一般的な葬儀よりも大幅に費用を抑えて利用できます。葬儀費用にお困りの方でも、火葬式であれば行える可能性があります。ご検討の際は「小さなお葬式」までお問い合わせください。
火葬式のデメリットは、お別れの時間が5分~10分しかないことと、先祖と同じお墓に納骨できない可能性があることです。
通常の葬儀ではお別れの時間がしっかりと用意されていますが、火葬式の場合は棺桶を火葬炉に入れる直前の数分しかありません。火葬炉は予約でいっぱいのため、ゆっくりとお別れを惜しむ時間がないのはデメリットといえるでしょう。
また、火葬式では僧侶を呼ばず、読経も行いません。そのためお寺(菩提寺)に正式な葬式として認められず、先祖と同じお墓に入れないケースもあります。お寺によって判断が分かれるため、納骨前に確認しましょう。
副葬品とは、土葬であれば遺体と一緒に埋めるもの、火葬であれば遺体と一緒に燃やすもののことです。現代では故人が大切にしていたものが副葬品に選ばれることが多い傾向にありますが、葬儀に参列する方が捧げたいものを選んでも構いません。
ただし、火葬では火をつける都合上、副葬品にできないものが多数あるので気をつけましょう。ここからは、副葬品のルールや歴史を解説します。
副葬品は、遺体とともに埋葬して旅立つ故人への手向けとする意味があります。現代では火葬できる範囲の思い出の品に留まりますが、古墳やピラミッドが作られた時代には、数多くの財宝や生贄を副葬品として埋葬していました。
これらは権威の象徴である他、死後の冥福や故人の復活を祈って捧げられていました。権威の象徴としての側面が薄れた現代では、死後の冥福を願う意味合いが残っています。思い出の品の他には、故人へ宛てた手紙や花が選ばれることが多いです。
火葬は専用の炉(火葬炉)で行うため、副葬品として燃やせないものが厳しく定められています。
以下のものは火葬に影響を及ぼすため、副葬品としてふさわしくありません。
・危険物(ライター・スプレー缶・電池・薬品)
・不燃物(金属・ガラス)
・有害物(プラスチック・ビニール・カーボン)
・水気の多いもの(果物・飲料)
火で完全に灰になり、ガスが発生しない副葬品を選びましょう。
小さなお葬式で葬儀場をさがす
親族の方が亡くなって辛い時であっても、火葬の手続きを進める必要があります。火葬では、「死亡届を出す」「火葬許可証を発行してもらう」「火葬場を予約する」の3つの手続きが必要です。
提出する期間がきまっていたり、時間通りに動かなかったりすると無効になるものもあります。ここからは、火葬に必要な手続きの方法を解説します。
死亡届は、亡くなったことを役所に報告するための書類です。死亡届の提出には、医師の死亡診断書もしくは死体検案書を添付する必要があります。
死亡届の提出方法は以下の通りです。
提出先(役所) | ・死亡地 ・故人の本籍地 ・届出人の居住地 |
提出期限 | 死亡確認から7日以内 |
届出人 | ・同居の親族 ・親族以外の同居人 ・家主・土地の管理人 |
死亡届の提出方法は戸籍法第九節に記載があるので、不安な方は確認してみましょう。また、届出は同居の親族以外の方が行っても問題はありません。
火葬許可証は、その名の通り火葬の許可を得るための書類です。死亡届と一緒に役所に申請できるので、忘れずに発行しておきましょう。火葬許可証には使用する火葬場を明記する必要があるため、あらかじめ火葬場をきめておく必要があります。
死亡届の提出を葬儀会社に代行してもらう場合は、火葬場へ移動する前に火葬許可証を受け取ります。火葬許可証は火葬執行後の納骨の際にも使用するので、なくさないよう気をつけましょう。
火葬場は常に混雑しており、都心部の混雑はさらに顕著です。火葬の予約ができた時間に合わせて葬儀を行う必要があるため、火葬場の予約はできるだけ早くするようにしましょう。
故人の居住地の自治体が運営している火葬場を選べば、費用の控除が受けられます。ただし、自治体が運営する火葬場は人気のため、予約が取れない場合も多いでしょう。なお、墓地埋葬法により、火葬は死亡から24時間以降でなければ行えないので注意しましょう。
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火葬は仏教由来の埋葬方法で、「魂と肉体は別」と捉えられています。故人を思い、冥福を祈って送り出せば、魂は次なる生を受けて輪廻転生していくものと考えられています。
火葬の仕組みには「ロストル式」と「台車式」の2つがあり、それぞれ火葬時間や費用が大きく異なります。
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