過去に何度用意した経験があっても、香典の書き方や金額はその都度悩んでしまうものです。
そこでこの記事では、香典の基本情報を網羅的に紹介します。状況に応じた表書きの書き方や渡すタイミングなども解説するので、ぜひ参考にしてください。葬儀全体の流れについてあわせてご確認することもおすすめです。
<この記事の要点>
・初七日法要に参列する際は香典が必要である
・初七日の際の香典の表書きは「御霊前」とするが、浄土真宗の場合は「御仏前」を使う
・香典の金額は故人との関係性によって異なり5,000円~10万円が相場
こんな人におすすめ
初七日法要の概要を知りたい方
繰り上げ初七日法要に持参する香典の数を知りたい方
初七日法要の香典返しの相場を知りたい方
初七日法要にはどのような意味があるのでしょうか。ここからは、初七日の意味と香典の必要性について紹介します。
初七日とは、故人が亡くなってから7日目のことです。故人の命日を1日目として数えるので、実際は命日から6日目が初七日となります。仏教では、亡くなってから7日ごとに裁きを受け、49日目にあの世での行き先が決まるといわれています。無事に極楽浄土へと向かえるように、7日ごとの供養が必要と考えられており、その最初の節目が初七日です。
初七日には故人が三途の川に到着するとされており、川の流れが緩やかになることを願って行われるのが、初七日法要です。
初七日法要に参列する際は香典が必要です。現代では生活様式に合わせて初七日と葬儀を同日に行うこともありますが、同日に行う場合でも別日に行う場合でも、香典は必須です。
葬儀と初七日法要は、どちらも亡くなった後に執り行われる儀式です。しかし、目的はそれぞれ異なります。ここからは、葬儀と初七日法要の違いと繰り上げ法要について解説します。
葬儀とは故人をあの世に送る際に実施する儀式で、遺族の心を整理するために行われます。葬儀の場を設けることで、遺族は思い残すことなく故人との最後の時間を過ごせるでしょう。
一方で初七日とは、故人を偲び、無事に極楽浄土にたどり着くことを願う儀式です。目的が異なるため、それぞれを分けて実施します。
葬儀と初七日法要の2つの儀式を同時に行うことを「繰り上げ法要」と呼びます。葬儀からわずか数日後に再度多くの方が集まるのが難しいこともあるでしょう。繰り上げ法要は現代社会に合った合理的な方法であり、取り入れる方が増えています。
繰り上げ法要の、葬儀から初七日までの流れは次のとおりです。
1. 葬儀
2. 告別式
3. 出棺
4. 火葬
5. 初七日
6. 精進落とし
初七日法要では、火葬した遺骨を後飾り祭壇に安置して、僧侶による読経や参列者による焼香が行われます。
葬儀とは別日に初七日法要を行う際の流れは、次のとおりです。
1. 僧侶入場
2. 施主による開式の挨拶
3. 読経
4. 焼香
5. 法話
6. 僧侶退場
7. 施主による閉式の挨拶
8. 精進落とし
初七日法要を単独で行う場合の参列者は身内が中心となるため、精進落としを行わないケースもあります。
葬儀と初七日を同時に執り行う場合は、香典を2つ準備します。本来は別日に行う儀式を同日に実施するに過ぎないため、別ものの儀式と認識しておきましょう。
通夜と葬儀どちらにも参列する場合、香典は1つで問題ありません。これは、2つの儀式に関連性があるためです。
同じ日程で繰り上げ法要には2つの香典が必要で、別日に行われる通夜と葬儀は1つの香典で構わないという点は少々複雑ですが、状況を整理して必要分を準備しましょう。
香典は香典袋に入れてお渡しするのがマナーです。ここからは、初七日法要に適した香典袋の種類を紹介します。
初七日の香典袋の水引は、葬儀と同様に黒白か双銀のものを使いましょう。関西地方では、黄白の水引が使われる場合もあります。
結び方は、一度結ぶとほどけにくい「結び切り」か「あわじ結び」を選びましょう。これには「不幸を二度と繰り返したくない」という意味が込められています。
一口に黒白の水引の香典袋といっても、水引が印刷されたタイプのものから、実際の水引がついているものまでさまざまな種類があります。
香典袋は包む金額に合わせて選ぶのがマナーです。5,000円くらいまでの金額であれば水引が印刷された香典袋を使用し、10,000円以上を包む場合は実際の水引がかけられた香典袋を使用します。
香典袋には絵柄がついているものがあります。描かれたものには宗教上の意味があるため、使用する際は注意が必要です。
蓮の花の絵柄は仏教用、十字架や百合の花が描かれたものはキリスト教用です。
香典を用意した経験があっても、書き方やマナーを完全に理解している方は少ないでしょう。
宗派や香典を渡すタイミングによって、適切な表書きは異なります。ここからは、香典の表書きをケース別に紹介します。
初七日は故人の魂がまだこの世にさまよっている期間です。四十九日を境に故人の魂は仏になると考えられています。そのため、初七日の際の表書きは「御霊前」を使用します。ただし、「往生即成仏」という教えがある浄土真宗では、故人は亡くなってすぐ仏になるとされています。浄土真宗の場合は、四十九日の前後に関わらず表書きは「御仏前」を使用します。
宗派が分からない場合は、事前に喪主などに聞いておくと安心です。
繰り上げ法要の場合は、2つの不祝儀袋を用意します。表書きを変える必要はなく、どちらも同じ表書きを使用しましょう。
宗派がわからない場合でも、表書きは統一します。なお、初七日用の不祝儀袋には、右上部分に小さく「初七日」と記載します。
香典袋には、包んだ金額を明記するのがマナーです。香典袋に金額が記されていないと、誰がいくら包んだのか判断できません。金額は「大字」と呼ばれる旧字体を使用して書きます。画数の多い難しい漢字を使うことで、金額の改ざんを防止する効果があります。
中袋がある場合、金額は中袋のおもて側に記載します。金額は薄墨ではなく、黒のサインペンなどを使用しても構いません。住所など送り主の情報は裏側に記入します。
金額の前には「金」、最後に「也」をつけます。5,000円を包む場合は「金伍仟圓也」と記します。横書きできるスペースがある場合は「金5,000円也」と算用漢字を使いましょう。
中袋がないタイプの香典袋を使用する際は、外袋にすべての情報を記します。裏面に名前と住所、金額を記入します。金額は旧字体で縦書きで記載しますが、金額欄が設けられている場合は、そちらを利用しましょう。
香典袋に記載する名前は、人数に応じて書き方を変える必要があります。
ここからは、連名で香典を包む場合や会社として香典を出す場合など、ケース別の香典袋の書き方を紹介します。
原則として、香典は1家族につき1つ用意します。夫婦の場合は1つの香典にまとめて構いません。夫婦の場合は世帯主の名前のみ記載するのが一般的です。
ただし夫婦そろって参列する場合は、中央に代表者の氏名を書き、その左側に同席者の名前を記入します。連名にする場合は苗字を省略しても問題ありません。文字の大きさは代表者に合わせましょう。
参列者が多い場合や遺族との面識がない場合は、会社名や団体名を書き添えましょう。
中央下部に代表者の氏名を記入し、その右側に名前よりも少し小さい字で会社名や団体名を記入します。
会社の同僚や友人同士が連名で香典を包む場合、3名までは香典袋に全員の名前を記入できます。会社名などを併記する際は、名前の右側に小さく記入しましょう。
もっとも目上の方の名前を中央に書き、その左に役職の高い方から順に記入します。全員が対等な場合は、五十音順で中央から記入しましょう。また、文字の大きさは全員そろえて記載します。
あまりにも多い人数で連名にすることは失礼にあたるので、4名以上の場合は全員の名前を記すことは避けましょう。4名以上の場合は、代表の氏名ではなく団体名を中心に記入します。
「〇〇株式会社一同」といった書き方が一般的ですが、「〇〇株式会社 代表者名 その他一同」と記載しても構いません。全員の氏名と住所などは別紙を用意し、香典に同封して手渡しましょう。
初七日の香典袋の表書きは、薄墨を使って書くのがマナーです。薄墨には「突然の知らせのため墨を磨る時間もなかった」「悲しみのあまり涙で墨が薄くなった」という意味が込められています。正式には筆を用いますが、薄墨用の筆ペンで記入しても構いません。
香典は故人との関係性によって目安となる金額が異なります。ここからは、故人との関係性に応じた香典の相場を紹介します。
故人との関係 | 香典の相場 |
親 | 1万円~10万円 |
兄弟姉妹 | 1万円~5万円 |
その他親族 | 1万円~5万円 |
友人・同僚 | 5,000円~1万円 |
上記はあくまでも目安の金額です。故人とのつながりの強さを加味して調整しましょう。
香典には割り切れない奇数の金額を包むのがマナーです。なかでも1・3・5からはじまる金額がよく使われます。
偶数は「割り切れる」「縁が切れる」ことを連想させてしまうので、香典に包む金額としてはふさわしくありません。
香典を包む際は、覚えておきたい大切なマナーがあります。ここからは、包み方や渡し方など香典を包む際のマナーを3つ紹介します。
香典を包む際は不祝儀袋を使用します。結婚式などで使用する祝儀袋を代用することはできません。また、現金を裸で渡すのはマナー違反です。不祝儀袋はコンビニなどでも販売しているので、前もって必ず準備しておきましょう。
お札の正しい包み方には諸説ありますが、中袋を裏にして開けた際に、お札の表(肖像画が描いてある方)が上にくるように入れるのが一般的です。上下は、肖像画が中袋の下にくるように入れましょう。お札を複数枚包むときは、お札の向きをそろえて入れます
また、香典には新札を使わないのがマナーです。これは、「不幸を予測して準備していた」と捉えられる可能性があるためです。どうしても新札しか準備できない場合は、お札に折り目をつけてから包みましょう。
香典は「袱紗(ふくさ)」と呼ばれる布製の入れ物に入れて持ち歩きます。弔事では紺色や紫などの寒色系の袱紗を使います。紫は慶弔両方で使用できるので、1枚あると便利です。香典の場合は左開きになるように包みます。右開きは慶事の向きなので間違えないようにしましょう。
会場に到着して受付をする際に、袱紗から香典を取り出しましょう。受付の前で袱紗を開いて、受付担当者が表書きを読める向きにして手渡します。並んでいる最中に香典を取り出すのはマナー違反です。
受付では、お悔やみの言葉を述べながら香典を渡すのがマナーです。その際はハキハキと喋らず、小さな声で伝えましょう。
繰り上げ法要の場合も受付で香典を渡します。ただし、葬儀と初七日両方の香典を同時に受け付ける場合と、そうでない場合の2パターンが存在するため、区別すべきかどうか受付に確認しましょう。
香典を受け取った喪家は、当日か後日に香典返しをします。ここからは、香典返しの予算やおすすめの品物を紹介します。
香典返しの予算は、受け取った香典の半分~3分の1程度が目安になります。初七日の当日に渡す香典返しを渡す場合は、2,000~3,000円前後を予算にするとよいでしょう。高額な香典を受け取った場合は、後日改めて香典返しを贈ります。
香典返しとして選ばれることが多いのは、食べものや日用品などの「消えもの」と呼ばれる消耗品です。葬儀のお返しとして後に残るものを贈るのはよくないとされているので、なるべく消耗品を選びましょう。
お茶やお菓子、洗剤などが香典返しとして人気です。参列者が持ち帰りやすいように、なるべく重くならないものを選ぶと親切です。高額な香典を用意してくれた方には、カタログギフトなどを返すこともあります。
香典返しには「掛け紙」をつけます。水引は、白黒あるいは白銀の「結びきり」のものを選びます。地域によって掛け紙の色が変わることもあるので、慣習に沿ったものを選びましょう。
表書きは「志」や「粗供養」がよく使われます。下段には、施主の氏名や「〇〇家」と記載します。
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初七日とは、故人が亡くなってから7日目のことです。故人の命日を1日目として数えるので、実際は命日から6日目が初七日となります。初七日法要に参列する際は香典が必要です。現代では生活様式に合わせて初七日と葬儀を同日に行うこともありますが、同日に行う場合でも別日に行う場合でも、香典は必須です。
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