法事ではお金にまつわることをはじめ、さまざまな悩みや心配ごとが尽きないものです。お坊さんへの接し方や参加者のおもてなし、御布施、お供え物など気にすべき点がたくさんあります。食事代を意味する御膳料、最後に振る舞う会食費用のことが不安という人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、法事における食事代「御膳料」、そして飲食関連費用の相場について解説します。
<この記事の要点>
・法事でお坊さんが会食に参加しない場合や会食を行わない場合には御膳料を渡す
・御膳料は袱紗に納めて持参し、お盆か袱紗に載せてお坊さんに渡すのがマナー
・法事での食事代は1人あたりで3,000円~1万円が相場
こんな人におすすめ
法事でお坊さんを手配している人
お坊さんに渡す「御膳料」の金額に悩んでいる人
葬式や法事で、食事代の意味合いでお坊さんに受け取ってもらうのが「御膳料」です。全ての法事で必須なわけではありませんが、状況に応じて渡します。渡すべき状況なのに、支度をしていなかったということのないようにしなければなりません。
まずは法事のどのような状況で御膳料が入用なのか、御布施と御膳料の相違点など基礎的な部分を確認しましょう。
お坊さんに対して御膳料が必要なのは、下記の状況に置かれたときです。
・お坊さんが法事の食事の席に不参加の場合
・法事で食事の席を設けない場合
法事は食事を伴うことがほとんどです。礼儀として、食事の席にはお坊さんもお誘いします。お付き合いが深いかどうかは関係ありません。されど諸事情により食事の席を設けないこともありますし、お坊さんが辞退することもあります。
昨今は新型コロナウイルスの感染対策の一環で食事の席を設けない事例が増えているようです。世間の情勢を考慮して食事無しとする場合でも、御膳料を渡すことが礼儀と認識しておきましょう。
施主は、御膳料のほか、御布施および御車代についても理解しておく必要があります。3つとも金銭を渡す点は同じですが、それぞれ趣旨が異なります。
御膳料と御車代は状況に応じて渡すものですが、御布施は必要不可欠であることが一般的です。このなかで御布施は、対宗教行為のお礼という捉え方が広く浸透しています。
しかし、御布施のもともとの意味合いは、見返りを求めず自ら金品を他者に施し与えることであり、仏の境地に達するために実践すべき修行のひとつです。
御布施が持つ元来の意味を重視するお寺もありますので「読経の代金」や「法要の料金」など対価をイメージさせる言い回しは避けましょう。
菩提寺など法事を頼む先にあてがないとき、寺院手配サービスの利用も選択肢の一つとして挙げられます。施主の要望に応じたお坊さんの紹介を受けられるのが、寺院手配サービスです。
小さなお葬式でも寺院手配サービスの「てらくる」を展開しています。御膳料をどうするかで悩む必要がなく、金額が明確化している点も特徴です。
施主を務める機会はそう何度も訪れるわけではないので、いくら包むのが妥当なのか判断がつかない、分からないのはごく普通のことです。金額は、下記のポイントを踏まえて検討するとよいでしょう。
1. 1人あたりの飲食代金に相当する金額が目安です。
2. お坊さんが複数人来られる場合には、人数分の飲食代金相当額を包みます。
(人数分まとめて包んで差し替えありません)
3. 3,000円、5,000円、1万円、1万5,000円のようにキリのよい数字に調整しましょう。
硬貨の使用はマナー違反のためNGです。
御膳料を用意する際、お札を包む方法についてよく知らないというケースもあるでしょう。お札を入れる袋の選び方、袋に記載する内容には、それぞれ作法が存在します。
形式的な部分ではありますが、正しい作法で包むことは、相手に対する気遣いであり大切な点です。
結論から言いますと、白地の封筒が無難な選択です。若干厚手の和紙(奉書紙)で包む形式が、より丁寧との説も聞かれますが、白地の封筒で特に失礼は生じません。
白地封筒のほうが手に入りやすく、奉書紙のように包み方で失敗する心配がなく安心です。白地封筒は、郵便番号の記入欄がプリントされていないものをチョイスしましょう。
法事で利用する料理業者や葬祭業者にお願いすれば、適当な袋を提供してもらえることもあります。
中身が何かを一目で分かってもらうため、袋の表面には表書きをします。食事代であることを示すため「御膳料」と表記することが多いでし。そのほか「食事料」「御食事代」「膳部料」の表記がなされるケースも見られます。
手紙で差出人名を記すのと一緒で、袋には施主の名前を記入します。名前を書く場所は次のパターンのうちいずれかです。
・表書きの下に「施主」と記し、裏側に姓・名を書く
・表書きの下に姓・名を書く
・表書きの下は空白のまま、裏側にのみ姓・名を書く
お坊さんは、数日間のうちに何件もの法事に足を運ぶことがあります。名前を記すのは、誰から受け取ったのか、あとで分かりやすくするための配慮です。
袋には、いくら包んであるのか金額も記しておくと丁寧です。金額は、袋の裏側に大字(だいじ)で書きましょう。
大字とは、改ざん防止を目的に中国や日本で古くから公的文書や会計帳簿で使われてきた漢字です。大字は、今でも契約に関する重要書類や冠婚葬祭の場など、多様な場面で使われています。
下記は、大字を用いた表記例です。
算用(アラビア)数字 | 大字 |
3,000円 | 金三阡圓 |
5,000円 | 金伍阡圓 |
1万円 | 金壱萬圓 |
法事では薄墨は使いません。御布施と御車代に関しても同様です。通常の濃さの筆、もしくは筆ペンで書きましょう。筆や筆ペンがないときにはサインペンが無難です。事務的な印象を与えることがあるため、ボールペンは避けることがマナーとなります。
葬儀で薄墨を使うのは、涙で墨が薄まってしまうほどの悲しみや、充分に墨を磨る時間もなく駆けつけた、という気持ちを表すものと言われています。
御膳料を準備する際には、お札の状態にも配慮が必要です。儀礼を重んじる場で、間違った作法で恥ずかしい思いをしないよう、マナーを確認しておきましょう。特に新札の取り扱い、お札の表裏や上下左右といった点に戸惑いを覚える人が多いようです。
ここでは、実際の場面で困らないよう、新札の是非や、お札の向きなどについて確認しておきましょう。
葬儀における香典は、新札を避けるのがマナーとされています。一方、法事の御膳料は新札でOKです。お坊さんに渡すためのお札は可能な限り新札が好ましく、できるだけきれいなお札でそろえるようにしましょう。
新札は、金融機関の窓口で使用済のお札と交換することで入手可能です。手数料の発生が難点ですが、新札との交換機能付の両替機を設置している金融機関の店舗もあります。
仏教上の明確な決まりはありませんが、最低限、表裏上下の向きは揃えておきましょう。
人物の描写がある側がお札の表面です。習俗の観点で見れば、慶事では表向き、弔事では裏向きでお札を袋に入れるとの考え方もあります。しかし、お寺に不幸が発生したわけではなく、弔いの気持ちで渡すわけではないので、表を袋の前面に向けるようそろえるのが無難です。
喪服の内ポケットやバックからむき出しのままの御膳料を取り出して渡す、袋を直に手で持って差し出す……といった所作は不適切です。御膳料を渡す際にも留意すべきマナーがあります。
施主は家族親族を代表する立場ですから、マナーを押さえておきましょう。御布施や御車代の渡し方に通ずる部分も多いので、ぜひ参考にしてください。
冠婚葬祭などで金封(お金を納める袋や包み)を持参する際は、袱紗(ふくさ)を用います。御膳料も金封のひとつですから、袱紗を使用しましょう。
袱紗は、金封の汚れや損傷を防ぎ、丁寧な心のあり様を表すために用いるものです。袱紗は、台やお盆つきの四角の布、台やお盆のついていない四角の布、ポケットに金封を納める、または挟み込むタイプなど、さまざまな種類があります。100円ショップで購入できますし、高級品でなくとも、ひとつ所有しておくとよいでしょう。
御膳料は、お盆か袱紗に載せてお坊さんに差し出します。直に手で持って渡すのはマナー違反です。しかしながら、ふさわしいお盆を持っている家庭はまれでしょうし、袱紗に載せる方法で差し替えありません。
袋の向きにも要注意です。受け取る側から普通に読める向きで渡すことがマナーとなります。
御膳料は、御布施や御車代と一緒に渡すことが一般的です。会場でお坊さんに挨拶をするとき、またはお坊さんが帰るときの2通りがお渡しするタイミングとして適切でしょう。どこで渡すかは会場によって異なりますが、たとえば、法要会館であれば僧侶控室、お寺であれば本堂や庫裏(くり)など通された場所で渡しましょう。
失敗しないために、法事の依頼をする際、いつどこで渡すべきか指示を仰いでおくことをおすすめします。
御膳料は、1人あたりの飲食代金に相当する金額が目安ですが、1人あたりの飲食料がどれくらいかかるのか想像もつかない人もいるでしょう。
施主が食事代を負担するため、相場を知っておけば、御膳料の金額を考えるときだけでなく、料理のメニューやプランを検討する際にも参考になります。ここでは食事代の相場や関連する注意事項を確認しておきましょう。
料理は1名分で3,000円~1万円が相場です。お坊さんだけ特別に豪華なメニューを振る舞うことはありません。
子どもは例外として、席に着いた全員が同じメニューです。飲み物代は、アルコールを飲む参加者が多いか少ないかが、料金に大きく影響します。あくまで目安ですが、飲み物代は1人あたり1,000円程度です。
そのほか、サービス料や配膳スタッフの人件費を加算する料金体系の業者もあります。サービス料は料理と飲み物代金の5%~10%程度、人件費はスタッフ1名あたり数千円程度に設定している業者が多いようです。
食事の席には、お坊さんも含めて法要の全参加者がお誘いする対象です。注文する料理の数量や、参加者数に適した規模の会場を押さえることに関係しますので、参加可否は法事当日を迎える前に対象者それぞれに確認が必要です。
昔からの慣習として法事には会食が付きものです。食事の席を設けていないと「食事の用意はないのは無礼だ」と不満を抱く人がいる可能性があります。
と言いましても、昨今の感染症対策、急病人や災害の発生など、やむを得ない事情で会食無しとするケースもあります。会食無しとするならば、参加者全員に事情を説明し、事前に周知しておくことがトラブル防止のために重要です。
食事の席を設けない場合、「今回は食事の用意がなく申し訳ない。これで何か召し上がってください。」といった趣旨で、お食事券を持ち帰ってもらう事例もあります。お食事券の額面は、御膳料と同程度とするのが通例です。
食事の席を設ける本当の理由には、まず追善供養が挙げられます。追善供養は、故人が死後の世界でより良い処遇を受けられるよう、現世に残された人が実践する善行です。
食事を他者に施し与えることは、命、生きることに結び付く善い行いと考えられています。また、命を頂くことに感謝の気持ちを抱きながら、残さず食すことも善い行いです。
最近は、故人を偲び、お坊さんや参列者に対する感謝や労い気持ちを表すために食事の席を設けるという解釈もあります。しかし、法事の目的自体が追善供養であり、食事も同じ意味合いがあることは知っておきたいところです。
法事に出席する親族で「食事代を包んでいくべきだろうか」と不安になる人がいるかもしれません。会食まで出席する場合、参加者は香典と一緒に食事代も携行していく必要があるのでしょうか。
親戚付き合いに支障をきたさないためにも、礼にかなった対応方法を心得ておきたいところです。親族の食事代に関する注意点も確認しておきましょう。
通常、香典とは別で食事代を持参する必要はありません。香典は職場の飲み会などの参加費とは意味合いが異なります。香典とは別に、供物代を用意するケースはありますので混同しないよう注意しておきましょう。
ただし、地域や親族間の習わしとして食事代を用意する場合には、これにならうのが良策です。
香典とは別に持参する必要はありませんが、参加者が食事代のことを無視するのはよくありません。香典に包む金額は、食事代を考慮して決めることがマナーです。
会食では料理だけで1名あたり3,000円~1万円がかかります。さらに飲み物代も必要です。そのほか、施主は3,000円~5,000円ほどの返礼品を手配していることが考えられます。香典額は、施主が負担する食事代や返礼品費用を上回るように配慮することが大切です。
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お坊さんに施主が「御膳料」を渡すのは、法事で食事の席にお坊さんが参加しないとき、もしくは食事の席を設けないときです。
御膳料は、1人あたりの飲食費用や、お坊さんの人数を考慮して金額を検討するとよいでしょう。そのほか、御膳料の袋の選び方、表書きや名前の書き方にも注意が必要です。
なお、参加者は一般的に、香典以外に食事代を用意する必要性はありません。ただし、地域や親族間の習わしを確認すること、香典額を決めるにあたり、飲食や返礼品で施主が負担する費用も考慮することは重要です。
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