火葬はいつから可能に?火葬の歴史や手続き・法的知識も紹介

火葬はいつから可能に?火葬の歴史や手続き・法的知識も紹介

日本では人が亡くなった場合、火葬するのが一般的です。しかし、亡くなってすぐ火葬することは法律上できません。では、いつから火葬が可能になるのでしょうか。この記事では、日本における火葬のあり方や世界の火葬事情、火葬する際の注意点などを解説します。

また、新型コロナウィルス感染症などによる特例や死産したときの対応、遺体の安置室事情などもまとめています。

こんな人におすすめ

日本における火葬の歴史と現状を知りたい方

火葬はいつからできるのか法的な決まりを知りたい方

死亡届や火葬許可証の手続きについて知りたい方

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いつから火葬が当たり前になったのか

遺体を葬る方法には、土葬や火葬、風葬や水葬などさまざまな方法が生まれてきましたが、現在の日本ではほとんどが火葬です。では、日本で火葬がしていったのはいつからなのでしょうか。日本における火葬の歴史や現在の火葬実施率、他国の火葬事情などを見ていきましょう。

日本における火葬の歴史と現状

火葬とは、遺体を強烈な熱で焼却し遺骨・遺灰に変えることで、遺体を処分するプロセスです。日本で初めて火葬が行われたのは700年(飛鳥時代)だといわれています。ただ、当時の火葬は特権階級のみが行える埋葬方法だったため、庶民に広がることはありませんでした。

鎌倉時代に入ると火葬が一般庶民にも普及し始めますが、火葬には技術が必要であり技術発展も見られなかったため火葬と土葬の両方が用いられていました。

この流れが大きく動いたのは明治時代に入ってからのことです。土葬用の土地が確保できなくなってきたことや、火葬における衛生面での有用性が認められたことにより火葬はやがて義務化されました。今では、日本で亡くなった方のほとんどが火葬されます。いまや日本の葬送スタイルは火葬一色と言っても過言ではないでしょう。

国内では土葬をするケースは少数

土葬は遺体を棺に納め、その状態で地中に埋めて葬送することです。地中にある遺体は時間をかけて分解され、物理的にも自然へかえります。火葬率ほぼ100%の日本において、土葬するケースは滅多にありません。

しかし、厚生労働省が発表した「衛生行政報告例」によると、2019年に亡くなった人のうち0.001%にも満たない人(824例)が土葬を行ったことがわかっています。土葬は法律上禁じられてはいないので、ごく一部ではありますが現代の日本にも土葬を希望する人もいるようです。

他国の火葬事情はどうなっている?

日本の火葬率はほぼ100%と言える状態ですが、世界の火葬事情はどうでしょうか。アメリカでは5割程度、ヨーロッパ各国で火葬率が高い国でも8割に満たず、低い国では1割ほどのところもあるといわれています。世界的に見ると、アジアの国のほうが火葬率は高い傾向です。

各国の火葬率は火葬場の数による影響もありますが、多くは宗教上の考え方の違いが関係しています。たとえば、キリスト教では「死者の復活」が信じられているので土葬が一般的です。一方アジアにおいては、埋葬する土地不足によって火葬が一気に普及した経緯があります。

火葬はいつから可能か?法的な決まり

亡くなってすぐに火葬ができるわけではありません。死後24時間経たないと火葬は行ってはいけないという法的な決まりがあります。ただし、例外もあるようです。ここからは、火葬に関する法令および根拠、24時間経過してなくても火葬できるケースについて解説します。

直葬でもすぐに火葬はできない

たとえ、火葬場が空いていたとしても亡くなってから24時間が経過していない場合は、火葬できません。「墓地、埋葬等に関する法律」に基づいています。

第1章第3条 (昭和23年5月31日法律第48号)
埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。(引用)

この法律が制定された昭和23年頃の日本は、医学が発展しておらず、死亡判定が曖昧でした。つまり、仮死状態の人を誤って火葬しないよう制定されたものです。

参考: 『墓地、埋葬等に関する法律|厚生労働省』

24時間以内に火葬するケース

日本では原則、亡くなってから24時間以内は火葬できないことになっています。しかし、感染症予防対策や妊娠7か月未満の死産の場合は、この限りではありません。新型コロナウィルス感染症などを含む感染症で亡くなった場合、遺体から感染が広がる恐れがあるため24時間以内の火葬が許されています。

また、蘇生率が低いと考えられる妊娠7か月未満の死産も同様です。なお、「新型コロナウィルス感染症による死者の遺体は24時間以内に火葬しなくてはならない」という意味ではないのでご注意ください。

そのほか火葬の法的なポイント

火葬には、以下のような法律上の注意点があります。

・市町村役場が発行する「火葬(埋葬)許可証」がないと火葬できない
・火葬は火葬場でのみ行う
・「必ず遺骨をお墓に埋葬しなくてはならない」という法律はない
・納骨する際は、墓地として指定されている場所のみ

死産児の火葬はいつから可能?

死産とは、母体の中で赤ちゃんが死亡した状態で出産することです。このとき亡くなった赤ちゃんを「死産児」といい、死産児の火葬は赤ちゃんが妊娠何週目であったかによって異なります。この章では、死産児の火葬や死産・流産・中絶の定義について解説します。

死産児や流産、中絶の言葉の定義

お母さんのお腹の中で赤ちゃんが亡くなった場合、赤ちゃんの週数や亡くなった経緯によって、「流産」「死産」「中絶」など呼び名が異なります。

・流産:妊娠12週~22週未満の死産
・死産:妊娠22週以降の赤ちゃんが亡くなること
・中絶:妊娠21週6日までの赤ちゃんを人工的に母体の外に排出する。「人工妊娠中絶」や「人工流産」とも

妊娠週数12週から22週の対応

妊娠12週以降の赤ちゃんが亡くなった場合は、流産であっても人口中絶であっても死産から7日以内「死産届」を提出しなくてはなりません。死産届は居住する自治体、または分娩した病院がある自治体の窓口に提出します。

なお、妊娠12週以降の赤ちゃんが亡くなったときは火葬が必要です。お父さんとお母さんの考え方で葬儀をどのようなスタイルで行うかを決めます。

妊娠週数22週以降の対応は?

妊娠22週以降の赤ちゃんは、母体外での生存の可能が高まる時期なので、「死児の分娩」「新生児の早産」かによって対応が異なります。赤ちゃんがお腹の中で亡くなった場合は、死産届を提出しますが、母体を離れた赤ちゃんがわずかな時間でも生存していた場合は死産届ではなく、出生届と死亡届を提出しなければなりません。

また、妊娠22週以降の赤ちゃんも妊娠12周以降の赤ちゃん同様、火葬が必要です。さらに、妊娠24週以降の死産の場合は、亡くなってから24時間経たないと火葬ができないので注意しましょう。

遺骨を残すことを希望しない人

お父さん、お母さんの中には「亡くなった赤ちゃんの遺骨を残してほしくない」と希望する人もいます。遺骨を見るたびに悲しい気持ちになってしまうため、そのような考え方に至る人も少なくないようです。

死産の場合、火葬した遺骨をどのように埋葬するかには法的な決まりがありません。そのため、手元に残したくない場合や残せない事情がある場合は処分することも許されています。

一方、死産した赤ちゃんの骨は未熟で小さいため、火葬するとお骨が残らないことも珍しくありません。お骨を絶対に残したい方は、胎児専用の火葬炉を備える火葬場を探すことが求められます。

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火葬の実施まで故人を安置場所の確保

たとえ葬儀を行わない直葬の場合でも、故人が亡くなってから24時間経たないと火葬はできません。また、火葬場のスケジュールが空いていないケースもあります。そのようなときは、故人を安置してくれる場所を確保することが必要です。この章では、故人を自宅に安置できない場合の対応策や、自宅で故人を安置する際に必要な処置などを解説します。

自宅に安置できない場合はどうするか

「安置(あんち)」とは亡くなってから葬儀が終わるまでの間、遺体を保管しておくことです。病院で亡くなった場合、遺体が安置できるのはおおよそ半日程度と考えましょう。安置する場所は自宅、葬儀社、遺体安置専門施設から選択します。自宅以外で遺体を安置する場合は安置費用が必要です。

自宅に安置する場合でも冷却処置が必要

遺体を安置する場合、状態を保つためのドライアイスや冷却装置が必要です。ドライアイスの量は、季節や安置日数によっても異なります。特に、温度管理が難しい自宅で安置する場合は、ドライアイスが追加になるケースも少なくありません。その際は追加料金が加算されます。

葬儀社によっては、最新の冷却装置を完備しているところもあるので、問い合わせてみるとよいでしょう。安置するベッドに冷却板などが埋め込まれており、遺体の凍結を防ぎながら状態を保つことが可能な最新のシステムです。

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湯灌やエンバーミングをするという選択肢

火葬場に空きがないケースやその他の理由により、火葬まで日にちが開いてしまう場合は、湯灌(ゆかん)やエンバーミングをするのも選択肢のひとつです。ぬるま湯で故人を拭き清める湯灌や、遺体の防腐処理を行うエンバーミングをすれば、遺体の腐敗や変化の進行を抑える効果が期待できます。

なお、湯灌の料金相場は古式湯灌で3万円~5万円、エンバーミングの料金相場は15万円~25万円です。

参考:
湯灌は行うべき?湯灌の儀の意味と費用
エンバーミングとは|遺体保存の必要性と手順

死亡届や火葬許可証の手続きはどうする?

故人が亡くなり役所に死亡届を提出すると「火葬許可証」が交付されます。これらの手続きは葬儀社に任せることが可能です。では、手続きはどのような流れになり、どのくらい時間がかかるのでしょうか。ここからは、死亡届や火葬許可証について解説します。

死亡届や死産児届に関する決まりごと

故人が亡くなってから役所に提出する書類に、「死亡届」と「死産届」があります。死亡届は病院でもらう死亡診断書と一枚の用紙になっており、死亡届の欄に必要事項を記入して提出するものです。

一方、死産届は病院で死産証書と一緒に受け取り、役所に提出します。死亡届と死産届は、故人が亡くなってから7日以内に提出しなくてはならない決まりがあるので注意が必要です。

火葬許可証が発行されるまでの流れや時間

多くの自治体では、死亡届提出と同日中に火葬許可証の発行を受けられます。しかし、夜間や休日が絡むと発行が翌日以降になってしまうケースもあるので、余裕をもった行動が必要です。火葬許可証が発行されるまでの流れは以下の通りです。

1.死亡診断書の記入を医師に依頼
2.死亡届に必要事項を記入し、押印
3.死亡診断書と死亡届を役所に提出
4.火葬許可証の受け取り

一般的には葬儀社に全て任せることに

死亡届の提出や火葬場の利用手続きは、届出人以外の代理人でもできます。そのため、こうした手続きは葬儀社に依頼するのが一般的です。なお、地域によっては、自治会や隣組などの地域団体の人が届出人に代わってこれらの手続きを行う場合もあります。

火葬場利用の注意点

日本で亡くなった人を埋葬するには、火葬するのが一般的でしょう。遺体を火葬するには、火葬炉を備える火葬場を利用しなければなりません。この章では、火葬場と斎場の違いや火葬場の利用料金の目安、火葬場を利用する際の注意点などを解説します。

火葬場と斎場の違いは何か?

火葬場とは遺体を火葬するための火葬炉が設けられた施設のことをいい、公営の火葬場民間の火葬場があります。公営の火葬場と民間の火葬場では、火葬にかかる費用が大きく異なることが特徴です。

一方、斎場は通夜や告別式を含む葬儀を執り行う施設のことで、斎場には○○ホールや○○会館といった名前の民間斎場と、公営のものとがあります。公営の斎場は、火葬場を併設しているところも珍しくありません。その土地によって公営の斎場が多い地域と、民間の斎場が多い地域とがあります。

火葬場の利用料金の目安

火葬場には、民間の火葬場と公営の火葬場があります。民間か、公営かによって費用が異なるので注意が必要です。民間の火葬場の費用相場は5万円~15万円、公営の火葬場の費用相場は数千円程度のところもあります。故人が居住する地区が運営する公営の火葬場を利用すれば、出費を抑えて火葬できるでしょう。

火葬料金はどこで払う?

葬儀は「施設にかかる費用」「葬儀の施行費用」「おもてなしの費用」「宗教者への謝礼」「火葬の費用」がかかります。葬儀社が提示する見積もりには、火葬料金が含まれていないケースがあるので確認を怠らないようにしましょう。

なお、公営火葬場を利用すると消費税がかからないなどの理由によって、手続きは葬儀社に依頼するものの、火葬費用は葬儀費用とは別途にして葬儀社にお金を預けることもあります。

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まとめ

火葬率ほぼ100%の日本では、人が亡くなったら火葬するのが一般的です。ただし、亡くなってから24時間が経過していない場合は火葬ができないため、遺体を安置する場所を用意しなくてはなりません。自宅での安置が難しい際は、葬儀社の安置室や遺体安置専門施設を使用する方法があります。

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監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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