檀家離れ(離檀)という選択|メリットデメリットとスムーズな手順

檀家離れ(離檀)という選択|メリットデメリットとスムーズな手順

檀家とは、江戸時代の寺請制度に由来するものです。ある寺院を経済的に支援することで、法要や供養を行ってもらう関係を指します。近年、暮らし方や家族構成の変化によって檀家を離れようと考える方は少なくありません。

檀家の関係に疑問を持ったとしても、先祖代々続くもののため、檀家を離れる(離檀する)という選択は簡単にできないでしょう。離檀を検討する前には、檀家のメリットやその後の供養についても知っておくことが大切です。今回は檀家を離れる際のメリットデメリットや、離檀の進め方、離檀後の供養について解説します。

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こんな人におすすめ

檀家を離れる際のメリット・デメリットを知りたい方

離檀の進め方について知りたい方

離檀後の供養について知りたい方

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檀家離れ(離檀)が増えている理由

檀家を離れることは一生に一度あるかないかの大きな決断です。まずは離檀したくなったきっかけを洗い直し、檀家を辞めることが今後の生活と先祖の供養にとってよいのかどうか、改めて考えることをおすすめします。まずは、よくある離檀理由について見てみましょう。

お墓が遠方にあるケース

お墓が遠方にあるためお墓参りに行きづらくなり離檀となるケースです。檀那寺(だんなでら)は普段お参りができない檀家に代わり、敷地にあるお墓の清掃や整備を担当しています。ライフスタイルの変化などによってお墓参りに行くことが難しく、お墓を移動させる(改葬する)場合は離檀が選択に入るでしょう。

少子化による担い手不安

家族構成が変化したことでお墓の担い手が探せないことも、離檀の理由のひとつです。少子化や核家族化により、次の管理者は現在管理している代よりも減り、負担は大きくなります。また、次代がいない方は墓じまい(お墓の撤去)と合わせて離檀を検討することも少なくありません。

宗教観が変化している

近年は冠婚葬祭に対する宗教観が変化したことから、特定の信仰や儀礼に準拠しない無宗教での葬儀が増えています。無宗教葬儀では一定の教えに帰依しないことから、檀那寺との関係に意味を見出しづらいと感じる方もいるでしょう。

供養やお墓の管理という宗教的なメリットを感じない以上、管理費や寄付などの金銭的な援助をしたくないという声も少なくありません。ご自身に合った供養の方法が大切ですが、この場合は親族の意向や亡くなった方の遺志を、念のため確認することをおすすめします

檀家を離れるメリット

近年では価値観や暮らし方の変化によって、檀家側にもさまざまな考え方が生まれています。離檀を検討する際に寺院側とも気持ちよくやりとりができるよう、離檀の理由や興味を持った点は早いうちから整理しましょう。ここでは、離檀によるメリットについてまとめました。

管理費や寄付による支出を減らせる

檀家を離れると、寺院にお墓の管理費やお礼の気持ちで渡していた寄付を減らせます。近年は仏事以外で収入を確保している寺院も珍しくありませんが、多くの寺院では円滑な運営のために檀家から管理費や寄付金を募るのが一般的です。離檀すると檀那寺との関係もなくなるため、こうした諸費用を削減できるでしょう。

具体的な金額は檀那寺とのお付き合いの長さやそれぞれの家庭によって異なりますが、年額で数万円前後の支出が無くなると考えられます。しかし、改装や墓じまいの際には一時的な出費がある点にも注意が必要です。

寺院のルールに縛られない

檀家は檀那寺の意向やルールをできるだけ汲む必要がありますが、離檀した場合はこの限りではありません。例えば、残された家族は心理的や金銭的な理由から一日葬を検討しているものの、檀那寺からより手厚い供養のために規模の大きい葬儀を勧められることもあります。供養の観点では檀那寺の提案ももっともですが、残された家族が負担を感じる場合は別のやり方を検討してもよいでしょう。

葬儀や供養に大切なことは気持ちであり、作法を重んじるあまり気持ちを損なうようでは本末転倒です。檀家を離れることで屈託が少し楽になるというのもメリットといえます。迷う場合は葬儀のプロといった第三者に相談してもよいでしょう。

檀家を離れるデメリット

今までお願いしていた遺骨の管理や法要の段取りを自分でしなければならないなど、離檀によるデメリットはいくつかあります。特に、次の檀那寺が決まっていない場合は儀礼や供養に対する意識が薄れ、結果的に故人への気持ちが変わってしまうかもしれません。檀家を離れることのデメリットも把握した上で、検討することが大切です。

お墓が撤去される

離檀する最大のデメリットは、担い手のいなくなったお墓が無縁墓(無縁仏)として撤去される点です。撤去を避けるには事前に改葬の手続きを踏んで遺骨を引っ越すか、墓じまいをして閉じる必要があります。改葬は檀那寺側の了承も要るため、早いうちから相談しましょう。また永代供養墓や他の個人墓といった遺骨の行き先も手配する必要があります。

墓じまいする際は、手元供養や散骨など遺骨の扱いについても検討しなければなりません。改葬や墓じまいに関しては、墓石の撤去費用をはじめ、まとまった出費が予想されます。いざというときに困らないためにも、予算を把握しておきましょう。いずれにせよ、元の檀那寺にはお墓がなくなるので注意が必要です。

頼りにできるお寺がなくなる

檀家を辞めると、葬儀や法要を行う際に頼りにできる寺院がなくなります。近年は主要な法要の際に僧侶を派遣するサービスが登場していますが、お彼岸などの繁忙期は人手が足りず僧侶を呼ぶことが難しい場合もあるでしょう。檀家であれば檀那寺も優先して引き受けてくれるものの、離檀した後は依頼に困るかもしれません。

また、檀家を辞めたことにより年忌法要や儀礼への気持ちが薄れ、供養の形を見失うこともあります。特に、十七回忌法要など年数を重ねた後の法要は、作法や規模について判然としない点が多いでしょう。困ったときに頼れる寺院がなくなることは離檀のデメリットといえます。

檀家を離れるための手順

檀家を離れる際はトラブルが起きやすいため、段階を踏んで話を進めていくことが重要です。また、今までお世話になったことへの感謝の気持ちも忘れてはいけません。以下では離檀に至るまでのスムーズな手順を解説します。

1.檀那寺の住職に離檀の相談をする

離檀を決めた場合も檀那寺にいきなり結論を伝えるのではなく、検討の段階から事前に相談することが大切です。相談なしで離檀することは理論の上では可能ですが、住職や寺院側の気持ちに配慮すると、あらかじめ意見を伺うほうがよいでしょう。

相談を持ちかける際は、まず先祖代々お世話をしてもらっていることへの感謝や、あまり顔を出せていないことへの謝罪を丁重に伝えます。改葬・墓じまいを考えている理由を伝えるときも、「管理費が高いため」ではなく「今後の管理事情を考えたため」など、寺院側の気持ちに立った言葉を選ぶと了承を得やすいでしょう。

2.墓じまいの業者を手配する

墓じまいでは今あるお墓を解体し、復元した土地を寺院側に返却します。取り出した遺骨を別のお墓に移す(改葬する)場合もお墓の解体・土地の返還までは同じ流れです。墓石の解体には専門の業者、また遺骨の移動には行政の許可が要るため、どちらも事前に手配します。

料金はお墓のサイズや状況によって異なるため、まずは見積もりを依頼しましょう。また業者によっては書類手続きの代行もまとめてお願いできる場合があります。寺院側とも解体の日取りなど連携を取りつつ、スケジュールを固めましょう。

3.閉眼供養をして墓じまいをする

僧侶に閉眼供養を依頼する前に、まずは役所で遺骨を移す許可(改葬許可証)をもらう必要があります。業者に依頼せず自身で申請する場合は、あらかじめ移送先の土地を確保してから市区町村の担当窓口に書類を出しましょう。改葬許可申請書には現在の檀那寺の署名・捺印が要るため、閉眼供養の依頼と同時に行うのがおすすめです。

改葬許可証を受け取ったら、墓石に宿っている故人の魂を抜くために閉眼供養を行います。閉眼供養によりお墓はただの石に戻り、壊せるようになるでしょう。土地を原状復帰し、権利を寺院に返却すれば墓じまいは完了です。

4.檀那寺へ離檀料(お布施)をお渡しする

最後に、檀那寺にこれまでのお礼の意も込めて離檀料を渡します。離檀料は必ず渡さなければならない費用ではありませんが、感謝の気持ちを伝えたりトラブルを避けたりするためにも渡したほうがよいでしょう。

離檀料は寺院側から請求される場合も、断られる場合もあります。檀家側に渡す義務はないため、金銭面で難しい場合は双方話し合いの元、納得のいく結論を探しましょう。

檀家を離れる際にかかる離檀料の目安は?

檀家を離れる際の離檀料はおよそ10万円~20万円です。お寺によっては離檀料を閉眼供養料に含んだり、永代供養料を追加してさらに高額になったりする場合もあります。

離檀料はお布施としての性質が強く、気持ちとして納めるもののため、明確な金額がないことが現状です。迷う際は離檀を相談する際に合わせて確認するとよいでしょう。断られた場合も、別の形で感謝の気持ちを伝えます。

檀家を離れる際に起こるトラブルのケースと回避策

檀那寺からすると檀家の間には先祖から続く信頼関係があると考えられます。このため、いきなり檀家を離れるという結果だけ伝えられた場合、寺院側は信頼を裏切られたと感じてトラブルにつながるかもしれません。お互いが心穏やかに納得して離檀を迎えるために、実際に起こったトラブルの事例と回避策について確認しましょう。

【ケース1】離檀を認めてもらえない

檀那寺から離檀を認められない場合があります。理由はそれぞれの寺院の考え方にもよりますが、基本的にお寺は檀家の支えによって成り立つものです。人口が減少している社会情勢において、ひとりでも多くの檀家に残ってほしいという気持ちは自然なものでしょう。

対策としては、寺院・檀家双方が納得できるよう話し合いの場を設けることです。檀家側にも離檀に至った相応の理由があるので、根気よく説明すれば理解を得られるかもしれません。

他にも、役所の窓口や檀那寺の本山といった事情が分かる第三者に相談し、仲介に入ってもらう方法もあります。いずれにせよ、関係がこじれた場合は離檀したいという意思を無理に押し切らず、一度落ち着いて意見をすり合わせる時間を取りましょう。

【ケース2】高額な離檀料を要求される

離檀を申し出た際、檀那寺から数十万円~数百万円以上の高額な離檀料を請求される場合もあります。離檀料は契約書の取り交わしがなければ渡す必要がないお金ですが、離檀の知識や経験がない方は「そういうものか」と納得してしまうことも少なくありません。

心理的・金銭的に渡せる範囲を超える請求があった場合、こちらもまず本山に相談しましょう。本山はそれぞれの宗派において特別な役割を持っており、他の寺院を取りまとめる立場にあります。さらに解決に至らない場合は弁護士への相談を検討してもよいでしょう。

檀家を離れる際の供養方法は?

離檀を検討し始めた初期の段階から、遺骨の移し先や供養方法について考えることをおすすめします。改葬許可を申請しなければならないことからも分かる通り、遺骨は個人の判断では勝手に処分できない大切なものです。自分の意向に沿いつつも、親族や故人の意思をないがしろにしないよう、今後について念入りに検討しましょう。

永代供養をする

取り出した遺骨を永代供養墓に移し、寺院や霊園に供養してもらう方法があります。お願いする寺院は元の檀那寺でも問題ありません。永代供養は、特に担い手が見つからず離檀を選んだ方から選ばれる傾向があります。

永代供養の種類は合祀墓や屋内型墓地などさまざまです。ご自身の状況や意向に合わせた方法を選ぶことが肝心ですが、もし迷う場合は寺院と並行して葬儀のプロに相談するとよいでしょう。

お墓を移転する

閉眼供養ののち、別のお墓に遺骨を移転する方法(改葬)も考えられます。改葬する場合は次に納めるお墓を事前に選び、移転先の詳細を含めて役所に申請を提出しましょう。墓石の撤去業者が申請を代行できることもありますので、改葬を考える場合は必要な情報を早めに手元に揃えることをおすすめします。

手元供養散骨は厳密には改葬には当たりませんが、取り出した遺骨の供養方法として関心を持つ方も少なくありません。しかしこれらはまだ事例が少ない供養方法であり、判断は自治体によって異なります。一度市区町村の窓口や葬儀のプロといった信頼できる方に尋ねるとよいでしょう。

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まとめ

檀家を離れるかどうかの判断は決して簡単なものではありません。しかし、お墓との距離や金銭的な負担によって故人への気持ちが損なわれることがあれば、決断する価値があるでしょう。手続きや準備は残された方が元気なうちに済ませることをおすすめします。

檀家を離れることにまつわるさまざまな手続きは、ひとりでこなすには難しいでしょう。檀家や葬儀・法要に関する疑問はぜひ「小さなお葬式」へご相談ください。24時間365日、専門フタッフがお電話にて相談をお待ちしております。
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監修
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)
信長 洋輔(小さなお葬式 コラム編集長)

株式会社ユニクエスト社員
「小さなお葬式のコラム」の編集長。
葬儀葬式・法事法要だけでなく、終活・老後資金などFP関連の知識にも精通。
葬祭ディレクター1級の資格取得に向けて学習中。
葬儀業界最大級の、合計2000記事以上を管理。
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