葬式は故人との別れを偲び成仏を祈願するための大切な儀式です。故人が亡くなり悲しみの中にいる遺族に対し、失礼のないように振る舞いたいと思っている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、葬式マナーについて詳しく紹介します。
特に、服装や香典などにはルールやマナーが細かく決まっているため、事前にチェックしておくことが大事です。正しい知識を身に付けることで、急に葬式に参列することになった際にも適切な対応ができるでしょう。
<この記事の要点>
・葬式には準喪服を着用するのが一般的
・香典を入れる不祝儀袋は黒や白、双銀の水引が付いたものを選ぶ
・お悔やみの言葉を伝える際、忌み言葉の使用は避ける
こんな人におすすめ
葬式に参列予定の人
葬式のマナーを網羅的に学びたい人
葬式は、通夜の翌日、火葬の前に執り行う「故人を弔うための儀式」です。葬式に参列した経験があまりない方は、「どんなマナーがあるのだろう」「マナー違反はしたくない」と疑問や不安を感じているかもしれません。
葬式の急な知らせが来ても適切に対応できるよう、葬式の基本マナーは事前に確認しておきましょう。ここでは、葬式に参列する際のポイントと参列できない場合の対処法を紹介します。
葬式の知らせを受けた場合には、できるだけ予定を空けて参列するようにしましょう。結婚式などの慶事と弔事が重なってしまった場合には、弔事を優先するのが一般的です。
故人とのお別れの機会は、一生に一度しかありません。また、葬式に参列することは、遺族への慰めや心遣いでもあります。体調不良やどうしても外せない用事がある場合を除き、都合を付けられるのであれば参列するのがマナーです。
一般的な参列者の方は、葬式の開始時刻より15~30分程前には会場に着くように移動しましょう。あまりに遅れて参列すると失礼にあたります。また、参列者が多い場合は受付で時間がかかることもあるので、会場には早めに到着しておくと安心です。
遺族と関係が近い親族の方は、喪主から頼まれ事を受ける可能性があるので、30分~1時間程前には着くように向かうとよいでしょう。ただし、葬式当日の遺族は慌ただしく準備を進めていますので、あまり早すぎても迷惑になってしまいます。1時間以上前に行くことは控えましょう。
急な仕事が入ったり体調不良になったり、遠方に住んでいて移動が難しかったりと都合が合わない場合には、葬式への参列を断念せざるを得ません。その際には、「失礼にあたらないだろうか」と悩む方もいるでしょう。
一般的に、やむを得ない事情で欠席するのであればマナー違反になりません。しかし、参列できない場合は以下のように対応することで遺族へ弔意を伝えられます。
・早めに欠席の連絡を入れる
・自宅や葬儀場に弔電を送る
・香典やお供え物にお悔やみ状を添えて郵送する
・日を改めて弔問に伺う
なお、香典を郵送する際は現金書留を利用しましょう。郵便局に現金書留封筒があるので、不祝儀袋ごと入る大きさの封筒を購入し、お悔やみ状を添えて郵送します。
はじめて葬式に参列する方や、久しぶりに参列する場合は、どのような服装で参列すればよいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。葬式には「喪服」と呼ばれているものの中でも、「準喪服」を着用するのが一般的です。ここからは、服装に関する葬式マナーを性別や年齢ごとに分けて詳しく紹介します。マナーを守り、失礼のない服装を心がけましょう。
男性の準喪服は、ブラックスーツです。黒色で光沢のない生地のスーツになります。ワイシャツには、白無地のレギュラーカラーを選びましょう。
ネクタイやベルト、靴下や靴といった小物類も全て光沢のない黒色のもので統一します。特にベルトや靴は、飾りが大きく目立つものは控えるのがマナーです。また、動物や爬虫類の革を使用した製品は殺生を連想させるため、着用を避けましょう。
女性の準喪服は、ブラックフォーマルです。スーツやスカート、アンサンブルが基本のスタイルとなります。露出を控えるのがマナーなので、スカートを着用する場合は膝丈かふくらはぎ丈が望ましいでしょう。また、首元が空いたデザインや袖の短いものは着用を避けます。
ストッキングは、黒色で30デニール以下の薄手のものを着用するのが一般的です。パンプスや鞄もエナメルやスエード素材を避け、光沢のない黒のものを使用します。
制服がある場合は、制服を着用するのがマナーです。制服に色や柄が入っていても差し支えありません。袖をまくったりスカートを短くしたりと着崩すことなく、露出を控え、校則に則って正しく着用することを心がけましょう。
制服がないケースでは、白のシャツやブラウスに、控えめな色のズボンやスカートを合わせます。ボトムスは黒や紺、グレーなどのダークカラーが望ましいでしょう。子どもであっても派手な色や柄、キャラクターものは避けるのが一般的です。
香典にはお香をお供えする代わりに包むお金という意味があります。他にも、相互扶助の役割、遺族への心遣いを表すといった意味もあります。葬式マナーの中でも、特に香典に関する決まり事が気になっている方も多いのではないでしょうか。ここで紹介する「香典を用意する際の注意点」を事前に確認しておけば、失礼のない対応ができるでしょう。
香典を入れる不祝儀袋は、黒や白、双銀の水引が付いたものを選びましょう。地域によっては、黄色の水引を使用する場合もあります。弔事で使用する水引の結び方は、「結び切り」や「あわじ結び」です。不幸が繰り返されないよう、1度結んだら解けない結び方になっています。
また、宗教によって使用する不祝儀袋の柄や、表書きに違いがあるため注意が必要です。具体的な違いは以下のようになります。
表書き | 不祝儀袋の柄 | |
仏教 | 御香典、御香料、御霊前 など ※浄土真宗では、御霊前ではなく御仏前と記載する |
無地、蓮の花 |
神道 | 御玉串料、御榊料、御霊前 など | 無地 |
キリスト教 | プロテスタント:御花料、忌慰料 カトリック:御花料、御ミサ料、御霊前 など |
無地(水引なし)、十字架、白百合の花 |
無宗教・不明 | 御霊前、御香料 など | 無地 |
葬式でお渡しする不祝儀袋に「表書き」「名前」「金額」などを書くときは、薄墨の毛筆や筆ペンを使用しましょう。あえて薄墨を使用することには、「故人が亡くなった悲しみの涙で墨が薄くなった」「突然のことで十分に用意ができなかった」といった意味があります。
また、万が一薄墨の筆が見当たらない場合には、黒色インクのサインペンでも代用可能です。鉛筆やボールペンなどで記載するのはマナー違反となるので気を付けましょう。
不祝儀袋の中包みには、お包みする香典の金額を書きます。なお、このときに使用するのは大字です。金額の改ざんや誤解が生じないように、常用漢字ではなく大字を用います。また、金額の前には「金」、金額の後ろには「圓(円)」を付けるのも基本ルールです。香典を用意する際によく使用する大字は、以下のようになります。
包む金額 | 大字 |
3,000円 | 金参阡圓 |
5,000円 | 金伍阡圓 |
1万円 | 金壱萬圓 |
3万円 | 金参萬圓 |
香典は用意する際だけでなく、包む際や渡す際にも一定のマナーがあるので気を付けましょう。「お札の向きをそろえる」「新札を使用しない」など細かいことですが、香典は遺族への心遣いを表すためのものでもあるので、適切に対応することが大事です。
香典をいくら包むかについて、明確な決まりは特にありません。ただし、お札の枚数に関しては注意が必要です。偶数は割り切れる数字であることから、「この世との別れ」や「縁が途切れる」ことを連想させるとして、使用を好まない方もいます。
できれば奇数になるように金額やお札の枚数を調整しましょう。また、1万円を5,000円札2枚で包むといったように、わざわざ偶数を作り出す行為も望ましくありません。他にも、「四=死」「九=苦しい」といったマイナスイメージもあり、4万円や9,000円といった金額を包むのも避けたほうが無難です。
お札を入れる際は、遺族が見やすいように1枚ずつ向きをそろえて入れるとよいでしょう。さらに、お札の角を合わせておくとより丁寧です。
また、お札の肖像画がある方を不祝儀袋の裏側に来るように入れるといった方法が主流になっています。お札を入れる向きについては特別な決まりはありませんが、遺族は慌ただしい中で香典の確認を進めていくため、丁寧に包んでおくと心遣いが伝わりやすくなるでしょう。
慶事の際には新札を用意しますが、香典には使用感のあるお札を包むのがマナーです。一般的に、新札は前もって準備しておかなければ用意できないものです。そのため新札を入れると、故人が亡くなることを想定していたかのような印象を与えてしまう可能性があります。
もし新札しか用意できなかった場合には、一度折り目を付けてから包むようにしましょう。またあまりにボロボロの紙幣もマナー違反にあたるので、適度に使用感があり、比較的きれいなお札を選ぶ必要があります。
葬式に参列する際は、香典が汚れたり傷付いたりするのを防ぐために、袱紗に入れて持参するのがマナーです。袱紗は慶事でも使用するため、種類がたくさんあります。弔事の際は黒や紺、紫、緑などの控えめな色の袱紗を選びましょう。
受付で香典を渡す際には、袱紗ごと渡すのではなく、袱紗から出してお盆や台の上に置いて差し出します。またその際、受付の方から見て表書きが正位置で読めるように、香典の向きを合わせることも忘れないようにしましょう。
葬式の際には焼香をするのが一般的ですが、普段の日常生活の中ではあまり馴染みのないものといえます。そのため、「どうやるのか分からない」「焼香のマナーが知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。葬式に参列する際には、事前に焼香の手順やルールを確認しておくと安心です。
焼香は葬式の一連の流れの中で執り行われるので、焼香の意味や役割を考えることはあまりないかもしれません。しかし、しっかりと意味を把握することで、より気持ちを込めて焼香できるようになるでしょう。
焼香には、以下のような意味や役割があるといわれています。
・心身の穢れを落とし、清らかな状態にするため
・仏様の食べ物とされる香を焚くことで、食事を楽しみ安らかに成仏してもらうため
・故人の冥福を祈るため
焼香の方法には「立礼焼香」「座礼焼香」「回し焼香」の3種類があり、「立礼焼香」を執り行うのが一般的です。立礼焼香は立った状態で焼香するもので、基本的には以下の手順で執り行います。
1.順番が来たら祭壇に進み、遺族に一礼する
2.焼香台に近付き、遺影を見て一礼(または合掌)する
3.親指、人差し指、中指の3本で抹香(まっこう)をつまみ目の高さまで持ち上げる
4.抹香を香炉の中に優しく落とす
5.手順3~4を1~3回繰り返す
6.遺影に向かって合掌しながら一礼する
7.遺影を向いたまま2~3歩下がり、遺族に一礼し席に戻る
焼香は、「喪主」「親族」「参列者」の順に進めるのが基本です。親族の焼香が終わると参列者の番になりますが、参列者の中には特に順番はありません。
抹香のつまみ方や抹香を炉に落とす回数は、宗派によって異なる場合があります。親族や知人にあらかじめ宗派を訪ねておくか、喪主や親族の手順に合わせて焼香しましょう。
ただ、中には自分の宗派の手順で焼香したいと思う方もいるかもしれません。焼香の際に一番大事なのは、故人を想う気持ちです。心を込めて焼香できれば、宗派による違いにこだわる必要はないと考えられています。
葬式で香典を渡すときや遺族に会った際には、お悔やみの言葉を伝えましょう。ただし、葬式という厳かな場であることや慌ただしく式が進行されていることから、お悔やみの言葉を伝える際にも一定の配慮が必要です。ここでは、お悔やみの言葉に関する葬式マナーを紹介します。
お悔やみは、故人への追悼の意を遺族に伝えるための言葉です。大事な方を亡くし悲しみに暮れる遺族に、どのような言葉をかけたらよいのか分からず、困っている方もいるのではないでしょうか。
一般的な葬式の場で、多くの方が使用しているお悔やみの言葉の一例は以下のようになります。
・この度はご愁傷様です
・心からお悔やみ申し上げます など
「ご冥福をお祈りします」といった言葉もありますが、こちらは話し言葉ではないため、遺族に直接思いを伝える際には適していません。手紙や弔電などを送る際に使用しましょう。
宗教によって死後の世界に関する考え方は異なるため、使用する言葉には注意が必要です。例えばキリスト教の場合では、人は亡くなると神の元に召されると考えます。そのため、故人への祈りや神への感謝を込めて、「安らかな眠りにつかれますようお祈りします」といった言葉をかけるのが望ましいでしょう。
また神道では、人は亡くなると家の守り神になるといわれています。そのため、仏教のように、死後の冥土の世界を連想させる「成仏」や「供養」といった言葉は使用しません。「御霊のご平安をお祈りします」や、「御安霊の安らかならんことをお祈りします」といった声かけが適切です。
故人に対する思いをたくさん伝えたい場合もあるかもしれませんが、縁起が悪いといわれる「忌み言葉」は使用しないように気を付けましょう。忌み言葉には、以下のようなものがあります。
・繰り返す言葉:重ね重ね、近々、どんどん、日々
・何度も起こることを連想する言葉:再び、追って、引き続き、次に
・不幸を連想する言葉:忙しい、死ぬ、苦しい、大変、浮かばれない、迷う など
また、遺族にはあまり時間がなく気持ちも落ち込んでいると考えられるため、葬式の際にはできるだけ簡潔に言葉を伝えるようにしましょう。死因など聞かれたくないような話題を避けるのもマナーです。
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葬式に参列する際には、気を付けたいポイントがたくさんあります。葬式は故人の冥福を祈るための大切な儀式です。服装や香典に関するマナーは特に決まりごとが多いため、事前に確認して失礼のないように努めましょう。
葬式マナーに関する疑問や質問があれば、お気軽に小さなお葬式にお問い合わせください。24時間365日、電話受付可能です。豊富な知識を持った専門のスタッフが、お客様のお悩みを解決へと導くサポートをいたします。
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忌引き休暇は、実は労働基準法で定められた休暇ではありません。ホゥ。