普段の生活ではあまり気に留めることはないかもしれませんが、墓地に建立しているお墓にはそれぞれ名義人が存在します。お墓の名義人とは、いわゆるお墓の持ち主であり責任者である方のことです。
お墓に関する行事や手続き等は、名義人が関わらないと行えないことが大半です。しかし、名義人が亡くなったり変更したりしたいときには、どのような手続きを行えばよいのでしょうか。お墓の名義変更の方法や場所がわかると、いざ名義変更が必要となったときに役立つでしょう。
この記事では、墓地の名義変更に関する疑問や名義変更のときに伴う費用について解説します。現在、お墓の名義変更について疑問を抱えている方はぜひ参考にしてください。
<この記事の要点>
・墓地の名義変更を行う際、はじめに名義変更届、永代使用許可証などの書類を作成する
・必要書類が揃ったら墓地の管理人に申告する
・墓地の名義変更に必要な手数料は平均で1,500円~5,000円ほど
こんな人におすすめ
墓地の名義変更について知りたい方
墓地の名義変更に伴う費用を知りたい方
墓地の名義変更の方法を知りたい方
お墓には、定期的にメンテナンスの費用を納め続けていると、家族や親戚などが半永久的に利用する権利が与えられる「永代使用権」というものが存在します。
この永代使用権は、相続人の人数分相続されるのではなく、1人のみに相続されます。永代使用権を特定の1人に継承することを、一般的にはお墓の名義変更と呼びます。
永代使用権を継承した本人は「承継者」と呼ばれ、お墓をメンテナンスしている方や場所に名義変更の届けを出す必要があります。
この承継者は、必ずしも元の名義人の親族や家族である必要はなく、友人などの血縁者以外にも継承が可能です。血縁者以外の承継者のことを「特別縁故者」と呼びます。
特別縁故者に継承するときの注意点として、承継者の身分を親族等に事前に説明しておくことが挙げられます。説明がされていないと、いざ親族の誰かが名義変更するとなったときに、全く知らない方が名義人になり連絡が一切取れない状態に陥る可能性が生じます。
また、墓地によっては名義を継承できる親等が定められていることがあるでしょう。そのルールを無視して名義変更してしまうと、永代使用権が解消されてしまう恐れがあるので、その墓地のルールに則って名義変更を行うことが大切です。
名義変更を行うときには、以下のような手順を踏む必要があります。
1. 必要な書類を作成する
2. 墓地の管理人に申告する
手順自体は少ないですが、それぞれが大切な手順なので、順番に解説します。
名義変更を行うには、まず必要になる書類を作成します。どの書類が欠けても名義変更ができなくなるので、あらかじめチェックリスト等を作成しておき、不備のないように心がけましょう。必要な書類は以下の通りです。
「名義変更届」は地域等によって呼び方が変わって「変更届出書」や「承継使用申請書」と呼ばれることもあります。この書類には、不可欠な詳細を書き記して墓地をメンテナンスしている方に提出しましょう。霊園や寺院ごとにフォーマットが異なるので、記入する際には十分に注意が必要です。
「永代使用許可証」は永代使用権を得た方に交付される書類です。もしも紛失してしまうと再発行に手数料を請求されるため、十分に注意しましょう。
「戸籍謄本」は、お墓の元々の名義人と承継者との続柄を確認するときに必要な書類です。逝去した名義人の逝去日時が記されているものと、承継者本人のものの2つが必要です。
「住民票」は承継者の住所を確認するときに必要な書類です。住民票には、家族全員の本籍地が入っていることが必須となります。役所で発行してもらえますが、発行してから3ヶ月以上経ったものは受け付けてもらえないので注意しましょう。
「印鑑証明書」は承継者の実印を証明する書類です。名義変更届に押す印鑑の証明書を準備しましょう。こちらの書類も役所で発行可能です。
上記の書類の他にも、霊園や寺院によっては別の書類が必要になる可能性があります。
例を挙げると以下のものがあります。
・「喪主をしていたことが証明される書類」
・「承継者との関係が証明されている書類」
・「誰を承継者にするのか明確に記されている遺言書」
・「親族以外の承継者にする理由が明確に記されている書類」
・「親族以外に承継する同意書」
・「墓地のメンテナンスを任される同意書、承継同意書」
必要書類が揃ったら、次は墓地の管理をしている方に申告しましょう。申告先は運営母体ごとに異なり、以下の通りです。
運営している団体 | 申告する場所 | |
寺院墓地 | 宗教法人 | お寺 |
公営霊園 | 自治体 | 役所 |
民間霊園 | 事業主体が宗教法人 運営が民間団体 |
管理事務所 |
注意点として、公営霊園の名義変更は必要書類を役所に提出しますが、死亡届は別途提出が必要になるので注意しましょう。よくある間違いで、名義変更の書類と死亡届の書類を混同して、どちらか一方しか提出しない方がいます。そうなるとどちらかの手続きが放置されてしまうため注意しましょう。
名義変更には手数料がかかり、寺院墓地・公営霊園・民間霊園によってその金額は異なります。とはいえ、平均するとおおよそ1,500円~5,000円ほどになるでしょう。
公営霊園はおおよそ数千円、民間霊園は1万円前後近い費用がかかります。加えて、永代使用許可書を再発行する場合はさらに1万円ほど必要となります。
寺院墓地の場合、費用は公営霊園、民間霊園とほとんど同じですが、お寺にお墓があるので檀家の名義も引き継ぐ必要があります。そのため、名義変更の手数料のほかに檀家を引き継ぐための費用も要するでしょう。
また、地域によって費用は変わってくるので、もしも不安な場合は事前に確認しておくようにしましょう。なお、名義変更には税金はかかりません。お墓や仏壇などは「祭祀財産」と呼ばれ、相続税はかからないきまりになっています。
名義変更は非常に複雑な手続きを伴うため、わからない点や疑問点が生じることは多いでしょう。
お墓の名義変更の際、よくある疑問点は以下の通りです。
・承継者の決め方
・相続のときに登記は必須か
・名義変更をしないとどうなるのか
・承継するタイミングがわからない
これらの疑問点をあらかじめ解決しておくことで、実際に名義変更を行うときにトラブルに発展する確率が大幅に減るでしょう。ここからは、1つずつ解説します。
お墓の名義変更を行うときは、承継の対象となる人物を決定することが最も大切です。しかし、承継者の決定は多くの方がぶつかる問題です。
解決策としては、名義変更を行う前に承継者を決めておくことです。一昔前までは、配偶者や兄弟のうちの年長者あるいは長男が受け継ぐのが一般的でした。
実際は次男や血縁者以外が受け継ぐことも可能です。しかし、霊園などによっては「受け継ぐ人は三等身以内でないといけない」などと決められている可能性があるので注意しましょう。
現在受け継ぐ予定である方よりも、元々の名義人と血縁的に近い上位継承者がご存命の場合、その方に記入してもらった「承諾書」が必要になる可能性があります。何らかの理由で承諾書を提出することが不可能な場合は、「申立書」を提出しましょう。上記の書類は、霊園などから手に入れることが可能です。
墓地の永代使用権を受け継ぐとなると、それと同時に登記も行わなければいけないのかと疑問を抱かれる方もいるでしょう。結論から述べると、墓地の永代使用権を継承しても登記を行う必要はありません。
理由は、永代使用権とは土地の所有権を手に入れるわけではなく、永久に使える権利を手に入れることだからです。なお、故人の土地にお墓を建立する場合は、登記が必要になります。
一般的に、お墓の名義変更には定められた期限はありません。しかし、名義人を変更しないとお墓を受け継ぐ方の元へ管理に伴う費用の請求が来ません。
そうなると、知らぬ間に管理に伴う費用の滞納につながる恐れがあるので、名義変更はできるだけ早めに行う方がよいでしょう。
管理に伴う費用が一定期間払われず放置されていると、墓地管理者から無縁墓として扱われ、遺骨は処理され墓石は撤去されてしまいます。処理された遺骨は、その後取り戻せない可能性が高いので注意しましょう。
霊園等の中には名義変更に期限が定められているところもあるので、自身のお墓が建立しているところはどのようなきまりなのか、事前に確認しておくことをおすすめします。
お墓を承継するタイミングは、元々の名義人の死亡後に行われるのが一般的です。お墓は転売したり譲渡したりすることが不可能ですし、元々の名義人がご存命のときに承継してしまうと、お墓の名義が誰にあるのかわからなくなってしまうことがあります。
厳密にいうと「祭祀に関する権利の承継」には元々の名義人が生存中に承継することは禁止されていませんが、困惑する可能性があるということから、墓地が自発的に禁止していることが多いようです。
しかし、例外も存在します。例えば、元々の名義人が高齢化でお墓の管理がままならなくなったときや、元々の名義人が離婚、離縁などが原因でお墓を管理するのに相応しくなくなってしまったときなどです。
上記の例が「どの墓地にも通用するか」というとそうではありません。自身のお墓が建立している墓地がどのような方針であるかを、あらかじめ確認しておきましょう。
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普段の生活ではあまり気にかけないかもしれませんが、お墓には1人ひとり名義人が存在します。その名義を何らかの理由で誰かに引き継がないといけなくなった場合は、複数の手順を踏む必要があります。墓地によって手続きの方法や申告する場所が異なるので、事前の確認は怠らないようにしましょう。
名義変更には費用がかかり、平均でも数千円~数万円要するので、いざというときに払えるように事前に準備しておくことも大切です。
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