神棚は、神社でいただいたお札などを自宅に祀り、神様に日々の感謝を伝える神聖なものです。日本では神棚と先祖を祀る仏壇の両方を自宅に置く方も少なくありません。
最近は市販の手作り神棚キットなども販売されており、自作する方もいるようです。神棚を自作したいけれど「そもそも手作りしてもいいのか」「簡単な作り方はあるのか」という疑問を持つ方もいるかもしれません。
この記事では、手作りキットや100均グッズを利用した神棚の作り方や手作りをする際の注意点などを紹介します。
<この記事の要点>
・自作してもマナー違反にはならないが、自作が難しい社部分のみ既製品購入が現実的
・賃貸物件の場合は退去時のトラブル回避のため、据え置きや壁掛けタイプの神棚を選ぶとよい
・既製品の神棚の素材に合わせて木の板を使用したり、ワイヤーシェルフを利用する方法もある
こんな人におすすめ
神棚を自作したい方
神棚の役割を知りたい方
神棚にお供えする「神具」について知りたい方
神棚とは、神様をお祀りするための棚のことです。宗教や宗派によって祀る神様は異なりますが、神棚には神道の神様をお祀りします。神棚に向かって柏手(かしわで)を打ち、日々の感謝や恵みある未来を祈ります。
また、神社でいただいたお神札(おふだ・おしんさつ)は、家を守っていただくために神様として扱います。神様を自宅にあるほかのものと区別するためにも、神棚は重要な役割を果たします。
「神様を祀るのだから、神棚は正式なものを用意しなければならない」と考える方もいるかもしれません。最近ではサイズやデザインも幅広いものが販売されているので、気に入ったものを選んで問題ありません。
しかし、「部屋の雰囲気に合うものが見つからない」「ちょうどよいサイズのものが見つからない」という場合は、神棚を自作してもマナー違反にはなりません。
「神様に失礼にあたるのでは」という意見もありますが、自作してまで自宅に置くことは、神様にとっても喜ばしいことではないでしょうか。
神棚を自作する場合は、専用のキットを使用したり一から手作りしたりと、その方法はさまざまです。自作したいものの上手にできる自信がない方は、専用のキットを使うと比較的簡単に作ることができます。
キットを使用する場合には、次の2点に注意しましょう。
社(やしろ)とは、神棚の主となる建物のような形のものです。手作りキットを使って社を自作することも可能ですが、シンプルな見た目のものが多く、本格的な社を求める方には物足りない仕上がりになるかもしれません。
既製品のような細かな作りの社は自作が難しいので、本格的な社を希望する場合は社部分は既製品を購入して設置用の棚のみを自作する方法で作成するのが現実的です。
神棚は日当たりがよく高い位置に設置するため、持ち家では神棚を置く板を壁に直接取り付けるのが一般的です。しかし、賃貸物件では壁に穴を開けてしまうと退去の際にトラブルになる可能性があります。また、分譲マンションでも穴を開けるのが難しい素材の壁を使用していたり、入居の規約で棚の設置が禁止されていたりすることもあります。
マンションなどにお住まいの方は据え置きや壁掛けタイプの神棚を選ぶとよいでしょう。
社を設置する棚は、手作りキットを使用しなくても簡単に自作できます。板やワイヤーシェルフなど、部屋の雰囲気に合った素材や設置したいスペースにぴったりのものを選ぶことができるので、インテリアにこだわりのある方におすすめです。
費用を抑えたい場合は、100均ショップで販売されている材料を使った神棚の自作も可能です。
既製品の神棚は木製なので、同じように木の板を使って自作すると、より本格的な印象に仕上がります。材料と作り方の手順は以下の通りです。
材料
・棚板(好きな素材、社や部屋のスペースにあった大きさのもの)
・木の板(約15×10cm)
・棚受(壁の素材に合ったもの)
・ボンドや釘、ノコギリなど
作り方
1. 小さい木の板(15×10cm)に、対角線上に線を引きノコギリで切る
※まっすぐではなく、あえて少しゆがみをつけるとおしゃれに仕上がる。切断面が気になる場合には、ヤスリをかけて丸くしてもよい
2. 棚板の左右の端にボンドを塗り、切った板を取り付ける
3. 棚受を壁に設置して完成
壁に穴があけられない場合や壁をできるだけ傷つけずに設置したいときには、突っ張り棒や突っ張り棚を活用したり据え置き用の棚を自作したりするとよいでしょう。
ワイヤーシェルフは、収納に役立つ簡易的な棚です。素材や大きさもさまざまで、インテリアや設置スペースに合ったものを選べます。
床置きのタイプも多くありますが、なかには壁を傷つけずに設置できる壁用のワイヤーシェルフもあり、これを使えば簡易的な神棚の自作が可能です。材料と作り方を紹介します。
材料
・ワイヤーシェルフ 2つ
・棚板 1枚~2枚
※ワイヤーシェルフの穴に通る大きさのもの
作り方
1. ワイヤーシェルフの取り付け手順に沿って、壁に設置する
2. 好きな段に棚板を設置する
大きめの棚板が設置できる場合は、1枚の棚板の上にお神札やお供えものを置くことができます。小さな板の場合は2段に分けると安全に設置できます。
「神社で授けてもらったお神札だけを祀りたい」という方には、100均ショップの商品で手作りする神棚がおすすめです。社がない分、重量もないので手軽な素材でも安全にお祀りできます。神棚の自作におすすめの100均商品は以下のとおりです。
材料
・ウォールシェルフ
・ウォールラック
・調味料ラックなど木製の入れ物
・ディスプレイバー(飾り棚)
・取り付け用の画鋲や両面テープ など
手順は、使用する材料を壁に設置してお神札を飾るだけなのでとても簡単です。調味料ラックなどを利用する場合は、はがせるタイプの両面テープで固定すると、壁を傷つけません。
神棚を自作する際、せっかくなら神具なども用意して神様をお祀りしたいと考える方も少なくありません。神棚を祀るときには、神具、お神札、お供え物の3つを準備します。
社の周りに配置するものや、お供え用の器を神具といいます。神具はすべてそろっているのが理想的ですが、一度に準備するのが難しい場合には少しずつそろえても問題はありません。神具の種類と配置は以下の通りです。
神具の種類 | 数 | 配置 |
神鏡 | 1個 | 社の中央 |
三宝 | 1個 | 社の前 |
水玉 | 1個 | 三宝の上、左手前に置き、水を入れる |
皿 | 2枚 | 三宝の上、水玉の横に並べ、左から米、塩を盛る |
瓶子 | 2つ(1対) | 三宝の上、水玉と皿の奥に並べ、酒を入れる |
榊立て | 2つ(1対) | 三宝と並ぶ位置の左右に設置する。社を隠さないよう間隔をとる |
真榊 | 2つ(1対) | 社の左右、榊立てと三宝のあいだに設置 |
かがり火 | 2つ(1対) | 社の左右、真榊と三宝のあいだに設置 |
灯籠 | 2つ(1対) | 社の左右、榊立ての外側に設置 |
お神札は自宅の神棚に祀り、家を守ってもらうものです。神社でお祓いを受けたお札には神様が宿っているといわれているので、神棚に祀って大切に扱いましょう。
お神札はただ神棚に並べればよいというわけではなく、配置にも決まりがあります。お神札を横に並べるスペースがある場合には、中央に「神宮大麻」、向かって右側に「氏神神社」、左側に「崇敬神社」のお札を並べます。
並べるスペースがない場合は、縦に重ねましょう。奥から、「崇敬神社」「氏神神社」「神宮大麻」の順にするのが一般的です。
それぞれの神社の意味は以下のとおりです。
崇敬神社:個人が信仰する神社
氏神神社:土地を守ってくれる神社
神宮大麻:伊勢神宮のお神札をいいます。
お神札は、神社からいただく際には薄紙に包まれています。清浄を保つものですが、神棚に祀る際は外してかまいません。
神具が整ってお神札を並べたら、神様へのお供え物も忘れずに用意しましょう。お供え物は水と米、塩、酒(御神酒)、榊です。お供え物の配置と取り替えの頻度の目安は以下の表のとおりです。
お供え物 | 配置 | 取り替え頻度 |
水 | 水玉のなか。お供えの際は蓋を取る | 毎日 |
米 | 2枚ある皿の向かって左(水玉と塩の皿のあいだ) | 毎日 |
塩 | 2枚ある皿の向かって右 | 毎日 |
御神酒 | 瓶子のなか。お供えの際は蓋を取る(純米酒が望ましい) | 毎日 |
榊 | 榊立てに入れる | 毎月1日・15日 |
榊以外のお供え物は毎日器を洗い、新しいものに取り替えるのが望ましいですが、難しい場合は1週間1回でも問題ありません。無理のない範囲で、普段の生活に神棚の管理を取り入れましょう。榊の水はできれば毎日取り替えて、日にちに関わらず枯れたら新しいものに取り替えると清浄を保ち神様に喜ばれます。
神棚は自宅のいちばん高いところに置くのが一般的ですが、マンションをはじめとした集合住宅では、階上にも住人がいることもあります。また、一戸建てでも2階、3階に神棚を置くスペースがなければ、1階に置く場合もあるでしょう。
その場合「神様よりも上に人がいる」ため、神様に対して失礼にあたります。自宅の一番高いところに神棚を安置できない場合は、神棚の上の天井に「雲」と書かれた紙や「雲」の文字をかたどった木の板などを貼り、「神棚の上には雲しかない」という状況を作ることをおすすめします。
これは伝統的な風習ではなく、2階以上の建物が増えたことにより生まれたものです。「雲」以外には「天」「上」「空」という文字を貼ることもあります。
自作の神棚にお神札をお祀りしてもマナー違反にはあたりません。しかし、神棚を作る際には注意したい点があります。設置の方角やお供え、手入れ方法など、神棚をよりよい環境安置するためのポイントを5つ確認しましょう。
神棚はただ高い場所に設置すればよいというわけではありません。神棚は日が昇る方角の東向き、もしくは日当たりのよい南向きに設置するのが最適です。これは「天照大神」が太陽の神であることが関係しています。
最近はスマートフォンなどでも方位を確認できるので、神棚によく日が当たる場所と向きを調べてから選ぶようにしましょう。
家の間取りや立地によっては、高い場所や東や南向きに設置できないこともあるでしょう。その際は、以下の場所を避けて安置するとよいでしょう。
・水回り(トイレ・キッチン・洗面所など)
・玄関、廊下(人の出入りが多く神様が落ち着かない)
・寝室(太陽が入る時間が少ない)
米や塩、水、御神酒などのお供え物は神様の食事です。私たちが毎日食事をするように、神様にも毎日食事をお供えしましょう。基本的には毎日新しいものと交換します。毎日の交換が難しい場合は、生活様式に合わせて曜日や日にちをきめて数日~2週間単位で交換することをおすすめします。
榊は毎月1日と15日に交換する風習がありますが、枯れたら場合は日にちに関わらず新しいものに交換します。榊が枯れないように、こまめに水を交換することも忘れないようにしましょう。
下げたお供え物は、体に取り込むと邪気を払える縁起物といわれています。お米は他のお米と混ぜて炊く、塩は料理に入れる、水やお酒は飲んだり料理に入れたりすると無駄がありませんが、長時間お供えしたものを口にするのに抵抗がある方や、傷みやすい食品などは無理に食べる必要はありません。
塩や御神酒は玄関やお庭にまくのも1つの方法ですが、難しい場合は燃えるごみとして処分します。榊はそのまま処分してもかまいませんが、気になる場合は白い紙などに包んで捨てましょう。
神棚は定期的に手入れをして清潔に保ちましょう。手入れの前には自身の身を清めて、二礼二拍手一礼をします。手入れの方法や注意点は以下のとおりです。
・掃除には新品のタオルを使う
・ヒノキやケヤキなどはカビやすいので、水拭きではなく乾拭きをする
・息を吹きかけてホコリを払わない
・お神札を取り出す際は和紙をくわえて口を塞ぐ
・社やお神札を下ろして神棚を掃除したい場合は、白い布の上に下ろしたものを置く
神棚のお参りの作法は、神社で行う方法と同じです。作法は複数ありますが、最近では「二礼二拍手一礼」が主流といえます。ここではお参りの手順を確認しましょう。
1. 神棚の目に進み、2度頭を深く下げる(二礼)
2. 両手を胸の前で合わせる
3. 右手を少し下にずらして二度柏手を打つ(二拍手)
4. その姿勢のままお祈り・お参りをする
5. 手を下ろして1度深く頭を下げる(一礼)
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神社で受けたお神札はどこに置いてもよいわけではありません。神棚が自宅にない場合は、手作りキットや100均ショップの商品などを活用して神様を祀るための棚を自作してもよいでしょう。お神札を祀るだけでも問題はありませんが、社や神具などもそろえて日々お供えやお参りをすると、神様への気持ちがより伝わります。
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