遺骨を海に撒いて、故人の供養をすることを「海洋散骨」といいます。お墓を持たない新しい供養方法として注目を集めています。自然を愛する方や、海にゆかりのある方が亡くなった際など、海洋散骨を検討することもあるかもしれません。
この記事では、海に散骨をする際に必要な許可や手続きに関する基本情報から、費用や注意点までを詳しく解説します。納骨方法に迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
<この記事の要点>
・海への散骨は法律で禁止されていないが、自治体によってルールが定められている場合がある
・海への散骨ができる場所とできない場所があるため、場所選びには細心の注意をはらう
・海洋散骨を業者に依頼する場合の費用は2万円~50万円程度が相場
こんな人におすすめ
海洋散骨について知りたい方
海洋散骨を検討されている方
海洋散骨の費用が気になる方
海に遺骨を散骨するのは、法律で認められているのでしょうか。遺骨の供養方法は限られているというイメージを持つ方は多いかもしれません。ここでは、海洋散骨のルールや海への影響という基本情報を紹介します。
現在、海への散骨は法律で禁止されてはいません。お墓を持たなくてもよいことにメリットを感じたり、遺骨を自然に戻すことに意義を感じたりすることで、自然界への散骨を希望する方は多くいます。
ただし、遺骨に対する感じ方は人それぞれです。もし家の近くに遺骨を撒かれたとしたら、不快に感じる方もいるでしょう。そのため、散骨時は一定のルールや節度を守る必要があります。
海への散骨による、環境や生態系への影響も気になるポイントの1つです。理由としては、遺骨に「六価クロム」という物質が含まれている場合があるためです。六価クロムとは、癌の原因になったり、強い酸化作用から皮膚の炎症の原因になったりする物質とされている成分です。
遺骨をそのまま海に撒いてしまうと、環境汚染の可能性があります。専門業者に依頼して六価クロムが遺骨に含まれているかどうかを確認したり、無害化するための処理を施したりしましょう。
海洋散骨自体は違法ではありませんが、自治体によって細かくルールを設けていることもあるため注意が必要です。具体的には、以下のようなルールが定められています。
【ルール一例】
散骨場所 | ・養殖場や漁場、海水浴場を避けること
・飲料水を汚染する恐れのない場所に撒くこと ・災害が発生する可能性のある場所での散骨は避けること |
遺骨の状態 | ・遺骨を粉砕し、粉状にしてから撒くこと |
自治体ごとにルールが異なるため、自身の判断で勝手に散骨するのは避けるのが無難です。一度自治体に確認し、必要に応じて専門業者に依頼しましょう。
海への散骨を希望する方は少なくありません。海洋散骨や樹木葬など、遺骨を自然に還す供養方法は現在では多くの方からの注目を集めています。
個人に合った供養方法かどうかを検討するためにも、海洋散骨のメリットやどのような方に適しているのかを確認しましょう。
少し前までの日本では「亡くなったらお墓に入る」という形が主流でしたが、今ではお墓を持たない供養方法の人気が高まっています。
海洋散骨では、お墓を持つ必要がないためお墓の購入費用がかかりません。また、掃除や管理にかかる手間を削減できるため、次世代の負担を減らせるというメリットもあります。
さらに、大都市圏では深刻な墓不足に陥っているのが現状で、遠くのお墓に入るくらいなら、自然に還りたいと思う方も少なくないでしょう。
海洋散骨は、「費用を節約できる」「管理の手間がかからない」というメリットがあります。海洋散骨が適している方の例は以下の通りです。
海洋散骨を選ぶ方の例 | ・子どもや孫にお墓の管理による迷惑をかけたくない方
・経済的な理由でお墓の購入が難しい方 ・お墓の後継者がいない方 ・故人が海洋散骨を望んでいる場合 など |
一定のルールや節度を守って散骨するのであれば、基本的には個人でも散骨できます。自分で海洋散骨する場合には、具体的にどのような点に配慮して散骨すればよいのでしょうか。ここでは、個人での散骨を正しく執り行うための方法を紹介します。
「自分で勝手に散骨することは違法なのでは」という印象を持つ方も多いでしょう。しかし、法律上は散骨に関する記載がないため、ほとんどの地域では許可を申請することなく散骨が可能です。
ただし、すでに埋葬された遺骨を取り出すときには「改葬許可証」が必要です。一度お墓に納めたものの、やはり海洋散骨に変更したいというときは、市区町村役所か役場に改葬許可を申請しましょう。
散骨自体に法律上の問題はないものの、一部の地域では散骨に関する条例が制定されている場合もあります。海洋散骨を希望する場合は、事前に自治体へ確認しましょう。
もし、散骨が許可されていない地域で勝手に散骨をすると、罰金や罰則が課される恐れがあります。
遺骨を海に撒く際は、細かく粉砕しましょう。粒の大きさが1ミリメートル~2ミリメートル程度になるまで粉末化するのがルールです。
粉骨は自分で行う方法と専門業者に依頼する方法があります。ただし、遺骨を粉状になるまで粉砕するのは簡単ではありません。また、精神的にも苦痛の伴う作業であることから、遺骨の粉砕は専門業者に依頼するのが賢明です。
魅力の多い海洋散骨ですが、気を付けたい注意点もいくつかあります。大きなもめ事にならないように、注意して散骨準備を進めましょう。気を付けるべきポイントは全部で3点です。詳しく紹介します。
海で散骨する場合、どこに撒いても同じなのではという印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、実際には散骨できる場所とできない場所があります。散骨場所の概要は以下の通りです。
散骨場所 | 散骨の可否 | 補足 |
観光地 | × | 観光地として使用されている場所では散骨できない |
沖合 | 〇 | 人が立ち入ることのできる陸地から1海里以上離れたところであれば散骨可能 |
沿岸 | × | 漁場や養殖場、海水浴場の近くでは散骨できない |
川・湖 | × | 川や湖などの水源では散骨できない |
漁場や養殖場、海水浴場から離れた場所にある沖合であれば散骨できることが多いです。河川や湖、観光地となっているビーチなどでは散骨できないため、注意しましょう。
お墓であれば、お気に入りだった食べ物や思い出の品など、故人や遺族の希望に沿ったものをお供えできます。しかし、海洋散骨では、環境や生態系への影響があるようなものは副葬品にできません。
自然に還るものだけを選ぶようにしましょう。例えば、花束を副葬品にする際は、リボンなどのラッピングを取り除いて花びらだけを撒きます。
散骨時は、喪服ではなく平服を着用しましょう。喪服を着用すると、散骨していることが一目で分かるようになり、余計なもめ事を招く恐れがあります。平服の具体的な選び方は以下の通りです。
男性 | 暗い色のスーツ、白いワイシャツなど |
女性 | 暗い色のワンピース、アンサンブルなど |
海洋散骨に対して否定的な意見を持つ方や、近隣に遺骨を撒かれることを不愉快に感じる住民もいます。さまざまな考え方があることを念頭に置き、周りの人々の心情に配慮しましょう。
個人で海洋散骨する際は、デメリットも把握したうえで散骨するかを決める必要があります。主なデメリットは、以下の通りです。
デメリット | ・お墓参りができない ・遺骨を回収できない ・トラブルになる可能性がある |
海に撒いてしまった遺骨は、回収できません。後から「新しく用意したお墓に、一緒に入れたい」などといったことにならないよう、事前に親族とよく話し合う必要があります。
海洋散骨は業者に依頼するのも1つの方法です。遺骨の粉砕や自治体への連絡、沖合に出るまでの船のチャーターという手続きを全て任せられます。準備の手間が省け、精神的なストレスも減るでしょう。ここでは、依頼時の費用や必要書類を紹介します。
海洋への散骨費用は、2万円~50万円程度です。船をチャーターし、遺族や友人が散骨する場合には、船の貸し切り料金として30万円~50万円というまとまった金額が必要になります。
一方、遺骨を業者に預けて代理で散骨してもらう場合の費用は2万円~6万円程度です。複数の遺骨をまとめて散骨するケースが多くなっています。具体的な費用の内訳や、オプションの有無などは業者によって異なるため、事前に確認しましょう。
海洋散骨を業者に依頼する際は、書類を提出する必要があります。必要書類の一例は以下の通りです。
必要書類例 | ・海洋散骨依頼書、同意書 ・海洋散骨申込書 ・火葬許可証、埋葬許可証、改葬許可証のうち、いずれかのコピー ・申込者の身分証明書のコピー |
業者によって異なる部分もありますが、基本的には上記のような書類を提出します。また、海洋散骨に伴い、墓じまいをする際は提出書類が増える可能性があるため、注意しましょう。
遺骨の粉砕や、散骨場所の確認は手間のかかる作業です。個人で海洋散骨の手続きを進めることに難しさを感じる方も多いでしょう。そういうときは、代理散骨をしてくれる業者に依頼するのが得策です。専門業者が遺族に代わり、散骨や供花、黙祷を執り行います。
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海洋散骨とは、遺骨を海に撒くことで、故人を自然に還し供養する方法で、お墓を持たない新しい供養方法として注目を集めています。お墓を購入するよりも費用が抑えられ、管理の手間もかからないのが主なメリットです。ただし、散骨時には「遺骨を粉砕すること」「沖合まで出てから散骨すること」といった一定のルールやマナーもあるため、注意が必要です。
海洋散骨に不安を感じる方や疑問をお持ちの方は、ぜひ小さなお葬式にご相談ください。専門知識を持つスタッフがお客様のお悩みに寄り添い、丁寧にアドバイスいたします。
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