葬儀にあたり故人のご遺体はお棺の中に納められ、お棺に安置された状態で火葬されます。お棺は火葬において欠かせない重要なものですが、その意味や特徴について、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、お棺の意味や特徴について詳しく解説します。選び方のポイントや副葬品についても解説するため、お棺に関する疑問を解消できるでしょう。
<この記事の要点>
・「棺(ひつぎ)」とは、遺体を納める入れ物のこと
・棺には「箱型」「山型」「かまぼこ型」「船型」「インロー型」などいくつかの種類がある
・一般的な棺のサイズは6尺(約180センチメートル)
こんな人におすすめ
お棺の種類を知りたい人
火葬の際にお棺に入れられるものを知りたい人
お棺はどこで購入できるのかわからない人
お棺は、日本における葬儀や火葬において大切な役割を果たします。故人はお棺に安置された状態で、遺族や参列者と最後のお別れをすることになります。ここでは、お棺の意味や歴史について確認しましょう。
お棺は「おひつぎ」または「おかん」と読み、ご遺体を納める入れもののことです。火葬する際は、ご遺体をお棺に納める必要があります。
お棺には複数の種類があり、素材もひのきやきりなどの木材のほか、布や段ボールなどさまざまです。ただし、故人を仰向けで安置する形状は共通しており、火葬炉の大きさによって入れられるお棺のサイズの上限が決まっています。
「ひつぎ」は「柩」という漢字を用いることもあります。「棺」がご遺体が納められていない空の状態を指すのに対し、「柩」はご遺体が納められている状態を指すのが違いです。霊柩車はご遺体の納められた柩を運ぶため、「柩」という漢字が使用されています。
一般的に使用されている「館」や「柩」以外にも、ひつぎにまつわる漢字は存在します。例えば、「槥(エイ)」という漢字は「小さな棺」という意味です。
「槨(カク)」は「ひつぎ」や「うわひつぎ」と読み、棺を入れる外側の箱を意味します。「櫬(シン)」は遺体を直接納める最も内側のひつぎを意味する漢字です。
日本では、弥生時代には「甕棺(かめかん)」と呼ばれる甕型の土器がお棺として用いられていました。ただし、長きにわたり埋葬でお棺を使用できるのは上流階級の人々に限られ、一般庶民にお棺が普及したのは江戸時代に入ってからです。
また、江戸時代は土葬が基本であり、お棺は遺体の手足を折り曲げる「座棺」というスタイルでした。明治時代になり富裕層の間で「寝棺」が使用されるようになり、火葬の普及とともに「寝棺」が広く普及します。
お棺の素材や種類にはさまざまなバリエーションがあります。お棺選びにあたっては、事前に種類ごとの特徴や価格の目安を把握しておくとよいでしょう。ここでは、お棺の主な種類について解説します。
木棺は、ひのきやきり、もみなどの天然素材のほか、ベニヤ材と芯材を貼り合わせた加工板材である「フラッシュ材」が素材として用いられます。
天然素材の場合は彫刻を施したり、フラッシュ材の場合は木目柄などのプリント紙を貼ったりして装飾を加えることが可能です。木棺の価格帯は幅が広く、4万円~100万円以上となっています。
周囲を布で覆ったお棺が、布棺または布張棺です。使用する布のカラーバリエーションやデザインが豊富であり、刺繍を施すなどの装飾もできるため、好みに合わせた仕上がりにできるでしょう。比較的費用を抑えやすく、2万円~30万円程度が目安となっています。
段ボールや再生紙、間伐材を素材とするエコ棺は、火葬時の二酸化炭素の排出量を抑え、環境への負荷を低減できるのが特徴です。
エコ棺の見た目や強度はほかのお棺と特に違いはなく、布棺・布張棺と同様にさまざまなデザインのバリエーションがあります。エコ棺の価格帯は、5万円~20万円程度が目安です。
「エンバーミング」と呼ばれる、遺体を衛生的に長期保存するための処置を施した遺体を納めるお棺を「エンバー棺」といいます。
蓋の上半分を取り外せる仕様となっていることが多く、中に透明なアクリル板が設置され、葬儀の参列者が故人と対面できるのが特徴です。エンバー棺の価格帯は、10万円~40万円程度が目安となっています。
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お棺の形状は、大きく分けて5つの種類があります。それぞれの特徴は以下の通りとなっています。
箱型 | 蓋部分が平らな長方形のお棺で、「キャスケット型」「平棺」ともいわれます。 |
山型 | 蓋部分が台形に盛り上がった形をしており、装飾を施しやすいのが特徴です。 |
かまぼこ型 | 蓋部分がまるく曲線を描くように盛り上がった形をしており、「アール型」とも呼ばれます。 |
船型 | 頭の部分の横幅が広く、足側にいくほど狭くなっていく形状のお棺です。イギリスなどの西洋諸国で使用されている形状で、「コフィン型」ともいいます。 |
インロー型 | 印籠のように蓋部分を本体にはめこむ形状をしており、高級感のある外観が特徴です。 |
お棺は長さや幅が異なる複数のサイズが用意されています。故人の体格を踏まえ、適切なサイズのものを選びましょう。また、種類や形状、価格もさまざまであるため、予算も踏まえて納得できるものを選ぶことが大切です。
一般的なお棺のサイズは長さが6尺(約180センチメートル)となっていますが、それより小さいものから大きいものまで、サイズには幅があります。
遺体の足は死後硬直によりつま先を伸ばした状態となるため、故人の生前の身長より10センチメートル~15センチメートル大きいサイズを選ぶ必要があることに注意しましょう。
なお、日本の標準的な火葬炉は6尺のお棺を想定して設計されています。現在では大型のお棺に対応した火葬炉を備えた火葬場も多いものの、大型のお棺を使用する際には火葬炉のサイズも確認しておきましょう。
お棺のサイズと併せて、種類や形を決定します。宗教や宗派、地域の風習などによってお棺の形状に決まりごとがある場合もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
また、お棺の価格はサイズや材質、形状によってさまざまであり、葬儀社によっても異なります。予算を考慮しながら、最適な種類や形を決めることが大切です。
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小さなお葬式で葬儀場をさがす
お棺を購入する機会は少ないため、いざというときはどのように入手すべきか分からないという方もいるかもしれません。お棺は葬儀を依頼する葬儀社などで用意してもらうことが可能です。ここでは、お棺の入手方法を解説します。
お棺は、葬儀を依頼する葬儀社で準備してもらうのが一般的です。多くの場合、葬儀社は葬儀で必要な祭壇や骨壺などをセットにしたプランを提供しており、お棺もこの中に含まれます。
プランに含まれるものより高額のお棺を希望する際には、オプションメニューとして追加費用を支払い、希望のものに変更するといった対応も可能です。
一部の市町村では、住民に向けたサービスとして市民葬・区民葬を行っているところがあります。市民葬・区民葬は自治体が一般の葬儀社と提携したり、自治体自体が葬儀を行ったりして、低価格な葬儀を提供するものです。
市民葬・区民葬では、お棺を含む葬祭用品一式についても相場より低価格で用意してもらえますが、内容は簡素なものとなる傾向があります。
現在では、インターネット通販でお棺を購入することも可能です。大手通販サイトや専門店のほか、お棺を製造しているメーカーでもECサイトからの注文を受け付けているところがあります。
お棺を購入できたとしても、火葬や葬儀などの手配を個人で行うことは難しいため、インターネット通販での購入は限られた場合といえるでしょう。
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故人とお別れをする際には花や故人の愛用品などの副葬品がお棺の中に入れられますが、入れることを禁じられているものもあるため、注意が必要です。
ここでは、お棺に入れてよい副葬品、届出や相談が必要な副葬品、お棺に入れられない副葬品をそれぞれ解説します。
お棺に入れてもよいとされるのは、基本的には燃えやすい物です。花や手紙、色紙などのほか、故人が好んだお菓子や飲み物、衣類なども副葬品として入れることが多くなっています。
ただし、飲み物であれば紙パックのもの、衣類であれば綿や麻などの天然素材のものなど、燃え残ったり遺骨や火葬炉を傷つけたりする恐れがないことが条件です。
お棺に入れるにあたっては、届出や相談が必要なものもあります。例えばペースメーカーは、火葬の際に爆発する恐れがあるため、必ず事前に葬儀社や火葬場に伝えましょう。
また、果物のような水分の多い食べ物や厚みのある書籍、ぬいぐるみなどは、燃えにくいという理由で禁止されている可能性があるため確認が必要です。
燃えにくい物や、火葬の際に爆発したり有毒物質が発生したりする恐れのある物はお棺には入れられません。
具体的には、腕時計や眼鏡、指輪のような金属やガラスでできた物や、瓶や缶に入った飲み物、革製品、プラスチック製品、ビニール製品などがこれに該当します。
お金については、貨幣は金属であるため燃やせません。また「貨幣損傷等取締法」にも違反するためお棺に入れられません。紙幣はこの法律には該当しないものの、燃やすなどの行為は望ましくないとされているため、お棺に入れるのは避けましょう。
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お棺は葬儀や火葬にあたり故人のご遺体を納め、最後のお別れをするための大切なものです。お棺の素材や種類、形状はさまざまなものがあるため、故人の希望やイメージ、予算等に合ったものを選ぶとよいでしょう。
また、故人への想いを込めた副葬品をお棺に入れることができますが、火葬の妨げになったり、遺骨や火葬炉を傷つけたりしないように注意が必要です。お棺選びのポイントとともに副葬品のマナーも知っておくことで、トラブルや後悔を防げるでしょう。
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